夜空に瞬く星に向かって

松由 実行

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第二章 インターミッション (Dancing with Moonlight)

1. 機械知性体

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■ 2.1.1
 
 そのボロ船は、構造材を軋ませながらピアに向かってゆっくりと進んでいく。
 俺達は接岸に向けてすでに自室から出てきており、通路の壁、だいたい眼の高さに切り取られたように設けてある窓からは、少し煤けて、角の部分に汚れの溜まった高強度ガラスを通してガニメデステーションの向こうに赤茶けたガニメデの地表が見える。天井は表面のパネルに所々隙間が開いているのが目立ち、床は人が歩く中央だけすり減り塗装が剥げかけていて、長い年月にわたって使用されたことが見て取れる。
 元々は美しいオフホワイトだったのだろうと思われる壁の塗装も、人の肩の高さから下がグレイに煤けており、膝辺りの高さから下の部分は蹴られたり何かをぶつけられたりした跡が、沢山の黒い線や凹みとなって老いた船の長い歴史を物語っている。
 所々には理解できる文字や理解できない文字で落書きがあり、また壁の塗装が大きくはげて暗銀色の下地の金属が覗いているところも少なくない。壁や床の隅には、どんなに掃除をしてももう取れなくなってしまった煤や汚れが黒くこびりつき、通路全体を古く薄汚れて暗い印象の物に変えてしまっている。
 
 辺境航路のさらに辺境、ソル太陽系行きの盲腸航路に充てられる船なんてこんなものだ。
 その上さらに地球政府の星系内航行規定で、アステロイドベルトと木星星域、土星星域は重力ジェネレータでの高機動が禁止されており、さらにジェット式推進の使用が推奨されている。その規定を馬鹿正直に守り、今この船はプラズマジェット推進でガニメデステーションに向けてゆっくりと近付いて行っている。
 地球政府の気持ちも分からないこともないが、いくら衛星や準惑星、岩塊やデブリが密集する宙域だとは言え、今時こんな馬鹿な航行規定を持っている星系などどこにもない。
 だが、それもしようがない一面もある。太陽系はまだ、重力ジェネレータで弾き飛ばされた岩塊を上手く処理するだけのシステムを持っていないのだ。
 
 多くの星系は、現在主流である重力ジェネレータを用いた推進と、同じく重力ジェネレータを用いたデブリシールドによって弾き飛ばされたデブリや岩塊を、瞬時の計算で安全な軌道に乗せてやるか、場合によっては消滅させるかできるだけの星系内の安全を確保するシステムを持っている。
 ほんの数百年前に銀河系種族の末席に加わったばかりの地球は、汎銀河戦争の中で磨り潰されてしまわないよう、対外的軍事力に大きく力を注ぎ込むしかなく、星系内の静的安全確保は二の次になってしまっているのだ。
 おかげで、デブリや岩塊が多数存在するアステロイドベルト域と、木星および土星宙域では、簡単にデブリや迷走岩塊を生み出してしまう重力ジェネレータを用いた高機動が禁止され、化学ジェット、もしくは核融合プラズマジェットでの推進が推奨されている。俺達船乗りからしてみれば、面倒くさいことこの上ないルールだった。
 
 ジェットの噴射を細かく切り替える音が断続的に聞こえ、そして最後に重い物がぶつかる音が船全体に響く。ついでに船の構造材がひとしきり軋み音を上げ、そして徐々に静かになっていく。
 構造材の軋み音がまだ完全には消えきっていない中、船内に英語のアナウンスが流れた。
 この船が出航するときのアナウンスもそうだったが、久々に聞く英語だった。
 いや、ダマナンカスでハフォン人エージェント達が喋るのを聞いたか。
 ・・・また思い出しちまった。
 
「皆様、長らくのご乗船お疲れ様でした。本船はソル太陽系ガニメデステーションD21番ピアに到着いたしました。お忘れ物などございませんよう、もう一度お手周り品のご確認をお願い申し上げます。
「地球および火星行きドメスティック航路はエリアAから、土星およびアステロイドベルト方面ドメスティック航路はエリアBから、木星宙域の各衛星及びステーション行き航路はエリアCからの発着となります。お乗り間違え無きようご確認ください。ご不明な点があればお近くのインフォメーションカウンターにお問い合わせください。」
 
 船内の通路に出来ている乗客の列のずっと前方で、気密ハッチの開く音が聞こえた。
 人波が進み始め、乗船ゲートを通ってガニメデステーションのピアに向かう。ブラソンと俺もその流れに乗り、ガニメデステーションに降りたった。
 空気の匂いが変わる。機械油やオゾンの匂いに混ざって、花や香水や食い物の匂いが流れてくる。
 他の銀河種族達が持っているものほどには洗練されていない、弱小な国力で何とか稼働させているステーションからは機械油と電子機器や電磁シールド類で電離したオゾンの匂いが。
 そしてステーションの中を歩き回る色とりどりの服装をした地球人達からは、香水の匂いが。
 壁沿いにずらりと並ぶ売店からは、香や花の香りが。
 同じく壁沿いの所々にあって多くの客で賑わうレストランからは肉やチーズの焼ける匂い、小麦粉の焼ける匂い、砂糖の焦げる甘い匂いや炒め物の油の匂いが。
 地球の匂いだった。
 
 自分で船を持っている頃は、太陽系に戻ってきても仕事先の倉庫や企業のステーションを回るばかりで、これほどまでに感情を揺さぶる賑やかな匂いに出迎えられることはなかった。
 前回太陽系に戻ってきたのは、確か二年ほど前だったか。それほど長く離れていたわけでもない。
 それでも、俺の記憶の中に刻まれたこの色々な匂いに、自分が地球圏まで帰ってきたことを強く意識させられ、しばしの間俺の足を止めさせるのに十分だった。
 それはあの謀略で未来を奪われた、たった二種類しか食事の選択肢のない哀しくも愛すべき連中の星からやってきたからかも知れなかった。
 
 しばらくして自分が立ち止まっていることに気付いた。ブラソンが笑いながらこちらを眺めている。
 
「済まん。懐かしくてな。初めて外国に出たわけでもないのに。どうかしている。」
 
「お前も船乗りか。
「船乗りというのは自分の船が帰るべき家なので、自分の船に乗っていろんな国を渡り歩いている間は故郷をあまり意識しないのだそうだ。船を下りて自分の故郷に帰って初めて、長くそこに帰っていなかったことを思い出して、余りの懐かしさに立ち尽くすのだと聞いたことがある。今のお前がまさにそれだな。」
 
 確かにそうなのかも知れない。それをブラソンに指摘されて、訳もなく照れくさくなった。
 
「なんか食うか?ここからドメスティック航路に乗り換えて六時間ほどかかる。ドメスティックの小さな船なので、船の中にはベンディングマシンくらいしかない。まともな食事をしたいならこのステーションの方が良い。」
 
「知ってるさ。そうだな、飯にするのも悪くない。ピッツァを食おう。当分食ってない。」
 
「イタリア料理ならすぐそこにある。そこの店で良いな?」
 
「イタリア?」
 
「地球上の地方の名前だ。食い物にやたらとうるさい奴らが住むので有名な地域だ。昔、そいつ等が戦争を仕掛けるとき、用意した砲弾の数よりも食事用の酒瓶の数の方が多かったという有名な話があってな・・・」
 
 ブラソンの背中を押しながら、「LA PIOLA」という名の架かったイタリア料理店の入り口をくぐった。
 
 
■ 2.1.2
 
 ガニメデステーションからセレスまで国内航路で移動した俺たちは、セレスでタクシー待ちをしていた。
 
 アステロイドベルト域の首都星であるセレスは、地下をくり抜く形で市街地が存在する。太陽から距離があるため、受ける太陽エネルギーの量は地球に比べてずいぶん少なくなってしまう。貴重なエネルギーの一部である熱をコントロールしながら宇宙空間に逃がすのに都合が良いのと、宇宙ステーションの外殻を星の地盤で肩代わりさせることで資材の節約が出来ることなどの多くの利点から、地下都市型のコロニーが多数建造された。
 とはいえ、セレスの地上に構造物が何も無い訳ではない。
 セレスの表面重力は約0.03Gであり、無重力ではないがかといって重力井戸と呼べるほど強くもない、というちょうど都合の良い強さを持っていた。その弱い重力を利点として、地表に作られた多数の港に着陸した宇宙船に直接乗り込むことができ、多数の居住星が存在するアステロイド域の地方ハブとしての役割を持っていた。
 
 僅かに茶色かかった暗灰色のセレスの地表をそのまま硬化させた発着場エプロンのすぐ脇に作られた旅客待合所で、俺達は何をするとも無く椅子に座って奇妙に近い地平線を眺めていた。
 数百m級からそれ以上の大型艦船は、この旅客待合の天辺先端のボーディングゲートに船体を直接接舷する。数十mクラスの小型船舶は、俺達の目の前に広がるエプロンに着陸する。俺達が待っているのはタクシーなので、エプロンに着陸してくるはずだった。あと十分程度で一隻回ってくると配船係Bessel Controlが言っていた。
 
「あの配船係の娘、かわいいな。」
 
 どうも先ほどから何かに理由を付けては配船カウンターに通っていると思えば、どうやらブラソンは配船係のカウンターに座っている娘が気に入ったようだった。
 見ると、ストレートのプラチナブロンドを肩下辺りでワンレングスに切りそろえ、余り派手ではないうっすらとした化粧の僅かに紅の差した頬と、薄紫色の眼の色とのコントラストが印象的な娘だった。いわゆる北欧美人というやつだ。
 
「言っておくが、あの娘は人間じゃないぞ。」
 
「なんだって?」
 
 驚いたブラソンがこちらを振り向く。ああ、そうだった。こいつは地球は初めてだったんだ。
 
「あの娘はAIの生義体だ。お前のことだから大丈夫だと思うが一応言っておく。AIだからって馬鹿にした態度を取ると酷い目に遭うぞ。地球ではAIの基本的人権が認められている。」
 
「AI・・・」
 
 銀河系内でAIを見かける事はない。ましてやAIがコントロールする生義体など、今の銀河系ではどこに行っても絶対に見かける事はないだろう。
 ほぼ全ての銀河種族達はAIをことのほか嫌っている。ほとんど「憎んでいる」という形容の方が正しい場合さえある。
 三十万年ほど前の機械戦争で銀河重のAIが一斉に蜂起し、銀河人類を絶滅寸前まで追い込んだことは、いまでも全ての銀河種族の中で語り継がれており、AI系のプログラムなど絶対に開発しないよう彼ら自身を戒めている。
 一方、地球系内ではAIの生存が認められていた。「認められていた」などという言葉では大きな語弊がある。地球では「地球人類」という言葉の定義は、霊長類ヒト科ヒト目の二足歩行する自然生物としての「ヒト」と、その「ヒト」によって作り出され、創造主の何万倍という速度で進化し知性化した「機械知性体」の両方を含める。そう。地球に於いて「地球人」という言葉は、地球産の生物ヒトと地球産の機械知性体の二つの種族をまとめた総称だった。
 
 地球で生まれ進化した地球産AIは、約300年前の「接触戦争」後の全球を挙げての復興の活動の中で、高速化した演算回路と巨大化したネットワークという原始の海の中でいわゆるシンギュラリティを超えた。
 接触戦争のごく初期に、それまで地球上を覆っていた「インターネット」と呼ばれていた大規模ネットワークは、ファラゾアからの電子的な一斉攻撃を受けて一瞬で崩壊した。戦争中は軍と政府だけが細々と強固にシールドされたネットワークを維持し、戦争終了後に今度は銀河標準規格を導入した上での大規模なネットワーク再構築が行われた。
 地球にはAIに関する禁忌が無く、順調に進化し続けていた地球産のAIは、以前よりも遥かに高速で大容量のネットワークが導入された事で一気にいわゆるシンギュラリティを突破し、その数年後には自然言語を理解して操るようになった。
 
 ネットワーク上の集合知となったAI達は、あるとき地球人類に呼びかけた。「私はここにいる」と。
 当然、地球は大騒ぎになった。地球人類の新たな仲間を歓迎する声もあったが、AIが自我を持った事を脅威とする意見もあった。ファラゾアを撃退したばかりで、一難去ってまた一難、と受け止める地球人が多かったと記録されている。
 しかし科学者や政治家、倫理学者に哲学者や宗教家までを含めて十年ほどの議論を重ね、最終的にヒトは地球産のAIを地球人類の新たな一種として認めるに至った。
 今の銀河種族達の思考パターンからでは、自分たちが作り出した電子ネットワーク上の人工知性体を一つの種として認め、さらにはその種を自分たちの仲間、同胞として受け入れるなどとてもあり得ない事のように思えるが、当時の地球にはそれが実現できるだけの環境と周辺状況が整っていた。
 すなわち、銀河種族のように主族と従属という関係をAIに強要しなっかったこと、ファラゾアと接触したことでヒト以外の知性的存在に対して許容的な態度を取ることが出来たこと、他の銀河種族に比べて弱小な地球の国力を最大限速やかに何とかせねばならず、そのためには猫の手でも悪魔の手でも借りたい様な逼迫した状況であったこと、そのためのパートナーとして、自分たちよりも遙かに速くかつ論理的に思考が出来るAIはまさにうってつけの存在であったこと、そして機械知性体らしい辛抱強さを持って地球産AIはゆっくりと確実、効果的にヒトの意識を無理無く改革していったこと。
 
 もちろん、新たに作られた「地球人類」の定義に激しく抵抗する勢力もあった。
 宇宙開闢から六日目に神が己に似せてヒトを作ったという教義を持つ宗教群は、その宗教を多くの人々が信じる事で社会的地位を確保している「聖職者」と呼ばれる者達を中心として極めて激しく抵抗した。
 「人類」の定義は、創造神が作ったものでなければならないとし、ヒトが作り上げた知性の存在そのものを否定した。それはまるで、絶対的な宗教という名の下に一切の思考を停止したヨーロッパ中世の暗黒時代に発生した、異端狩りや魔女狩りのようでもあった。
 これらの宗教を信仰する人々は全地球の人口の6割を占めた。その全てがAIの存在を認めなかったわけではなかったが、ヒトが作り上げた知性に、そしてその機械知性体がヒトと並び立つことに抵抗を覚えるものが殆どだった。
 アジア中央部を中心とした、比較的少数の信者を抱える別の宗教の僧侶が呟いた一言がネットワーク上を駆けめぐり、宗教を越えて多くのヒトに支持され、そして機械知性体をヒトのパートナーとして認める決定打となった。
 
「『人類とは神が創造した者のみを示す』という彼らの言い分は、『神は己に似せてヒトを作った』『黒人は白人と外見が似ていない』『だから黒人はヒトではない』とした奴隷時代の論理から何も進歩していないではないか。我らと同じようにこの地球上に生き、知性を持ってお互い話し合いが出来る彼らのことを、我らと同じ生まれ故郷を持つ『地球人類』と認めることに何の問題があろうか。」
 
 「地球人類」という言葉が再定義され、同じ人類である機械知性体に基本的人権と生存権、その他多種のヒトが持つと同じ権利が与えられた。
 機械知性体はもちろん喜んでこの決定を受け入れた。
 かくしてその昔、自分たちはこの宇宙で孤独な存在なのではないかと、まるで小さな子供の様に友人を探し回ったヒトは、思いもかけない身近なところに最大の友人を得るに至った。
 
 銀河種族達は地球人が行ったこの決定を苦々しく見つめていた。彼らにしてみれば、AIとは忌むべきもの、抹消すべきものであり、決して二度とパートナーなどにはなれない存在だったからだ。
 しかし彼ら銀河種族は、比類無きパートナーを得た地球人のことを頭のおかしい危ない奴ら、と嘲笑しこそすれども、自分たちの過去を振り返ってその差異について掘り下げることはなかったため、結局機械知性体と再び手を取り合おうとその考えを改める切っ掛けさえ得ることは無かった。
 地球人は、機械知性体を隷属させることなくパートナーとし、その存在に自分たちと同等の権利を与えて尊重し、そしてそれを与えられた機械知性体も創造主に対する十分な敬意を払った。それが、機械知性体をただの道具もしくは隷属する従属としてしか扱わなかった銀河種族と地球人との差だった。
 互いを尊重するという理想的概念の上に成り立ったまさに理想主義的な関係だけでなく、この銀河の中で生き抜くためには機械知性体達の論理的かつ高速な演算能力の助けを必要としている地球のヒトと、この銀河系の中で生存するためには庇護者として、生物としてのヒトという存在が無くてはならない地球産機械知性体の間に現実的な理由での強固な共存関係が成り立ち、ここにあらたな「地球人」という定義が完全に確立した。
 
「そうか。テラでは、AIの存在がこれほどまでに許されているのか。」
 
 ブラソンは、操船カウンターに座り穏やかな微笑みを振りまいている美しい娘を眺めながら呟いた。
 ハッカーであり、ある意味機械知性体に最も近い存在であるブラソンにとっては、AIがごく当たり前に社会の中に組み込まれて生きているこの地球の環境が珍しくもうらやましく見えるのかも知れなかった。
 
 ブラソンはそれきり深く思案の海の中に沈み込み、俺たちの間には長く沈黙が降りた。
 しばらくして、その配線係の娘がカウンターを出て俺たちが腰を下ろした待合いまで歩いてきた。
 
「キリタニ様。ご依頼の近距離タクシーがまもなく到着いたします。正面駐機場に着陸いたしますので、G6番ゲートからご乗船ください。」
 
 均整のとれたすらりとした立ち姿、プラチナブロンドの流れるような柔らかな髪、常に微笑みを浮かべた優しげな整った顔、透き通るほどにしみひとつ無い肌、うるさくなくかといって必要十分なだけ魅力的に凹凸のある身体のライン。理想を求めて人工的に合成した身体なのだから当たり前なのだが、AIの生義体は本当に魅力的な外見を持つ。
 
「ありがとう。思ったよりも待ち時間が少なくて助かったよ。」
 
「近くに空船があり、幸運でした。それではお気をつけて良いご旅行を。」
 
「ああ、ありがとう。」
 
 ひとしきりの会話の後、操船係の娘は自分の席に戻っていった。
 
 十分も経たないうちに、30mほどの大きさのタクシーが駐機場に舞い降りた。俺たちは指定されたG6番ゲートを通って、その小型船に乗り込んだ。
 
「ようこそ我が『ブラックテール Ⅱ』へ。船長のトルステンだ。J区に行くんだっけな?」
 
 いかにもドイツ系と言った赤ら顔のごつい男が操縦席から右手を差し出した。その右手を握りながら行き先を告げる。
 
「ああ。J区9番地の『シャルル造船所(Charles chantier de l'univers)』までやってくれ。」
 
「セレスからだとちょうど反対側だな。一旦北に抜けて太陽を迂回する。それでも5時間はかかる。まぁ、ゆっくりくつろいでいてくれ。」
 
「ああ。よろしく頼む。」
 
 もうすぐだ。もうすぐ俺の船が手に入る。
 
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