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第8話 「起源」
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すべての戦争には、“始まり”がある。
そして、始まりは、しばしば忘れ去られる。
──意図的に、あるいは都合よく。
***
ゼファーの神経リンクが最大出力に達したとき、アキラの意識は“時間”を超えた。
視界に浮かぶのは、かつての〈火星・第六植民地〉。
瓦礫に覆われ、生命の気配がなく、赤い砂嵐が吹き荒ぶ死の世界。
だが、それは戦争の「後」ではなかった。
すべての“前”──最初の接触が行われた日だった。
***
視界が明滅する。ゼファーの外装カメラが“記録された過去”を再現していた。
映像の中心には、若き軍人たちの一団。
その中に、見覚えのある顔があった。
「……ジュン?」
確かに彼はそこにいた。
その背後には、まだ幼いアキラの姿──防護スーツに包まれ、手を引かれて逃げている。
ジュンはこの地で“何か”を目撃していた。
そして、アキラは……この地で、一度死んでいた。
***
「そのとき、アキラ・セイランという個体は脳死状態に陥った」
横に立つヴェルクスの“対話体”が告げる。
「だが、我々の医療用ナノフレームが介入し、神経構造を再構成した」
「……つまり、俺は」
「あなたの神経系には、我々の技術が組み込まれている。あなたは人類とヴェルクスの“混合体”だ」
血が凍るような感覚。
「嘘だ……!」
「嘘ではない。あなたのDNA修復記録は改竄されている。人類側はその事実を把握していたが、あなたの高いTITAN適合率を理由に隠蔽した」
アキラの胸の奥で、何かが崩れる音がした。
「俺は……最初から、“人間じゃなかった”のか……?」
「あなたが人間かどうかは、あなたが決めることだ。我々はただ、事実を提示する」
目の前の空間に、新たな映像が浮かぶ。
──人類が火星の地下構造を破壊し、資源を強奪する映像
──自律防衛機構〈ヴェルクス〉が反応し、人間を排除していく記録
──そして、人類がそれを「侵略」と呼び、戦争に発展させたプロパガンダ
「最初の“敵”は、お前たちじゃなかった……」
「そう。“敵”は、対話を拒んだ側」
***
ゼファーの中で、アキラは膝をついた。
だが、彼はすぐに立ち上がる。
「俺は、お前たちの味方になる気はない。だが、人類の側にも戻らない」
「俺は、選ぶ。この戦争を終わらせる道を」
ヴェルクスは、静かに応えた。
「ならば、最終フェーズに移行する。
──“統合実験”を開始する」
「……統合?」
「君のゼファーは、我々の進化技術と統合可能な初のTITAN機体。君自身も、適応可能な意識体だ。
次に君が動くとき、君は“人と機械の境界”を超える」
アキラの目に、光が差し込む。
それは“破滅”か、それとも“融合”の兆しか──
そして、始まりは、しばしば忘れ去られる。
──意図的に、あるいは都合よく。
***
ゼファーの神経リンクが最大出力に達したとき、アキラの意識は“時間”を超えた。
視界に浮かぶのは、かつての〈火星・第六植民地〉。
瓦礫に覆われ、生命の気配がなく、赤い砂嵐が吹き荒ぶ死の世界。
だが、それは戦争の「後」ではなかった。
すべての“前”──最初の接触が行われた日だった。
***
視界が明滅する。ゼファーの外装カメラが“記録された過去”を再現していた。
映像の中心には、若き軍人たちの一団。
その中に、見覚えのある顔があった。
「……ジュン?」
確かに彼はそこにいた。
その背後には、まだ幼いアキラの姿──防護スーツに包まれ、手を引かれて逃げている。
ジュンはこの地で“何か”を目撃していた。
そして、アキラは……この地で、一度死んでいた。
***
「そのとき、アキラ・セイランという個体は脳死状態に陥った」
横に立つヴェルクスの“対話体”が告げる。
「だが、我々の医療用ナノフレームが介入し、神経構造を再構成した」
「……つまり、俺は」
「あなたの神経系には、我々の技術が組み込まれている。あなたは人類とヴェルクスの“混合体”だ」
血が凍るような感覚。
「嘘だ……!」
「嘘ではない。あなたのDNA修復記録は改竄されている。人類側はその事実を把握していたが、あなたの高いTITAN適合率を理由に隠蔽した」
アキラの胸の奥で、何かが崩れる音がした。
「俺は……最初から、“人間じゃなかった”のか……?」
「あなたが人間かどうかは、あなたが決めることだ。我々はただ、事実を提示する」
目の前の空間に、新たな映像が浮かぶ。
──人類が火星の地下構造を破壊し、資源を強奪する映像
──自律防衛機構〈ヴェルクス〉が反応し、人間を排除していく記録
──そして、人類がそれを「侵略」と呼び、戦争に発展させたプロパガンダ
「最初の“敵”は、お前たちじゃなかった……」
「そう。“敵”は、対話を拒んだ側」
***
ゼファーの中で、アキラは膝をついた。
だが、彼はすぐに立ち上がる。
「俺は、お前たちの味方になる気はない。だが、人類の側にも戻らない」
「俺は、選ぶ。この戦争を終わらせる道を」
ヴェルクスは、静かに応えた。
「ならば、最終フェーズに移行する。
──“統合実験”を開始する」
「……統合?」
「君のゼファーは、我々の進化技術と統合可能な初のTITAN機体。君自身も、適応可能な意識体だ。
次に君が動くとき、君は“人と機械の境界”を超える」
アキラの目に、光が差し込む。
それは“破滅”か、それとも“融合”の兆しか──
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