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番外編
悩める弟9
しおりを挟むヨハンが次に目を覚ました時、そこは温かいカイの腕の中だった。
本来一人用であるヨハンの小さなシングルベッドに、体格の良いカイがヨハンを抱いて並んで眠るには狭すぎたのだろう。
ヨハンは横並びではなく、いつもキスしている時のように、カイの大きな身体の上に寝かされ、その広い胸に抱きしめられる形で眠っていた。
「……ん……」
シーツの擦れる音と、肌に触れる体温で意識がはっきりしてくる。
二人とも全裸で、掛け布団の下で肌を合わせている状況に、ヨハンはカッと顔を赤くした。
(……夢じゃ、ないんだ)
ようやく、一番好きな人と結ばれた。
そしてその人は、ベータではなく、ヨハンの身体が求めてやまない正真正銘のアルファだった。
「へへ……」
ヨハンの顔が、だらしなく緩んでしまう。
嬉しさが込み上げ、ヨハンは自分を抱きしめているカイの身体を少しよじ登ると、その無精髭の生え始めた頬に、チュッ、とキスをした。
そのキスで、カイもゆっくりと目を覚ました。
寝ぼけた様子で数回瞬きをし、目の前にいるヨハンを認識すると、カイは愛おしそうに、けれど申し訳なさそうに眉を下げた。
「……ヨハン。……無理させないって言ったのに、気絶させて……ごめんな、身体、大丈夫か?」
カイの大きく温かい手が、ヨハンの腰を労るように撫でる。
ヨハンは首を横に振り、満面の笑みを向けた。
「ううん。……凄く、幸せだったよ」
ヨハンはカイの胸に頬をすり寄せた。
「カイは、フェロモンを感じたのは初めてなんだし、しょうがないよ。……それに、僕も……好きな人のフェロモンで、もっとメロメロになっちゃったからぁ……」
「……っ」
ヨハンが上目遣いで、とろけるような笑顔で嬉しさを言葉にすると、カイも釣られるように嬉しそうに笑った。
「……俺も、自分がアルファなんだって自覚したよ。今まで興味もなかったし、あんまよく知らないが……お前と『番』になれるんなら、こんなに嬉しいことはない」
カイの言葉は、飾り気がないからこそ、ヨハンの心に真っ直ぐに届いた。
「うん……。次のヒート期間に、僕の首を噛めば……『番』になれるんだよ」
ヨハンは自分のうなじに手を当てて教えた。
「カイと番になれるなんて……僕、本当に嬉しい……」
そう言って、ヨハンはカイの唇に優しくキスをした。
そして、そのまま唇が触れ合うほどの至近距離で、艶っぽく目を細めて囁いた。
「ね、カイ。次のヒートが来たら……僕のこと、もっとぐちゃぐちゃにして……?」
ヨハンの指が、カイの胸板を這う。
「その時に……身体も心も、全部カイのものになりたい……」
小悪魔のように妖艶に囁かれた言葉に、カイの理性の弦が再び危険な音を立てた。
「…………ッ」
カイは片手で顔を覆い、観念したように天井を仰いだ。
「あんまり煽らないでくれ……頼むから……」
朝から再び襲ってしまいそうになる衝動を必死に堪えるカイを見て、ヨハンは愛おしさに胸を震わせながら、ケラケラと幸せそうに笑った。
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