波に声を乗せて

山田ジギタリス

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空で会えたら3

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コウノ先輩とお付き合いを始めてすぐにゴールデンウイークになった。
せっかくお付き合い始めたのだから二人で出かけたい。

行きたいところ、、、映画にするかそれとも遊園地?動物園?
なかなか決まらないで結局港の近くにある夕陽丘のプラネタリウムに行くことになった。
プラネタリウムは小学校以来だな。

先輩とは丘のふもとの駅で待ち合わせた。
いつもはジーンズにTシャツにジャンパーな先輩だけど今日はひざ下くらいのスカートにや若い色のブラウス、そしてあまりかかとの高くないハイヒールっぽい靴だった。

一方ぼくはと言うとジーンズにコットンシャツ、そしてスニーカー。一番良い服を着てきたつもりだけど先輩と釣り合い取れないかな。
少しはおしゃれに気を使った方が良いのだろうか。でもそうすると親から根掘り葉掘り聞かれそう。

駅から海と反対側に向かいきつい坂道を登ったところにプラネタリウムがある。坂道を登るとき、迷ったけど先輩と手をつないだ。

はにかんだ先輩がかわいい。

プラネタリウムは僕らみたいなカップルと子供連れでにぎわっていた。すぐの回には入れないので次の回の切符を買う。
時間があるけどどうしようか。先輩が案内板を見てる。
「ねぇ、下の階になんか展示があるみたい。いってみよ」

下の階には子供向けの科学に関する展示があった。
ロボットの模型、ロケットの模型、上の方には球体のまわりの軌道を光がくるくる回る模型があった。
なんだろう?首をひねってると先輩が模型の近くによって説明を読む。

「古いタイプの元素の模型みたい。真ん中のボールが陽子で周りが電子だって」

「ねぇねぇ、ここもクラブ局あるみたいだよ」

壁の表示を見た先輩が教えてくれる。

「でも、今日は実演ないみたい。クラブ局には、、友の会に入ると入れるのかぁ」

「はいるの?」

「学校のクラブはいってるし、個人局開いてるから、入らないけど、興味はあるかな」

そうだった先輩は既にコールを持っている。知り合いから古い無線機を譲ってもらって開局したって言ってたな。
あまり詳しくは教えてくれないけど。

「そろそろ時間ね」

説明の人の話術に子どもたちは夢中になっていて思ったより静かだ。
方角が説明されそして春の星座から夏の星座そして今頃も流星群が見えるんだ。

先輩の方に手を伸ばすと手にふれた。そのまま手を握ると握り返してきた。
ドキドキしてそこからはあまり説明を覚えていない。

昼ご飯は駅の方まで戻ろうかと思っていた。駅まで行ったら次はどうしようか。二駅乗ったところに大きなハムショップがあったかな。そんなこと考えていると、先輩が隣のコンサートホールの喫茶店のメニューに釘付けになった。
何枚も重なってるホットケーキに蜂蜜とクリームがたっぷり掛かっている。
お昼には甘すぎるかな?でも先輩が食べたそうだし。
「ここにしましょうか、お昼ご飯」
そういうと先輩がの顔がぱっと輝いた。
「でも、お昼には甘すぎるね」

そういいながらも離れがたいみたいだ。

どうしようかな。迷ってると先輩が手を引っ張る。
「あっちにレストランがあるみたい。そっちでお昼にしておやつにここにきて、いいかな」
おねだりする先輩もかわいい。

レストランでお昼を食べた後、近くの神社にお参りしてベンチで海を見ながらおしゃべりをしていた。
さっきのプラネタリウムの話から生まれた星座の話になった。
「そういえば先輩の星座はなんですか?」
「私はおうし座。誕生日は18日。もうすぐよ」

18日って2週間じゃないか。しまった、プレゼントを何も考えていない。
女の子にあげるの、なにが良いんだろう。よくわからない。ママに相談はできない。
タカハシ先輩に相談すると直ぐに先輩に伝わりそうだし、ナイトウさんに相談するのもおかしいかな。

考えていると先輩から袖を引っ張られた。
「もう、きいてた? そろそろ行かない?」

ぼくはとりあえずプレゼントのことは棚に置いてさっきの店に戻ることにした。

喫茶室は圧倒的に女性それもご年配のご婦人が多かった。

ぼくたちは奥の席に案内された。先輩は紅茶、ぼくはコーヒー、そしてそれぞれホットケーキを頼んだ。

注文を受けたウェイトレスさんがちょっと迷ったようにしてから、
「あの、差し出がましいと思いますが、ホットケーキは結構大きいですよ。お子様連れでも一つで十分なくらい」
と手で大きさまで手ぶりで教えくれた。

たしかに出てきたホットケーキは大きかった。
まず先輩がひとかけら口に入れて幸せそうな顔をする。かわいいなぁ。
そしてフォークでぼくの方にもうひとかけらを寄こす。
「はい、あーーん」

ちょ、ちょっと恥ずかしいんですけど。
でもここで断ったらだめだ。
ぼくは大きな口を開けてぱくりと食べた。
「おいしい?」

口の中が空になってから答えるけど、少しどもってしまった
「お、、おいしいです」
耳まで暑い。きっと僕の顔は真っ赤なんだろう。

そこでようやく周りの目線に気が付いたのだろう。先輩も耳まで赤くなって小さい声で
「ごめん、はずかしかったね」
とあやまった。

『初々しいわねぇ』
『きっと付き合い始めたばかりよ。隣の図書館でデートじゃない』
『いいわねぇ、あのくらいだとどこでも二人だと楽しいのよ』

おば様方のひそひそ声が聞こえる。
ぼくたちは黙ってしまい、黙々とホットケーキを食べた。

お昼はぼくが出したので喫茶店は先輩が出してくれた。
かばんから財布を出すときに定期入れがこぼれ落ちた。
ぼくが拾ってあげるときに見るとどちらかと言うと男が好むようなシンプルなものだった。そしてなんかくたびれている感じがした。お財布は女の子らしいかわいいものなのに。

そうか、プレゼントに定期入れが良いかなぁ。明日も休みだからデパートに行ってみよう。おこずかい足りるかな。
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