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案外ちょろいリンちゃん
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「バレちゃったね」
リンがニコニコしながら後ろから俺の顔を覗き込む。俺は顔を動かそうとするが頭もしっかり地面に縛り付けられていて動かせない。目だけでリンの胸元を……。服を着ていた。
「どこ見てるのよ、まったく。そういえば、森の中でもいやらしい目で見てたわね。あんたバイなの」
「バイ?」
「男も女もいけるってこと。ああ、なんでこんなこと説明しないといけないの」
そういうとリンは俺から少し離れた。
「で、御覧の通り美少年じゃなくて美少女リンちゃんでした」
「そっ、それはわかるけどこの糸は?」
「蜘蛛さんたちが私を守ってくれてるの」
「蜘蛛さんたち?」
そう聞くとリンが説明してくれた。
「私ね、魔法使えるけど、知っての通りしょぼいでしょ。本当は蜘蛛使いなの」
「テイマーか?」
俺がそう聞くとちょっと間をおいて答える。
「テイマーとはちょっと違うかなぁ。蜘蛛さん以外は言うこと聞いてくれないし」
「森の中で獲物を見つけるのがうまかったのもそのせいか?」
「勘のいいガキは嫌いじゃないぜ」
リンがボソッと呟いた言葉は聞き取れなかった。
「……」
「勘がいいね。その通りだよ。蜘蛛が教えてくれた」
言い直した言葉は聞こえた。
「そうか、でいつまでこの姿でいればいい?」
「美少女だってバレちゃったからね。身の危険を感じるのよ。だから自制してもらわないといけないしね」
そういうと手のひらに乗せた蜘蛛を目の前に出す。
「この子をそばに置かせてもらうわ。何かしようとしたら噛みつくわ。毒持ってるから、死にたくなかったら……わかるわよね」
俺はなんどもなんども頷いた。
狩ってきた獲物や木の実を調理している間に簡単に今までのことを教え合う。
「なるほどねぇ、酒場で知り合ったお姉さんが隊長の奥さんだったなんて、なんで気がつかないのさ」
「隊長も別の国から流れてきたから嫁さんいないと思ってたんだよ。酒場に嫁さんいるなんて知らんだろ。それにあっちから誘ってきたんだ。俺は悪くない」
「じゃ、なんで逃げたのさ」
「そりゃぁ、なんかイヤな予感があったしさ。それに、隊長、人の話聞かねえし」
「なるほどね。そりゃにげるか」
「なぁ、本当に魔王国に攻め込むのか?」
「そう聞いた。だから逃げてきた」
おれはあきれて声が出てしまう。
「魔王国に勝てるつもりなのかねぇ。向こうから攻めてくることはないんだから放っておきゃいいのに」
「勇者と聖女が召喚されたからね。ま、図に乗ったんだろうねぇ」
少女ということがバレて隠す必要がなくなったからかリンの口は軽い。こんなにおしゃべりだとはしらなかった。
改めてリンを見るとやはりかわいい。ずっと胸を押さえつけていたそうで、今は解放された胸は程よい大きさだしゲフンゲフン、首筋に蜘蛛が登ってきてトントンと叩く。なんだ、俺の考えが読めるのかこいつ。
「そういえば、リンはどこまで行くんだ? というか行く当てあるのか?」
「うーん、それなんだよねぇ、行く当てはないよ。かと言っていつまでもベッセルにお世話になるわけにも行かないしね。冒険者にでもなるよ」
「冒険者? なんだそれ?」
「えっ、この世界には冒険者っていないの? 薬草を採取したり魔獣を狩ったり護衛をしたり……」
おれはあきれて思わず叫んでしまう。
「なんだそりゃ?」
「えっ?」
「薬草は基本畑で作るし、畑でできない物でも採取するのは専門の知識のある薬師だ」
あっけにとられているリン。
「それに魔獣を狩るのは狩人の仕事だ。手に負えないときは領主が兵を出すか傭兵に依頼する。護衛も傭兵の仕事だ」
「じゃ、ギルドなんてのは……」
「街ごとに商人や職人のギルドはあるけれど、冒険者のギルドなんて聞いたことないぞ」
見るからに落ち込むリン。
「そうかぁ、この世界には冒険者も冒険者ギルドもないのかなぁ」
それにしても……、この世界?
「この世界にはって、この世界?もしかしてリンは他の世界から」
俺がそう言うとしまったという顔をするリン。
「あぁぁぁ、またやってしまった。そうだよ、私は勇者や聖女と一緒に召喚されたんだよぉ」
リンがニコニコしながら後ろから俺の顔を覗き込む。俺は顔を動かそうとするが頭もしっかり地面に縛り付けられていて動かせない。目だけでリンの胸元を……。服を着ていた。
「どこ見てるのよ、まったく。そういえば、森の中でもいやらしい目で見てたわね。あんたバイなの」
「バイ?」
「男も女もいけるってこと。ああ、なんでこんなこと説明しないといけないの」
そういうとリンは俺から少し離れた。
「で、御覧の通り美少年じゃなくて美少女リンちゃんでした」
「そっ、それはわかるけどこの糸は?」
「蜘蛛さんたちが私を守ってくれてるの」
「蜘蛛さんたち?」
そう聞くとリンが説明してくれた。
「私ね、魔法使えるけど、知っての通りしょぼいでしょ。本当は蜘蛛使いなの」
「テイマーか?」
俺がそう聞くとちょっと間をおいて答える。
「テイマーとはちょっと違うかなぁ。蜘蛛さん以外は言うこと聞いてくれないし」
「森の中で獲物を見つけるのがうまかったのもそのせいか?」
「勘のいいガキは嫌いじゃないぜ」
リンがボソッと呟いた言葉は聞き取れなかった。
「……」
「勘がいいね。その通りだよ。蜘蛛が教えてくれた」
言い直した言葉は聞こえた。
「そうか、でいつまでこの姿でいればいい?」
「美少女だってバレちゃったからね。身の危険を感じるのよ。だから自制してもらわないといけないしね」
そういうと手のひらに乗せた蜘蛛を目の前に出す。
「この子をそばに置かせてもらうわ。何かしようとしたら噛みつくわ。毒持ってるから、死にたくなかったら……わかるわよね」
俺はなんどもなんども頷いた。
狩ってきた獲物や木の実を調理している間に簡単に今までのことを教え合う。
「なるほどねぇ、酒場で知り合ったお姉さんが隊長の奥さんだったなんて、なんで気がつかないのさ」
「隊長も別の国から流れてきたから嫁さんいないと思ってたんだよ。酒場に嫁さんいるなんて知らんだろ。それにあっちから誘ってきたんだ。俺は悪くない」
「じゃ、なんで逃げたのさ」
「そりゃぁ、なんかイヤな予感があったしさ。それに、隊長、人の話聞かねえし」
「なるほどね。そりゃにげるか」
「なぁ、本当に魔王国に攻め込むのか?」
「そう聞いた。だから逃げてきた」
おれはあきれて声が出てしまう。
「魔王国に勝てるつもりなのかねぇ。向こうから攻めてくることはないんだから放っておきゃいいのに」
「勇者と聖女が召喚されたからね。ま、図に乗ったんだろうねぇ」
少女ということがバレて隠す必要がなくなったからかリンの口は軽い。こんなにおしゃべりだとはしらなかった。
改めてリンを見るとやはりかわいい。ずっと胸を押さえつけていたそうで、今は解放された胸は程よい大きさだしゲフンゲフン、首筋に蜘蛛が登ってきてトントンと叩く。なんだ、俺の考えが読めるのかこいつ。
「そういえば、リンはどこまで行くんだ? というか行く当てあるのか?」
「うーん、それなんだよねぇ、行く当てはないよ。かと言っていつまでもベッセルにお世話になるわけにも行かないしね。冒険者にでもなるよ」
「冒険者? なんだそれ?」
「えっ、この世界には冒険者っていないの? 薬草を採取したり魔獣を狩ったり護衛をしたり……」
おれはあきれて思わず叫んでしまう。
「なんだそりゃ?」
「えっ?」
「薬草は基本畑で作るし、畑でできない物でも採取するのは専門の知識のある薬師だ」
あっけにとられているリン。
「それに魔獣を狩るのは狩人の仕事だ。手に負えないときは領主が兵を出すか傭兵に依頼する。護衛も傭兵の仕事だ」
「じゃ、ギルドなんてのは……」
「街ごとに商人や職人のギルドはあるけれど、冒険者のギルドなんて聞いたことないぞ」
見るからに落ち込むリン。
「そうかぁ、この世界には冒険者も冒険者ギルドもないのかなぁ」
それにしても……、この世界?
「この世界にはって、この世界?もしかしてリンは他の世界から」
俺がそう言うとしまったという顔をするリン。
「あぁぁぁ、またやってしまった。そうだよ、私は勇者や聖女と一緒に召喚されたんだよぉ」
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