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宇宙でひとりぼっちのクリスマス
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「よいクリスマスを」
定期連絡にたたき起こされた俺に連絡員が最後に付け加えた言葉。そうか地球はクリスマスか。オレには関係ないが。宇宙での一人きりもそろそろ一年。彼女と喧嘩してヤケクソで条件もよく読まずに地方の星への配給宇宙船に志願して、そしたらこんな生活が一年続くなんて。
無機質な俺に割り当てられた部屋の他には貨物室と監視室。あとは監視室からエンジンルームへと続く通路。そちらはよっぽどのことがない限り行くことはない。
「異常を検知しました。異常を検知しました」
監視室の監視端末が警報を発報した。
なんだぁ?また荷崩れか?
運んでるものは医薬品らしいがよくわからない。だいたい一年もかけて持って行くなら現地で作ればいいのに。
ぶつくさ言いながら貨物室に向かう。貨物は無事のようだ。特に荷崩れもしていない。
戻ろうかとした時、荷物の間に何か動くものを見た気がした。
「まさか!」
そちらに向かうと小さい生き物らしきものが荷物の間にもぐった。
「そう来るか。残念、荷物はどければいいのだ」
もぐれないように隙間なくずらしていくと奥の方に小さな毛玉がいた。こちらに向かってくるのを難なく捕まえる。
「よしっ」
捕まえた毛玉は小さな黒い猫だった。この宇宙船は一人乗り。他には乗務員はいない。なのでこいつは密航者だな。
「冷たい方程式か。なら答えは一つ。放り出す!」
言葉がわかったのか猫は暴れだし俺の手から逃げ出し……黒髪の美幼女になった。
「お願い!放り出さないで。生き別れのお父さんに会いたいの」
さて、どうするか。密航は大罪。乗務員に処分の権限がある。しかし、こんなかわいい幼女を放り出すのは気が引ける。ここはギブアンドテイク。俺はずっと宇宙に一人。当然女っ気などない。猶予はまだある。ならば楽しませて……。
そう思ったら後ろから殴りつけられた。
「何してんのよ!自分の娘に」
「へっ?なんでお前、ここにいる」
後ろからオレを殴りつけたのは、地球で別れたはずの恋人。猫型獣人の彼女に強く殴られ俺は頭を抱えしゃがみこんだ。
「あんたと私はこの植民船の乗務員。で、あんたと私は夫婦。あんたがつまらないことで私と喧嘩して、頭冷やすからって倉庫エリア担当になったじゃないの、しかも一人だと耐えられないからって催眠までかけて」
ううっ頭が割れるように痛い……なんてことはなく彼女が向けてきたペンライトみたいなものを見つめると……思い出した。喧嘩の原因は確かにつまらないことでだった。それで上司に頼んで一人でこのエリアに来たんだっけ。娘を思い出すとつらいから催眠までかけて……。
「で、何を楽しむって?自分の娘と何するつもり?」
「いやいやいや、自分の娘だろうがなかろうがこんな小さい子と何もしないよ。ただ寂しいから話し相手になってほしいだけだって」
「だってさ、ミア」
「えへへ、パパ寂しかったんだ」
「昨日までのはずが、あんたがなかなか戻って来ないから、この子寂しがってたんだよ」
「うん、ママもね」
「そ、そ、そんなこと………」
彼女も頭にぴょこんとたった耳まで真っ赤だった。
「あーいちゃついてるところ悪いが、そろそろ戻ってほしいなぁ。待ってる独り身交代要員の立場にもなってくれや」
手元の通話機から声がする。
「今日はクリスマスイブだからさ、そろそろ休暇の時間だ。あとは俺たちに任せて家族皆んなで楽しみな」
顔を見合わせた俺たちに娘、ミアが飛びついてくる。
何はともあれ、俺は宇宙に一人じゃなかった。
定期連絡にたたき起こされた俺に連絡員が最後に付け加えた言葉。そうか地球はクリスマスか。オレには関係ないが。宇宙での一人きりもそろそろ一年。彼女と喧嘩してヤケクソで条件もよく読まずに地方の星への配給宇宙船に志願して、そしたらこんな生活が一年続くなんて。
無機質な俺に割り当てられた部屋の他には貨物室と監視室。あとは監視室からエンジンルームへと続く通路。そちらはよっぽどのことがない限り行くことはない。
「異常を検知しました。異常を検知しました」
監視室の監視端末が警報を発報した。
なんだぁ?また荷崩れか?
運んでるものは医薬品らしいがよくわからない。だいたい一年もかけて持って行くなら現地で作ればいいのに。
ぶつくさ言いながら貨物室に向かう。貨物は無事のようだ。特に荷崩れもしていない。
戻ろうかとした時、荷物の間に何か動くものを見た気がした。
「まさか!」
そちらに向かうと小さい生き物らしきものが荷物の間にもぐった。
「そう来るか。残念、荷物はどければいいのだ」
もぐれないように隙間なくずらしていくと奥の方に小さな毛玉がいた。こちらに向かってくるのを難なく捕まえる。
「よしっ」
捕まえた毛玉は小さな黒い猫だった。この宇宙船は一人乗り。他には乗務員はいない。なのでこいつは密航者だな。
「冷たい方程式か。なら答えは一つ。放り出す!」
言葉がわかったのか猫は暴れだし俺の手から逃げ出し……黒髪の美幼女になった。
「お願い!放り出さないで。生き別れのお父さんに会いたいの」
さて、どうするか。密航は大罪。乗務員に処分の権限がある。しかし、こんなかわいい幼女を放り出すのは気が引ける。ここはギブアンドテイク。俺はずっと宇宙に一人。当然女っ気などない。猶予はまだある。ならば楽しませて……。
そう思ったら後ろから殴りつけられた。
「何してんのよ!自分の娘に」
「へっ?なんでお前、ここにいる」
後ろからオレを殴りつけたのは、地球で別れたはずの恋人。猫型獣人の彼女に強く殴られ俺は頭を抱えしゃがみこんだ。
「あんたと私はこの植民船の乗務員。で、あんたと私は夫婦。あんたがつまらないことで私と喧嘩して、頭冷やすからって倉庫エリア担当になったじゃないの、しかも一人だと耐えられないからって催眠までかけて」
ううっ頭が割れるように痛い……なんてことはなく彼女が向けてきたペンライトみたいなものを見つめると……思い出した。喧嘩の原因は確かにつまらないことでだった。それで上司に頼んで一人でこのエリアに来たんだっけ。娘を思い出すとつらいから催眠までかけて……。
「で、何を楽しむって?自分の娘と何するつもり?」
「いやいやいや、自分の娘だろうがなかろうがこんな小さい子と何もしないよ。ただ寂しいから話し相手になってほしいだけだって」
「だってさ、ミア」
「えへへ、パパ寂しかったんだ」
「昨日までのはずが、あんたがなかなか戻って来ないから、この子寂しがってたんだよ」
「うん、ママもね」
「そ、そ、そんなこと………」
彼女も頭にぴょこんとたった耳まで真っ赤だった。
「あーいちゃついてるところ悪いが、そろそろ戻ってほしいなぁ。待ってる独り身交代要員の立場にもなってくれや」
手元の通話機から声がする。
「今日はクリスマスイブだからさ、そろそろ休暇の時間だ。あとは俺たちに任せて家族皆んなで楽しみな」
顔を見合わせた俺たちに娘、ミアが飛びついてくる。
何はともあれ、俺は宇宙に一人じゃなかった。
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