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第二章
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なんでも今回、2週間ぐらい会えなかった事が堪えたらしい。
確かに、今までそんなに一緒に居なかった事はなかったからな。
しかも、パーティメンバーはオレ以外全員女性? ときた。
どうも気が気でなかったらしい。
なので先ほども、おっぱい議論に発展したようだ。
「確かその、魔都サンムーンだっけ? 片道だけでも3日かかるんでしょ?」
そうだな、行き帰りだけで一週間近くかかる。
おいそれと行けないから、今回一週間の泊まり込みで稼ぐことにしたのだった。
これが仮に、1日で行ける場所であれば……そんなに長期間店を開ける必要もないだろう。
「なるほどな……しかしパーティメンバー全員を運ぶだけの力を持つとなると……」
「そうです! ベビーベヒモスとかどうですか?」
いや、無理だろ? なに言ってんのお前。
下位とはいえ、仮にもドラゴン種、逆に返り討ちにされるわ。
「それならグリフォンとか! その翼で、高速移動ができますよ!」
だからなんでそんな無理目なモンスターを選択するんだ?
Sランクパーティですら手古摺るんだぞ。オレ達でなんとか出来る奴にしてくれ。
「え~」
「え~言うな」
やっぱ定番は馬型なんだろうか?
「いや、馬はやめといたほうがいいよ、手間が掛かるからね。専属の人を雇うなら別だけど」
カシュアがそう言ってくる。
そういや前世でも、馬の飼育は難しいって言ってたような気もする。
定期的に蹄のメンテナンスをきちんとしないと駄目だし、エサ代も半端じゃない。というかここらで馬のエサなんて売ってない。草原に出そうものなら逆にモンスターの餌となる事必須。
最後に出すものの量が半端じゃないとも聞く。
「何々? 移動に適したモンスター? だったらおいちゃんにとっておきのお勧めがあるぞ」
そこへ、商品の仕入れが一段落したおやっさんが部屋に入ってくる。
そして一冊の本を持ち出し机においた。
「こいつだ。ダチョウ型のモンスターでビックフットって奴だ」
なるほど、ファンタジーには定番の乗り物、ダチョウ型モンスターですか。
「でもこんなのじゃ、一人分にしかならないじゃないですか?」
だったら数を増やせばいい。とおやっさんが言う。
「この国じゃ行商は危険なのであまり見かけないが、内地の国ではこのビックフットが大人気なんだ」
なんでも、体はさほど大きくないが足の力が半端じゃなく、少々重い物でも引いて走る事が可能だとか。
また、雑食で燃費が良く、非常に手間が掛からないモンスターとして人気があるとか。
商人を始めるにはまずこいつを一匹買って荷台を引かせ、あちこちに売りに回る。
金が溜まってきたら数を増やし、荷馬車のようなものを作りそれを引かせるんだと。
「別に全部をカードにしろって訳じゃない、最初の一匹以外は普通のモンスターでも問題ないだろう」
なるほど、カードにした一匹をボスとして群れを引かせると言う訳ですね。
さすがおやっさん、冴えていらっしゃる!
さっそく明日からビックフットを求めて冒険の旅に出発だ!
などと思っていたその日の深夜、ドンドンと店のドアを叩く音に目が覚める。
なんだろなって出て見るとそこには――――アポロを担いだサヤラとティニーが、血まみれで立っていた!
「どうしたお前達!」
「アポロが、アポロが……クィーズさん! どうか、アポロを助けてください!」
「お願いしますっ! アポロが死んだら……うちらは生きてる意味が無いッス!」
どうやら3人に付いてる血は全部アポロの物らしい。
そしてそのアポロは顔から血を流してぐったりとしていた。
「おやっさん! おやっさん! ちょっと来てください!」
『出でよ! ラピス・オブ・アイリスブラッド!』
オレはすかさずおやっさんを大声で呼び、ラピスを強制召喚する。
呼び出されたラピスはすぐに状況を把握し、アポロを担いで医務室へ走る。
「お坊ちゃまカシュアを呼び出してください」
「あ、ああ」
『出でよ! プリンセスナイト!』
「カシュア、回復魔法を!」
なるほど、カシュアはどう見たって聖属性。カシュアの回復魔法なら!
「え、ああ、分かった! よし、任せてくれたまえ! ……回復魔法ってどうやって使うの?」
使えないんかい!
ラピスは自分も回復魔法を唱えながら、カシュアにその方法を説明している。
「先生を連れて来たぞ、それとコレ、ありったけのポーションだ!」
おやっさんが近場の診療所から医者を連れて来てくれて、さらに店のポーションまで用意してくれた。
だが、その甲斐もなく、徐々に体温を失っていくアポロ。
「アポロッ、しっかりしてアポロ!」
「ぐすっ、アポロが死んじゃう……」
くそっ、なんとか出来ないのか!
オレのモンスターカードで……しかし、それにはアポロをアンデッドにする必要がある。
カシュアは偶々だったが、そんな事……
確かに、今までそんなに一緒に居なかった事はなかったからな。
しかも、パーティメンバーはオレ以外全員女性? ときた。
どうも気が気でなかったらしい。
なので先ほども、おっぱい議論に発展したようだ。
「確かその、魔都サンムーンだっけ? 片道だけでも3日かかるんでしょ?」
そうだな、行き帰りだけで一週間近くかかる。
おいそれと行けないから、今回一週間の泊まり込みで稼ぐことにしたのだった。
これが仮に、1日で行ける場所であれば……そんなに長期間店を開ける必要もないだろう。
「なるほどな……しかしパーティメンバー全員を運ぶだけの力を持つとなると……」
「そうです! ベビーベヒモスとかどうですか?」
いや、無理だろ? なに言ってんのお前。
下位とはいえ、仮にもドラゴン種、逆に返り討ちにされるわ。
「それならグリフォンとか! その翼で、高速移動ができますよ!」
だからなんでそんな無理目なモンスターを選択するんだ?
Sランクパーティですら手古摺るんだぞ。オレ達でなんとか出来る奴にしてくれ。
「え~」
「え~言うな」
やっぱ定番は馬型なんだろうか?
「いや、馬はやめといたほうがいいよ、手間が掛かるからね。専属の人を雇うなら別だけど」
カシュアがそう言ってくる。
そういや前世でも、馬の飼育は難しいって言ってたような気もする。
定期的に蹄のメンテナンスをきちんとしないと駄目だし、エサ代も半端じゃない。というかここらで馬のエサなんて売ってない。草原に出そうものなら逆にモンスターの餌となる事必須。
最後に出すものの量が半端じゃないとも聞く。
「何々? 移動に適したモンスター? だったらおいちゃんにとっておきのお勧めがあるぞ」
そこへ、商品の仕入れが一段落したおやっさんが部屋に入ってくる。
そして一冊の本を持ち出し机においた。
「こいつだ。ダチョウ型のモンスターでビックフットって奴だ」
なるほど、ファンタジーには定番の乗り物、ダチョウ型モンスターですか。
「でもこんなのじゃ、一人分にしかならないじゃないですか?」
だったら数を増やせばいい。とおやっさんが言う。
「この国じゃ行商は危険なのであまり見かけないが、内地の国ではこのビックフットが大人気なんだ」
なんでも、体はさほど大きくないが足の力が半端じゃなく、少々重い物でも引いて走る事が可能だとか。
また、雑食で燃費が良く、非常に手間が掛からないモンスターとして人気があるとか。
商人を始めるにはまずこいつを一匹買って荷台を引かせ、あちこちに売りに回る。
金が溜まってきたら数を増やし、荷馬車のようなものを作りそれを引かせるんだと。
「別に全部をカードにしろって訳じゃない、最初の一匹以外は普通のモンスターでも問題ないだろう」
なるほど、カードにした一匹をボスとして群れを引かせると言う訳ですね。
さすがおやっさん、冴えていらっしゃる!
さっそく明日からビックフットを求めて冒険の旅に出発だ!
などと思っていたその日の深夜、ドンドンと店のドアを叩く音に目が覚める。
なんだろなって出て見るとそこには――――アポロを担いだサヤラとティニーが、血まみれで立っていた!
「どうしたお前達!」
「アポロが、アポロが……クィーズさん! どうか、アポロを助けてください!」
「お願いしますっ! アポロが死んだら……うちらは生きてる意味が無いッス!」
どうやら3人に付いてる血は全部アポロの物らしい。
そしてそのアポロは顔から血を流してぐったりとしていた。
「おやっさん! おやっさん! ちょっと来てください!」
『出でよ! ラピス・オブ・アイリスブラッド!』
オレはすかさずおやっさんを大声で呼び、ラピスを強制召喚する。
呼び出されたラピスはすぐに状況を把握し、アポロを担いで医務室へ走る。
「お坊ちゃまカシュアを呼び出してください」
「あ、ああ」
『出でよ! プリンセスナイト!』
「カシュア、回復魔法を!」
なるほど、カシュアはどう見たって聖属性。カシュアの回復魔法なら!
「え、ああ、分かった! よし、任せてくれたまえ! ……回復魔法ってどうやって使うの?」
使えないんかい!
ラピスは自分も回復魔法を唱えながら、カシュアにその方法を説明している。
「先生を連れて来たぞ、それとコレ、ありったけのポーションだ!」
おやっさんが近場の診療所から医者を連れて来てくれて、さらに店のポーションまで用意してくれた。
だが、その甲斐もなく、徐々に体温を失っていくアポロ。
「アポロッ、しっかりしてアポロ!」
「ぐすっ、アポロが死んじゃう……」
くそっ、なんとか出来ないのか!
オレのモンスターカードで……しかし、それにはアポロをアンデッドにする必要がある。
カシュアは偶々だったが、そんな事……
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