『モンスターカード!』で、ゲットしてみたらエロいお姉さんになりました。

ぬこぬっくぬこ

文字の大きさ
51 / 279
第三章

レベル51 ☆

しおりを挟む
 えっ、いやあ、そのですね……姫様が勝手にですね……なんでも戦争が始まるそうでして……

「戦争と婚約と何の関係がある?」
「えーと実はオレ、その敵対している国の貴族だったんですよ」

 オレは、アポロ達にバレないかヒヤヒヤしながら語る。

「なるほどな、侵略後の国を治めるのにお前を利用しようとしている訳か……しっかし、戦う前から勝った気でいるのかその姫様」

 ええ、そりゃもう自信家なお方で。

「まあ、だったらそれほど難しく考えなくてもいいか。第一条件が他国の侵略なら現実味が無い上に、当分先の話になるだろう。その前においちゃんの娘と式を上げてしまえ」
「ウィッス!」
「でも姫様に、うちらの店が睨まれないッスかね?」

 む、それはまずいな。
 いっそのこと別の国で店を開きなおすとか?

「その姫様となんかあったのか?」

 なんかって? えっ、色恋沙汰? いや、ないッス。そんな雰囲気には一度もならなかったッス。

「じゃあ大丈夫だろ。そんなの別にクイーズじゃなくても代理はいくらでもいる」
「そうッスか。しかしこの時期に攻めて来るって言ったらやっぱあそこッスかね。で、クイーズさんは王様の代わりになれるぐらいの高位の貴族と。ん? なんか引っかかるような……」

 おっと、それ以上はまずい。
 ちょっとちょっとティニーさん、お話があるのであっちに行きましょう。

「ええっ、クイーズさんがあのバカな貴族の長男だってぇええ!」
「シッ、バカおめえ、声がでけぇえ!」
「モゴゴモモ・・」

 アポロとサヤラは両親が直接被害を被っているが、ティニーにおいては普通の使用人だったらしく、両親もいない孤児だったらしい。
 なので、まずはティニーにと打ち明けて見たのだが……

「領主様はうちにとって恩人ッスよ! 行く当ての無いうちを拾って雇ってくれた」
「正直すまんかったあ!」
「ちょっ、土下座なんてやめてくださいッス! クイーズさんほんとに貴族だったんスか?」

 またいつもの冗談でしょ? って言ってくる。
 誠に残念ながら本当の事だったりする。

「マジで?」
「マジマジ」
「いやでも貴族が土下座なんてしないっしょ。あいつら、たとえ自分が悪くっても、ふんぞり返っているッスよ」
「ほんとに冗談だったら良かったんだがなあ……」

 まあうちの主人はアポロ一人だし。
 領主様達からは奴隷同然に扱われていて、正直、ザマアと思わなかったこともない。
 なんて事を言っている。

 おまっ、さっきと言ってる事が違うぞ!

「それでもアポロの悲しい顔見るのはつらいッスよ」
「正直すまんかったあ!」
「だから土下座はやめて欲しいッス!」

 どどど、どうしよう。
 やっぱり、アポロとサヤラにも言ったほうがいいかな?

「いや、サヤラはともかくアポロには今は止めといたほうがいいッス」

 というか最後の最後でとんでもない爆弾落としてくれったッスね……と呟くティニー。

「これはさっきの修羅場どころじゃ済まないッスよ……クイーズさんは責任を持ってアポロを幸せにする義務があるッス」

 うっ、ごもっともで。
 と、なると、アポロにも一発逆転の目が残されて……とかブツブツ呟き始める。

「とりあえず今の所はうちだけの胸に秘めておくッス。あ、これリーダーは知って……るんでしょうね。今思えばそんな動きをしてたッス」

 ほら見ろラピス、怪しまれていたじゃないか!

「とにかく! クイーズさんは絶対アポロを幸せにする事! これだけは守ってもらうッスからね!」
「当然だ!」

 絶対ッスよ、と言って念を押しながらティニーは戻って行く。
 そこへ入れ替わりにラピスが入って来た。

「とうとう話しちゃったんですか」

 ああ、ティニーはどうやら勘が良さそうだからな。これ以上隠しておくのは無理だと判断した。
 サヤラはしっかりしているようでどこか抜けているし、アポロはあんな調子で向こう見ずだし、その分、ティニーがしっかりしている訳だ。
 まあ、ティニー以外はお嬢様育ちのようだから仕方ないといえば仕方ないが。

「さて、それでは今回の反省と今後の育成方法です」

 そう言ってカードを机に並べる。
 今のオレの手持ちのカードは……

『ラピス・オブ・アイリスブラッド』
 ☆7・レベル23
 スキル:超繁殖、カード統率
 備考:モンスターカード+1

『ドラゴンスレイヤー』
 ☆10・レベル6
 備考:竜種特効

『メタルスライム・スラミィ』
 ☆2・レベル14
 スキル:擬態

『プリンセスナイト・カシュア』
 ☆7・レベル11
 スキル:未来予見
 備考:天敵・オーク、アンデッド特効

『マンドラゴラ・ギター』
 ☆7・レベル4
 スキル:オート演奏

 となっている。
 尚、カシュアの10レベルのボーナスはラピスと同じく、ボーナスポイントが倍になっているだけだった。
 ギターが多少レベルが上がっているが、別にどっかのゲームのように、こいつを使って殴った訳じゃない。
 演奏していると自然にレベルが上がるようだ。

「やはり、圧倒的に使えるモンスターが少なすぎます」

 実質、戦闘可能なのはラピスとカシュアの二人きりだもんな。
 しかもラピスはともかく、カシュアはやっと物になってきたって所だし。

「5分の3がネタってどいう事でしょうかね?」

 スラミィまでネタ枠に入れてやるなよ。
 最近じゃ、単体でモンスターが狩れるようになったと言っていたぞ。
 というか、オレに言わせればスラミィ以外がネタじゃないかと思うんだが。

「早急に行わなければならないのは、カードの量産とカシュアのレベル上げですね」
「どうしてカシュアなんだ?」

 ラピスが言うには、カシュアは聖属性の魔法に適正が高く、回復魔法や解毒魔法を高いレベルで扱えるんだと。
 もっとレベルを上げればその効果も高くなり、今回の場合のような事態に陥っても対処が可能になるだろうと。

「私達にとってお坊ちゃまこそが生命線。いざという時、治療要員が居ると居ないでは大きく違います」

 となると、なんとかカシュアのレベルを20にしてカードの増産も狙うしかないか。
 だとすると、あそこに行くしかない訳で。
 結局あのダチョウもどき、あんま役にたたないんだよなあ。カードに戻す事が出来ないから、モンスターがウヨウヨ居る所には連れて行けない。

「大丈夫ですよ。きっとエクサリーも分かってくれます」
「お前の大丈夫は当てにならないからなあ……」
しおりを挟む
感想 23

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています

浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】 ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!? 激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。 目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。 もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。 セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。 戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。 けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。 「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの? これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、 ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。 ※小説家になろうにも掲載中です。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

最愛の番に殺された獣王妃

望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。 彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。 手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。 聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。 哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて―― 突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……? 「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」 謎の人物の言葉に、私が選択したのは――

のほほん異世界暮らし

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。 それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。

処理中です...