69 / 279
第四章
レベル69
しおりを挟む
「俺の事が信用できないですか?」
まあ勿論それもあるが。
カシュアだって、いい顔しないだろう。向こうは気づいていないかもしれないが、裏切った張本人だからなあ。
あれだけこっぴどく裏切られていればさすがのカシュアも……
「えっ、誰だっけ? ああ、そういえば居たね! すっかり忘れてたよ!」
……無駄でも知能を、もちっと上げといたほうが良かったか?
「どちらにしろ俺には選択肢がないんですがね。万が一あんたの身に何かあったら……俺だけじゃなく一族郎党の首が飛ぶ」
「いやまさかそんな事が」
「あの御仁は冗談は言わないからな」
……マジですか?
オレが言って……聞くかな? あいつ頑固だからなあ。
「それにカユサル様だけじゃなく、エルメラダス様にも念押しされたからな。あの人は普通に首を刎ねる」
ああ、確かにおっかなそうだしな。
しかし、うちには護衛といっても、結構な戦力を持っているぞ?
特に必要だとは思えないんだが。
「ならば俺の腕を試して頂きたい」
どうするラピス?
えっ、カシュアと戦わせて見る?
お前がやらないのか? えっ、めんどそうだからヤダ? お前……
「えっ、ボクがやるの? いやいやいや、思い出したよ彼! 純粋な剣の腕ならば、この国でも2番目に強いと言われている人だよ!」
そういや屋敷でもそう言ってたな。
と、いうことは、もう一人のカユサルが変装してたのが……一番な訳か、どうりで強いはずだ。
最初に穴に落ちなければ、ブラックドラゴンもなんとかしたかもしれない。
「大丈夫ですよカシュア、今のあなたなら、ちょっとやそっとの攻撃では傷一つ付けられません。使用するのは木刀ですしね」
ほら、お坊ちゃまにいいとこ見せるチャンスですよ。って囁いている。
いや別に、ソイツはオレの事はなんとも思ってないと思うぞ。
しかしカシュアはニヤリと笑う。あっ、これはなんか嫌がらせを思いついた顔だな。
「いいねそれは! なら勝者には、クイーズ君の熱いベーゼをお願いしようかな!」
おまっ、なんて事言うんだ! どっちが勝っても罰ゲームにしかならないだろうが!
「何を言うんだい? こんな美少女を捕まえて!」
「仮に向こうが勝ったら、オレはあのおっさんにチュウする事になるんだぞ!」
「だったらキミはボクが勝つように応援する事だね!」
お前が勝っても大してかわらんだろうが!
嫌だぞ、男にチュウなんてするとか。
おい、聞けよ! ちょっと聞けってば!
カシュアの奴はそんなオレを無視してスタスタと裏庭に向かう。鼻歌とか歌ってやがる。
だが、そんな上機嫌も戦闘が始まるまでの間だった。
「ちょっと! 聞いてないよぉおお!」
激しい攻撃に防戦一方のプリンセス。攻撃なんて一刀もさせてもらえない。
ラピス君、大丈夫だって言ったじゃない! って吼えている。
だから言ったろ、ラピスの大丈夫は大丈夫じゃないって。ん? カシュアには言ってなかったか?
「ちゃんと防げているじゃありませんか?」
「これは大丈夫とは言わないよ!」
「まさか俺の攻撃がここまで防がれるとは……」
まあ、中々頑張っているのは確かだ。
目にも止まらない速さの攻撃を、その巨大な盾を巧みに使って防いでいる。防御特化型にしただけの事はあるな。
「くっ、力で押してもビクとしない……スピードで隙を狙おうとも、隙がない。盾で視界が防がれているはずなんだが……」
対して城から派遣されて来たオレを護衛するという、名をボウリックという人物。
カシュアの堅牢な防御に驚愕している。
「確かに、このような女性が居れば、護衛など考えないか……」
「フッ、愚かな、奴は我々の中でも最弱。そんな奴にも勝てんとは底が知れて居る」
お前はどこの悪役四天王だよ?
そのラピスのセリフに思わず隙が出来るボウリック。
すかさず攻撃を加えるカシュア。しかしさすがは第二位、ギリギリで受け止める。
「はい、そこまでにしましょうか」
そこでラピスが手を叩きながら間に入る。
えっ、もう終わりなの? えっ、そんなにチュウがしたいんですか。だって?
ヤダヨ! よし終わりだ! 勝負は引き分け!
「え~」
「え~言うな」
お前はほんとにオレにチュウされたいのかよ?
なんなら今ココで本当にしてやろうか? ああん!?
ふとカシュアが横目で何かを見たかと思うと、
「うん、いいね! ぜひともしてもらいたいものだ! ほら! ここに! ぶちゅ~とお願いするよ!」
ウザッ。
カシュアが横目で見た先、そこには、お昼が一段楽したエクサリーさんが。
オレは顔を近づけてくるプリンセスを、アイアンクローで黙らせながらエクサリーに問いかける。
「今日の仕事は終わり? こっちもちょうど揉め事が片付いた所だから、一緒に休憩でもしようか」
「彼女は随分怒っているようだな。こんな所で戦闘を始めたのがまずかったのか?」
「いやあれ地顔」
「………………」
そこで絶句してやるなよ。またエクサリーが落ち込むだろ?
まあ勿論それもあるが。
カシュアだって、いい顔しないだろう。向こうは気づいていないかもしれないが、裏切った張本人だからなあ。
あれだけこっぴどく裏切られていればさすがのカシュアも……
「えっ、誰だっけ? ああ、そういえば居たね! すっかり忘れてたよ!」
……無駄でも知能を、もちっと上げといたほうが良かったか?
「どちらにしろ俺には選択肢がないんですがね。万が一あんたの身に何かあったら……俺だけじゃなく一族郎党の首が飛ぶ」
「いやまさかそんな事が」
「あの御仁は冗談は言わないからな」
……マジですか?
オレが言って……聞くかな? あいつ頑固だからなあ。
「それにカユサル様だけじゃなく、エルメラダス様にも念押しされたからな。あの人は普通に首を刎ねる」
ああ、確かにおっかなそうだしな。
しかし、うちには護衛といっても、結構な戦力を持っているぞ?
特に必要だとは思えないんだが。
「ならば俺の腕を試して頂きたい」
どうするラピス?
えっ、カシュアと戦わせて見る?
お前がやらないのか? えっ、めんどそうだからヤダ? お前……
「えっ、ボクがやるの? いやいやいや、思い出したよ彼! 純粋な剣の腕ならば、この国でも2番目に強いと言われている人だよ!」
そういや屋敷でもそう言ってたな。
と、いうことは、もう一人のカユサルが変装してたのが……一番な訳か、どうりで強いはずだ。
最初に穴に落ちなければ、ブラックドラゴンもなんとかしたかもしれない。
「大丈夫ですよカシュア、今のあなたなら、ちょっとやそっとの攻撃では傷一つ付けられません。使用するのは木刀ですしね」
ほら、お坊ちゃまにいいとこ見せるチャンスですよ。って囁いている。
いや別に、ソイツはオレの事はなんとも思ってないと思うぞ。
しかしカシュアはニヤリと笑う。あっ、これはなんか嫌がらせを思いついた顔だな。
「いいねそれは! なら勝者には、クイーズ君の熱いベーゼをお願いしようかな!」
おまっ、なんて事言うんだ! どっちが勝っても罰ゲームにしかならないだろうが!
「何を言うんだい? こんな美少女を捕まえて!」
「仮に向こうが勝ったら、オレはあのおっさんにチュウする事になるんだぞ!」
「だったらキミはボクが勝つように応援する事だね!」
お前が勝っても大してかわらんだろうが!
嫌だぞ、男にチュウなんてするとか。
おい、聞けよ! ちょっと聞けってば!
カシュアの奴はそんなオレを無視してスタスタと裏庭に向かう。鼻歌とか歌ってやがる。
だが、そんな上機嫌も戦闘が始まるまでの間だった。
「ちょっと! 聞いてないよぉおお!」
激しい攻撃に防戦一方のプリンセス。攻撃なんて一刀もさせてもらえない。
ラピス君、大丈夫だって言ったじゃない! って吼えている。
だから言ったろ、ラピスの大丈夫は大丈夫じゃないって。ん? カシュアには言ってなかったか?
「ちゃんと防げているじゃありませんか?」
「これは大丈夫とは言わないよ!」
「まさか俺の攻撃がここまで防がれるとは……」
まあ、中々頑張っているのは確かだ。
目にも止まらない速さの攻撃を、その巨大な盾を巧みに使って防いでいる。防御特化型にしただけの事はあるな。
「くっ、力で押してもビクとしない……スピードで隙を狙おうとも、隙がない。盾で視界が防がれているはずなんだが……」
対して城から派遣されて来たオレを護衛するという、名をボウリックという人物。
カシュアの堅牢な防御に驚愕している。
「確かに、このような女性が居れば、護衛など考えないか……」
「フッ、愚かな、奴は我々の中でも最弱。そんな奴にも勝てんとは底が知れて居る」
お前はどこの悪役四天王だよ?
そのラピスのセリフに思わず隙が出来るボウリック。
すかさず攻撃を加えるカシュア。しかしさすがは第二位、ギリギリで受け止める。
「はい、そこまでにしましょうか」
そこでラピスが手を叩きながら間に入る。
えっ、もう終わりなの? えっ、そんなにチュウがしたいんですか。だって?
ヤダヨ! よし終わりだ! 勝負は引き分け!
「え~」
「え~言うな」
お前はほんとにオレにチュウされたいのかよ?
なんなら今ココで本当にしてやろうか? ああん!?
ふとカシュアが横目で何かを見たかと思うと、
「うん、いいね! ぜひともしてもらいたいものだ! ほら! ここに! ぶちゅ~とお願いするよ!」
ウザッ。
カシュアが横目で見た先、そこには、お昼が一段楽したエクサリーさんが。
オレは顔を近づけてくるプリンセスを、アイアンクローで黙らせながらエクサリーに問いかける。
「今日の仕事は終わり? こっちもちょうど揉め事が片付いた所だから、一緒に休憩でもしようか」
「彼女は随分怒っているようだな。こんな所で戦闘を始めたのがまずかったのか?」
「いやあれ地顔」
「………………」
そこで絶句してやるなよ。またエクサリーが落ち込むだろ?
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています
浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】
ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!?
激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。
目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。
もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。
セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。
戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。
けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。
「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの?
これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、
ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。
※小説家になろうにも掲載中です。
辺境の最強魔導師 ~魔術大学を13歳で首席卒業した私が辺境に6年引きこもっていたら最強になってた~
日の丸
ファンタジー
ウィーラ大陸にある大国アクセリア帝国は大陸の約4割の国土を持つ大国である。
アクセリア帝国の帝都アクセリアにある魔術大学セルストーレ・・・・そこは魔術師を目指す誰もが憧れそして目指す大学・・・・その大学に13歳で首席をとるほどの天才がいた。
その天才がセレストーレを卒業する時から物語が始まる。
魔道具頼みの異世界でモブ転生したのだがチート魔法がハンパない!~できればスローライフを楽しみたいんだけど周りがほっといてくれません!~
トモモト ヨシユキ
ファンタジー
10才の誕生日に女神に与えられた本。
それは、最強の魔道具だった。
魔道具頼みの異世界で『魔法』を武器に成り上がっていく!
すべては、憧れのスローライフのために!
エブリスタにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる