『モンスターカード!』で、ゲットしてみたらエロいお姉さんになりました。

ぬこぬっくぬこ

文字の大きさ
162 / 279
第十章

レベル162 『モンスターカード!』で、ゲットしてみたら空気な感じになりました。

しおりを挟む
 やべえ……そうきたかぁ。
 一騎打ちだなんて言わなきゃ良かったかなあ。
 目の前のナイトスペクター、徹底的に防御に徹するようになって来た。
 その癖、こっちが休もうとしたら攻撃を加えてくる。

 向こうはアンデット、コッチは生身の人間。
 どうしても超えられない壁がある。
 スタミナ消費と言う持久戦。

 アンデットは何年でも何千年でも戦える、それに引き換え、こっちゃ5分も全力だしゃ息切れだ。
 こいつ、こんだけレベル差あって大人気なさすぎだろ?

「ふむ、遊ぶべき相手から、倒すべき相手にジョブチェンジしたんじゃなかろか」

 そんなジョブチェンジはした覚えが無い!

「光栄な事じゃぞ、そやつがそこまで慎重になるのは、わらわが知る限り二人目じゃろう」
「そんな光栄はいらねえよ!」

 うぉっ、あぶね、ナイトスペクターの剣がオレの胸元を掠める。

 鉱石Mの変形が鈍ってきた。
 こいつもスラミィみたいに自動で動いてくれればいいんだが、生憎、こっちが考えないと動かない。
 注意が散漫になると、どうしても防御が遅くなる。

 そしたらまっていたかのように怒涛の攻撃が始まる。
 目に見えない漸激があちこちから飛んでくる。
 ヤバイ! まったく見えねえ。

 互いに一撃必殺の攻撃力を秘めて居る場合、攻撃を受けている方は防御に徹するしかなく反撃の余地が無い。
 隙を見せたら一撃で終わる。
 攻撃は最大の防御っていうが、そのとおりな状況。

 敵の攻撃はまったく見えない。
 そして一撃一撃がとてつもなく重い。
 オレはドラスレを地面に突き立て重量軽減を解き、そこを支点として奴の攻撃を防ぐ。

 だが! それで剣を防いではいたが、左手の盾を忘れていた。

 その盾でオレを激しく打ちつける。
 しまった、シールドバッシュか!
 ドラスレから手が離れ、大きく後ろに弾き飛ばされる。

 まずいっ!

『モンスターカード!』

 咄嗟にオレはモンスターカードを取り出す。
 それと当時、ドカドカッと鉱石Mを背中から生やし、それ以上の後退を防ぐ。

「いけっ! モンスターカード!」

 そしてモンスターカードを宙に放り投げる。
 そこからまばゆい光がナイトスペクターに照射される。

「お坊ちゃま、早過ぎですよ!?」

 いいんだよ!
 なんたってこれは……ただの目くらましだからな!
 ただの目くらましに一枚消費するのはきついが背に腹は変えられない。

 だがそれが意外な効果を生む。
 その光に怯えるように盾で全身を守るナイトスペクター。
 完全に足が止まっている。

 そういえば、サンムーンのアンデット達もモンスターカードの光を恐れていたな。
 なるほどアンデット、強い光には苦手意識がある模様。

 やるなら今しかない!

 背中から突き立てた鉱石Mをそのまま伸ばす。
 そのスピードに一瞬グエッって息が詰まったが、さらにパワードスーツを全力にしてスピードを上げる。
 道中、地面に刺さっていたドラスレを抜き、そのまま奴の鎧の隙間に向かって思いっきり叩き突ける。
 グニャリと体が折れ曲がるナイトスペクター。

 頼むぜドラスレ! そのまま真っ二つだ!

 強い光に照らされたナイトスペクターは、そのまま姿をかき消すのであった。

「ナイトスペクター、ゲットだぜ!」

 空から落ちてきたモンスターカードをキャッチする。
 んっ? んんんっ……

 オレは目をゴシゴシとこする。
 そしてもう一度良くカードを覗き込む。
 ん? んんっ!?

 カードを空に透かしてみる。
 そしてもう一度よく見てみる。
 んっ? んんんっ……

「もんすたぁあ?」

 なんだこれ? …………真っ白じゃないか。

 手に取ったカード、何処をどうみても何も描かれていない、即ち、無地の白カード。

 えっ、なんで? 零体だから空気だとでも?
 いやそれでも、タイトルすらないのはおかしい。
 などと訝しんでいると、カードが徐々に空気に溶けるように消えていくではないか。

 これはもしかして……!

「ゲット失敗した!?」
「彼はこちらの切り札ですからね、申し訳ないが回収させてもらいましたよ」

 ふと見ると、魔術師の手に先ほどのナイトスペクターとそっくりの小さな人形が握られている。
 一騎打ちじゃなかったのかよ! 卑怯だぞ!

「あなた方には言われたくないですな」

 ごもっともで。

「いやはやまったく、今日は予想外の事が良く起こる。これは益々、貴方達を逃がすわけにはいきませんなあ」

 そう言って薄く笑う。

「たった一人で私達三人を相手出来るとでも?」
「確かに、このバルデスだけでは、どうしようもないでしょうな。しかし、私が一人だと、なぜ勘違いしているのか」

 そいつがそう言った瞬間、広間の扉が開いて無数のアンデットが流れ込んでくる。

「急な事で集めるのに時間がかかったようだが、なんとか間に合ったようですなあ」

 そう言って薄く笑う。
 ああ、そうかい。じゃあこっちも間に合ったようなんで使わせてもらうとするか!

『出でよ! プリンセスナイト・カシュア!』

「ファアア……、なんか良く寝たような気がするよ。おはよう、キミ!」
「おはよう、じゃねえ!」

 思わずその顔に蹴りを入れてしまった。
 えっ、折檻しない事にしたんじゃないかって?
 いや、顔をみたらつい。

 というかコイツ、絶対天然だろ。

「何をするんだね、痛いじゃないかい!?」
「とりあえず敵だ、アイツラを蹴散らせ」
「ふむ、良し!」

『ホーリーノ・・』

 ―――ゲシッ!

「やめんかバカ者! お前のソレの所為で洞窟が崩壊したんだぞ!」
「えっ、またまたぁ、ボクを担ごうとしていない?」

 覚えてないんか?
 とにかく使うなら威力を落とせ。
 オレはラピスにドラスレを渡す。

「お前とカシュアでなんとかなりそうか?」
「だいたい40から50レベルと言った所ですか、ちょうどいいレベル帯ですね。スーパースターの性能を試すのにもってこいです」

 代わりにと言ってステッキを差し出してくる。
 いやそれ役に立たないし。ん、欲しいのか?
 そのステッキをロゥリが欲しそうにしていたので渡す。

「良し、カシュア、ラピス、ロゥリ、奴等を殲滅せよ!」

 オレが手をつき出すと同時、三人が駆け出していく。

「フォォオオ……たった三人でどんどん敵が減っていくわ」

 敵でいいんですかね?
 やられてるの、元は部下だったんじゃないんですかね?

「わらわの部下は誰一人としておらんよ。まさしく裸の王様という奴じゃな、アッハッハ!」

 そこ笑うとこなの?
 ここに居た騎士達も王座を守るためだけに存在したもの、それ以外の者は皆、バルデスかねえ様に付いていったと言う。

「スキルも無い、戦闘も出来ん、そんなわらわなど、存在すら知らん者も多いんじゃないかなっ」

 まるで他人事のように答える小さな女王様。
 相変わらず、表情はよく変わるが、目だけは感情を映していない。
 表情が少しアンバランスな感じを与える。

「なんじゃ、わらわの顔になにかついとるかえ?」
「このままオレ達が勝ては、この死者の王国は無くなるだろう。王様としてそこんとこどうなの?」
「無くなると言うのならそれもまた定めじゃろ! ラストエンペラーとして胸を張って終わってやるわっ」

 そもそも、この死者の王国を作り上げた原初の理由は、わらわにあるのだからな。
 と、にこやかな表情を作り出すのであった。


――――――――――――――――――
――――――――――――――――――
所謂、ゲット失敗って奴です☆
しおりを挟む
感想 23

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

辺境の最強魔導師   ~魔術大学を13歳で首席卒業した私が辺境に6年引きこもっていたら最強になってた~

日の丸
ファンタジー
ウィーラ大陸にある大国アクセリア帝国は大陸の約4割の国土を持つ大国である。 アクセリア帝国の帝都アクセリアにある魔術大学セルストーレ・・・・そこは魔術師を目指す誰もが憧れそして目指す大学・・・・その大学に13歳で首席をとるほどの天才がいた。 その天才がセレストーレを卒業する時から物語が始まる。

魔道具頼みの異世界でモブ転生したのだがチート魔法がハンパない!~できればスローライフを楽しみたいんだけど周りがほっといてくれません!~

トモモト ヨシユキ
ファンタジー
10才の誕生日に女神に与えられた本。 それは、最強の魔道具だった。 魔道具頼みの異世界で『魔法』を武器に成り上がっていく! すべては、憧れのスローライフのために! エブリスタにも掲載しています。

中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています

浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】 ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!? 激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。 目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。 もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。 セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。 戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。 けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。 「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの? これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、 ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。 ※小説家になろうにも掲載中です。

処理中です...