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第十一章
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――ドタドタドタ、ギュム
「ぐえっ!」
夜中に何かに圧し掛かられて目が覚めた。
何やってんだお前等?
「あのクソドラゴンめ、よくもわらわをコケにしてくれたな! 目に物みせてくれるわっ!」
「ガウガウッ!」
なにやら、ロゥリとローゼマリアが随分興奮した表情で部屋の外へ出て行く。
暫くして幾つかの剣を抱えて戻ってきた。
確かアレは古代王国で眠っていた伝説の名剣シリーズのような。
「おいソレ、呪われているって言ってなかったか?」
「フンッ、わらわに呪いは通用せぬわっ!」
「ガウガウ!」
いやロゥリ、お前、剣を持ってる手の部分、なんか黒くなって来てるぞ。
「ガウッ!?」
つーかおめえ、そんな物無くても自前のドラスレがあるだろ。
えっ、ラピスが持って行った?
そういや最近、ラピスの姿を見かけないな……アイツ、どこで何やっているか知ってるか?
「ガウガウ、オマエニハ、イウナッテイッテタ」
ちょっとそれどういうことぉおお!?
何やってんのアイツ!
最大級に嫌な予感がするんだが……
「つ~かお前等、なんでオレの部屋の窓から出入りしているの?」
態々踏んで行こうとするな!
えっ、玄関が閉まってた? そりゃ夜中だしな。
誰か開けてくれなかったのか?
「何しておる、さっさと行くぞ! えっ、手が呪われた? お主、ホワイトドラゴンじゃろ、竜の姿になればそんなもの消えるわっ!」
ガヤガヤ言いながら、また窓から出て行く二人。
アイツラ、いったい何と戦っているんだ?
もう面倒事は勘弁してくださいよ?
◇◆◇◆◇◆◇◆
「どうしたカユサル、随分剣呑な目つきをして」
「あ、師匠、探したんですよ。最近店に行っても何時もいなくて」
ああ、最近ね。
なんかね、あのおっさんにね。
いつも、連れ出されているんだわ。
そのおっさん、今は子供たちに剣術を教えている。
あれからロゥリの奴が一度戻ってきて、暫く帰れないかも知れないので子供達を頼むって置いて行った。
ちゃんと親御さんには了解を取っているのだろうか?
「あの子供達に剣の指導をしている彼は、いったい何者ですか?」
「ん、ん~、ペンテグラムっていうんだけど……」
なんて説明したものか。
「師匠、最近、古代王国跡地へ向かいましたよね?」
「ん、ああ、そうだけど」
初代剣聖ペンテグラム……と小さく呟くカユサル。
えっ、あのおっさん、そんな凄い称号持っているの?
生前もあんなに強かった訳?
「歴代最強……という評価をしている本もあります」
「ええっ、でもあのおっさん、スキルゼロだぜ?」
剣聖ってほら、剣術とか豪腕とかのスキルを持っているほうが有利なんじゃね?
「技術、には上限があります」
全ての技術には上限がある。
剣術といえどもそれは例外ではない。
達人ともなれば、ほとんどの技術を擁している。
達人同士の戦いでは、先にミスをした方が負ける。と言われるほどだ。
剣術のスキルがあれば、達人となるまでの近道が可能だろう。
だがしかし、達人の頂点に立つことは敵わぬとも言われている。
スキルによって近道した分、その過程をしっかりと踏みしめてきた者とは土台が違うからだ。
事実、剣術スキルを持った剣聖は、存在しない。
「むしろ、戦闘とは一件関係なさそうなスキルが重宝されます。それこそカシュアの未来予見などその筆頭でしょう」
敵の動きが読めるのですからね。と言う。
だがおめえ、あれ、実はあんま役に立たないぞ。
相手の動きが読めるっていえば聞こえがいいが、相手が動かない場合、まったく役に立たない。
あくまで現状の未来予見な訳で、自分の行動によって変わる未来は予見出来ない。
「それは相手にスキルがバレているからでしょう」
まあ確かに。
バレてなければ、まったく動かないって事はないだろうしな。
「だからこそ人はスキルを隠すんですよ。スキルがなにかバレれば、逆にそれが欠点ともなる。過去の剣聖の中には鑑定系のスキル持ちがいるぐらいですから」
なるほど、相手が未来予見のスキルだと分かっていれば、自分から決して動かなければいい。
豪腕のスキルがあると知れていれば、その力を利用した技術を用いればいい。
どれだけ技術を磨くか、も大事だが、結局はその技術をどう使うか、って事の方が大事な訳だ。
「最終的にはコツコツ努力した者こそが頂点に立てるのですよ」
「なるほどなあ」
おめえ、いい事言うなあ。
えっ、ちょっとあのおっさんとやりあって見る?
やめとけ、きっと、いい事ないぞ。
「ふむ、音に関するスキルか」
数合、剣を合わせた後にそう言うペンテグラム。
カユサルの顔に冷や汗が滝のように流れている。
だからやめとけって言ったのに。
「ぐえっ!」
夜中に何かに圧し掛かられて目が覚めた。
何やってんだお前等?
「あのクソドラゴンめ、よくもわらわをコケにしてくれたな! 目に物みせてくれるわっ!」
「ガウガウッ!」
なにやら、ロゥリとローゼマリアが随分興奮した表情で部屋の外へ出て行く。
暫くして幾つかの剣を抱えて戻ってきた。
確かアレは古代王国で眠っていた伝説の名剣シリーズのような。
「おいソレ、呪われているって言ってなかったか?」
「フンッ、わらわに呪いは通用せぬわっ!」
「ガウガウ!」
いやロゥリ、お前、剣を持ってる手の部分、なんか黒くなって来てるぞ。
「ガウッ!?」
つーかおめえ、そんな物無くても自前のドラスレがあるだろ。
えっ、ラピスが持って行った?
そういや最近、ラピスの姿を見かけないな……アイツ、どこで何やっているか知ってるか?
「ガウガウ、オマエニハ、イウナッテイッテタ」
ちょっとそれどういうことぉおお!?
何やってんのアイツ!
最大級に嫌な予感がするんだが……
「つ~かお前等、なんでオレの部屋の窓から出入りしているの?」
態々踏んで行こうとするな!
えっ、玄関が閉まってた? そりゃ夜中だしな。
誰か開けてくれなかったのか?
「何しておる、さっさと行くぞ! えっ、手が呪われた? お主、ホワイトドラゴンじゃろ、竜の姿になればそんなもの消えるわっ!」
ガヤガヤ言いながら、また窓から出て行く二人。
アイツラ、いったい何と戦っているんだ?
もう面倒事は勘弁してくださいよ?
◇◆◇◆◇◆◇◆
「どうしたカユサル、随分剣呑な目つきをして」
「あ、師匠、探したんですよ。最近店に行っても何時もいなくて」
ああ、最近ね。
なんかね、あのおっさんにね。
いつも、連れ出されているんだわ。
そのおっさん、今は子供たちに剣術を教えている。
あれからロゥリの奴が一度戻ってきて、暫く帰れないかも知れないので子供達を頼むって置いて行った。
ちゃんと親御さんには了解を取っているのだろうか?
「あの子供達に剣の指導をしている彼は、いったい何者ですか?」
「ん、ん~、ペンテグラムっていうんだけど……」
なんて説明したものか。
「師匠、最近、古代王国跡地へ向かいましたよね?」
「ん、ああ、そうだけど」
初代剣聖ペンテグラム……と小さく呟くカユサル。
えっ、あのおっさん、そんな凄い称号持っているの?
生前もあんなに強かった訳?
「歴代最強……という評価をしている本もあります」
「ええっ、でもあのおっさん、スキルゼロだぜ?」
剣聖ってほら、剣術とか豪腕とかのスキルを持っているほうが有利なんじゃね?
「技術、には上限があります」
全ての技術には上限がある。
剣術といえどもそれは例外ではない。
達人ともなれば、ほとんどの技術を擁している。
達人同士の戦いでは、先にミスをした方が負ける。と言われるほどだ。
剣術のスキルがあれば、達人となるまでの近道が可能だろう。
だがしかし、達人の頂点に立つことは敵わぬとも言われている。
スキルによって近道した分、その過程をしっかりと踏みしめてきた者とは土台が違うからだ。
事実、剣術スキルを持った剣聖は、存在しない。
「むしろ、戦闘とは一件関係なさそうなスキルが重宝されます。それこそカシュアの未来予見などその筆頭でしょう」
敵の動きが読めるのですからね。と言う。
だがおめえ、あれ、実はあんま役に立たないぞ。
相手の動きが読めるっていえば聞こえがいいが、相手が動かない場合、まったく役に立たない。
あくまで現状の未来予見な訳で、自分の行動によって変わる未来は予見出来ない。
「それは相手にスキルがバレているからでしょう」
まあ確かに。
バレてなければ、まったく動かないって事はないだろうしな。
「だからこそ人はスキルを隠すんですよ。スキルがなにかバレれば、逆にそれが欠点ともなる。過去の剣聖の中には鑑定系のスキル持ちがいるぐらいですから」
なるほど、相手が未来予見のスキルだと分かっていれば、自分から決して動かなければいい。
豪腕のスキルがあると知れていれば、その力を利用した技術を用いればいい。
どれだけ技術を磨くか、も大事だが、結局はその技術をどう使うか、って事の方が大事な訳だ。
「最終的にはコツコツ努力した者こそが頂点に立てるのですよ」
「なるほどなあ」
おめえ、いい事言うなあ。
えっ、ちょっとあのおっさんとやりあって見る?
やめとけ、きっと、いい事ないぞ。
「ふむ、音に関するスキルか」
数合、剣を合わせた後にそう言うペンテグラム。
カユサルの顔に冷や汗が滝のように流れている。
だからやめとけって言ったのに。
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