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第十二章
レベル185 ヘルクヘンセン・ゼラトース家本宅
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「ぐぉおおお! なっ、なんだコレは!?」
「ちょっ、ちょっとホウオウちゃん!」
と、突如、巨大な炎の鳥がエクサリーの指輪から現れ、親父さんを急襲する。
『愛する二人を引き裂くってやつぁ、馬に蹴られて死んでろっていうのよ。馬は居ないから、とりあえず私に蹴られて死んどく?』
その巨大な炎の鳥は、机の向こうの椅子に座っていた親父さんを鋭いカギヅメのついた足で地面に押し倒す。
そんなホウオウをエクサリーが慌てて引っ張って止めている。
うん、燃え移らないの知っているけど、躊躇せずによくその炎に手をだせるなあ。
などと感心している場合ではない。
『戻れ! エンゲージリング!』
オレがそう言うと、その炎の鳥はスゥと姿を消す。
「い、今のは一体……」
「竜王ホウオウ、名前ぐらいは聞いた事があるんじゃないですか?」
「ま、まさか……ヤマト大国でホウオウが討ち取られたとは聞いたが……本当の事だったのか!?」
「そして彼女は、その竜王ホウオウの主でもある」
それを聞いて親父さんは驚いた表情でエクサリーを見やる。
エクサリーはそんな親父さんの視線を緊張した面持ちで受け止める。
ちょっとエクサリーさん、緊張してるのは分かるんですが……その……ちょっと、目つきをなんとかしたほうが……
「フッ、なるほどな、お前が選んだ人物だ、普通ではないという事か」
なにやら、そんなエクサリーをみて勘違いを発動させている模様。
えっ、なになに? 人並外れたその迫力、きっと古代王国の末裔かなにかなのだろう。だって?
あっ、エクサリーさんがちょっと落ち込んだ。
いやまあ、そうなんですよ。
結婚して以降、どんどん綺麗になっていくエクサリー。
そりゃもう化粧も必要ないぐらい、美しさが増している。
ただまあ、なんというかまあ、美人は美人なんだが……キッと釣りあがった鋭い目つき、ツンと伸びる鼻筋、ギュッと引き締まった唇。そう、恐ろしく『迫力』がある美人って感じで……
子供の頃とはまた違った意味で、近寄りがたい雰囲気を醸し出している。
まあ、勘違いしてくれる分にはいいんだけど。
面談が終わった後、しきりに目元を押さえているエクサリー。
随分気にされた模様。
「クイーズはいつも美人だってお世辞を言ってくれるけど、やっぱり怖いんだよね……」
「あっ、いやっ、そのっ、び、美人にも色々とありまして……」
「お兄さまぁああ!」
「ゲファアア!」
そんなエクサリーの機嫌を取っていたオレに、一人の少年がアタックして来た。
「やっと帰って来たんですねお兄様! もうどこにも行ったりしませんよねお兄様!」
うん、なんか怖いよ君。
目にハイライトが見受けられないのだが……
いったい何が?
その凸ってきた少年はオレの弟、これまた6年ぶりの再会でござる。
なんでも、お付のメイドさんの話では、すっかり人間不信に陥っている模様。
あれだけ自慢の息子だと豪語していたお兄様をあっさり切り捨てるお父様。
古くからの馴染みの友人達を次々と蹴落としていく、恐ろしい貴族達。
ゼラトース家の家督を継ぐとなった時に擦り寄ってきた人達、でもお兄様が戻って来たとたん、手のひらを返すように去っていく。
そりゃもう、すっかり人間不信になる訳ですわ。
「お兄様だけはボクを裏切ったりしませんよね?」
死んだ魚のような目で縋り付いてくる。
うん、ついこないだ、完全に縁を切ろうと思った事は絶対に言えないな。
「クイーズの弟さん?」
エクサリーが弟君を覗き込むように見やる。
すると弟、ヒィッって悲鳴を上げながらオレの背後に隠れる。
あっ、いやっ、別にエクサリーが怖くて悲鳴を上げたんじゃないよ? 急にほら、知らない人がいたからダヨネ?
だからそんなに落ち込まないで下さい。
「そ、その、恐ろしくアレな人がお兄様の奥方なのですか?」
「おいっ、言い方!」
「うん、大丈夫だから、うん、分かっているから、うん、ダイジョウブダヨネ?」
なんだかちょっとエクサリーさんが壊れかけている。
「そ、そんな事より、母上は何処に居るか知っているか?」
「母上なら、お客人と一緒にお茶会をなされているようですが?」
ふむ……今日はエクサリーを紹介するって言ってたはずなんだが……
やはりお袋さんにも反対されているのだろうか?
実は、あんまりお袋さんとは話した事がないんだよなあ。
偉い貴族の長男は、生まれてすぐ、その筋のプロである乳母に預けられる。
そして物心付く頃には様々な分野の家庭教師が宛てられ、勉強づくし。
ましてやモンスターが居るこの世界、最低限の護身のための武術も教え込まれる。
誰だよ、貴族は遊んで暮らせるって思ってた奴!
いやまあ、場所によっては甘いところもあるが……うちの親父さんは家格がモットーの偏屈親父。
そりゃもう厳しかったわけですよ。
弟も生まれた事もあり、お袋さんはそっちへつきっきり。
オレの事を全然世話出来なかった負い目があるのか、弟だけは自分で育てたいと直訴されたそうな。
当時は、親父さんもオレへの期待が大きく、あまり弟を重要視してなかったのか、好きにさせていたそうだ。
ん? そのお茶会に連れてくるように言われている?
なにやら隣のメイドさんが、手が空いたらオレをその場所へ誘導するように言われているらしい。
なんだろう、嫌な予感がして来た……
「ちょっ、ちょっとホウオウちゃん!」
と、突如、巨大な炎の鳥がエクサリーの指輪から現れ、親父さんを急襲する。
『愛する二人を引き裂くってやつぁ、馬に蹴られて死んでろっていうのよ。馬は居ないから、とりあえず私に蹴られて死んどく?』
その巨大な炎の鳥は、机の向こうの椅子に座っていた親父さんを鋭いカギヅメのついた足で地面に押し倒す。
そんなホウオウをエクサリーが慌てて引っ張って止めている。
うん、燃え移らないの知っているけど、躊躇せずによくその炎に手をだせるなあ。
などと感心している場合ではない。
『戻れ! エンゲージリング!』
オレがそう言うと、その炎の鳥はスゥと姿を消す。
「い、今のは一体……」
「竜王ホウオウ、名前ぐらいは聞いた事があるんじゃないですか?」
「ま、まさか……ヤマト大国でホウオウが討ち取られたとは聞いたが……本当の事だったのか!?」
「そして彼女は、その竜王ホウオウの主でもある」
それを聞いて親父さんは驚いた表情でエクサリーを見やる。
エクサリーはそんな親父さんの視線を緊張した面持ちで受け止める。
ちょっとエクサリーさん、緊張してるのは分かるんですが……その……ちょっと、目つきをなんとかしたほうが……
「フッ、なるほどな、お前が選んだ人物だ、普通ではないという事か」
なにやら、そんなエクサリーをみて勘違いを発動させている模様。
えっ、なになに? 人並外れたその迫力、きっと古代王国の末裔かなにかなのだろう。だって?
あっ、エクサリーさんがちょっと落ち込んだ。
いやまあ、そうなんですよ。
結婚して以降、どんどん綺麗になっていくエクサリー。
そりゃもう化粧も必要ないぐらい、美しさが増している。
ただまあ、なんというかまあ、美人は美人なんだが……キッと釣りあがった鋭い目つき、ツンと伸びる鼻筋、ギュッと引き締まった唇。そう、恐ろしく『迫力』がある美人って感じで……
子供の頃とはまた違った意味で、近寄りがたい雰囲気を醸し出している。
まあ、勘違いしてくれる分にはいいんだけど。
面談が終わった後、しきりに目元を押さえているエクサリー。
随分気にされた模様。
「クイーズはいつも美人だってお世辞を言ってくれるけど、やっぱり怖いんだよね……」
「あっ、いやっ、そのっ、び、美人にも色々とありまして……」
「お兄さまぁああ!」
「ゲファアア!」
そんなエクサリーの機嫌を取っていたオレに、一人の少年がアタックして来た。
「やっと帰って来たんですねお兄様! もうどこにも行ったりしませんよねお兄様!」
うん、なんか怖いよ君。
目にハイライトが見受けられないのだが……
いったい何が?
その凸ってきた少年はオレの弟、これまた6年ぶりの再会でござる。
なんでも、お付のメイドさんの話では、すっかり人間不信に陥っている模様。
あれだけ自慢の息子だと豪語していたお兄様をあっさり切り捨てるお父様。
古くからの馴染みの友人達を次々と蹴落としていく、恐ろしい貴族達。
ゼラトース家の家督を継ぐとなった時に擦り寄ってきた人達、でもお兄様が戻って来たとたん、手のひらを返すように去っていく。
そりゃもう、すっかり人間不信になる訳ですわ。
「お兄様だけはボクを裏切ったりしませんよね?」
死んだ魚のような目で縋り付いてくる。
うん、ついこないだ、完全に縁を切ろうと思った事は絶対に言えないな。
「クイーズの弟さん?」
エクサリーが弟君を覗き込むように見やる。
すると弟、ヒィッって悲鳴を上げながらオレの背後に隠れる。
あっ、いやっ、別にエクサリーが怖くて悲鳴を上げたんじゃないよ? 急にほら、知らない人がいたからダヨネ?
だからそんなに落ち込まないで下さい。
「そ、その、恐ろしくアレな人がお兄様の奥方なのですか?」
「おいっ、言い方!」
「うん、大丈夫だから、うん、分かっているから、うん、ダイジョウブダヨネ?」
なんだかちょっとエクサリーさんが壊れかけている。
「そ、そんな事より、母上は何処に居るか知っているか?」
「母上なら、お客人と一緒にお茶会をなされているようですが?」
ふむ……今日はエクサリーを紹介するって言ってたはずなんだが……
やはりお袋さんにも反対されているのだろうか?
実は、あんまりお袋さんとは話した事がないんだよなあ。
偉い貴族の長男は、生まれてすぐ、その筋のプロである乳母に預けられる。
そして物心付く頃には様々な分野の家庭教師が宛てられ、勉強づくし。
ましてやモンスターが居るこの世界、最低限の護身のための武術も教え込まれる。
誰だよ、貴族は遊んで暮らせるって思ってた奴!
いやまあ、場所によっては甘いところもあるが……うちの親父さんは家格がモットーの偏屈親父。
そりゃもう厳しかったわけですよ。
弟も生まれた事もあり、お袋さんはそっちへつきっきり。
オレの事を全然世話出来なかった負い目があるのか、弟だけは自分で育てたいと直訴されたそうな。
当時は、親父さんもオレへの期待が大きく、あまり弟を重要視してなかったのか、好きにさせていたそうだ。
ん? そのお茶会に連れてくるように言われている?
なにやら隣のメイドさんが、手が空いたらオレをその場所へ誘導するように言われているらしい。
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