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第十二章
レベル188 ギターちゃん誕生!
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オレは一心不乱にギターを掻き鳴らしている。
体が、ギターが、心が、全てが一つの音になったような感覚。
そんな音が世界に溶け込んで行く、世界の果てまで音で埋め尽くされた世界。
…………ところでオレは、いったい何時まで弾き続けていなければならないんだ?
あれは、オレがおやっさんの店に行った時の事だった。
「これにサインをするだけでいいんですよ!? それだけでフォートレース商会はあなたの手に戻ってきます!」
「いやだからね、俺はもうそっちに戻る気はね、」
「ご心配には及びません、経営はすべてこのユンが行いますので、あなたは唯、座っているだけでいいのです!」
なにやら、おやっさんとこないだの眼鏡のユンさんがもめていらっしゃる。
どうやら、おじいさんの商会をおやっさんが継ぐかどうかで議論しているご様子。
おやっさんとしては、一度逃げ出した身、今更戻る気はないそうだ。
「上の者がそんなんじゃ、店の者に示しがつかねえ。エクサリーが継ぐかどうかも正直分からん」
「しかし会長は……」
「親父がどう思っているかはともかく、俺としては、ここまで商会を引っ張ってきたおめえが継ぐのが一番だと思っている」
そんなおやっさんの言葉に感動した面持ちでユンさんは言葉を続ける。
「ならばなおの事、この書類にサインをお願いしたいのです!」
「何をそんなにこだわって……ん、なんか2枚目、用紙の質が違うような」
3枚複写になっているその契約書、なにやら2枚目だけが用紙の色が違う。
「あっ、それ開いちゃダメです!」
「……おい、何だコレ?」
その2枚目の用紙のタイトル『婚姻届』となっていた。
気まずそうに視線をそらすユンさん。
小さな声で、約束は約束ですから。と呟いている。
まだ諦めていなかったご様子。
そうだおやっさん、もうエクサリーも独り立ちされたことだし、ここは一つ、再婚でも考えられては。
「君! いい事言うね!」
「おめえ、他人事だと思って……」
案外いい案かもしれない。
おやっさんとユンさんが結婚すれば、商会だって家族経営に戻る。
二人に子供が出来たら、エクサリーが無理に継ぐ必要も無い。
ちょっとラピスに、ハッパでも掛けてもらえるよう相談して見るか。
「ラピスに頼むのだけは止めてね?」
「そんな事よりおやっさん、ちょっとライブスタジオの防音室貸してもらいたいんだけど」
「そんな事で流すなよ? ほんとにラピスだけは勘弁してくれよ?」
もうすぐエクサリーさんの18歳の誕生日!
結婚して始めての誕生日!
サプライズとかあってもいいと思わないか!
そういうことで、ちょいとラブソングの練習をしようとやってきたところだ。
「楽器ですか……そういえば最近の聖皇都は、音の都って呼ばれているようですね」
オレが店の前で、ミュージックプレイヤーを常駐させて音楽を流し続けていたのが好評だったのか、それを真似て店の入り口で音楽を流す店が増えてきたのだ。
少し街を歩けば、どこからでも音楽が聞こえてくる。
店主によって流す音楽も様々で、それだけでも店の特徴が窺い知れる。
そして街に音楽が流れれば、それに興味を持つ人も増える。
楽器の売り上げもここの所、右肩上がりである!
新婚さんなのにあまり一緒にいられないぐらい……
カフェなんて併設するから夜まで忙しい。
二人の時間がなかなかとれないんだよ! っとまあ、ここで愚痴っても仕方ない。このラブソングを捧げて、そのままエクサリーさんとしっぽりするんだ!
「今じゃ、音楽の無い場所を探すのが大変なぐらい街には歌が溢れている。他所から来た人達がソレ見て、音の都って言ってるようだね」
「聖皇都ならではの売れ筋でしょうか」
「いや、ちゃんと種まきもやったよ?」
今後、私の商会でも楽器を扱いたいので卸して頂きませんか。と言ってくる。
さすがは商売人、鼻が効くな!
よし、任せておいてくれ!
と、良い商売を成立させたあと防音室に向かった訳だが。
暫く練習していると一枚のカードが浮かび上がってくる。
そして手の中のギターが光に包まれた。
どうやらギターのレベルが20に達した模様。
ふむふむ、おっ、定番の擬態が生えた。
という事は、こいつも擬人化するのかな?
マンドラゴラは元々無機物じゃないので、鉱石Mみたい自分から変形出来ないとはならないはず。実際、光っているし。
徐々に光のシルエットが人型を形どって行く。
最後に光が弾け飛んだかと思うと、そこには、アイドルっぽい衣装を来た一人の少女が立っていた。
見た目は、中高生ぐらい? ただ、擬態に+がついていないので、背丈がギターサイズの小人のような感じ。
ん、カードを良く見ると……
『マンドラゴラ・ギター』
☆7・レベル20
スキル:オート演奏、擬態
備考:モンスターカード+1、音の世界
なにやら備考欄に、音の世界とか書かれている。
なんだろうと思っていたら、その少女がオレに抱き付いて来て耳元でなにやら囁く。
その瞬間、オレの視界から全ての物が消えうせるのであった。
体が、ギターが、心が、全てが一つの音になったような感覚。
そんな音が世界に溶け込んで行く、世界の果てまで音で埋め尽くされた世界。
…………ところでオレは、いったい何時まで弾き続けていなければならないんだ?
あれは、オレがおやっさんの店に行った時の事だった。
「これにサインをするだけでいいんですよ!? それだけでフォートレース商会はあなたの手に戻ってきます!」
「いやだからね、俺はもうそっちに戻る気はね、」
「ご心配には及びません、経営はすべてこのユンが行いますので、あなたは唯、座っているだけでいいのです!」
なにやら、おやっさんとこないだの眼鏡のユンさんがもめていらっしゃる。
どうやら、おじいさんの商会をおやっさんが継ぐかどうかで議論しているご様子。
おやっさんとしては、一度逃げ出した身、今更戻る気はないそうだ。
「上の者がそんなんじゃ、店の者に示しがつかねえ。エクサリーが継ぐかどうかも正直分からん」
「しかし会長は……」
「親父がどう思っているかはともかく、俺としては、ここまで商会を引っ張ってきたおめえが継ぐのが一番だと思っている」
そんなおやっさんの言葉に感動した面持ちでユンさんは言葉を続ける。
「ならばなおの事、この書類にサインをお願いしたいのです!」
「何をそんなにこだわって……ん、なんか2枚目、用紙の質が違うような」
3枚複写になっているその契約書、なにやら2枚目だけが用紙の色が違う。
「あっ、それ開いちゃダメです!」
「……おい、何だコレ?」
その2枚目の用紙のタイトル『婚姻届』となっていた。
気まずそうに視線をそらすユンさん。
小さな声で、約束は約束ですから。と呟いている。
まだ諦めていなかったご様子。
そうだおやっさん、もうエクサリーも独り立ちされたことだし、ここは一つ、再婚でも考えられては。
「君! いい事言うね!」
「おめえ、他人事だと思って……」
案外いい案かもしれない。
おやっさんとユンさんが結婚すれば、商会だって家族経営に戻る。
二人に子供が出来たら、エクサリーが無理に継ぐ必要も無い。
ちょっとラピスに、ハッパでも掛けてもらえるよう相談して見るか。
「ラピスに頼むのだけは止めてね?」
「そんな事よりおやっさん、ちょっとライブスタジオの防音室貸してもらいたいんだけど」
「そんな事で流すなよ? ほんとにラピスだけは勘弁してくれよ?」
もうすぐエクサリーさんの18歳の誕生日!
結婚して始めての誕生日!
サプライズとかあってもいいと思わないか!
そういうことで、ちょいとラブソングの練習をしようとやってきたところだ。
「楽器ですか……そういえば最近の聖皇都は、音の都って呼ばれているようですね」
オレが店の前で、ミュージックプレイヤーを常駐させて音楽を流し続けていたのが好評だったのか、それを真似て店の入り口で音楽を流す店が増えてきたのだ。
少し街を歩けば、どこからでも音楽が聞こえてくる。
店主によって流す音楽も様々で、それだけでも店の特徴が窺い知れる。
そして街に音楽が流れれば、それに興味を持つ人も増える。
楽器の売り上げもここの所、右肩上がりである!
新婚さんなのにあまり一緒にいられないぐらい……
カフェなんて併設するから夜まで忙しい。
二人の時間がなかなかとれないんだよ! っとまあ、ここで愚痴っても仕方ない。このラブソングを捧げて、そのままエクサリーさんとしっぽりするんだ!
「今じゃ、音楽の無い場所を探すのが大変なぐらい街には歌が溢れている。他所から来た人達がソレ見て、音の都って言ってるようだね」
「聖皇都ならではの売れ筋でしょうか」
「いや、ちゃんと種まきもやったよ?」
今後、私の商会でも楽器を扱いたいので卸して頂きませんか。と言ってくる。
さすがは商売人、鼻が効くな!
よし、任せておいてくれ!
と、良い商売を成立させたあと防音室に向かった訳だが。
暫く練習していると一枚のカードが浮かび上がってくる。
そして手の中のギターが光に包まれた。
どうやらギターのレベルが20に達した模様。
ふむふむ、おっ、定番の擬態が生えた。
という事は、こいつも擬人化するのかな?
マンドラゴラは元々無機物じゃないので、鉱石Mみたい自分から変形出来ないとはならないはず。実際、光っているし。
徐々に光のシルエットが人型を形どって行く。
最後に光が弾け飛んだかと思うと、そこには、アイドルっぽい衣装を来た一人の少女が立っていた。
見た目は、中高生ぐらい? ただ、擬態に+がついていないので、背丈がギターサイズの小人のような感じ。
ん、カードを良く見ると……
『マンドラゴラ・ギター』
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スキル:オート演奏、擬態
備考:モンスターカード+1、音の世界
なにやら備考欄に、音の世界とか書かれている。
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