『モンスターカード!』で、ゲットしてみたらエロいお姉さんになりました。

ぬこぬっくぬこ

文字の大きさ
213 / 279
第十三章

レベル213

しおりを挟む
「という事は、お坊ちゃまは全面無罪を主張なさる訳ですよね」
「そもそもオレと姫様がそんな事をしていたなら、絶対誰かが気づくだろう」
「何を言う、それらしい事をしたではないか」

 えっ、いつ?
 まさかオレの知らないうちに……

「あの瓶には幼少のおり私が口をつけたもの、それにクイーズも口をつけたわけだ」
「……姫様、それ本気で言ってます?」

 間接キッスじゃ子供は出来ませんよ。というカイザー。
 何を言っている、現に出来たではないか! などと反論する姫様。
 ……そうッスね。ちょっとカイザーさんもっと粘って!

 いったい王家の性教育はどうなっているのだろうか?

「まあ姉貴は、そっち方面はからっきしだったからな」

 慌ててすっ飛んできたカユサルがそう答えてくれる。
 なあカユサル、どうしたらいいと思う。
 この子は無機物から人になった訳だ、解放する訳にはいかない。

 となると、責任をとらなければならないのだろうか?

「その必要はありませんよ、この子は俺がソーサーと一緒に育てます。ソーサーも歳の近い兄弟がいたほうが……」
「何を言うカユサル、この子は私が育てるぞ」
「ハッ、そんなの出来る訳ないだろ。次期女王ともあろう者が婚前前に子供が出来るなんてとんでもない不祥事。ピクサスレーンは国を上げて師匠と戦争をするハメになる」

 姫様はそんなカユサルに向かって決意を込めた表情で答える。

「この子の父親が誰であるか、言わなければ誰にも分からぬ」
「それでも、噂が上がれば……」
「カユサル、私はな、立場があり、クイーズよりも国を優先する、そう言ったのだ」

 だが、この子を我が手に抱いた時、そんな想いは吹き飛んでしまった。と呟く。

「この子の為ならば、何が相手であろうとも戦って見せる! 例えそれが、国であろうとも、だ!」
「…………チッ、姉貴がそういう顔をしたら何を言っても無駄か。仕方ない、俺も協力してやるよ」
「カユサル、お前……」

 え~と、オレはどうしたらいいのでしょうか?

「ガウガウ、クイーズ、カッコワルイ」

 お前居たのか?
 そんな事言われても、急に子供が出来て、しかも奥さんじゃない相手の。
 もうどうしていいか分からないよ。

 隣でアポロさんが生命の雫、生命の雫ってブツブツ呟いているのも怖い。

「とりあえず、クイーズが、その……そんな事した訳じゃないんだよね?」

 それだけは誓って。オレはエクサリー以外とはそんな事をするつもりはない!

「本当に……?」
「本当だ!」

 エクサリーは神妙な顔をして、うん、分かった。と呟く。
 分かってくれてなによりです。
 オレも少し肩の荷が降りた気がする。

 結局、暫くの間、対面上はカユサルの子ということにして、折を見て発表する事に決めたようだ。
 別に姉ならば、弟の子を育てていてもなんの問題もない。と言うが、本当なのだろうか?
 うちは母親が、母親らしいことをさせてもらえなかったんだが、うちだけ特別だったのだろうか?

「とにかくこの子は私が育てる、以上だ!」

 そう言って話を打ち切る姫様。
 カユサルが頭を抱えているが、ここは頑張ってもらうしかない。
 次はほら、セレナーデさんのカードが増えたら、好きに使わして上げるから。

「本当ですか師匠!」
「いいよなラピス?」
「そうですね、クリスタルカードは……通常カードと交換でどうでしょうか?」

 こだわるなお前。
 さては、まだエンペラーに未練があるな?
 もうやめとけよ、アレは絶対、地雷ルートだから。

 結局交渉の末、クリスタルカードはこちらに貰う、その代わりと言っては何だが、今持っているカードの内一枚を提供するという事になった。

「さっそくアイリスブラッドのマンドラゴラを探さねば」

 などと呟いている。
 ローゼマリアと同じような事を言ってるな。
 まあ、ほどほどに頑張れ。

 ほどほどだぞ?

 その夜の事だった。

「じゃあ、ホウオウちゃんとギターちゃん、お願いね」
『うん、任せといて! ほら行くわよ』
「ううう……」

 なにやら不服そうな顔をしたギターちゃんが炎の小鳥に引き摺られていく。
 その二人を見送ったエクサリーさんが、モジモジしながら問いかけてくる。

「ねえクイーズ、その、やっぱり、……子供欲しい?」

 えっ、そりゃもう! エクサリーとなら何人でも!

「だったら、その……スル?」

 そんな上目遣いのエクサリーにズキューン! と、ハートを射すくめられる!
 フラフラとエクサリーに近寄って行くオレ。
 真っ赤な顔でそんなオレを受け止めてくれるエクサリー。

 やっぱり来たなバカウサギ! ここは通しゃしないわよ! アチョー、イダッ!
 フッフッフ、今日はエクサリーに正式にあんたへの妨害を認めて貰ってるんだからね! 手加減はしないわよ! イダッ、イダダッ! なんであんた実体の無い私に触れられるの!?
 あなた達の方こそ扉に耳を引っ付けてなにやってるんですか。さすがに私も空気を読みますよ。今日は誰にも邪魔をしないように言ってますので、ほら、あなた達も行きますよ。

 えっ、そんなぁ~。などといった声が扉の向こうから聞こえる。

 ちょっと、外が煩いが気にしていられない。

「顔、あんまり見ないで欲しい。こんな時まで怖がられたくないから……」
「見ない訳にはいかない、だってこれが、オレが惚れた女の顔なんだから」
「クイーズ……」

 エクサリーは泣き笑いのような笑顔を浮かべる。

「できればクイーズ似の子供が良いな……」
「オレはエクサリー似の方が良い」

 そう言って二人笑いあう。
 そんなささやかな夜が、ゆっくりと過ぎて行くのだった。
しおりを挟む
感想 23

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています

浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】 ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!? 激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。 目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。 もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。 セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。 戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。 けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。 「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの? これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、 ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。 ※小説家になろうにも掲載中です。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

最愛の番に殺された獣王妃

望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。 彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。 手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。 聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。 哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて―― 突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……? 「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」 謎の人物の言葉に、私が選択したのは――

のほほん異世界暮らし

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。 それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。

処理中です...