『モンスターカード!』で、ゲットしてみたらエロいお姉さんになりました。

ぬこぬっくぬこ

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第十四章

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「我等の海神様を返して欲しい! それが出来なければそちらの白竜を引き渡せ!」

 こないだロゥリが獲ってきた、どでかい鯛だが、とある国が、それはうちの守り神として祭っていたものだ。
 今すぐ返せ。
 返せないならロゥリを引き渡せと言ってきた。

「本当なのかラピス?」
「言いがかりでしょうね……少し調べてみましょうか」

 パンパンとラピスが手を打つと、音も立てずにグリフォンドールの一体が現れる。
 どうしたんだそのグリフォンドール?
 えっ、アンダーハイトの山神と契約して雇った?

 ラピスが一言二言伝えると姿を消すそのグリフォンドール。

 すっかり悪代官役が板についてるなお前。

「ところでロゥリはどうしている?」
「もうすぐ帰ってきますよ」

 暫くして戻ってきたロゥリ、こないだと同じような巨大な鯛を獲って来ていた。

「ガウガウ、モッテキタゾ」
「とりあえず今日のところは、これで引き取ってもらいますか」
「まあ確かに見た目は同じだしな。というかコレ、持って帰れるのか?」

 はい海神様、と言って鯛を渡すと飛び上がって驚く使者の人。
 まさか生きているは思っていなかったらしく凄く動揺されている。
 今のうちにと思って、エフィールさんの時空魔法でお帰り願った。

 翌日の事、

「我等の海神様に傷がついていた! これは由々しき事態だ、保障としてそちらの白竜を引き渡せ!」

 などと言ってきた。
 仕方ないのでカシュアを連れて行って回復魔法で治療してやった。
 またその翌日の事、

「我等の海神様が死んだ! きっとこれはそちらの魔法の所為だ、謝罪と賠償を合わせ白竜を引き渡せ!」

 しつこいな。
 というか死んだの?
 昨日はピンピンしてたんだが。

「見ますか?」

 ラピスがミュージックプレイヤーを差し出してくる。
 そこに映っていたものは、鯛をロープで縛って口に何かを流し込んでいる人々だった。
 殺したのかよ?

「なお、海神というのも真っ赤な嘘でした」

 今回、イチャモンをつけてきたのは南のいくつかの島々を統治している海洋国家。
 その名もパイレーツ諸島連邦。
 島々はそれぞれ独立した運営を行っていて、大抵の島には海神と言われるものが祭られている。

 しかしそれらは同一のものではなく、大抵は特定の姿を持たず、海そのものを崇めているものがほとんどだ。

 ごく一部に海竜、マーメイド等を祭っているとこもある。
 崇めると言うより、縁起のいいものとして鯛を祭っている場所も有るそうだが、偶に網に掛かると大喜びで食っているらしい。
 うん、完全な言いがかりですね。

「それにしても、なんでそんなにロゥリを欲しがるんだ?」
「そこはまだ分かりません。大陸の国なら理由はあるのですが、海洋諸島はまだロゥリの価値を知らないでしょうし」
「ロゥリの価値ってなに?」

 ロゥリの戦績を見てみよう。

 まずは剣時代。
 エルメラダス姫様と一緒に黒竜を撃破。
 魔都サンムーンの王であった骸骨を撃破。

 次に竜王戦。
 竜王の中の竜王と言われたニース。
 最も活発で恐れられいたハイフレム。
 炎の再生能力を持つホウオウ。

「外様から見ると、普通は人が竜王を倒せるはずがないので、それらの戦いは全てあの白竜の力ではないかとなる訳です。かの古代王国のアンデッドを消滅させたのも、きっと白竜であろうと噂されています」

 カシュアの聖剣の件は、いまだおおっぴらにしてはいない。
 ならば、どうやって古代王国のアンデッドを滅ぼしたか。
 きっとあのドラゴンが暴れに暴れたに違いない。という結論に達したとか。

 それほどの力があると言うのなら、他の戦いについても、全てあの白竜がやってしまったのではないかと思われているらしい。

「ロゥリの株がうなぎ上りだなぁ。竜王を人間が倒したと言われれば信じないだろうが、竜種特効を持つ同じドラゴンが倒したといえば信憑性も出るわけか」
「事実、ロゥリは個としては最強になれる可能性を秘めてます」
「ほう?」

 この世界の頂点は竜王であるとされる。
 その竜に特効効果をもつドラゴンスレイヤー。
 それがロゥリだ。

 しかも今回、なんちゃってドラゴンである擬態ではない、本物のドラゴン、天竜王なる存在にクラスチェンジできるようになっている。

 このままレベルが上がれば、ロゥリを倒すことが出来る存在は限られて来るだろう。

「クイーズ特効なんていうおまけもありますしね」
「仮にオレが最強になれたとしても、ロゥリには敵わない訳か」
「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らずとは言いますが、この世界では明らかに上下関係が設定されていますし」

「そもそも人じゃないだろ?」

 その最強のロゥリを手に入れ海洋諸島はどうしたいんだ?
 世界に反乱でもするのか?

「それを知っている大陸の国家は、なんとかしてロゥリを手に入れようと画策されています。なので、その大陸の国家のどこかからお金でも貰っていると調べたのですが……」
「その証拠はでなかった訳か」
「はい。今現在、大陸の国家と海洋諸島とは仲が悪い。古代王国跡地を巡って戦争を始めようとする国々に、数々の無理難題を言われて腹を立てているぐらい」

 仮にロゥリを手に入れたとして大陸に渡す可能性は少ないという。
 ラピスでも目的が分からないか。
 いっそのこと、ロゥリを引き渡してみればどうだろうか?

「ガウッ!?」

 何言ってんだコイツ、みたいな顔で睨んでくるロゥリ。
 まあまあ、落ち着けって、オレに良い考えがあるんだよ。
 えっ、信用ならない?

 大丈夫だって、大船に乗ったつもりで任せてくれたまえ。

 えっ、その船、ドロで出来てないかって?
 そんな事はありません!
 心配するな。最悪ドロでも、きちんと固めてりゃ十分浮くから。
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