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第十四章
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ロゥリの万有引力は、熟練度がまだまだなのか有効範囲が狭い。
せいぜいドラスレが届く範囲ぐらいだ。
敵を直接捕らえることはできないが、飛んでくる物質ぐらいは落とせるだろう。
足を止めたロゥリがドラスレを構える。
そこに向かってきた水の竜巻が、直前でロゥリを避けるかのように捻じ曲がって行く。
いいぞロゥリ、その調子だ!
一つ息を吐いたロゥリが海神ウィルマに向かって掛け出す。
ウィルマの周りに浮かんだ水の玉がレーザーの様にロゥリに向かって行く。
しかし、それもまた、ロゥリの直前で進行先を変える。
まるで目に見えないバリアに守られているかのようだ。
少し眉をひそめる海神ウィルマ。
その時、一つの水のレーザーが細かく分裂した。
針金のような細い糸状になってロゥリに遅いかかる。
それはロゥリのバリアを付き抜けて迫ってくる。
万有引力は重力を操作すると言ってもいい。
すなわち、万有引力を影響させる為には重さが必要だ。
重ければ重いほど引き付けられる力も強くなる。
しかし、逆に軽くなった場合、影響が薄れてしまう。
万有引力の影響が薄れた糸状の水が、次々とロゥリに突き刺さり、その勢いをころしてしまう。
「さすがは戦い慣れしていますね。一目ですぐに対策を打たれたみたいです」
「戦略も向こうが一枚上手か……ロゥリにも飛び道具があれば良かったんだが」
「ゴールドホルダー使いますか?」
「いや、もう少し様子を見てみよう。あいつの目はまだ死んじゃいない」
またしても飛んでくる無数の糸状の水。
と、突然ロゥリが加速する。
そしてその水の中へ突っ込んで行く。
「重さを失うということは威力も失うという事だ、それにあいつ、自分自身に万有引力を作用させたな」
「それであのスピードですか、しかし自爆行為じゃないですかね?」
ロゥリの目の前に津波のような強大な水の壁が立ちはだかる。
水の壁は決して柔らかくはない。
そのままぶつかれば、大ダメージは必須だ。
しかしロゥリはそれを――――ドラゴンスレイヤーで切り裂いた!
おいおい、津波まで切れるのかよソレ。
さすがに驚愕の表情を見せるウィルマ。
波を切り裂いてロゥリとウィルマを繋ぐ道のりができる。
ウィルマの眼前に迫るロゥリ。
接近さえしてしまえばこっちのモノだ。
いくぞロゥリ!
『神竜騎士・ロゥリ! ゴールドホルダー・セット!』
オレはロゥリのカードを金色のホルダーに差し込む。
すると全身が金色に輝きだすロゥリ。
そのままウィルマに向かってドラゴンスレイヤーを振り下ろす。
慌てたウィルマは海の中に姿を消す。
それを追ってロゥリも海に突っ込んで行く。
あちこちから立ち上がる大きな水柱。
よく見えないが海中でロゥリとウィルマがぶつかり合っているようだ。
暫くすると巨大な渦が海面を支配していく。
そしてその渦がだんだん上昇して行く。
最後に、数十メートルはあろうかという巨大な水柱が目の前に立ち上がるのであった。
その高速で回転する水柱から、時々金色の輝きを伴った水飛沫が飛び出す。
立ち上がった水柱の中で、ドラゴンスレイヤーを振っているロゥリが見える。
ロゥリの周辺は、まるで水が避けているかのように真空状態のようだ。
たぶん万有引力で水を寄せ付けていないのだろう。
あれならばウィルマの攻撃は、海の中では通用しない。
またも水の中に消えて行くロゥリ。
と、その金色の輝きが突然失せる。
「ロゥリ!?」
水柱から何かが飛び出して砂浜を滑って行く。
その何かとは、金色の色を失ったロゥリ自身であった。
どうやら、ホルダーの効果時間が過ぎたところで放りだされた模様。
オレは急いでロゥリの下へ駆け寄る。
「タイムオーバーか、残念だったな……」
「ガウゥ……」
ロゥリは立ち上がろうとするが、全身が痺れているのか、うまく動けないようだ。
「なんだお前、オレのリミブレの後遺症みたいなのが発生しているのか?」
オレはそっとロゥリの肩をつつく。
ガウッ!? って呻き声を上げて苦痛の表情を見せる。
オレは更に色んな所をつついてみる。
「ガウガウッ!」
「ふむ……よし! オレが痺れたお前の体、マッサージをしてやろう!」
「ガウッ!?」
ロゥリの奴が蒼白な表情をして顔をフルフルと左右に振る。
そんなロゥリに向かって、オレが指をワキワキさせながら両手を近づけているその時だった。
オレ達を水の竜巻が襲う。
「危ないな……もう勝負はついただろ?」
オレはそれを、透明なライオットシールドにしていた鉱石Mで受け止める。
「いいえ、まだですわ。なにせその小娘、未だ息をしているじゃありませんか」
少し肩で息をしているウィルマが答える。
どうやらロゥリは、ウィルマのメガネに敵ったようだな。
少し前まではゴミを見るような目つきだったが、今でははっきりと敵として映っている。
「止めておいたほうがいいぜ? 何事にも潮時ってやつがあるだろう」
あんまうちのロゥリを苛めないでくれないかな?
じゃないとオレも黙って見ている訳にはいかなくなってくる。
今ですら少々、押さえているのが大変なんだよ。
「フッ、あなたが代わりに戦うとでも言うのですか? そこの白竜でも敵わないこの私と」
「……それもいいかも知れないな」
オレはそっと、ロゥリの近くに落ちていたドラゴンスレイヤーを手に取る。
「お坊ちゃま……」
「心配すんなって、危なさそうなら尻尾を巻いて逃げるさ。ああそうだ、その前に言っておかなくちゃならないことがあったな」
オレは手にしたドラゴンスレイヤーをウィルマに向けて叫ぶ。
「いいか……ロゥリを苛めて良いのはオレだけだ!」
「ガウッ!?」
せいぜいドラスレが届く範囲ぐらいだ。
敵を直接捕らえることはできないが、飛んでくる物質ぐらいは落とせるだろう。
足を止めたロゥリがドラスレを構える。
そこに向かってきた水の竜巻が、直前でロゥリを避けるかのように捻じ曲がって行く。
いいぞロゥリ、その調子だ!
一つ息を吐いたロゥリが海神ウィルマに向かって掛け出す。
ウィルマの周りに浮かんだ水の玉がレーザーの様にロゥリに向かって行く。
しかし、それもまた、ロゥリの直前で進行先を変える。
まるで目に見えないバリアに守られているかのようだ。
少し眉をひそめる海神ウィルマ。
その時、一つの水のレーザーが細かく分裂した。
針金のような細い糸状になってロゥリに遅いかかる。
それはロゥリのバリアを付き抜けて迫ってくる。
万有引力は重力を操作すると言ってもいい。
すなわち、万有引力を影響させる為には重さが必要だ。
重ければ重いほど引き付けられる力も強くなる。
しかし、逆に軽くなった場合、影響が薄れてしまう。
万有引力の影響が薄れた糸状の水が、次々とロゥリに突き刺さり、その勢いをころしてしまう。
「さすがは戦い慣れしていますね。一目ですぐに対策を打たれたみたいです」
「戦略も向こうが一枚上手か……ロゥリにも飛び道具があれば良かったんだが」
「ゴールドホルダー使いますか?」
「いや、もう少し様子を見てみよう。あいつの目はまだ死んじゃいない」
またしても飛んでくる無数の糸状の水。
と、突然ロゥリが加速する。
そしてその水の中へ突っ込んで行く。
「重さを失うということは威力も失うという事だ、それにあいつ、自分自身に万有引力を作用させたな」
「それであのスピードですか、しかし自爆行為じゃないですかね?」
ロゥリの目の前に津波のような強大な水の壁が立ちはだかる。
水の壁は決して柔らかくはない。
そのままぶつかれば、大ダメージは必須だ。
しかしロゥリはそれを――――ドラゴンスレイヤーで切り裂いた!
おいおい、津波まで切れるのかよソレ。
さすがに驚愕の表情を見せるウィルマ。
波を切り裂いてロゥリとウィルマを繋ぐ道のりができる。
ウィルマの眼前に迫るロゥリ。
接近さえしてしまえばこっちのモノだ。
いくぞロゥリ!
『神竜騎士・ロゥリ! ゴールドホルダー・セット!』
オレはロゥリのカードを金色のホルダーに差し込む。
すると全身が金色に輝きだすロゥリ。
そのままウィルマに向かってドラゴンスレイヤーを振り下ろす。
慌てたウィルマは海の中に姿を消す。
それを追ってロゥリも海に突っ込んで行く。
あちこちから立ち上がる大きな水柱。
よく見えないが海中でロゥリとウィルマがぶつかり合っているようだ。
暫くすると巨大な渦が海面を支配していく。
そしてその渦がだんだん上昇して行く。
最後に、数十メートルはあろうかという巨大な水柱が目の前に立ち上がるのであった。
その高速で回転する水柱から、時々金色の輝きを伴った水飛沫が飛び出す。
立ち上がった水柱の中で、ドラゴンスレイヤーを振っているロゥリが見える。
ロゥリの周辺は、まるで水が避けているかのように真空状態のようだ。
たぶん万有引力で水を寄せ付けていないのだろう。
あれならばウィルマの攻撃は、海の中では通用しない。
またも水の中に消えて行くロゥリ。
と、その金色の輝きが突然失せる。
「ロゥリ!?」
水柱から何かが飛び出して砂浜を滑って行く。
その何かとは、金色の色を失ったロゥリ自身であった。
どうやら、ホルダーの効果時間が過ぎたところで放りだされた模様。
オレは急いでロゥリの下へ駆け寄る。
「タイムオーバーか、残念だったな……」
「ガウゥ……」
ロゥリは立ち上がろうとするが、全身が痺れているのか、うまく動けないようだ。
「なんだお前、オレのリミブレの後遺症みたいなのが発生しているのか?」
オレはそっとロゥリの肩をつつく。
ガウッ!? って呻き声を上げて苦痛の表情を見せる。
オレは更に色んな所をつついてみる。
「ガウガウッ!」
「ふむ……よし! オレが痺れたお前の体、マッサージをしてやろう!」
「ガウッ!?」
ロゥリの奴が蒼白な表情をして顔をフルフルと左右に振る。
そんなロゥリに向かって、オレが指をワキワキさせながら両手を近づけているその時だった。
オレ達を水の竜巻が襲う。
「危ないな……もう勝負はついただろ?」
オレはそれを、透明なライオットシールドにしていた鉱石Mで受け止める。
「いいえ、まだですわ。なにせその小娘、未だ息をしているじゃありませんか」
少し肩で息をしているウィルマが答える。
どうやらロゥリは、ウィルマのメガネに敵ったようだな。
少し前まではゴミを見るような目つきだったが、今でははっきりと敵として映っている。
「止めておいたほうがいいぜ? 何事にも潮時ってやつがあるだろう」
あんまうちのロゥリを苛めないでくれないかな?
じゃないとオレも黙って見ている訳にはいかなくなってくる。
今ですら少々、押さえているのが大変なんだよ。
「フッ、あなたが代わりに戦うとでも言うのですか? そこの白竜でも敵わないこの私と」
「……それもいいかも知れないな」
オレはそっと、ロゥリの近くに落ちていたドラゴンスレイヤーを手に取る。
「お坊ちゃま……」
「心配すんなって、危なさそうなら尻尾を巻いて逃げるさ。ああそうだ、その前に言っておかなくちゃならないことがあったな」
オレは手にしたドラゴンスレイヤーをウィルマに向けて叫ぶ。
「いいか……ロゥリを苛めて良いのはオレだけだ!」
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