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第二話 こっちのはじまり
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少女の上に落ちてきた青年が右ストレートを打ち込まれる30分前彼は日課の朝礼に出ていた。『美作工務店』と書かれた看板の奥に木材建材、足場、機械類が積まれた数台のトラックの先でビールの空きケースの上に立つのがこの後30分後(地球時間)に顔面に拳をめり込ませる男、この物語の主人公美作竜也19歳である。
「おはようございます!!玄さんと博巳と光一は渡辺さんとこの床張り今日中に終わらせてフローリングまで行ける様に仕上げてくれ光一!仕上げのビスちゃんと埋めろよ甘かったらやり直しさせるからな!哲夫と俺は岡田さんのところの外壁と養生の片付けするから時間が余ったらそっち見に行くので夜露死苦!高やんとジュリーは藤田さんとこの現調頼む、床下潜って貰う事になるけど
よろしく頼むな。以上、今日も安全確認怪我の無いように!!」
職人達がトラックに乗り込み現場へ向っていく、竜也も現場に向う為トラックに乗り込もうとした時不意に誰かに呼びかけられた気がしたので振り向くと誰も居なかった。
気の所為かと再びトラックの方に向きを変えるとそこは見た事も無い場所に立っていた。
何時まで経っても達也が乗ってこない事を不振に感じた哲夫がトラックから降りて辺りを見渡す竜也の姿は見当たらない。
「棟梁?どこっス、早く現場行かないと専務にどやされるっすよ!」
しかし、竜也は戻ることは無かった。
それもそのはず当の本人は現代の日本ではなくまったく別の次元に有る不思議な空間に放置されていた。
腕組したまま目を閉じ何度も深呼吸している、落ち着いている様に見えるが実は内心混乱の極みにあったがしかし頭の片隅に『あれ?もしかして俺新手のドッキリに遭遇しているのでは?』の
可能性を若干否定出来ずに居るので外見を取り繕っているだけである。
しかしそれから10分経っても何も起きないので暇を持て余して何故かシャドーボクシングをし始めていた。
「やべーなーこれドッキリじゃないとしたら臨死体験て奴か?車乗るとこまでは覚えてるんだけどなしかしあの状況で死ぬ要素あったか?5月の健康診断も異常無かったし…まさか!哲夫の野朗に打たれた?! …ないない、先々週の徹マンで狙い撃ちして箱にしたの恨んで殺されたら玄さん何回殺してるか分かったもんじゃねぇーや!わっはは!!…マジで何も起きねぇー。」
普通の人間ならこの異常事態で混乱し叫び出してもおかしくないのだが生来の図太さと前向き思考と割と冷静さを失わない
タフな精神状態でこの天地の境目が曖昧なほど真っ白な空間で1人放置されていても何の脈絡も無くシャドーボクシングに興じれるほど安定?している。
1人遊びにも飽きてとうとう大の字に寝そべってしまった。いっそこのまま寝てしまおうかと目を閉じたその時に頭の上の方から声を掛けられた。
「まったー!遅れてごめんね。準備してたら遅くなちゃった♪」
まるで待ち合わせ時間に遅れたかのような軽さ、余りに自然なセリフに
「俺も今来たところだよ♪じゃねぇー!!デートの待ち合わせしているカップルじゃねぇぞ!!何様だ手前!!」
綺麗にノリ突っ込みしてしまった。散々待たされた?挙句の軽い謝罪?に竜也の怒りも限度を越えそうだったが、現れた青い髪の少女の姿に目を奪われてしまいそれ以上怒りが沸いて来なかった。
竜也は思った
『なんてデンジャラスでグレートな頂だ!これが噂のロリ巨乳!!噂以上のインパクッ!!』
世の男性の6割(あくまでも当社比です)は女性の胸にある種のシャングリラを夢想し豊かな胸に遭遇すれば目で追ってしまう悲しい生物である。無論人によっては尻、うなじ、耳、アホ毛、果てはメガネなど人のフェチズムは底の無い沼のような物だととある哲学者が言っていた様な言わない様な…話が逸れてしまった。
兎も角待ち惚けを喰らった怒りすら一瞬で消し飛ぶような衝撃を受け竜也は立ち眩む!!
しかし持ち前の精神力?で踏みとどまる。
「手前、人を散々待たせやがって…手前には聞きたいことが山ほど有るんだ!…くっ!しっかりしろ、俺!!」
強めの言葉とは裏腹に目線はそのたわわな胸に行ってしまい聞きたいはずの疑問より先に意識を持っていかれてしまう。
そんな竜也の挙動不審さを意にも返さない青い髪の少女は竜也にむかって笑顔で話し出す。
「えーっと、まずは自己紹介うちはミルアル。君を召喚したのはうちだよ。」
明るく元気な自己紹介に竜也も「お、おう」としか言えない。
「んで今から簡単かつ大まかに君の置かれている状況とこれからの事を掻い摘んで話すけれど良いかな!」
ミルアルと名乗った少女のテンションの高さに若干置いてかれているが彼女が動くたびに揺れる胸をちら見しながら
散漫な意識のまま頷く竜也に気も止めず彼女は話を続けた。
「美作竜也君には君が居た世界とは別の世界に行って貰って女の子を助けて貰います!ここまでおけ?」
「OKじゃないけど、まあ大体。」
「なぜ君が選ばれたかと言うとうちの『成功確立UP!人選検索システム』で見事君が選ばれちゃいました!おけ?」
「そろそろ、ツッコミ入れたいんだが…」
「ぶっちゃけ、B-2世界の普通の人間の君にステゴロで行けと言うのは酷なのでうちからプレゼント!!ひゅー!」
「うわー人の話しきかねぇよこいつ。」
ミルアルの足元になぜか唐突に出現したミカンの絵が書かれたダンボール箱?の中をガサガサと漁り出した。
100サイズの段ボール箱にどうやっても入り切れないほどの荷物を次々出しては放り投げる、某未来の猫型ロボット
が良くやってるシーンを髣髴とさせるが傍から見ると何とも忙しなく情けない姿だ。
目的の物が中々見付らず若干焦っているのが手に取るように分かった。
「おいおい、そんなに引っ掻き回したら見付る物も見付らないぞ。」
「だって、お母さんの倉庫からパクッてこの中に入れて置いたのに、どうしよう無くしたのばれたら怒られる!」
勝手に持ち出した上に無くしたら誰だって怒られるがミルアルの目には大粒の涙が今にも零れそうになっていた。
よっぽど怖い目に遭うのだろう、竜也は見ていられなくなりミルアルの横に座り込み一緒に探してやる事にした。
「お前が探してる奴の形とか色とか教えろよ、二人で探せば直ぐに見付るから。」
「ううっ、人に優しくされたの久しぶりだよー、こんな状況で優しくされたら好きになっちゃうよ!」
「さっきまでベソ掻いてたのに余裕あるじゃねぇか、馬鹿言ってる暇あったら良く見て探せ。俺はお前が放り出したもの集めておくから。」
それから30分ほど二人で探しているとようやく目的の物が出てきてミルアルは歓喜の声を上げている。箱に物を入れて置くと探し物って
何時も最後の方になって出てきますよね、不思議です。出て来たのは傷だらけの色褪せた金属製のバングルだった。
「ジャジャーン!!うちが持ち出せる最高クラスの英雄遺産の一つがコレ!ユリウスの腕輪、うちが言うのもなんだけど
課金ガチャでも運営側も顔を顰めるほどのレアリティ!!福沢先生が何人もファーラウェイするよ!」
「何言ってるか分からんが凄い物なのか?」
身に詰まる思いを受けた人が居たのならご勘弁願いたい。彼女が取り出した何の変哲も無いアイテムが
確立細すぎだろうと携帯やマウスをぶん投げてしまいたくなった紳士淑女も驚くほどの超貴重品であり分かり易く言うと
SSSレアのアイテムを竜也に差し出してきたのである。ちなみに彼女が放り投げていたアイテムもS、SSと言った
貴重品である。
「コレくれるのか?アクセサリーとか着けた事無いから良さがいまいち分からないが渋くて良いな。」
「でしょ着けてみてよ!うち取説見てるから。」
「ん?取説あんのかよ、なんだ電化製品みたいだな。おお!悪くないな、妙にしっくりし過ぎるのが不思議だ。」
「いやさーこの手の英雄遺産って8割が持ち手を選ぶ系?の使用になってるから着けた瞬間に爆発四散とか呪いが掛かるとか
微妙なトラップ多いのがネックなんだよね。ねっほら言ってる傍から着けてるしウケルww」
「ウケルじゃねぇ、このポンコツ!お前が着けろって言ったから着けたんじゃねぇか!普通渡す前に把握しとけポンコツ!」
事態の深刻さに対して空気を読まないミルアルに対してついに手を上げる竜也、頭を二回ほど叩いてしまった。
頭を抱える彼女に仕舞ったと思い顔を覗き込む竜也だがミルアルは少し顔を赤らめて嬉しそうだった。
「えへへ、300年ぶりに頭叩かれちゃった。」「強く叩き過ぎたかと思って心配したのに何でわらってんだ怖いな!」
「こうやって刺激を受けるのが滅多に無いからね、前に受けたのが姉妹会議で一番上のお姉ちゃんに万力拳骨貰って以来だよ!」
「万力拳骨ってお前の姉貴も怖いよ!って話し逸らすな俺呪われたのか?爆発するのか?」
1人アタフタする竜也を余所に空中に映し出されている先程のアイテムの説明書を読んでいるミルアル。
ちなみに説明書の長い解説を要約するとこう書かれていた。
「ぶっちゃけ、着けるだけなら害は無いけど適性が無いと役に立たないって書かれてるよ。爆発しないよ肉片飛び散らないで済んだよラッキー!!」
「ラッキー!じゃねえ!何さらっと怖いこと言ってんだよ俺の事1mmも心配してねぇな!」
「ダイジョブダイジョブ!爆発しても肉片集めて復活させられるアイテム有るから確か5時間ほど煮ると直る奴有ったよね?」
「煮て復活って更に怖いわ!頭痛くなってきた。貰ったは良いけどコレって何なんだよ?」
心底つっこみ疲れてしまった達也が地面に座り込み左手に着けたバングルを眺めている。
「今から達也君が行って貰う世界で400年くらい大陸中で大暴れした魔王の力が宿ってるかなりヤバイ、人間としては
相当無茶したみたいでさお母さんがガチで討伐させて位の人らしいよ。」
ミルアルが竜也の正面に座り先程の説明書の様に空中に画像を浮き上がらせた。そこには無表情な男の顔が映っている。
「こいつが魔王なのか?俺には普通のおっさんにしか見えないが。」竜也は訝しげに映し出されている男を見る。
「うちもアーカイブでしか知らないから何とも言えないけどお母さんが自分の意思で倒させるなんて相当やばい人だって事。」
二人とも座ってなんとなくマッタリトした時間が過ぎていく。「おいポンコツ、茶菓子くらい出せよ。喉乾いた。」
「うわ、いくらお客さんでも自分からお茶欲しがるかな普通!でも出すけど!」
なぜか日本茶とビニール包装されているサラダ味のせんべいが出てきた、余りに見慣れた光景に竜也も突っ込む事を忘れて
自然に手が伸びていた。
「いつも思うけど、じいちゃんばあちゃんてこのせんべい必ず休憩の時に出してくれるんだよな。嫌いじゃないんだけど。」
田舎のご老人宅で仕事をすると10時、15時の休憩時にサラダ味のおせんべいが出る確率は8割を越す!
「美味しいよね、うちもいつの間にか1袋食べちゃうもん。」
二人っきりの空間で煎餅とお茶でマッタリしてしまっている。
暫くして竜也が湯飲みに注がれた緑茶を飲み干すと首を傾げた。
「俺ここに何しに来たんだっけな?」余りにものんびりしている所為で
当事者が自身の置かれている立場を丸忘れしてしまっていた。
「いっけなーい♪まったりお茶してる場合じゃなかったね。
あっちで待たせてるの忘れてた!」
「おいおい、大丈夫か?俺がここに来て結構時間経ってるぞ。正直気が進まねぇが相手方待たせんのは不義理ってもんだろ行くなら行こうぜ。」
いまだに自分が何をすればいいのか分からないでいた竜也だがまあ何とかなるだろうと
開き直っていた。「竜也くんのその前向きなところ結構好みだよ、それじゃー君を待っている人の所え行こう!座標、新生世界ファーダム大陸エーリヒン地域、コネクトB2リザーブポートだいれくとおーぷーん!!」
二人の周りの空間が歪み始め、竜也は足元が無くなるのを感じた。
「おい、ポンコツいきなり大丈夫か?マジで大丈夫か?なんか足元ふわふあー!!!」
竜也の足元に会った空間は無くなり重力に引っ張られるように落下していく。
「うをー!ポンコツどういう事だ!!異世界とかに行く前に死なすきか!」
パラシュート無しのスカイダイビングをさせられている人の気持ちは分かりたくもないが概ねさせた相手を殺したくなるのではなかろうか?物凄い勢いで落ちて行く竜也に平然と追い着くミルアル。
「大丈夫×2!現地にはなんかぴかって感じで現れる的な演出になるから安心してよ後1分ほどで到着だからソレの説明しておくね。」
ミルアルが指を指したのは竜也がつけているバングル『ユリウスの腕輪』。
「その腕輪の中には魔王ユリウスが生前習得していた『ジョブスキル』が内蔵されていて使用者はそれを自分に付け加えることが出来るんだって。」
「ジョブスキルってなんだよそれ!っか、この状況で平然と説明始めんな!落ちてる!俺今現在進行形で落ちている!お!ち!て!る!聞いてるか?!」
「でねー、今の竜也君のメインジョブは「大工棟梁」だけどそれが「魔王」になっちゃうけどいいよね?」
「良いも悪いもねぇー!話し聞いてるかって聞いてんの!この無駄に乳だけでデカイだけのポンコツ娘!」
「うわ!それセクハラだよ!セクシャルハラシュメントだよ!うちのおっぱい厭らしい目で見るな!」
落下しながら喧嘩を始めた二人だが実はもう最初にいた空間から異世界の上空に繋がっていた。それに最初に気が付いたのは竜也だった。
「すげー!こんな綺麗な景色初めて拝んだ!コレが異世界。」
「そうだよここが『新生世界・アイリスタ』君がこれから生きていく世界、うちの生まれた世界。」
高高度から自由落下の最中だが壮大な景色に目を奪われ先程まで喧嘩していたのを竜也忘れてしたが地表が近づくとバングルから竜也の頭の中に声が響く。
(このままでは地面にぶつかりミンチになって死んでしまうぞ。スキルの発動を推奨する。)
「うわ、誰かが頭の中に話しかけて来た、地面近っ!スキルってどおすんだよ!ポンコツ何とかしろっていねえ!!」
竜也が1人アタフタしている、先程まで直ぐ横にいたミルアルの姿が今は無かった。
(君はスキルの使い方も分からない位愚か者なのか、はぁー仕方ないこちらで最適なスキルを発動させる。生き残ったらスキルの使用方法と用途、種類を事前に調べておく事を推奨する。君の隣にいたあの忌々しい女の娘に聞きたまえ。)
腕輪が光だし竜也の脳裏に二つのワードが浮かび上がる。
『縦横無尽』『金剛不壊』
落下する速度が急激に勢いを失って行くがそれでも勢いは止まらない
目の前には木造の屋敷の屋根が迫っている。
「死んでたまるか!!」
竜也の体は屋根を突き破りそのまま床を破壊した地面への落下の衝撃で屋敷自体が大きく軋む、当の竜也は死でもおかしくない衝撃だったがかすり傷程度で済んでいた。しかも自身の体の下に少女がいるではないか。まるで押し倒すような格好になっている上にその右手は少女の胸を触っていた。可愛らしくも気の強そうなその顔に達也は息を呑んだ。しかし右手に触れた感触が余りに身切なかったのでつい照れ隠しのつもりで行ってしまった。
「可愛いなあんた、胸無いけど!」
初対面の少女の胸を触ってしまった気まずさを誉める形で無かった事にしようと思い付き口から出たセリフだったが、それがいけなかった。少女は恥ずかしさと怒りで顔を真っ赤にしていた。
少女の魔力を帯びた全力右ストレートが妙に生真面目な顔をしている竜也の顔面をセリフとほぼ同時に打ち抜く。「お前もか!!!」
かなり最悪の出会いだったがこれが豪快に鼻血を撒き散らしながら後方に倒れ行く青年
『美作竜也』と
怒り心頭世界も狙える右ストレートを放った少女
『シルビ・アクラーナ』の出会い。
そしてその様子をニヤニヤしながら見ている謎の少女
『ミルアル』この3人が作り上げていく物語が始まろうとしていた。
「おはようございます!!玄さんと博巳と光一は渡辺さんとこの床張り今日中に終わらせてフローリングまで行ける様に仕上げてくれ光一!仕上げのビスちゃんと埋めろよ甘かったらやり直しさせるからな!哲夫と俺は岡田さんのところの外壁と養生の片付けするから時間が余ったらそっち見に行くので夜露死苦!高やんとジュリーは藤田さんとこの現調頼む、床下潜って貰う事になるけど
よろしく頼むな。以上、今日も安全確認怪我の無いように!!」
職人達がトラックに乗り込み現場へ向っていく、竜也も現場に向う為トラックに乗り込もうとした時不意に誰かに呼びかけられた気がしたので振り向くと誰も居なかった。
気の所為かと再びトラックの方に向きを変えるとそこは見た事も無い場所に立っていた。
何時まで経っても達也が乗ってこない事を不振に感じた哲夫がトラックから降りて辺りを見渡す竜也の姿は見当たらない。
「棟梁?どこっス、早く現場行かないと専務にどやされるっすよ!」
しかし、竜也は戻ることは無かった。
それもそのはず当の本人は現代の日本ではなくまったく別の次元に有る不思議な空間に放置されていた。
腕組したまま目を閉じ何度も深呼吸している、落ち着いている様に見えるが実は内心混乱の極みにあったがしかし頭の片隅に『あれ?もしかして俺新手のドッキリに遭遇しているのでは?』の
可能性を若干否定出来ずに居るので外見を取り繕っているだけである。
しかしそれから10分経っても何も起きないので暇を持て余して何故かシャドーボクシングをし始めていた。
「やべーなーこれドッキリじゃないとしたら臨死体験て奴か?車乗るとこまでは覚えてるんだけどなしかしあの状況で死ぬ要素あったか?5月の健康診断も異常無かったし…まさか!哲夫の野朗に打たれた?! …ないない、先々週の徹マンで狙い撃ちして箱にしたの恨んで殺されたら玄さん何回殺してるか分かったもんじゃねぇーや!わっはは!!…マジで何も起きねぇー。」
普通の人間ならこの異常事態で混乱し叫び出してもおかしくないのだが生来の図太さと前向き思考と割と冷静さを失わない
タフな精神状態でこの天地の境目が曖昧なほど真っ白な空間で1人放置されていても何の脈絡も無くシャドーボクシングに興じれるほど安定?している。
1人遊びにも飽きてとうとう大の字に寝そべってしまった。いっそこのまま寝てしまおうかと目を閉じたその時に頭の上の方から声を掛けられた。
「まったー!遅れてごめんね。準備してたら遅くなちゃった♪」
まるで待ち合わせ時間に遅れたかのような軽さ、余りに自然なセリフに
「俺も今来たところだよ♪じゃねぇー!!デートの待ち合わせしているカップルじゃねぇぞ!!何様だ手前!!」
綺麗にノリ突っ込みしてしまった。散々待たされた?挙句の軽い謝罪?に竜也の怒りも限度を越えそうだったが、現れた青い髪の少女の姿に目を奪われてしまいそれ以上怒りが沸いて来なかった。
竜也は思った
『なんてデンジャラスでグレートな頂だ!これが噂のロリ巨乳!!噂以上のインパクッ!!』
世の男性の6割(あくまでも当社比です)は女性の胸にある種のシャングリラを夢想し豊かな胸に遭遇すれば目で追ってしまう悲しい生物である。無論人によっては尻、うなじ、耳、アホ毛、果てはメガネなど人のフェチズムは底の無い沼のような物だととある哲学者が言っていた様な言わない様な…話が逸れてしまった。
兎も角待ち惚けを喰らった怒りすら一瞬で消し飛ぶような衝撃を受け竜也は立ち眩む!!
しかし持ち前の精神力?で踏みとどまる。
「手前、人を散々待たせやがって…手前には聞きたいことが山ほど有るんだ!…くっ!しっかりしろ、俺!!」
強めの言葉とは裏腹に目線はそのたわわな胸に行ってしまい聞きたいはずの疑問より先に意識を持っていかれてしまう。
そんな竜也の挙動不審さを意にも返さない青い髪の少女は竜也にむかって笑顔で話し出す。
「えーっと、まずは自己紹介うちはミルアル。君を召喚したのはうちだよ。」
明るく元気な自己紹介に竜也も「お、おう」としか言えない。
「んで今から簡単かつ大まかに君の置かれている状況とこれからの事を掻い摘んで話すけれど良いかな!」
ミルアルと名乗った少女のテンションの高さに若干置いてかれているが彼女が動くたびに揺れる胸をちら見しながら
散漫な意識のまま頷く竜也に気も止めず彼女は話を続けた。
「美作竜也君には君が居た世界とは別の世界に行って貰って女の子を助けて貰います!ここまでおけ?」
「OKじゃないけど、まあ大体。」
「なぜ君が選ばれたかと言うとうちの『成功確立UP!人選検索システム』で見事君が選ばれちゃいました!おけ?」
「そろそろ、ツッコミ入れたいんだが…」
「ぶっちゃけ、B-2世界の普通の人間の君にステゴロで行けと言うのは酷なのでうちからプレゼント!!ひゅー!」
「うわー人の話しきかねぇよこいつ。」
ミルアルの足元になぜか唐突に出現したミカンの絵が書かれたダンボール箱?の中をガサガサと漁り出した。
100サイズの段ボール箱にどうやっても入り切れないほどの荷物を次々出しては放り投げる、某未来の猫型ロボット
が良くやってるシーンを髣髴とさせるが傍から見ると何とも忙しなく情けない姿だ。
目的の物が中々見付らず若干焦っているのが手に取るように分かった。
「おいおい、そんなに引っ掻き回したら見付る物も見付らないぞ。」
「だって、お母さんの倉庫からパクッてこの中に入れて置いたのに、どうしよう無くしたのばれたら怒られる!」
勝手に持ち出した上に無くしたら誰だって怒られるがミルアルの目には大粒の涙が今にも零れそうになっていた。
よっぽど怖い目に遭うのだろう、竜也は見ていられなくなりミルアルの横に座り込み一緒に探してやる事にした。
「お前が探してる奴の形とか色とか教えろよ、二人で探せば直ぐに見付るから。」
「ううっ、人に優しくされたの久しぶりだよー、こんな状況で優しくされたら好きになっちゃうよ!」
「さっきまでベソ掻いてたのに余裕あるじゃねぇか、馬鹿言ってる暇あったら良く見て探せ。俺はお前が放り出したもの集めておくから。」
それから30分ほど二人で探しているとようやく目的の物が出てきてミルアルは歓喜の声を上げている。箱に物を入れて置くと探し物って
何時も最後の方になって出てきますよね、不思議です。出て来たのは傷だらけの色褪せた金属製のバングルだった。
「ジャジャーン!!うちが持ち出せる最高クラスの英雄遺産の一つがコレ!ユリウスの腕輪、うちが言うのもなんだけど
課金ガチャでも運営側も顔を顰めるほどのレアリティ!!福沢先生が何人もファーラウェイするよ!」
「何言ってるか分からんが凄い物なのか?」
身に詰まる思いを受けた人が居たのならご勘弁願いたい。彼女が取り出した何の変哲も無いアイテムが
確立細すぎだろうと携帯やマウスをぶん投げてしまいたくなった紳士淑女も驚くほどの超貴重品であり分かり易く言うと
SSSレアのアイテムを竜也に差し出してきたのである。ちなみに彼女が放り投げていたアイテムもS、SSと言った
貴重品である。
「コレくれるのか?アクセサリーとか着けた事無いから良さがいまいち分からないが渋くて良いな。」
「でしょ着けてみてよ!うち取説見てるから。」
「ん?取説あんのかよ、なんだ電化製品みたいだな。おお!悪くないな、妙にしっくりし過ぎるのが不思議だ。」
「いやさーこの手の英雄遺産って8割が持ち手を選ぶ系?の使用になってるから着けた瞬間に爆発四散とか呪いが掛かるとか
微妙なトラップ多いのがネックなんだよね。ねっほら言ってる傍から着けてるしウケルww」
「ウケルじゃねぇ、このポンコツ!お前が着けろって言ったから着けたんじゃねぇか!普通渡す前に把握しとけポンコツ!」
事態の深刻さに対して空気を読まないミルアルに対してついに手を上げる竜也、頭を二回ほど叩いてしまった。
頭を抱える彼女に仕舞ったと思い顔を覗き込む竜也だがミルアルは少し顔を赤らめて嬉しそうだった。
「えへへ、300年ぶりに頭叩かれちゃった。」「強く叩き過ぎたかと思って心配したのに何でわらってんだ怖いな!」
「こうやって刺激を受けるのが滅多に無いからね、前に受けたのが姉妹会議で一番上のお姉ちゃんに万力拳骨貰って以来だよ!」
「万力拳骨ってお前の姉貴も怖いよ!って話し逸らすな俺呪われたのか?爆発するのか?」
1人アタフタする竜也を余所に空中に映し出されている先程のアイテムの説明書を読んでいるミルアル。
ちなみに説明書の長い解説を要約するとこう書かれていた。
「ぶっちゃけ、着けるだけなら害は無いけど適性が無いと役に立たないって書かれてるよ。爆発しないよ肉片飛び散らないで済んだよラッキー!!」
「ラッキー!じゃねえ!何さらっと怖いこと言ってんだよ俺の事1mmも心配してねぇな!」
「ダイジョブダイジョブ!爆発しても肉片集めて復活させられるアイテム有るから確か5時間ほど煮ると直る奴有ったよね?」
「煮て復活って更に怖いわ!頭痛くなってきた。貰ったは良いけどコレって何なんだよ?」
心底つっこみ疲れてしまった達也が地面に座り込み左手に着けたバングルを眺めている。
「今から達也君が行って貰う世界で400年くらい大陸中で大暴れした魔王の力が宿ってるかなりヤバイ、人間としては
相当無茶したみたいでさお母さんがガチで討伐させて位の人らしいよ。」
ミルアルが竜也の正面に座り先程の説明書の様に空中に画像を浮き上がらせた。そこには無表情な男の顔が映っている。
「こいつが魔王なのか?俺には普通のおっさんにしか見えないが。」竜也は訝しげに映し出されている男を見る。
「うちもアーカイブでしか知らないから何とも言えないけどお母さんが自分の意思で倒させるなんて相当やばい人だって事。」
二人とも座ってなんとなくマッタリトした時間が過ぎていく。「おいポンコツ、茶菓子くらい出せよ。喉乾いた。」
「うわ、いくらお客さんでも自分からお茶欲しがるかな普通!でも出すけど!」
なぜか日本茶とビニール包装されているサラダ味のせんべいが出てきた、余りに見慣れた光景に竜也も突っ込む事を忘れて
自然に手が伸びていた。
「いつも思うけど、じいちゃんばあちゃんてこのせんべい必ず休憩の時に出してくれるんだよな。嫌いじゃないんだけど。」
田舎のご老人宅で仕事をすると10時、15時の休憩時にサラダ味のおせんべいが出る確率は8割を越す!
「美味しいよね、うちもいつの間にか1袋食べちゃうもん。」
二人っきりの空間で煎餅とお茶でマッタリしてしまっている。
暫くして竜也が湯飲みに注がれた緑茶を飲み干すと首を傾げた。
「俺ここに何しに来たんだっけな?」余りにものんびりしている所為で
当事者が自身の置かれている立場を丸忘れしてしまっていた。
「いっけなーい♪まったりお茶してる場合じゃなかったね。
あっちで待たせてるの忘れてた!」
「おいおい、大丈夫か?俺がここに来て結構時間経ってるぞ。正直気が進まねぇが相手方待たせんのは不義理ってもんだろ行くなら行こうぜ。」
いまだに自分が何をすればいいのか分からないでいた竜也だがまあ何とかなるだろうと
開き直っていた。「竜也くんのその前向きなところ結構好みだよ、それじゃー君を待っている人の所え行こう!座標、新生世界ファーダム大陸エーリヒン地域、コネクトB2リザーブポートだいれくとおーぷーん!!」
二人の周りの空間が歪み始め、竜也は足元が無くなるのを感じた。
「おい、ポンコツいきなり大丈夫か?マジで大丈夫か?なんか足元ふわふあー!!!」
竜也の足元に会った空間は無くなり重力に引っ張られるように落下していく。
「うをー!ポンコツどういう事だ!!異世界とかに行く前に死なすきか!」
パラシュート無しのスカイダイビングをさせられている人の気持ちは分かりたくもないが概ねさせた相手を殺したくなるのではなかろうか?物凄い勢いで落ちて行く竜也に平然と追い着くミルアル。
「大丈夫×2!現地にはなんかぴかって感じで現れる的な演出になるから安心してよ後1分ほどで到着だからソレの説明しておくね。」
ミルアルが指を指したのは竜也がつけているバングル『ユリウスの腕輪』。
「その腕輪の中には魔王ユリウスが生前習得していた『ジョブスキル』が内蔵されていて使用者はそれを自分に付け加えることが出来るんだって。」
「ジョブスキルってなんだよそれ!っか、この状況で平然と説明始めんな!落ちてる!俺今現在進行形で落ちている!お!ち!て!る!聞いてるか?!」
「でねー、今の竜也君のメインジョブは「大工棟梁」だけどそれが「魔王」になっちゃうけどいいよね?」
「良いも悪いもねぇー!話し聞いてるかって聞いてんの!この無駄に乳だけでデカイだけのポンコツ娘!」
「うわ!それセクハラだよ!セクシャルハラシュメントだよ!うちのおっぱい厭らしい目で見るな!」
落下しながら喧嘩を始めた二人だが実はもう最初にいた空間から異世界の上空に繋がっていた。それに最初に気が付いたのは竜也だった。
「すげー!こんな綺麗な景色初めて拝んだ!コレが異世界。」
「そうだよここが『新生世界・アイリスタ』君がこれから生きていく世界、うちの生まれた世界。」
高高度から自由落下の最中だが壮大な景色に目を奪われ先程まで喧嘩していたのを竜也忘れてしたが地表が近づくとバングルから竜也の頭の中に声が響く。
(このままでは地面にぶつかりミンチになって死んでしまうぞ。スキルの発動を推奨する。)
「うわ、誰かが頭の中に話しかけて来た、地面近っ!スキルってどおすんだよ!ポンコツ何とかしろっていねえ!!」
竜也が1人アタフタしている、先程まで直ぐ横にいたミルアルの姿が今は無かった。
(君はスキルの使い方も分からない位愚か者なのか、はぁー仕方ないこちらで最適なスキルを発動させる。生き残ったらスキルの使用方法と用途、種類を事前に調べておく事を推奨する。君の隣にいたあの忌々しい女の娘に聞きたまえ。)
腕輪が光だし竜也の脳裏に二つのワードが浮かび上がる。
『縦横無尽』『金剛不壊』
落下する速度が急激に勢いを失って行くがそれでも勢いは止まらない
目の前には木造の屋敷の屋根が迫っている。
「死んでたまるか!!」
竜也の体は屋根を突き破りそのまま床を破壊した地面への落下の衝撃で屋敷自体が大きく軋む、当の竜也は死でもおかしくない衝撃だったがかすり傷程度で済んでいた。しかも自身の体の下に少女がいるではないか。まるで押し倒すような格好になっている上にその右手は少女の胸を触っていた。可愛らしくも気の強そうなその顔に達也は息を呑んだ。しかし右手に触れた感触が余りに身切なかったのでつい照れ隠しのつもりで行ってしまった。
「可愛いなあんた、胸無いけど!」
初対面の少女の胸を触ってしまった気まずさを誉める形で無かった事にしようと思い付き口から出たセリフだったが、それがいけなかった。少女は恥ずかしさと怒りで顔を真っ赤にしていた。
少女の魔力を帯びた全力右ストレートが妙に生真面目な顔をしている竜也の顔面をセリフとほぼ同時に打ち抜く。「お前もか!!!」
かなり最悪の出会いだったがこれが豪快に鼻血を撒き散らしながら後方に倒れ行く青年
『美作竜也』と
怒り心頭世界も狙える右ストレートを放った少女
『シルビ・アクラーナ』の出会い。
そしてその様子をニヤニヤしながら見ている謎の少女
『ミルアル』この3人が作り上げていく物語が始まろうとしていた。
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主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
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突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
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