365日のこまり。

tonari0407

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61日目 サンドバック

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【注意】この話はかなりネガティブな内容を含みます。苦手な方は決して読まないようにお願いいたします。


 言葉の暴力のサンドバックにあった事はありますか?

 こまりはある。嫌な思い出過ぎて、忘れていた。昨夜何故か心の奥から浮いてきて、頭に貼り付いて離れなくなった思い出。言葉の呪い。

 こまりは彼からどうしようもなくダメで最低辺の人間として扱われていた。今思えば、逃げれば良かったと思う。そのとき相談した周りの人は、そうアドバイスしてくれたのに、負の連鎖に陥っていたこまりは逃げられなかった。サンドバックは1年は続いただろうか?

 最終的に『結婚してくれなきゃ死ぬ』と言われていた。

 付き合っていた訳でもない。
 相手がこまりのことを好きだった訳でも勿論ない。
 友達って何かわからないけど、『友達』だったとも言えない。
 ただの『知人』に。

 彼は大学の頃の同級生。社会人になってから再会した。初めのほんの少しの間は昔話に花が咲いて楽しかった。

 彼が『こいつは何を言っても怒らないし、自分より下の人間だからストレスのはけ口にできる』と気がつくのにそんなに時間がかからなかった。

 年収アップの為に転職し、大きな額を動かす営業職。投資等の資産運用もする。

 こまりからみたら彼は『できる人間』で、そんな人間から、頻繁に連絡が来ることはあまりないので、拒否するという選択肢はなかった。

 自己肯定感が低いと『求められている』というだけで嬉しいのだ。それがサンドバックでも。

 彼はただ攻撃するだけではない。基本的には餌をまき、おびき寄せて、こまりが近づいたところをぼこぼこにする。

 電話口では楽しく話せても、直接会うと蔑んだ目で見られて、軽い口調で暴言を吐かれる。

『お前つまんない』
『何言っても【でも】から返すよね。俺が否定されてるみたいですげー嫌』
『その格好何なの?』

 電話で旅行に一緒に行くことを了承するまで、3時間粘られたこともある。国内だけど飛行機でしか行けないその場所に現地集合して、結局傷ついた。他の友達と会えたからそれは無駄ではなかったけれど。

 流石に逃げようとすると、今度は別の言葉で捕まえられた。

『最近全然寝れない』
『病院行っても医者はパソコンばっか見てて俺を見ようとしない』
『遠慮なく本音を言えるのはお前だけ。友達なんていない』
『今から首つる』

 その頃のこまりは彼の暴言も相まって、仕事も辛く、自分自身が帰宅途中に線路に身を投げないようにするだけで精一杯だった。

『死にそうなのにそれでも仕事辞めさせてもらえないのは死ねってことかな?』

 と彼に言ったら、そのときは『俺が職場に行ってかわりに言ってやろうか?』と言ってくれた。時々優しいのだ。根は多分悪い人ではない。

 その頃の職場を『限界だから辞めたい』と言って、辞められたのはその半年後だった。あれも辛かった。

 彼から『結婚してくれなきゃ死ぬ』と言われたのは、丁度その仕事を辞められることになる少し前。こまりもかなり限界だった。

 彼のいう『結婚』とは、『身近に便利に使えて、使い捨てのサンドバックを置きたい』ということだ。

 彼自身、そのころ病んでいたと思うけれど、こまりが彼に伝えた言葉は何一つとして届かなかった。

 それは当たり前だ。彼はこまりのことを『自分より下の人間』だと思っていて、そんな人間の言葉は彼の心には響かない。

 彼と同等もしくは、上の人間から肯定されないと、彼は嬉しくないのだ。

 何とか、距離を置き、追撃で来たメッセージを未読スルーしたら、ブロックされたと思ったのかそれ以上連絡は来なかった。

『色々教えてくれてありがとう。なかなか言ってくれる人はいないから助かった』
 彼が教えてくれたこまりの欠点は沢山あって、それに対する感謝はあった。
 本当は彼を助けたかったけれど、踏みつけにされてこまり自身が沈むのはわかりきっていたので、彼を見捨てた。ごめんなさい。

 今はメッセージアプリのアカウントを消してあるし、電話番号も親以外登録しないようになったので、知らない番号の電話にはでないので、連絡が来ているかどうかもわからない。

 元気にしてるといいな。頑張り屋でできる人だから。

 そう思ったけれど、彼との思い出を思い返したこまりの心は、あの頃の様に沈んでいた。

 どうしようもなくダメな人間。

 その言葉を返上できるのはいつだろう?


【今日できたこと】
 ・過去の経験を今後に活かしたいです。
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