37 / 262
2章 放たれた魔銃と幸運の石
37 放火を裁くのは法か?
しおりを挟む
ジェイソン所長が死んだ。
重要参考人としてテイラン先輩が連れて行かれた。
僕が図書館から研究所に戻ったらそういうことになっていた。
意味が分からない。
研究所は機密データを扱う都合上町の警備兵ではなく、王宮がらみの査察官が動いているようだ。
僕も事情を聞かれたけれど、さっぱり分からないから答えようなど無い。
二人とも研究熱心で仲も良好だった。
まったく状況がつかめない。
査察官の人からは情報を得られなかったので、他の所員から経緯を聞いて回った。
話を総合してみる。
僕が図書館に抜け出している間に所長に来客があった。
王立大学の教授エムルライド氏だ。
僕は氏とは直接会ったことが無い。
所長と同じく氏は研究発表会に参加するので、その打ち合わせだったのだろうか。
それほど長くない時間話した後普通に帰り、その時所長は健在だったのが確認されている。
その後事件が起こる。
所長が魔銃によって腹部、おそらく内臓を貫通して失血死。
研究室の一部が延焼、放火の可能性が高いらしい。
そしてその場にいたのがテイラン先輩だ。
事件後、報を受けてやってきた査察官が尋問したのだけれど、先輩は黙秘を続けたらしい。
一番高い可能性は事故だ。
故意に所長を殺す理由が無い。
けれど先輩が黙秘する理由がさっぱり分からない。
それと研究室が延焼した理由も分からない。
魔銃から炎は出ないし、玉が当たって発火するような物も置いていないはずだ。
直接先輩から話が聞きたかったけれど、連れて行かれてしまったのでそれも叶わない。
研究所は検分が終わるまで閉鎖されることになった。
現場を見ることも出来なくなってしまった。
今日は宿舎に帰るしかないようだ。
僕が研究所から宿舎に帰ろうと歩き始めると、そこにはブラニカさんが立っていた。
顔面蒼白で今にも倒れそうな感じだった。
「ブラニカさん、大丈夫ですか?」
僕がブラニカさんに話しかけると、はっとした表情で僕を見た。
「テイランが連れて行かれて・・・。
彼は絶対に無実よ。
どうすれば・・どうすればいいの?」
ブラニカさんは研究所で注文を受けた帰りだったようだ。
テイラン先輩が査察官に連行される現場を見てしまったらしい。
彼女は自分の服をぎゅっと握って不安を押さえ込もうとしているようだった。
「落ち着いてください。
僕も先輩は無実だと思っています。
どんな事情があるのかはまだ分かりませんが、誤解は必ず解けるはずです。」
「そうね、そうよね。
私がしっかりしないと。
母の容態がちょっと悪くなっちゃってね、それと重なって駄目なところを見せちゃったわね。」
そう言ってブラニカさんは無理矢理笑顔を作った。
「あの、送っていきましょうか?」
「大丈夫よ。
オキスもこんな事があって大変でしょ。
今日は早く休んだ方が良いわ。」
そういうとふらついた足取りで帰って行った。
精神的にかなり疲弊しているのが感じ取れた。
僕が宿舎に帰るとステラさんに心配されてしまった。
相当酷い顔をしていたようだ。
自分では冷静なつもりでいたのだけれど、実際はそうで無かったらしい。
ブラニカさんにも逆に心配をかけたのかもしれない。
こんな時でもステラさんの作った食事はしみるほど美味しかった。
鬱展開無双は勘弁して欲しい。
重要参考人としてテイラン先輩が連れて行かれた。
僕が図書館から研究所に戻ったらそういうことになっていた。
意味が分からない。
研究所は機密データを扱う都合上町の警備兵ではなく、王宮がらみの査察官が動いているようだ。
僕も事情を聞かれたけれど、さっぱり分からないから答えようなど無い。
二人とも研究熱心で仲も良好だった。
まったく状況がつかめない。
査察官の人からは情報を得られなかったので、他の所員から経緯を聞いて回った。
話を総合してみる。
僕が図書館に抜け出している間に所長に来客があった。
王立大学の教授エムルライド氏だ。
僕は氏とは直接会ったことが無い。
所長と同じく氏は研究発表会に参加するので、その打ち合わせだったのだろうか。
それほど長くない時間話した後普通に帰り、その時所長は健在だったのが確認されている。
その後事件が起こる。
所長が魔銃によって腹部、おそらく内臓を貫通して失血死。
研究室の一部が延焼、放火の可能性が高いらしい。
そしてその場にいたのがテイラン先輩だ。
事件後、報を受けてやってきた査察官が尋問したのだけれど、先輩は黙秘を続けたらしい。
一番高い可能性は事故だ。
故意に所長を殺す理由が無い。
けれど先輩が黙秘する理由がさっぱり分からない。
それと研究室が延焼した理由も分からない。
魔銃から炎は出ないし、玉が当たって発火するような物も置いていないはずだ。
直接先輩から話が聞きたかったけれど、連れて行かれてしまったのでそれも叶わない。
研究所は検分が終わるまで閉鎖されることになった。
現場を見ることも出来なくなってしまった。
今日は宿舎に帰るしかないようだ。
僕が研究所から宿舎に帰ろうと歩き始めると、そこにはブラニカさんが立っていた。
顔面蒼白で今にも倒れそうな感じだった。
「ブラニカさん、大丈夫ですか?」
僕がブラニカさんに話しかけると、はっとした表情で僕を見た。
「テイランが連れて行かれて・・・。
彼は絶対に無実よ。
どうすれば・・どうすればいいの?」
ブラニカさんは研究所で注文を受けた帰りだったようだ。
テイラン先輩が査察官に連行される現場を見てしまったらしい。
彼女は自分の服をぎゅっと握って不安を押さえ込もうとしているようだった。
「落ち着いてください。
僕も先輩は無実だと思っています。
どんな事情があるのかはまだ分かりませんが、誤解は必ず解けるはずです。」
「そうね、そうよね。
私がしっかりしないと。
母の容態がちょっと悪くなっちゃってね、それと重なって駄目なところを見せちゃったわね。」
そう言ってブラニカさんは無理矢理笑顔を作った。
「あの、送っていきましょうか?」
「大丈夫よ。
オキスもこんな事があって大変でしょ。
今日は早く休んだ方が良いわ。」
そういうとふらついた足取りで帰って行った。
精神的にかなり疲弊しているのが感じ取れた。
僕が宿舎に帰るとステラさんに心配されてしまった。
相当酷い顔をしていたようだ。
自分では冷静なつもりでいたのだけれど、実際はそうで無かったらしい。
ブラニカさんにも逆に心配をかけたのかもしれない。
こんな時でもステラさんの作った食事はしみるほど美味しかった。
鬱展開無双は勘弁して欲しい。
0
あなたにおすすめの小説
転生貴族の領地経営〜現代知識で領地を豊かにして成り上がる
初
ファンタジー
ネーデル王国の北のリーディア辺境伯家には天才的な少年レイトがいた。しかしその少年の正体は現代日本から転生してきた転生者だった。
レイトが洗礼を受けた際、圧倒的な量の魔力やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のレイトを辺境伯領の北の異種族の住むハーデミア領を治める領主とした。しかしハーデミア領は貧困に喘いだ貧乏領地だった。
これはそんなレイトが異世界の領地を経営し、領地を豊かにして成り上がる物語である。
【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜
あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」
貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。
しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった!
失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する!
辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。
これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!
【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです
yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~
旧タイトルに、もどしました。
日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。
まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。
劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。
日々の衣食住にも困る。
幸せ?生まれてこのかた一度もない。
ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・
目覚めると、真っ白な世界。
目の前には神々しい人。
地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・
短編→長編に変更しました。
R4.6.20 完結しました。
長らくお読みいただき、ありがとうございました。
神様の忘れ物
mizuno sei
ファンタジー
仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。
わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。
現代知識と木魔法で辺境貴族が成り上がる! ~もふもふ相棒と最強開拓スローライフ~
はぶさん
ファンタジー
木造建築の設計士だった主人公は、不慮の事故で異世界のド貧乏男爵家の次男アークに転生する。「自然と共生する持続可能な生活圏を自らの手で築きたい」という前世の夢を胸に、彼は規格外の「木魔法」と現代知識を駆使して、貧しい村の開拓を始める。
病に倒れた最愛の母を救うため、彼は建築・農業の知識で生活環境を改善し、やがて森で出会ったもふもふの相棒ウルと共に、村を、そして辺境を豊かにしていく。
これは、温かい家族と仲間に支えられ、無自覚なチート能力で無理解な世界を見返していく、一人の青年の最強開拓物語である。
別作品も掲載してます!よかったら応援してください。
おっさん転生、相棒はもふもふ白熊。100均キャンプでスローライフはじめました。
ブラック企業でポイントを極めた俺、異世界で最強の農民になります
はぶさん
ファンタジー
ブラック企業で心をすり減らし過労死した俺が、異世界で手にしたのは『ポイント』を貯めてあらゆるものと交換できるスキルだった。
「今度こそ、誰にも搾取されないスローライフを送る!」
そう誓い、辺境の村で農業を始めたはずが、飢饉に苦しむ人々を見過ごせない。前世の知識とポイントで交換した現代の調味料で「奇跡のプリン」を生み出し、村を救った功績は、やがて王都の知るところとなる。
これは、ポイント稼ぎに執着する元社畜が、温かい食卓を夢見るうちに、うっかり世界の謎と巨大な悪意に立ち向かってしまう物語。最強農民の異世界改革、ここに開幕!
毎日二話更新できるよう頑張ります!
異世界転生日録〜生活魔法は無限大!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
☆感想の受付開始しました。
【あらすじ】
異世界に転生したルイは、5歳の高熱を境に、記憶を取り戻す。一度は言ってみたい「ステータス・オープン」で、ステータスを見れることに気付いた。スキル「生活魔法∞(無限大)」を発見。その意味を知るルイは、仄かに期待を抱いた。
それと同時に、今世の出自である農家の四男は、長男大事な両親の態度に、未来はないと確信。
家族に隠れて、ステータスにあったスキルの一つ「鑑定」を使い、村のお婆(薬師)相手に、金策を開始。
十歳の時に行われたスキル鑑定の結果を父に伝えたが、農家向きのスキルではなかったルイは「家の役には立たない」と判断され、早々に家を追い出される。
だが、追放ありがとう!とばかりに、生活魔法を知るべく、図書館がある街を目指すことにしたルイ。
最初に訪れた街・ゼントで、冒険者登録を済ませる。だがそのギルドの資料室で、前世の文字である漢字が、この世界の魔法文字だという事実を知ることになる。
この世界の魔法文字を試したルイは、魔法文字の奥深さに気づいてしまった。バレないように慎重に……と行動しているつもりのルイだが、そんな彼に奇妙な称号が増えて行く。
そして、冒険者ギルドのギルドマスターや、魔法具師のバレンと共に過ごすうちに、バレンのお師匠様の危機を知る。
そして彼に会いにいくことになったが、その目的地が、図書館がある魔法都市アルティメットだった。
旅の道中もさることながら、魔法都市についても、色々な人に巻き込まれる運命にあるルイだったが……それを知るのは、まだ先である。
☆見切り発車のため、後日変更・追記する場合があります。体調が不安定のため、かける時に書くスタイルです。不定期更新。
☆カクヨム様(吉野 ひな)でも先行投稿しております。
異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。
久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。
事故は、予想外に起こる。
そして、異世界転移? 転生も。
気がつけば、見たことのない森。
「おーい」
と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。
その時どう行動するのか。
また、その先は……。
初期は、サバイバル。
その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。
有名になって、王都へ。
日本人の常識で突き進む。
そんな感じで、進みます。
ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。
異世界側では、少し非常識かもしれない。
面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる