魔王の息子に転生したら、いきなり魔王が討伐された

ふぉ

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3章 冒険の始まりと動き出す王国

64 時点を超える辞典

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 ここはフェイステラ渓谷にある窪地。
 僕は相変わらずこの場所にいる。
 時々自分に回復魔法をかけて治癒を促している。
 ブリゲアンからもらったポーションの効果もあって、状態はだいぶ良くなってきた。

『ねえ、ねえったら。』

 僕のユニークスキルから呼び出しだ。

「聞こえてるよ。」

 回復に集中したいので後回しにしたかったのだけど。

『自己紹介して良いかしら。』

「ああ、お願いするよ。」

『えへへ、アタシの名前は・・・無いから付けて。」

 ガクッとする。
 若干傷に響くからやめて欲しい。

「名前は後で付けるから、どういう存在なのか先に教えてくれる?
 最初に君の声が聞こえたのは、賢者の杖とリンクしたときだったね。
 あれは僕の能力が引き上がったから、一時的に君が使える状態だったんだよね。」

『うん、そうだよ。
 今のオキスはレベルが上がったから、賢者の杖無しでアタシを呼び出せるんだよ。」

 呼び出す?
 いや、さっき僕が呼び出されたから。

「岩が落ちてくるときにオキスが言っていた通り、私は魔王種に発現する固有スキルなんだ。
 能力を知りたい?』

「・・・。」

 何かろくでも無い嫌な予感しかしない。

『ねえ、知りたいでしょ。』

「聞いておこうかな。」

 五月蠅くなりそうなので、聞くことにした。

『もう、ノリが分かってないわね。
 私の能力は「異世界の辞典」よ。
 知りたいことを異世界の記録(レコード)から引き出せるすっごい能力なんだから。』

「異世界?
 この世界の情報は?
 魔法の情報とかさ。」

『この世界固有の情報は無理でーす。
 オキスの前世の世界の情報限定だよ。』

「・・・。」

『ちょっと、なんで黙るのよ。』

 やっぱり微妙な能力だった。
 魔力無限回復や空間操作に比べると格下も良いところだ。

「名前を付けよう。」

『あー、話を逸らしたでしょ。』

「sir・・・、いやマズい。
 尻はマズい。
 シーリにしよう。
 君の名前はシーリだ。」

『ちょっとその名前で検索をかけていい?』

「検索?
 構わないけど。」

 シーリの異世界の辞典が発動する。

『あー、酷。
 そういう意味で付けたの?』

 意図がバレた。

「良い名前だと思うよ。
 うん。」

『そ、そお。
 なら良いわ。』

 単純だった。

『それからオキスの能力が上がると私も成長するから。』

「もしかしてこの世界の情報を調べられるようになるの?」

『たぶん無理。
 そういうのじゃなくて、なんとオキスや他の人にも私が姿が見えるように!』

 いらん。

「じゃあ、能力のテストをしてみよう。
 どうやって使えばいいの?」

『ちょっとー、なんで話が変わってるの?
 もー。
 調べたいことを私に言ってくれれば、何でも調べるよ。
 オキスからの命令があればオッケー。
 アタシ自身には直接のアクセス権は無いのよね。
 オキスが引き出した情報を私が伝える感じなの。』

「ますます微妙・・・。」

『ん、何か言った?』

「いや、じゃあ今の日本の総理大臣とか調べられる。」

『オッケー、調べるよ。』

 僕は前世の世界の情報をいくつか引き出した。
 前世で死ぬ前後の情報も。
 そんなに知りたかったことじゃないんだけど一応ね。
 こうして僕は前世の世界の情報を引き出す能力を手に入れた。






 前世の情報でどうにかして無双したい。
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