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3章 冒険の始まりと動き出す王国
66 地震には自信があります
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僕達は無事村へ到着した。
渓谷から戻ってきた冒険者は半数で、残りは洞窟の探索をしている。
もう夜になるのにご苦労である。
僕とエランが宿へ戻ると、個室に隔離されていたエリッタが本当にペッドに縛り付けられていた。
「エリッタ大丈夫?」
僕が声をかける。
「それはこっちの台詞だよ。
本当に心配したんだから。
あの状況でどうやって生き残ったんだよ?」
エリッタの目が真っ赤だ。
エランがエリッタの拘束を解く。
「細かいことは後で話しますよ。
これはお見舞いです。」
僕は帰り道の途中で摘んできた青い花を渡す。
「アタイは花なんかに興味は無いよ。
一応受け取っておくけどさ。
食べ物を持ってきてよ。」
「そういえばお腹が減りましたね。
調達してきます。」
僕とエランは近くの酒場で食べ物を包んでもらった。
宿に戻るとエリッタがぼうっとした表情で花を見ていた。
僕達が入ってきたことに気がつくと何故か慌てていた。
「ちょっと、レディの部屋に入るならノックぐらいしなよ。」
「レディ?」
エランが思ったことを声に出してしまった。
僕は堪えた。
「何さ。」
エリッタに睨まれるエラン。
「ほら、これを食うんだろ。」
エランは誤魔化すかのごとく酒場で調達した食料を渡す。
「よっしゃー。
いててて。」
大きな声を出すとヒビの入った肋骨に響くようだ。
その他、全身打撲で炎症を起こしている。
そのせいで熱も出ているのだ。
「自分の怪我を忘れるなよ。
それを食べたら安静にしていろよ。
オキスも無事だったんだし、ゆっくり傷を治せ。」
エランが忠告する。
「分かってるよ。」
エリッタはあきらめ顔で答えた。
「じゃあ、俺たちも食事をとってくる。
オキスも腹が減っているだろう。
それとも眠いか?」
「食事にします。
さすがに疲れました。
食べ終わったら寝たいです。」
「そうか、じゃあ飯にしよう。
色々あったが一応は魔晶石も見つけたし、ちょっと豪勢にしてもいいだろう。」
「ちょっとアタイはこれだけなのは不公平じゃ無い?」
「出歩いたら傷が痛むだろ。
せめて熱が引いたらもっと旨い物をみんなで食おう。」
「そうですね。
明日、僕の魔力が多少なりとも回復したら、魔法で治療します。
完全にとは行きませんが炎症ぐらいは抑えられますよ。」
現在の僕の魔力はスッカラカンだ。
「ちぇ。」
エリッタは不満そうだ。
その後、僕とエランは酒場でちょっと豪勢な食事をとった。
食べている最中に他の冒険者に質問攻めに遭いそうになったけれど、エランが旨く躱してくれた。
僕の救出に出てくれた冒険者もいたので、その人達にはお礼を言った。
そして宿に戻り睡眠をとる。
爆睡という言葉が適切なほど深い睡眠だった。
そのまま朝まで・・・とは行かなかった。
「オキス、起きろ。」
エランの声で目を覚ます。
「どうしたんですか?」
「揺れてる。」
「揺れ?あ、確かに地震ですね。」
震度3ぐらいだろうか。
巨大クルタトルが散々地面を揺らしてくれたのを思い出す。
今回はあの揺れとは違い本物の地震のようだ。
横揺れなので震源地は遠いような気がする。
そういえばこの世界に来てから地震が起きたのは初めてのような気がする。
「おい、なんでそんなに冷静なんだ?」
エランが真っ青になっている。
「いや、そこまでの揺れじゃ・・・。」
僕、元日本人。
エラン、大陸の人。
ああ、地震に対する感覚が違うのか。
そうこうしているうちに揺れが収まる。
僕が起きる前からなので、結構長めの地震だったのだろう。
エランは相変わらず顔が青い。
「もう、大丈夫みたいですよ。
エリッタの様子を見に行きますか?」
「ああ、そうしよう。」
エリッタの部屋をノックする。
返事が無かったけれど、そのまま入る。
ペッドの上でエリッタが泣いていた。
「エリッタ大丈夫?」
真っ青になってガクガク震えていた。
巨大クルタトル相手の時でもそんなになっていなかったのに。
イマイチこの世界の人の地震に対する感覚がよく分からない。
「ア、アア。
アタイハダイジョウブ。
ベツニビビッテナンカイナイヨ。
アンタタチコソ、ドウナノヨ。」
エリッタ、かっちこちや。
「そう?
地震は一応収まったみたいだし、僕はもう少し寝ますね。」
エリッタが「えっそれだけ?」という顔をしている。
エランもまだ顔が青い。
「寝るのか?」
信じられないという顔でエランが聞いてくる。
「はい。」
こうして僕は中断していた睡眠を再開した。
村の外がガヤガヤしていたような気がするけれど。
唐突に起きた地震が、何らかのイベントの幕開けで無いことを祈りたい。
地震魔法が使えたら無双できそうだ。
渓谷から戻ってきた冒険者は半数で、残りは洞窟の探索をしている。
もう夜になるのにご苦労である。
僕とエランが宿へ戻ると、個室に隔離されていたエリッタが本当にペッドに縛り付けられていた。
「エリッタ大丈夫?」
僕が声をかける。
「それはこっちの台詞だよ。
本当に心配したんだから。
あの状況でどうやって生き残ったんだよ?」
エリッタの目が真っ赤だ。
エランがエリッタの拘束を解く。
「細かいことは後で話しますよ。
これはお見舞いです。」
僕は帰り道の途中で摘んできた青い花を渡す。
「アタイは花なんかに興味は無いよ。
一応受け取っておくけどさ。
食べ物を持ってきてよ。」
「そういえばお腹が減りましたね。
調達してきます。」
僕とエランは近くの酒場で食べ物を包んでもらった。
宿に戻るとエリッタがぼうっとした表情で花を見ていた。
僕達が入ってきたことに気がつくと何故か慌てていた。
「ちょっと、レディの部屋に入るならノックぐらいしなよ。」
「レディ?」
エランが思ったことを声に出してしまった。
僕は堪えた。
「何さ。」
エリッタに睨まれるエラン。
「ほら、これを食うんだろ。」
エランは誤魔化すかのごとく酒場で調達した食料を渡す。
「よっしゃー。
いててて。」
大きな声を出すとヒビの入った肋骨に響くようだ。
その他、全身打撲で炎症を起こしている。
そのせいで熱も出ているのだ。
「自分の怪我を忘れるなよ。
それを食べたら安静にしていろよ。
オキスも無事だったんだし、ゆっくり傷を治せ。」
エランが忠告する。
「分かってるよ。」
エリッタはあきらめ顔で答えた。
「じゃあ、俺たちも食事をとってくる。
オキスも腹が減っているだろう。
それとも眠いか?」
「食事にします。
さすがに疲れました。
食べ終わったら寝たいです。」
「そうか、じゃあ飯にしよう。
色々あったが一応は魔晶石も見つけたし、ちょっと豪勢にしてもいいだろう。」
「ちょっとアタイはこれだけなのは不公平じゃ無い?」
「出歩いたら傷が痛むだろ。
せめて熱が引いたらもっと旨い物をみんなで食おう。」
「そうですね。
明日、僕の魔力が多少なりとも回復したら、魔法で治療します。
完全にとは行きませんが炎症ぐらいは抑えられますよ。」
現在の僕の魔力はスッカラカンだ。
「ちぇ。」
エリッタは不満そうだ。
その後、僕とエランは酒場でちょっと豪勢な食事をとった。
食べている最中に他の冒険者に質問攻めに遭いそうになったけれど、エランが旨く躱してくれた。
僕の救出に出てくれた冒険者もいたので、その人達にはお礼を言った。
そして宿に戻り睡眠をとる。
爆睡という言葉が適切なほど深い睡眠だった。
そのまま朝まで・・・とは行かなかった。
「オキス、起きろ。」
エランの声で目を覚ます。
「どうしたんですか?」
「揺れてる。」
「揺れ?あ、確かに地震ですね。」
震度3ぐらいだろうか。
巨大クルタトルが散々地面を揺らしてくれたのを思い出す。
今回はあの揺れとは違い本物の地震のようだ。
横揺れなので震源地は遠いような気がする。
そういえばこの世界に来てから地震が起きたのは初めてのような気がする。
「おい、なんでそんなに冷静なんだ?」
エランが真っ青になっている。
「いや、そこまでの揺れじゃ・・・。」
僕、元日本人。
エラン、大陸の人。
ああ、地震に対する感覚が違うのか。
そうこうしているうちに揺れが収まる。
僕が起きる前からなので、結構長めの地震だったのだろう。
エランは相変わらず顔が青い。
「もう、大丈夫みたいですよ。
エリッタの様子を見に行きますか?」
「ああ、そうしよう。」
エリッタの部屋をノックする。
返事が無かったけれど、そのまま入る。
ペッドの上でエリッタが泣いていた。
「エリッタ大丈夫?」
真っ青になってガクガク震えていた。
巨大クルタトル相手の時でもそんなになっていなかったのに。
イマイチこの世界の人の地震に対する感覚がよく分からない。
「ア、アア。
アタイハダイジョウブ。
ベツニビビッテナンカイナイヨ。
アンタタチコソ、ドウナノヨ。」
エリッタ、かっちこちや。
「そう?
地震は一応収まったみたいだし、僕はもう少し寝ますね。」
エリッタが「えっそれだけ?」という顔をしている。
エランもまだ顔が青い。
「寝るのか?」
信じられないという顔でエランが聞いてくる。
「はい。」
こうして僕は中断していた睡眠を再開した。
村の外がガヤガヤしていたような気がするけれど。
唐突に起きた地震が、何らかのイベントの幕開けで無いことを祈りたい。
地震魔法が使えたら無双できそうだ。
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