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3章 冒険の始まりと動き出す王国
68 越権のような謁見
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王国首都ロブルトンへの帰りの馬車の中、エランが言いづらそうに口を開く。
「みんなに謝っておくことがある。」
エランは物々しい口調だ。
「そんな深刻な顔でどうしたんですか?」
僕は聞いた。
「今回俺がオキスに付いてきたのは、エムストロム様に命じられたからだ。
本当にすまない。」
教官が一枚噛んでいた。
僕の身を案じてのことだろう。
そういうこともあるとは思っていたので想定の範囲内だ。
「そんな可能性もあるかなとは思ってましたよ。
別に気にしてませんから謝らないでください。」
「そうだよ、事情なんて人それぞれさ。」
エリッタも同意する。
「ちなみにエリッタも、何か事情がありそうだけど僕は気にしないですよ。」
僕はカマをかけてみる。
「え、アタイは別に。
じ、事情なんてナイヨ。」
明らかに何かありそうだけど、突っ込むのはよそう。
二人のおかげで、沢山の経験を積むことが出来た。
そしてこの冒険で新しい情報を得ることも出来た。
何度も死にそうになっただけの甲斐はあっただろう。
僕達は街へ戻り、冒険者ギルドに結果報告をした。
そして少なくない小遣いを手にした。
その後、僕はクルデウス師匠にも報告を行った。
「うむ、課題はクリアじゃ。
よくやった。
ところでオキスよ。」
満足げに微笑む師匠。
この課題のせいで死にそうにはなったけど結果オーライだ。
次は何をやらされるのだろう。
「はい、師匠。」
僕は返事をする。
「ヌシはこれから国王陛下と謁見じゃ。」
なるほど、王国なんだから当然国王はいるよね。
「はい。
・・・え?」
謁見?
「では付いてくるのじゃ。」
「ちょっと、師匠?」
師匠がどんどん行ってしまうので、僕は慌てて後をついて行く。
王宮の中で普段僕が立ち入れない場所に連れて行かれる。
師匠がいるので衛兵に呼び止められることは無い。
そして謁見の間へたどり着く。
「ここからは一人で進むのじゃ。」
「状況が掴めないんですが、なんで国王陛下に呼ばれたんですか?」
「ヌシの顔が見たいとの仰せじゃ。
緊張せずとも良い。
さあ、行け。」
心の準備も何も無く謁見の間の扉が開く。
突っ立ているわけにもいかないので、僕は中へ進んだ。
そこにいたのは美男子という表現がぴったりな二十代後半の人物だった。
その人物はごく自然に玉座に腰掛けている。
王のための椅子に何の違和感も無い威厳、これが歴史ある王国の最高権力者というやつだろう。
僕は王の前で膝を折る。
そして頭を下げる。
儀礼として僕から声を発してはならない。
「オキス、面(おもて)を上げよ。」
僕は顔を上げた。
「ふむ、強き意志を秘めておるな。
ジジイ・・・クルデウスが言っていた通りだ。」
もしや普段国王からジジイって呼ばれているんだろうか。
「研究所の一件は聞いておる。
そなたの働き、その歳では考えられぬ。」
「恐悦至極にございます。」
僕は無難な返答を返しておく。
「そして巨大クルタトルの討伐、見事であった。」
え、そっちも耳に入ってるの?
師匠に報告したのはさっきなんだけど?
「そう不思議そうな顔をするな。
王たる者、国の機微を知っておらねば話にならぬ。」
怖ぁ、この人怖ぁ。
「ところで選定の剣を抜いた件。
司教からは大聖堂へ連れて行きたいと申し出があったが、其方(そち)はどうしたい。」
帝国へ行く理由が欲しかったところなので、ある意味渡りに船だ。
「行ってみたいと思っております。」
「そうか。
余は其方が勇者かどうかは重要では無いと思っておる。」
期待されてないのか。
「余の元で直接、力を貸してはくれぬか?」
いきなりのヘッドハンティングだった。
国家権力無双か。
「みんなに謝っておくことがある。」
エランは物々しい口調だ。
「そんな深刻な顔でどうしたんですか?」
僕は聞いた。
「今回俺がオキスに付いてきたのは、エムストロム様に命じられたからだ。
本当にすまない。」
教官が一枚噛んでいた。
僕の身を案じてのことだろう。
そういうこともあるとは思っていたので想定の範囲内だ。
「そんな可能性もあるかなとは思ってましたよ。
別に気にしてませんから謝らないでください。」
「そうだよ、事情なんて人それぞれさ。」
エリッタも同意する。
「ちなみにエリッタも、何か事情がありそうだけど僕は気にしないですよ。」
僕はカマをかけてみる。
「え、アタイは別に。
じ、事情なんてナイヨ。」
明らかに何かありそうだけど、突っ込むのはよそう。
二人のおかげで、沢山の経験を積むことが出来た。
そしてこの冒険で新しい情報を得ることも出来た。
何度も死にそうになっただけの甲斐はあっただろう。
僕達は街へ戻り、冒険者ギルドに結果報告をした。
そして少なくない小遣いを手にした。
その後、僕はクルデウス師匠にも報告を行った。
「うむ、課題はクリアじゃ。
よくやった。
ところでオキスよ。」
満足げに微笑む師匠。
この課題のせいで死にそうにはなったけど結果オーライだ。
次は何をやらされるのだろう。
「はい、師匠。」
僕は返事をする。
「ヌシはこれから国王陛下と謁見じゃ。」
なるほど、王国なんだから当然国王はいるよね。
「はい。
・・・え?」
謁見?
「では付いてくるのじゃ。」
「ちょっと、師匠?」
師匠がどんどん行ってしまうので、僕は慌てて後をついて行く。
王宮の中で普段僕が立ち入れない場所に連れて行かれる。
師匠がいるので衛兵に呼び止められることは無い。
そして謁見の間へたどり着く。
「ここからは一人で進むのじゃ。」
「状況が掴めないんですが、なんで国王陛下に呼ばれたんですか?」
「ヌシの顔が見たいとの仰せじゃ。
緊張せずとも良い。
さあ、行け。」
心の準備も何も無く謁見の間の扉が開く。
突っ立ているわけにもいかないので、僕は中へ進んだ。
そこにいたのは美男子という表現がぴったりな二十代後半の人物だった。
その人物はごく自然に玉座に腰掛けている。
王のための椅子に何の違和感も無い威厳、これが歴史ある王国の最高権力者というやつだろう。
僕は王の前で膝を折る。
そして頭を下げる。
儀礼として僕から声を発してはならない。
「オキス、面(おもて)を上げよ。」
僕は顔を上げた。
「ふむ、強き意志を秘めておるな。
ジジイ・・・クルデウスが言っていた通りだ。」
もしや普段国王からジジイって呼ばれているんだろうか。
「研究所の一件は聞いておる。
そなたの働き、その歳では考えられぬ。」
「恐悦至極にございます。」
僕は無難な返答を返しておく。
「そして巨大クルタトルの討伐、見事であった。」
え、そっちも耳に入ってるの?
師匠に報告したのはさっきなんだけど?
「そう不思議そうな顔をするな。
王たる者、国の機微を知っておらねば話にならぬ。」
怖ぁ、この人怖ぁ。
「ところで選定の剣を抜いた件。
司教からは大聖堂へ連れて行きたいと申し出があったが、其方(そち)はどうしたい。」
帝国へ行く理由が欲しかったところなので、ある意味渡りに船だ。
「行ってみたいと思っております。」
「そうか。
余は其方が勇者かどうかは重要では無いと思っておる。」
期待されてないのか。
「余の元で直接、力を貸してはくれぬか?」
いきなりのヘッドハンティングだった。
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