魔王の息子に転生したら、いきなり魔王が討伐された

ふぉ

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4章 神の雷光と裏切りの花

102 神魔砲の最後ドン 

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 どうやら作戦は成功したようだ。
 僕は自分の役割を完遂した。
 僕のここでの仕事は、あくまで師匠の注意を引くことだったのだから。

「どうやら始まったようです。
 もう、遺跡の封印は解除されましたよ。」

 僕の言葉に一瞬表情を崩す師匠。

「なんと!?」

 師匠も異変に気がついたようだ。

「遺跡の封印を解くには、僕と賢者の杖が必要だと思っていたでしょう?
 でも違いますよ。
 僕以外にも封印解除の問いに答えられる人物がいます。
 ギスケです。」

「馬鹿な、魔神ギスケを仲間に引き込んだというのか?
 しかし奴は今頃、カーランド王国に釘付けになっているはず。
 転移装置がまだあるというのか?」

 ギスケがカーランド王国に向かったのも師匠の策謀だったらしい。
 本当にこの人は・・・。

「僕の発明品の一つに通信機というのがあるんですよ。
 離れた場所に情報を飛ばす装置です。
 ちょっと離れすぎているので中継局を作りましたけどね。
 どうやら無事に仲間がギスケに封印解除の答えをもらうことが出来たようです。」

 僕は師匠に何をしたのかを伝えた。

「・・・。」

 師匠は黙って聞いていた。

「師匠は僕をここに足止めしていれば何も出来ないと思っていたようですが、逆ですよ。
 僕が師匠の足止めをしてたんです。」

「やってくれるではないか。」

 一通り聞き終わった師匠が、嬉しそうにそう言った。
 こんな状況で嬉しそうなのは、弟子の成長を喜んでいるんだろうか?

「いつも師匠にやられてますからね。
 たまにはこういうのもありですよ。」

 その時、研究所が大きく揺れた。
 体勢を崩す師匠。
 僕はその隙に、賢者の杖をとる。

「賢者の杖は返してもらいます。
 さて師匠、これからどうしますか?
 たぶん今の僕では賢者の杖を使っても師匠には勝てません。
 ただ足止めは可能です。」

 研究所の揺れは激しさを増す。

「この揺れは封印解除の影響でしょう。
 世界を繋ぐ装置の上に神魔砲が載っている状態。
 そして封印解除によって魔力の流れが、元々の装置に流れ込もうとしている。
 このままいけば神魔砲が暴走するんじゃないですか?」

「弟子と心中するというのも一興ではあるが、ここは引こう。
 今回は私の負けだの。
 弟子の成長を見られて喜ばしい限りじゃ。」

「師匠、いずれ僕が力を示すことが出来たら、神との戦いに協力してください。
 まだ僕は未熟ですが、必ず師匠に認めてもらえるような力を付けます。」

「・・・よかろう。
 だがその力が及ばなかったとき、次はヌシを倒さなければならない。
 重々承知せよ。」

「はい。」

 良かった、師匠が本気で仕掛けてこなくて。
 どこまでやれるか試してやろうとか言い出す可能性もあったんだよね。
 そうしたら精神魔法フルブーストで対抗しようと思っていたけど、師匠は感情のコントロールが上手い。
 だからどこまでやれるか全く未知数だった。

「それとエイデ砦の魔術装置の件、私に情報を持ち込んだのは魔族じゃ。
 これから何を信じるか、良く考えるのじゃ。」

「師匠、承知しました。」

「そこの使えぬ者は残していく、ヌシの好きにするが良い。」

 師匠はそう言うと、部屋を出て行った。
 そして撤収の指示を出す声が聞こえる。
 そしてこの部屋には僕とエリッタがいるだけになった。
 正確には見えるようになったシーリがいるけれど、頭数から外しておきたい。
 エリッタから報告を受けていたからだろうけど、見事に師匠からはスルーされていた。

 エリッタは俯いたまま動かない。
 このまま死ぬ気なのかもしれない。

「エリッタ、まだ死ぬ時じゃ無い。
 死ぬまでは生きるんだ!」

 僕はエリッタの腕を掴んだ。







 師匠無双は回避した。
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