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5章 希望の家と集う仲間
142 ハイになる徘徊
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師匠は遺跡町に付いてくることになった。
本当は王国のとりまとめをして欲しいのだけれど、見るまでは帰らないとごねられてしまった。
全員乗せるとさすがに定員オーバーなので、ブリューデンには二往復してもらう。
一便目に僕、師匠、エリッタ、サリアで残りを再びサリアが乗って迎えに行く。
僕達が遺跡町に到着すると、取り仕切りを任せていたエンドールが駆け寄ってきた。
彼から報告を受けて、多少の指示を出す。
大きな問題は発生していない。
逆に僕がいるときよりも計画が順調だった。
はてさて、それは喜ぶべきなのか。
そんな間に、師匠がブツブツ言いながら勝手にうろつき始めていた。
エリッタが渋々といった感じでついて行っている。
徘徊老人みたいに見えるから、せめてブツブツ言うのを止めて欲しい。
「これが科学の向こう側か。
ふむふむ、おぉぉぉ。」
子供みたいな徘徊老人を作業中のドワーフ達が珍しい者を見るような目で見ている。
僕は師匠に追いつき、遺跡町の現状を説明した。
「オキスよ、さっきから遺跡町と言っておるが、本当の名前は何というのだ?」
師匠が僕に聞く。
「ありませんよ。」
面倒くさいから付けなかった。
「なんと、普通は最初に付けるものでは無いか?」
師匠が驚いた声を上げる。
「そうですかね。」
僕のテンションは低い。
「私が付けて良いかの?」
「良い名前なら採用しますよ。」
「レイネスでどうかの?」
どういう意味だろう。
「意味はどういう?」
僕は師匠に聞く。
「私の未練かの。
昔、ここで死んだ女の名前だ。」
僕は意味を理解した。
そうか、そういえば師匠はここで好きだった人を失ったのだ。
「笑顔でみんなを助けるんですね。」
僕は彼女が最後に言ったという言葉を思い出した。
「エリザから聞いておるのか・・・。
私の尺度では、みんなの中には人間しか含まれていなかったのだ。
しかし弟子が魔族では、その尺度を変えねばならぬのであろうな。」
師匠が今までで一番の笑顔になった。
「一つ土産をもらえるか?」
僕は師匠に通信機を五台と説明書を渡した。
これで師匠が裏切ったらえらいことになるが、僕は師匠を信用することにした。
「ヌシはこのあとどうする?」
「お土産を沢山持って魔領に里帰りします。
上手く話をまとめたいところですが、もしかしたら親族で喧嘩になるかも知れません。」
「そうか。
私の方はクルセイダーズの動きをできる限り封じよう。
ついでに後ろで糸を引いている者を、逆にたぐり寄せてみるかの。」
「お気を付けて。」
「だれに言うておる?」
「そうですね。
ただ、魔法を封じる力が気になります。
お土産の数を増やしますね。」
「太っ腹だの。」
「それなりに儲かってますから。」
「では次は小遣いをせびりに来るかの。
投資はしてみるものだ。」
「帰る前にもう一つ聞いておきたい。」
師匠は僕に重要な質問を投げかけてきたのだった。
徘徊無双だった。
本当は王国のとりまとめをして欲しいのだけれど、見るまでは帰らないとごねられてしまった。
全員乗せるとさすがに定員オーバーなので、ブリューデンには二往復してもらう。
一便目に僕、師匠、エリッタ、サリアで残りを再びサリアが乗って迎えに行く。
僕達が遺跡町に到着すると、取り仕切りを任せていたエンドールが駆け寄ってきた。
彼から報告を受けて、多少の指示を出す。
大きな問題は発生していない。
逆に僕がいるときよりも計画が順調だった。
はてさて、それは喜ぶべきなのか。
そんな間に、師匠がブツブツ言いながら勝手にうろつき始めていた。
エリッタが渋々といった感じでついて行っている。
徘徊老人みたいに見えるから、せめてブツブツ言うのを止めて欲しい。
「これが科学の向こう側か。
ふむふむ、おぉぉぉ。」
子供みたいな徘徊老人を作業中のドワーフ達が珍しい者を見るような目で見ている。
僕は師匠に追いつき、遺跡町の現状を説明した。
「オキスよ、さっきから遺跡町と言っておるが、本当の名前は何というのだ?」
師匠が僕に聞く。
「ありませんよ。」
面倒くさいから付けなかった。
「なんと、普通は最初に付けるものでは無いか?」
師匠が驚いた声を上げる。
「そうですかね。」
僕のテンションは低い。
「私が付けて良いかの?」
「良い名前なら採用しますよ。」
「レイネスでどうかの?」
どういう意味だろう。
「意味はどういう?」
僕は師匠に聞く。
「私の未練かの。
昔、ここで死んだ女の名前だ。」
僕は意味を理解した。
そうか、そういえば師匠はここで好きだった人を失ったのだ。
「笑顔でみんなを助けるんですね。」
僕は彼女が最後に言ったという言葉を思い出した。
「エリザから聞いておるのか・・・。
私の尺度では、みんなの中には人間しか含まれていなかったのだ。
しかし弟子が魔族では、その尺度を変えねばならぬのであろうな。」
師匠が今までで一番の笑顔になった。
「一つ土産をもらえるか?」
僕は師匠に通信機を五台と説明書を渡した。
これで師匠が裏切ったらえらいことになるが、僕は師匠を信用することにした。
「ヌシはこのあとどうする?」
「お土産を沢山持って魔領に里帰りします。
上手く話をまとめたいところですが、もしかしたら親族で喧嘩になるかも知れません。」
「そうか。
私の方はクルセイダーズの動きをできる限り封じよう。
ついでに後ろで糸を引いている者を、逆にたぐり寄せてみるかの。」
「お気を付けて。」
「だれに言うておる?」
「そうですね。
ただ、魔法を封じる力が気になります。
お土産の数を増やしますね。」
「太っ腹だの。」
「それなりに儲かってますから。」
「では次は小遣いをせびりに来るかの。
投資はしてみるものだ。」
「帰る前にもう一つ聞いておきたい。」
師匠は僕に重要な質問を投げかけてきたのだった。
徘徊無双だった。
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