幼馴染は人気グラドル

杏仁豆腐

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引越し業者が来たのはその日の午後。
俺たちは自分の荷物を仕分けして業者に任せて見守っていた。
長年住んでいた部屋があっという間にもぬけの殻。あっさりとしてるなぁ~。
何か寂しい気分だぜ。


「拓~。そろそろいくぞぉ~」
「あーい。もう春日部さん来たのか?」
「うん。外で待ってる。あまり待たせるのも可哀そうじゃん。さっさと行くぞ~」
「わーったよ。あ、大家に挨拶に行かなきゃ」
「春日部さんが済ませたって言ってたよ。拓おそーい」
「……さーせん」


外に行くと車の中で春日部さんが待っていた。
俺と愛紀はその車に乗り込んで事務所近くにあるマンションに連れていかれた。
んで降りた場所はなんとっ。




「すげーでけー」
「拓。何口あけっぱ。恥ずいんだけど」
「わりー。流石に驚いたわ」
「お二人ともこちらです」



春日部さんが俺たちをエレベータに乗せて着いた階はなんと10階!! 
おいおい芸能人みたいじゃんか。
ここ相当高そうなんだけど。
それにオートロックだったし。


そうそう。
入り口に警備員が居たんだけど。
めちゃ高そう……家賃。




「ここです。1010号室。これからあなた達二人はここで生活してもらいます。さ、どうぞ」
「し、失礼します」
「疲れたー」


愛紀は全く動じず部屋に入ると置いてあったソファに腰かけて足をバタバタさせていた。ん? 
家具が既に置いてあるってことは……。
俺も部屋に入ってみると既に家電も家具も何もかも揃っているじゃないですかっ!



「おいおい。これすっご。ここでマジで生活すんだな……」
「大塚さん。これは社長からの伝言ですが『これから頑張ってね』だそうです。慣れるまでは私がサポートするよう社長に言われています。一応私もマネジャーとして愛紀とは行動を共にします」
「わかりました。それにしても……って。あれ? あのぉ~。俺たちの部屋は?」
「個室なんてありませんよ。あ、寝るベッドはこちらの部屋です」



ちょ、ちょっと待てって……。
プライベート無いの? 
え? 
マジで!?



「愛紀……どうするよ」
「何がよ」
「俺たち、二人でここに暮らすんだってよ」
「当たり前じゃない。そのためにここに居るんだから」
「お前はそれでいいのか?」
「仕方ないじゃない」



何でそんな堂々としていられるんだ。
俺は焦ってるんだけどっ!!



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