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17 報復と助け船

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私と王太子が婚約したことが発表されるとこの二人はどう思うのだろう。
祝福してくれるのだろうか。
それとも……。
私はそんなマイナスな事を思いながら歩いていると後ろから私を呼ぶ声がした。
マリア―ヌ様とその取り巻き達だった。


「マリエットさん? 泥棒猫さん、よくもまぁこんなことろへ来れたものだわ。全くどういう神経をしているのかしら」
「アリアーヌ様。私の所為ではありません。あれは決まったことなのです」
「わたくしをバカにしているの? そもそもわたくしが王太子との婚約が決まっていたことなのに、なぜ急に話が変わってしまったのかしら!?」


そうよ、そうよ、取り巻き達が騒ぎ出す。
それらを素通りしている令嬢や御曹司達。
この状況で助けに来てくれるようなお人よしなんていないに決まっている。
私は隣にいたリエットとクリシアを講堂へ行くように伝えると私の周りを取り囲んでいたマリア―ヌ様達に連れられて裏庭に向かった。
誰も来ないここで私は彼女達につるし上げに会うのだと思いながら歩いていた。
裏庭に着くと再びマリア―ヌ様が両腕を組んだまま話し出した。


「いったい何がどうなったらこんなことになるのかしら!」
「知りません」


本当にどうしてこんなことになったのか、こっちが訊きたい。
それに私には好きな人が居たんだ。
その気持ちを押し殺してまで王太子との婚約をすることを決めたんだよ。


「貴女は王太子様とどのような互換家なのですか?」
「昔何度か子供のころ遊んだ仲です」
「ただそれだけ?」
「はい」


それだけだった。
ただその時に私にけがを負わせたことで王太子が私の事を一生面倒を見ると言ったことは言わないでおいた。
その話をすればややこしいことになると思ったから。
マリアーム様はご立腹なご様子で取り巻き達は私に対して蔑んだ目で睨みつけていた。
囲まれてしまった私はなすすべなくその場で俯いたままでいると大きな声がした。


「そこで何をしているっ!!」
「だ、誰!?」
「おいっ。マリエットか?? 大丈夫か?」


そこへやって来たのは偶然に通りかかったというアドルフだった。
アドフルは取り巻き達を睨みつけながら私の前に立ち止まりマリア―ヌに話しかけた。


「こんなことをして……ただで済むと思っているのか? 一人を苛めるような真似をして」
「貴方には関係ない事ですわ、アドルフ。わたくしは今マリエットさんとお話をしている所ですの。邪魔しないでくださいなっ!」
「こんな……一人を囲んで何が話し合いだ。これは苛めじゃないか。マリエット、こんなやつらの事をいちいち対応することない。私と一緒に来い。講堂に行こう」
「アドルフ……」


私の手を握ったアドルフは取り巻き達をかき分け講堂に向かって歩き出した。
私の心はドキドキが止まることはなかった。
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