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第一章〜完璧美少女〜
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【14歳の恋】
俺、桃山 守鋭(モモヤマ カミト)。中2。ごく普通の男子中学生。そんな俺は、学校1の美少女、片倉 天毱(カタクラ テマリ)と付き合ってるんだ!
綺麗な純白の髪に銀色の瞳のテマリ。可愛い上に、面倒見も良く、俺のバスケの練習や試合には必ず手作り弁当を持って応援しに来てくれる。
俺にはもったいないくらいの自慢の彼女だ。
テマリは美術部に所属していて、本当に絵が上手い。3年の先輩が引退したら部長になるのは多分テマリだろうと美術部員が言っていた。
理想の彼女との幸せな毎日…
でも、幸せは、そう長くは続かなかった。
『ねえ、今どこにいるの?』『誰といるの?』『カミト!』『返信してよ…』『女といるの?』『浮気したら殺すから』
付き合って3ヶ月くらいの頃からかな。テマリの本性がわかってきたんだ。テマリは所謂、メンヘラだったのだ。最初は面倒見が良い彼女だと思っていたけど、違った。
テマリは、俺を監視していたのだ。他の女と話していないか。他の女と笑っていないか。
俺は次第に、テマリの束縛が怖くなった。そして今日、俺はついにテマリに別れを告げた。
【彼女の未練】
「…分かった。じゃあ、最後にうちに来て。今日だけでいい。カミトと一緒にいたい。」
そう言われ、俺はここで断るのもなんだし、最後にテマリの家に行くことにした。
ーーーーーーーーーー
テマリの親は金持ちで、家はヨーロッパの貴族の屋敷みたいだ。(高校3年生のお兄さんは、高級マンションで彼女と同居しているらしい。)
家に入ると、テマリは俺を、いつもの2階の自分の部屋ではなく、地下室に案内した。
地下室に入るのは初めてだ。油絵とかは地下で描いてるのかな?
そんなことを考えながら、階段を下りていく。
奥の方の部屋に案内され、先に入れられた。まるで学校の美術室のような部屋だ。そんな事を考えていると、
ガコンガチャッ
分厚い頑丈そうな扉が閉められた。
少し混乱した俺はテマリに聞いた。
「な、なにここ?なんで鍵とか…」
「私のアトリエ。誰か入ってくると集中出来ないの。…カミトに絵のモデルになって欲しくてさ…いいよね?」
なるほど、そういうことか。納得した俺はいいよと言い、テマリに案内された椅子に座った。
でっかいキャンバスとにらめっこするテマリ。自分から振っておいてあれだけど、絵を描いてる時のテマリはやっぱり好きだな。
「ねえ、もっと笑って!」
ボーッとテマリのことを見つめていた俺に、テマリは注文をつけた。ニカッと笑う俺。納得した表情のテマリ。
しばらく鉛筆を動かした後、何か納得出来ないのか、うーん、とうなるテマリ。
「ごめん、やっぱり椅子いらない。そこに四つん這いになって。」
…?一体どんな絵を描きたいのか?不思議に思いながら地べたに四つん這いになる俺。
「そう。それで顔はずっと私の方だけ見てて。」
『私の方だけ』というワードだけがやけに強く聞こえた。テマリに束縛された毎日がフラッシュバックし、少しゾッとしたが、これで最後だし言われた通りにする俺。
しかし、それから段々とテマリからのリクエストはエスカレートしていった。
「土下座して」
「このロープ持って」
「ロープを首に巻きつけて」
「そのまま首を絞めて…」
とうとう俺も黙って従うことが出来なくなった。俺は首に巻いていたロープを外し、床に放り捨てると、テマリに言った。
「テマリ、さっきから変じゃない?何描いてんの?」
俺がテマリのキャンバスを覗こうとすると、
「ダメッッッ!!!」
シャッ
…?!
「ゔっ………な、…?!」
気がつくと、俺の腕から大量の血が滴っていた。テマリがこっちを見て笑っている。その手には血の付いた包丁が握られていた。
「っ…テマリ…どういうつもりだよ……なんでこんな事っ」
「ぷっ…あはっ…あはははははっ!!」
いきなり奇妙な声で笑い出したテマリ。
「……てま…り…?」
「いいねぇ。そのカオ。そう、そのままずぅーっと私の方だけ見ててよ?ね?」
テマリは椅子から立ち上がり、おもむろにこっちに向かって歩いてきた。俺はその場に尻餅をついてしまう。恐怖で声も出ない。
「私ね…カミトのこと大好きだったんだよ?朝も昼も夜もずっとカミトのことだけ考えてた。カミトのかっこいい顔も声も性格もバスケしてる姿もぜんぶぜんぶ大好きだった。だからさ、他の女と話してるカミトを見ると吐き気がして目眩がして心の底から殺意が込み上げてきて気が狂いそうだったよ。…こんなにもカミトを愛してるのに、カミトは分かってくれないんだよね。ならもうこうするしかないよね!」
テマリは俺めがけて包丁を振り上げた。
「ひっ……」
何とか交わし、立ち上がった俺。出口に向かって走った。
よく考えたらそうだ。テマリは学校1の美少女で、俺と付き合う前は、いろんな奴から「片倉 天毱の彼氏になった」という自慢話を聞かされた。でも、テマリと別れてからのそいつらを、俺は一度も見ていない。
つまり…
グサッ
背中に走る激痛。扉の前で、俺は倒れ込んだ。
「っ……てま…り……」
近づいてきたテマリが、俺の背中に刺さった包丁を引き抜いた。うめき声をあげる俺。溢れる鮮血。
「逃がさないよ?カミトは私のだもん。私だけのカミトなんだもん。ここから外に出て、他の奴と幸せになることなんて絶対にさせない。」
テマリはおもむろにしゃがみこむと、俺の目をまっすぐ見て言った。
「ねえ、カミトは私のこと好き?
私はね、大好きだよ。
優しいカミトが笑顔が素敵なカミトがかっこいいカミトが可愛いカミトが怒ったカミトが泣いてるカミトが怯えるカミトが叫ぶカミトが私を見つめるカミトが私だけを見てるカミトが私だけを愛してるカミトが
私はね、凄く大好きだよ。
…私のことが大好きなカミトのことを愛してる。」
目に涙を浮かべながらそう言って、テマリは、俺めがけて包丁を振り上げた…
俺、桃山 守鋭(モモヤマ カミト)。中2。ごく普通の男子中学生。そんな俺は、学校1の美少女、片倉 天毱(カタクラ テマリ)と付き合ってるんだ!
綺麗な純白の髪に銀色の瞳のテマリ。可愛い上に、面倒見も良く、俺のバスケの練習や試合には必ず手作り弁当を持って応援しに来てくれる。
俺にはもったいないくらいの自慢の彼女だ。
テマリは美術部に所属していて、本当に絵が上手い。3年の先輩が引退したら部長になるのは多分テマリだろうと美術部員が言っていた。
理想の彼女との幸せな毎日…
でも、幸せは、そう長くは続かなかった。
『ねえ、今どこにいるの?』『誰といるの?』『カミト!』『返信してよ…』『女といるの?』『浮気したら殺すから』
付き合って3ヶ月くらいの頃からかな。テマリの本性がわかってきたんだ。テマリは所謂、メンヘラだったのだ。最初は面倒見が良い彼女だと思っていたけど、違った。
テマリは、俺を監視していたのだ。他の女と話していないか。他の女と笑っていないか。
俺は次第に、テマリの束縛が怖くなった。そして今日、俺はついにテマリに別れを告げた。
【彼女の未練】
「…分かった。じゃあ、最後にうちに来て。今日だけでいい。カミトと一緒にいたい。」
そう言われ、俺はここで断るのもなんだし、最後にテマリの家に行くことにした。
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テマリの親は金持ちで、家はヨーロッパの貴族の屋敷みたいだ。(高校3年生のお兄さんは、高級マンションで彼女と同居しているらしい。)
家に入ると、テマリは俺を、いつもの2階の自分の部屋ではなく、地下室に案内した。
地下室に入るのは初めてだ。油絵とかは地下で描いてるのかな?
そんなことを考えながら、階段を下りていく。
奥の方の部屋に案内され、先に入れられた。まるで学校の美術室のような部屋だ。そんな事を考えていると、
ガコンガチャッ
分厚い頑丈そうな扉が閉められた。
少し混乱した俺はテマリに聞いた。
「な、なにここ?なんで鍵とか…」
「私のアトリエ。誰か入ってくると集中出来ないの。…カミトに絵のモデルになって欲しくてさ…いいよね?」
なるほど、そういうことか。納得した俺はいいよと言い、テマリに案内された椅子に座った。
でっかいキャンバスとにらめっこするテマリ。自分から振っておいてあれだけど、絵を描いてる時のテマリはやっぱり好きだな。
「ねえ、もっと笑って!」
ボーッとテマリのことを見つめていた俺に、テマリは注文をつけた。ニカッと笑う俺。納得した表情のテマリ。
しばらく鉛筆を動かした後、何か納得出来ないのか、うーん、とうなるテマリ。
「ごめん、やっぱり椅子いらない。そこに四つん這いになって。」
…?一体どんな絵を描きたいのか?不思議に思いながら地べたに四つん這いになる俺。
「そう。それで顔はずっと私の方だけ見てて。」
『私の方だけ』というワードだけがやけに強く聞こえた。テマリに束縛された毎日がフラッシュバックし、少しゾッとしたが、これで最後だし言われた通りにする俺。
しかし、それから段々とテマリからのリクエストはエスカレートしていった。
「土下座して」
「このロープ持って」
「ロープを首に巻きつけて」
「そのまま首を絞めて…」
とうとう俺も黙って従うことが出来なくなった。俺は首に巻いていたロープを外し、床に放り捨てると、テマリに言った。
「テマリ、さっきから変じゃない?何描いてんの?」
俺がテマリのキャンバスを覗こうとすると、
「ダメッッッ!!!」
シャッ
…?!
「ゔっ………な、…?!」
気がつくと、俺の腕から大量の血が滴っていた。テマリがこっちを見て笑っている。その手には血の付いた包丁が握られていた。
「っ…テマリ…どういうつもりだよ……なんでこんな事っ」
「ぷっ…あはっ…あはははははっ!!」
いきなり奇妙な声で笑い出したテマリ。
「……てま…り…?」
「いいねぇ。そのカオ。そう、そのままずぅーっと私の方だけ見ててよ?ね?」
テマリは椅子から立ち上がり、おもむろにこっちに向かって歩いてきた。俺はその場に尻餅をついてしまう。恐怖で声も出ない。
「私ね…カミトのこと大好きだったんだよ?朝も昼も夜もずっとカミトのことだけ考えてた。カミトのかっこいい顔も声も性格もバスケしてる姿もぜんぶぜんぶ大好きだった。だからさ、他の女と話してるカミトを見ると吐き気がして目眩がして心の底から殺意が込み上げてきて気が狂いそうだったよ。…こんなにもカミトを愛してるのに、カミトは分かってくれないんだよね。ならもうこうするしかないよね!」
テマリは俺めがけて包丁を振り上げた。
「ひっ……」
何とか交わし、立ち上がった俺。出口に向かって走った。
よく考えたらそうだ。テマリは学校1の美少女で、俺と付き合う前は、いろんな奴から「片倉 天毱の彼氏になった」という自慢話を聞かされた。でも、テマリと別れてからのそいつらを、俺は一度も見ていない。
つまり…
グサッ
背中に走る激痛。扉の前で、俺は倒れ込んだ。
「っ……てま…り……」
近づいてきたテマリが、俺の背中に刺さった包丁を引き抜いた。うめき声をあげる俺。溢れる鮮血。
「逃がさないよ?カミトは私のだもん。私だけのカミトなんだもん。ここから外に出て、他の奴と幸せになることなんて絶対にさせない。」
テマリはおもむろにしゃがみこむと、俺の目をまっすぐ見て言った。
「ねえ、カミトは私のこと好き?
私はね、大好きだよ。
優しいカミトが笑顔が素敵なカミトがかっこいいカミトが可愛いカミトが怒ったカミトが泣いてるカミトが怯えるカミトが叫ぶカミトが私を見つめるカミトが私だけを見てるカミトが私だけを愛してるカミトが
私はね、凄く大好きだよ。
…私のことが大好きなカミトのことを愛してる。」
目に涙を浮かべながらそう言って、テマリは、俺めがけて包丁を振り上げた…
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