10 / 15
9話 夢見
しおりを挟む
父さんからの書斎から自分の部屋へ向かう道中、自分なりに推理をしてみる。
栗林は先輩が私達に相談する内容を知り、逆上でもして先輩に手をかけた?
もしかして、相談事は関係ないもしれないけれど、私にしては結構いい線をいってるんじゃないかしら。
さて、明日は警察署へ行って情報収集してやろうかしらね。父さんは大人しくしてなさいって言っていたけど、大人しく待ってなんて居られない。
どうせなら、私達で解決してあげようかしら?
そんな事を思って廊下を歩いていると、梨緒の部屋から唸り声が聞こえる。
「まだ、梨緒のやつ起きているのかしら?」
私が軽くノックをして入ると、部屋は真っ暗で、ベッドでかなり魘されている梨緒の姿が見えた。
「あら、かなり魘されているみたいね」
無理も無いか、今日一日で沢山のことが起きたのだから。梨緒の脳内が上手く処理しきれていないのかもしれない。
私が物音を立てないように近づき、そっと梨緒のおでこを撫でようとした時、
「ゆぅちゃん、ごめんな……さい……、僕のせいで……僕のせいで……」
そう寝言を呟き、一筋の涙が流れる梨緒。
「またあの時の記憶か……」
私は、ゆっくりと屈み、梨緒の頭を優しく撫でながら囁く。
「私は気にしてないから大丈夫よ。今はゆっくり眠りなさい。朝まで、おやすみ」
すると、魘された梨緒の呼吸が次第に穏やかになってくる。そして、深い眠りへと入った。
「これで大丈夫ね。ん?」
暗い部屋に目が慣れたところで、梨緒の机の上に何かが置いてあるのを見つけた私は、そっと机へ近づき、ソレを手に取った。
よく見たら、今回の事件の概要を梨緒なりにまとめていたものだった。
「こんなものまで書いて、だから夢見が悪くなるのよ」
持った紙をクシャっと丸めて捨ててしまおうかと考えたが、朝起きたら梨緒が泣いて迫ってきそうな予感がして、元の場所へと紙を戻す。
「梨緒も梨緒なりに考えていると言うわけか……」
父さんに言われた、『少しずつ、りーくんの自由にさせてあげなさい』という言葉が脳裏をかすめた。
そんな事を考えながら私は欠伸を漏らす。いけない、そろそろ本当に寝なきゃ。
私はそっと梨緒の部屋から抜け出す。
「そんなに考え込まなくていいのよ、梨緒。私が貴方を絶対に不幸にさせないから」
私はそう呟いて、梨緒の部屋から出て行った。
「さぁ、絶好の捜査日和ね!」
朝、雲ひとつない青空。絶好のお出かけ日和。
意気揚々と紺に赤色チェックのチュニックワンピにベージュのキュロットパンツでキメた私は、警察署に向かって歩いていく。
「え、警察署に行くの?」
今、今日の予定を聞かされた梨緒は嫌そうな声をだした。
「行くわよー。進展を聞かなきゃいけないし」
私は大きな籠バックをブンブンと振り回しながら軽い足取りで歩いていく。
「進展って。今朝、静さん言っていたじゃない。警察の動向を見守りましょうって」
「そんなこと言ってたかなぁ? 私は知らないなぁー」
私はとぼけた様な声で笑った。
確かに、朝、父さんは『くれぐれも督くんのお仕事の邪魔をしに行こうだなんて考えちゃダメですよ。警察の動向を見守りましょう』と念を押された。
しかし、そんな事知ったこっちゃない。
「叔父さんにバレなきゃいいのよ」
「えー、バレ無きゃいいの? そんなに上手くいくのかなぁ……」
「大丈夫だって」
私は、そう言いながらスマホである画面を梨緒見せる。
「叔父さんは、今聞き込みの真っ最中だから!」
画面には先輩のマンションの付近の地図に浮かぶ赤い印が一つ表示されていた。
「……まさか、発信機か何かつけたの?」
「ご名答。昨日叔父さんのベルトに忍ばせておいたの」
昨日、警察署へ取り調べする前にコッソリと叔父さんの背中に回りこんでベルト部分に貼り付けておいたのだ。事件が起こればなかなか家に帰れない。だから、まだズボンに付いたままだと予想したら、ちゃんと発信機は叔父さんの場所を克明に知らせてくれていた。
「さて、叔父さんが帰ってこないうちに仕事をしないとねぇ」
私が企むような笑みで笑うと、梨緒が若干だが引いたように見えた。
「有加、怖い」
「え、怖く見える? 演技が身に付いたと捉えて、私もそろそろ生身の人間の役でも挑戦しようかしら?」
私がそういうと、事務所の人に許可取らなきゃダメだよー、梨緒は焦っていた。もちろん、冗談だ。
梨緒は私が死体役専門しか許されていないという本当の理由を知らない。事務所が余りにも私の演技が下手だから許可をしていないと思っているのだが、実は違う。
梨緒は一生知らない方がいい話だ。
「さて、そうこうしている内に、着いたわね」
警察署。受付で、叔父さんではなく、叔父さんの部下の人を呼んでもらう。
数分後、待合室へ叔父さんの部下の一人である妹尾さんが出てきた。
「すいません、司馬先輩も同期の児島もちょっと聞き込みに出払っていて、代わりに僕が。今日は何の御用でしょうか?」
目を爛々と輝かせて私達に挨拶をする妹尾さん。これは、すぐにバラしてくれそうな人だわ。
「叔父さんにちょっと昨日の御礼を言いに来たのですが、そうですか。居ないですか……、ちょっと残念です。ちょっと、頼みたいこともあったのに……」
私がしゅんとした顔をすると。妹尾さんは、
「ぼ、僕でよければ、聞きますが」
と食い気味に答える。
かかった。
「えっと、事件のことについてなんですけど、先輩の日記帳か手帳のコピーなんか貰えませんか? お願いします」
私が両手を合わせて頼み込む姿を梨緒は驚愕しつつ止める。
「ダメだよ。そんな、事件に関連する資料を貰うだなんて……」
「いいですよ。コピーですね」
妹尾さんはニッコリと承諾する。その状況を目の当たりして梨緒は
「え? どうして?」
驚きの表情のまま、硬直していた。
栗林は先輩が私達に相談する内容を知り、逆上でもして先輩に手をかけた?
もしかして、相談事は関係ないもしれないけれど、私にしては結構いい線をいってるんじゃないかしら。
さて、明日は警察署へ行って情報収集してやろうかしらね。父さんは大人しくしてなさいって言っていたけど、大人しく待ってなんて居られない。
どうせなら、私達で解決してあげようかしら?
そんな事を思って廊下を歩いていると、梨緒の部屋から唸り声が聞こえる。
「まだ、梨緒のやつ起きているのかしら?」
私が軽くノックをして入ると、部屋は真っ暗で、ベッドでかなり魘されている梨緒の姿が見えた。
「あら、かなり魘されているみたいね」
無理も無いか、今日一日で沢山のことが起きたのだから。梨緒の脳内が上手く処理しきれていないのかもしれない。
私が物音を立てないように近づき、そっと梨緒のおでこを撫でようとした時、
「ゆぅちゃん、ごめんな……さい……、僕のせいで……僕のせいで……」
そう寝言を呟き、一筋の涙が流れる梨緒。
「またあの時の記憶か……」
私は、ゆっくりと屈み、梨緒の頭を優しく撫でながら囁く。
「私は気にしてないから大丈夫よ。今はゆっくり眠りなさい。朝まで、おやすみ」
すると、魘された梨緒の呼吸が次第に穏やかになってくる。そして、深い眠りへと入った。
「これで大丈夫ね。ん?」
暗い部屋に目が慣れたところで、梨緒の机の上に何かが置いてあるのを見つけた私は、そっと机へ近づき、ソレを手に取った。
よく見たら、今回の事件の概要を梨緒なりにまとめていたものだった。
「こんなものまで書いて、だから夢見が悪くなるのよ」
持った紙をクシャっと丸めて捨ててしまおうかと考えたが、朝起きたら梨緒が泣いて迫ってきそうな予感がして、元の場所へと紙を戻す。
「梨緒も梨緒なりに考えていると言うわけか……」
父さんに言われた、『少しずつ、りーくんの自由にさせてあげなさい』という言葉が脳裏をかすめた。
そんな事を考えながら私は欠伸を漏らす。いけない、そろそろ本当に寝なきゃ。
私はそっと梨緒の部屋から抜け出す。
「そんなに考え込まなくていいのよ、梨緒。私が貴方を絶対に不幸にさせないから」
私はそう呟いて、梨緒の部屋から出て行った。
「さぁ、絶好の捜査日和ね!」
朝、雲ひとつない青空。絶好のお出かけ日和。
意気揚々と紺に赤色チェックのチュニックワンピにベージュのキュロットパンツでキメた私は、警察署に向かって歩いていく。
「え、警察署に行くの?」
今、今日の予定を聞かされた梨緒は嫌そうな声をだした。
「行くわよー。進展を聞かなきゃいけないし」
私は大きな籠バックをブンブンと振り回しながら軽い足取りで歩いていく。
「進展って。今朝、静さん言っていたじゃない。警察の動向を見守りましょうって」
「そんなこと言ってたかなぁ? 私は知らないなぁー」
私はとぼけた様な声で笑った。
確かに、朝、父さんは『くれぐれも督くんのお仕事の邪魔をしに行こうだなんて考えちゃダメですよ。警察の動向を見守りましょう』と念を押された。
しかし、そんな事知ったこっちゃない。
「叔父さんにバレなきゃいいのよ」
「えー、バレ無きゃいいの? そんなに上手くいくのかなぁ……」
「大丈夫だって」
私は、そう言いながらスマホである画面を梨緒見せる。
「叔父さんは、今聞き込みの真っ最中だから!」
画面には先輩のマンションの付近の地図に浮かぶ赤い印が一つ表示されていた。
「……まさか、発信機か何かつけたの?」
「ご名答。昨日叔父さんのベルトに忍ばせておいたの」
昨日、警察署へ取り調べする前にコッソリと叔父さんの背中に回りこんでベルト部分に貼り付けておいたのだ。事件が起こればなかなか家に帰れない。だから、まだズボンに付いたままだと予想したら、ちゃんと発信機は叔父さんの場所を克明に知らせてくれていた。
「さて、叔父さんが帰ってこないうちに仕事をしないとねぇ」
私が企むような笑みで笑うと、梨緒が若干だが引いたように見えた。
「有加、怖い」
「え、怖く見える? 演技が身に付いたと捉えて、私もそろそろ生身の人間の役でも挑戦しようかしら?」
私がそういうと、事務所の人に許可取らなきゃダメだよー、梨緒は焦っていた。もちろん、冗談だ。
梨緒は私が死体役専門しか許されていないという本当の理由を知らない。事務所が余りにも私の演技が下手だから許可をしていないと思っているのだが、実は違う。
梨緒は一生知らない方がいい話だ。
「さて、そうこうしている内に、着いたわね」
警察署。受付で、叔父さんではなく、叔父さんの部下の人を呼んでもらう。
数分後、待合室へ叔父さんの部下の一人である妹尾さんが出てきた。
「すいません、司馬先輩も同期の児島もちょっと聞き込みに出払っていて、代わりに僕が。今日は何の御用でしょうか?」
目を爛々と輝かせて私達に挨拶をする妹尾さん。これは、すぐにバラしてくれそうな人だわ。
「叔父さんにちょっと昨日の御礼を言いに来たのですが、そうですか。居ないですか……、ちょっと残念です。ちょっと、頼みたいこともあったのに……」
私がしゅんとした顔をすると。妹尾さんは、
「ぼ、僕でよければ、聞きますが」
と食い気味に答える。
かかった。
「えっと、事件のことについてなんですけど、先輩の日記帳か手帳のコピーなんか貰えませんか? お願いします」
私が両手を合わせて頼み込む姿を梨緒は驚愕しつつ止める。
「ダメだよ。そんな、事件に関連する資料を貰うだなんて……」
「いいですよ。コピーですね」
妹尾さんはニッコリと承諾する。その状況を目の当たりして梨緒は
「え? どうして?」
驚きの表情のまま、硬直していた。
0
あなたにおすすめの小説
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
公爵令嬢は結婚式当日に死んだ
白雲八鈴
恋愛
今日はとある公爵令嬢の結婚式だ。幸せいっぱいの公爵令嬢の前に婚約者のレイモンドが現れる。
「今日の結婚式は俺と番であるナタリーの結婚式に変更だ!そのドレスをナタリーに渡せ!」
突然のことに公爵令嬢は何を言われたのか理解できなかった。いや、したくなかった。
婚約者のレイモンドは番という運命に出逢ってしまったという。
そして、真っ白な花嫁衣装を脱がされ、そのドレスは番だという女性に着させられる。周りの者達はめでたいと大喜びだ。
その場所に居ることが出来ず公爵令嬢は外に飛び出し……
生まれ変わった令嬢は復讐を誓ったのだった。
婚約者とその番という女性に
『一発ぐらい思いっきり殴ってもいいですわね?』
そして、つがいという者に囚われた者の存在が現れる。
*タグ注意
*不快であれば閉じてください。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる