前途多難な思い人

ゆまは なお

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「な、かわいいやろ。でも俺のお手付きやから、余計なことすんなよ?」
「えー、それ、ほとんどだまし討ちみたいなもんやん」
「だまし討ち言うなや」
「そもそもお手付きちゃうやろ」
「告白したっつちゅーの」
「ウソ、マジで?」
 さっきから遥清の腕の力が強くて息が苦しい。軽くタップしたらようやく腕が緩んで、ほっと息ができた。
僕は運動しても筋肉のつかない体質だから、遥清のがっしりした体が羨ましい。つい腕を撫でたら、またホールドされた。今度は軽く。

「な、有馬。俺、有馬が好きやて言うたよな?」
 遥清がくしゃっと髪をなでて訊く。
「うん、聞いたよ」
「有馬も俺が好きやて言うたよな?」
「うん」
「ほれ見い」
「てゆーか中原くん、何もわかってへんし!」
「うるさいわ、今からじっくりわかってもらうねん」
 僕の話? 
何をわかってないんだろう?
「有馬はいつも笑《わろ》てたらええねんで」
 怪訝な表情の僕に、前に回った遥清が爽やかに言った。
「うん?」
「これから、ゆっくりわかってくれたらええから」
 学校のことかな?
「うん。そうする」

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