18 / 30
3
しおりを挟む忙しい会話の間も足は動いて、教室に着いた。二人が賑やかに会話を続けているせいで、教室に入った途端、みんなの視線が一斉に飛んでくる。
「おはよう」
「おはよ。さとはると一緒に来たん?」
「うん、偶然一緒になって」
さとはるというのはこの二人をセットで呼ぶときの言い方だ。そんな漫才コンビみたいなあだ名をつけられるくらい、二人は一緒にいることが多い。
「偶然…ね」
「うん。二人、すごく仲がいいよね」
「……中原くん、あれは仲いいんとちゃうねんで」
「え、そうなの?」
でもいつもすごく楽しそうなのに。
まだ何か話している二人は生き生きとしている。
幼稚園からずっと一緒の幼馴染だと昨日のお昼に聞いた。転勤族の父について四度目の転校(でも関東から出たのは初めてだ)の僕には二人の仲のよさが羨ましい。
早口の会話が途切れて、遥清がくるりと僕に向き直った。
「とにかく有馬、こいつのことは委員長て呼んだらええ。こいつは去年も今年も来年も永遠の委員長なんやから」
まだその話をしてたのか。
遥清の言葉に僕は笑い出す。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
32
1 / 2
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる