前途多難な思い人

ゆまは なお

文字の大きさ
上 下
18 / 30

3

しおりを挟む

 忙しい会話の間も足は動いて、教室に着いた。二人が賑やかに会話を続けているせいで、教室に入った途端、みんなの視線が一斉に飛んでくる。
「おはよう」
「おはよ。さとはると一緒に来たん?」
「うん、偶然一緒になって」
 さとはるというのはこの二人をセットで呼ぶときの言い方だ。そんな漫才コンビみたいなあだ名をつけられるくらい、二人は一緒にいることが多い。
「偶然…ね」
「うん。二人、すごく仲がいいよね」
「……中原くん、あれは仲いいんとちゃうねんで」
「え、そうなの?」
 でもいつもすごく楽しそうなのに。

 まだ何か話している二人は生き生きとしている。
 幼稚園からずっと一緒の幼馴染だと昨日のお昼に聞いた。転勤族の父について四度目の転校(でも関東から出たのは初めてだ)の僕には二人の仲のよさが羨ましい。
 早口の会話が途切れて、遥清がくるりと僕に向き直った。
「とにかく有馬、こいつのことは委員長て呼んだらええ。こいつは去年も今年も来年も永遠の委員長なんやから」
 まだその話をしてたのか。
 遥清の言葉に僕は笑い出す。
しおりを挟む
1 / 2

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

逢瀬

BL / 完結 24h.ポイント:7pt お気に入り:9

爷爷の魂(いえいえのこん)

ライト文芸 / 完結 24h.ポイント:28pt お気に入り:17

思い出の中で あの日、北京の街角で 番外編

BL / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:12

処理中です...