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碧馬は三年前、突然この地にやって来た。
西校舎の急な階段で足を滑らせて手すりを掴んだはずだった。それでも体重を支えきれず転がり落ちたのは覚えている。
痛いと思った瞬間に、意識が遠のいた。
次に気がついたら、森の中に倒れていた。
これは夢だろうか?
頭を強く打って意識を失くして夢を見ているのかも。ってことは、俺はもしかして死にかけてるのか?
ここはいわゆる三途の河? どこにも河らしいものはないけれど……。
恐る恐る体を起こして、周囲を見回した。
一体どこなんだろう? 木漏れ日がさしてとても温かい。
おかしい。今は一月のはずだ。
いや、夢だからおかしくないのか?
碧馬は学ランを脱いだ。シャツとベストでちょうどいい。
立ち上がろうとしたが、足首に痛みが走って立てなかった。
夢なのにこういうところだけは現実的なのか。
階段から落ちた設定はそのままらしくて、上靴を履いている。顔をしかめて靴下をずらして足首を確かめた。ねん挫したのかかなり腫れていた。
冷やしたくても、保健室はここにはない。
どうしたらいいんだろう。これが夢なら、自分の意識が戻るまでここで待っていればいいんだろうか。
それとも本当は打ち所が悪くてもう死んじゃったとか……?
いやいや、まさか!
自分の想像の怖さにぶるっと体を震わせたとき、後ろから音が聞こえた。
はっとそちらに顔を向ける。
がさがさと茂みをかき分ける音がして現われた人物を見て、碧馬は息を飲んで目を見開いた。目の前にいたのは、大きな熊だった。
何をどう考えていいかわからず、碧馬は声もなくその場にへたり込んだままだった。
「※※※※! ※※※※※!」
何か話しかけられたが、意味はわからない。強い語調からあまりよくない感じを受ける。熊に話しかけられるという異常な事態に、碧馬はただただ呆然と熊を見上げていた。
「※※※※※※※※! ※※※※※!」
ここにいてはいけなかったんだろうか。
いやそれより服を着た熊が話してるっておかしいだろう!
「※※※※※※、※※※※※※!」
黙っている碧馬に焦れたのか、熊の手が伸びてきて、碧馬は身を竦めて叫んだ。
「やめろ、俺に触るなっ」
殺されるっ。
とっさにそう思い、草の上を転がって逃れる。
熊は目を瞬いた。
抵抗されるとは思わなかったという表情に見える。
その時、横からまたガサガサと音がして、すこし小柄な熊が現れた。
やはり服を着ていて、リュックのようなものを肩にかけている。碧馬を見て、首を傾げた。思いがけないものを見てきょとんとしたという雰囲気だ。
ここの熊には人のような感情があるらしい。
一体、どうなっているんだ。
体を起こして、足首の痛みに耐えて立ち上がる。
走れそうにないが、逃げられるだろうか?
熊は何か会話を交わし、碧馬を見た。
うなずいて後から来たほうが木の向こうへ去っていく。
なんだかわからないが、とにかく怖いし良くないことが起こりそうな気がして、碧馬は後ずさった。
西校舎の急な階段で足を滑らせて手すりを掴んだはずだった。それでも体重を支えきれず転がり落ちたのは覚えている。
痛いと思った瞬間に、意識が遠のいた。
次に気がついたら、森の中に倒れていた。
これは夢だろうか?
頭を強く打って意識を失くして夢を見ているのかも。ってことは、俺はもしかして死にかけてるのか?
ここはいわゆる三途の河? どこにも河らしいものはないけれど……。
恐る恐る体を起こして、周囲を見回した。
一体どこなんだろう? 木漏れ日がさしてとても温かい。
おかしい。今は一月のはずだ。
いや、夢だからおかしくないのか?
碧馬は学ランを脱いだ。シャツとベストでちょうどいい。
立ち上がろうとしたが、足首に痛みが走って立てなかった。
夢なのにこういうところだけは現実的なのか。
階段から落ちた設定はそのままらしくて、上靴を履いている。顔をしかめて靴下をずらして足首を確かめた。ねん挫したのかかなり腫れていた。
冷やしたくても、保健室はここにはない。
どうしたらいいんだろう。これが夢なら、自分の意識が戻るまでここで待っていればいいんだろうか。
それとも本当は打ち所が悪くてもう死んじゃったとか……?
いやいや、まさか!
自分の想像の怖さにぶるっと体を震わせたとき、後ろから音が聞こえた。
はっとそちらに顔を向ける。
がさがさと茂みをかき分ける音がして現われた人物を見て、碧馬は息を飲んで目を見開いた。目の前にいたのは、大きな熊だった。
何をどう考えていいかわからず、碧馬は声もなくその場にへたり込んだままだった。
「※※※※! ※※※※※!」
何か話しかけられたが、意味はわからない。強い語調からあまりよくない感じを受ける。熊に話しかけられるという異常な事態に、碧馬はただただ呆然と熊を見上げていた。
「※※※※※※※※! ※※※※※!」
ここにいてはいけなかったんだろうか。
いやそれより服を着た熊が話してるっておかしいだろう!
「※※※※※※、※※※※※※!」
黙っている碧馬に焦れたのか、熊の手が伸びてきて、碧馬は身を竦めて叫んだ。
「やめろ、俺に触るなっ」
殺されるっ。
とっさにそう思い、草の上を転がって逃れる。
熊は目を瞬いた。
抵抗されるとは思わなかったという表情に見える。
その時、横からまたガサガサと音がして、すこし小柄な熊が現れた。
やはり服を着ていて、リュックのようなものを肩にかけている。碧馬を見て、首を傾げた。思いがけないものを見てきょとんとしたという雰囲気だ。
ここの熊には人のような感情があるらしい。
一体、どうなっているんだ。
体を起こして、足首の痛みに耐えて立ち上がる。
走れそうにないが、逃げられるだろうか?
熊は何か会話を交わし、碧馬を見た。
うなずいて後から来たほうが木の向こうへ去っていく。
なんだかわからないが、とにかく怖いし良くないことが起こりそうな気がして、碧馬は後ずさった。
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