1 / 22
氷点下24度の朝
しおりを挟む
2月は一年で一番気温が下がる。
今朝の気温はマイナス24度。
さすがにこの気温になると普通の冬服では太刀打ちできないので、外出する際はその上に防水防寒機能を備えたウィンタージャケットとスボンを着る。
日本では一年に一回出番があるかないかだったスノーボードウエアが、ここフィンランドでは大活躍。
この時期、朝は大抵、除雪車の音で目が覚める。
雪の日は毎朝早くから、狭い住宅地の道さえも除雪車がせっせと雪かきしてくれるので、どんなに大雪の日でも交通機関が麻痺することはなく、当然、雪というだけで学校や仕事が休みになることもない。
高い税金も、こうした除雪作業のような身近なところで使われていると思うと納得して払うことができている。
冬の間は日照時間がとても短いフィンランド。
朝家を出る時も真っ暗、夕方帰宅する時も真っ暗。
唯一日の光を浴びられるお昼の時間は貴重。
普段は会社の中に入っているレストランで昼食をとることが多いのだけど、晴れた日は日光を浴びるために外へ出て、500m先のレストランまで歩く。
こういう時、気温はあまり問題とされなくて、フィンランド人は氷点下24度だろうが、晴れていればOK!という感覚で颯爽と外へ出ていく。
今日のランチは近くのカフェレストランMOCOのチキンキエフ。
フィンランドで典型的なランチは、メインの料理があって、その他付け合わせの温野菜、サラダ、パン、コーヒー・紅茶はセルフサービス(取り放題)のパターン。
値段はだいたい12ユーロから15ユーロ。今のレートで言うと1500円から1900円くらい。
ちなみに会社の中に入っているレストランだと、会社から補助が出るので、その半分くらいの値段で食べることができる。
チキンキエフは、ガーリックバターが入った鶏肉に衣をつけて揚げたもので、クリーミーなカレー風味のソースが添えられることが多い。
ナイフを入れると中から溶けたガーリックバターが香りと共にあふれ出す。
サクサクの衣に覆われたチキンをガーリックバターと絡めて、ソースをちょっとつけて食べると絶妙。
きっとみんな間違いなく好きな味。
食べ放題のパンはたいていレストランの厨房や近所のパン屋さんで焼かれた焼きたてのパンで、通常3種類くらいが用意されている。
MOCOでは毎日手作りのフォカッチャが用意されていて、これがまたふわっふわで美味しい。
それと、北欧で良く食べられているクリスプブレッドが数種類。
ライ麦粉や小麦粉で作られたシンプルなものや、数種類のシード(種)が練りこまれたものがあり、現地の人たちはバターを塗って食べる。
パリパリとした食感で、ちょっと小腹がすいた時のおやつにもぴったり。
日本でもカルディなどで買えるので、ぜひお試しを。
温野菜は、ただ茹でただけの味のついていないブロッコリーなどの茹で野菜もあれば、味付きのローストポテト、フライドポテトなど日によっていろいろ。
サラダはレタス、キュウリ、トマト、ベビーリーフ、ニンジンなどが定番で、日によって、あるいはお店によって、火を通していない生のカリフラワーや白菜が出ることも。
カリフラワーや白菜は生で食べたことがなかったので驚いたが、意外に生でも美味しく食べられることが分かった。
味付けはドレッシングも選べるけれど、健康志向の人はオリーブオイルと岩塩だけをかけて食べている。
コーヒーはコーヒーサーバーから各自取っていくスタイル。
一人当たりのコーヒーの消費量が世界一と言われたこともあるフィンランド。
最近は紅茶を飲む人も増えてきているようだが、コーヒーは依然一番人気。
どこのお店でも美味しいコーヒーをいただくことができる。
紅茶は大抵ティーバッグが数種類用意されている。
フィンランドではフレーバーティーが人気のようで、
通常の紅茶以外に各種のフレーバーティーが用意されていることも。
私が好きなフレーバーティーの一つは、リプトンのアールグレーグリーンティー。
海外の緑茶は薄いので、日本茶を飲みなれているとあまり美味しく感じられないけれど、
これにアールグレーの風味が加わるとめちゃめちゃ美味。
紅茶によくある苦みが緑茶にはあまりなくて、まろやかなアールグレーを飲んでいる感じ。
仕事はだいたいいつも4時頃終了。5時前には家に着く。
今日は天気も良いので、近くに住むベトナム人の友人と近所の屋外アイススケートリンクへ行くことに。
ここは通常は野球などもできる競技場として使われていて、冬の間だけアイススケートリンクになる。
ナイター用の照明、化粧室や更衣室が備わっていて、氷の整備もきちんとされている。
そんなスケート場が市民は無料で利用できる。
フィンランドに来て初めての冬、スポーツ用品店でスケート靴が40ユーロくらいで売られているのを見て衝動的に購入してしまった。
スケートは子供の頃に一度か二度滑ったことがあるくらい。
始めた当時は完全に初心者で、立っているのもままならなかったのが、1ヶ月もするとだいぶ滑れるようになった。
ここのスケートリンクではアイスホッケーをしている人もいるので、いつどこからパックが飛んでくるかわからない。
パックを避けるために、必然的に足元じゃなくて周りを見ながら滑らなければならない状況が上達を速めたのかもしれない。
30分くらい滑って足も疲れて来たので友人の家へ寄ってお茶をいただく。
友人は私の家にテレビがないのを知っているので、友人宅へ行くと必ずテレビをつけてくれる。
大抵はフィンランドのドラマか、洋画を見ることが多いが、アイスホッケーの中継があればそれを見たりもする。
フィンランドではアイスホッケーが大人気。
子供も大人も、自分でプレーするのも試合を見るのも好きな人が多い。
国際試合では、特に永遠のライバル、スウェーデンとの対戦の時、異様な盛り上がりを見せる。
私が住んでいる街にもプロのアイスホッケーチームがあり、ホームゲームには毎回地元の熱狂的なファンが詰めかける。
生で見るアイスホッケーの試合はやっぱり迫力が違う。
張り詰めた緊張感と、ゴールした時の高揚感。場内に響き渡るホッケースティックがぶつかる音、パックが凄い勢いで壁に当たる音が、いやでも臨場感を沸き立たせる。
テレビを見てまったりした後は、友人と一緒に夕食を作って食べることもあるが、今日は作り置きのごはんが家にあったので帰宅することに。
帰宅途中、オーロラが出ていたりしないかと空を見上げるが、そんなタイミングよく見られることは滅多にない。
でも一度だけ、何の事前情報もなく偶然オーロラに遭遇したことがあった。
当時私は上司の送別会で、とあるレストランにいた。
レストランは地下にあり、全く外の様子を伺うことはできなかった。
22時に、予約していたタクシーから到着の電話を受けたがみんな全く帰る気配がなく、
仕方なくタクシーのドライバーさんにもう少しだけ待ってほしいと伝言するために外に出た。
その時、頭上にものすごいオーロラが出現していたのだ。
足早にドライバーさんに伝言を伝え、その後しばらくレストランへは戻らずに、氷点下20度前後の中ただただ立ち尽くして、空に揺らめく巨大な緑のカーテンを見続けていた。
この時の情景は今も瞼に焼き付いている。
つづく・・
今朝の気温はマイナス24度。
さすがにこの気温になると普通の冬服では太刀打ちできないので、外出する際はその上に防水防寒機能を備えたウィンタージャケットとスボンを着る。
日本では一年に一回出番があるかないかだったスノーボードウエアが、ここフィンランドでは大活躍。
この時期、朝は大抵、除雪車の音で目が覚める。
雪の日は毎朝早くから、狭い住宅地の道さえも除雪車がせっせと雪かきしてくれるので、どんなに大雪の日でも交通機関が麻痺することはなく、当然、雪というだけで学校や仕事が休みになることもない。
高い税金も、こうした除雪作業のような身近なところで使われていると思うと納得して払うことができている。
冬の間は日照時間がとても短いフィンランド。
朝家を出る時も真っ暗、夕方帰宅する時も真っ暗。
唯一日の光を浴びられるお昼の時間は貴重。
普段は会社の中に入っているレストランで昼食をとることが多いのだけど、晴れた日は日光を浴びるために外へ出て、500m先のレストランまで歩く。
こういう時、気温はあまり問題とされなくて、フィンランド人は氷点下24度だろうが、晴れていればOK!という感覚で颯爽と外へ出ていく。
今日のランチは近くのカフェレストランMOCOのチキンキエフ。
フィンランドで典型的なランチは、メインの料理があって、その他付け合わせの温野菜、サラダ、パン、コーヒー・紅茶はセルフサービス(取り放題)のパターン。
値段はだいたい12ユーロから15ユーロ。今のレートで言うと1500円から1900円くらい。
ちなみに会社の中に入っているレストランだと、会社から補助が出るので、その半分くらいの値段で食べることができる。
チキンキエフは、ガーリックバターが入った鶏肉に衣をつけて揚げたもので、クリーミーなカレー風味のソースが添えられることが多い。
ナイフを入れると中から溶けたガーリックバターが香りと共にあふれ出す。
サクサクの衣に覆われたチキンをガーリックバターと絡めて、ソースをちょっとつけて食べると絶妙。
きっとみんな間違いなく好きな味。
食べ放題のパンはたいていレストランの厨房や近所のパン屋さんで焼かれた焼きたてのパンで、通常3種類くらいが用意されている。
MOCOでは毎日手作りのフォカッチャが用意されていて、これがまたふわっふわで美味しい。
それと、北欧で良く食べられているクリスプブレッドが数種類。
ライ麦粉や小麦粉で作られたシンプルなものや、数種類のシード(種)が練りこまれたものがあり、現地の人たちはバターを塗って食べる。
パリパリとした食感で、ちょっと小腹がすいた時のおやつにもぴったり。
日本でもカルディなどで買えるので、ぜひお試しを。
温野菜は、ただ茹でただけの味のついていないブロッコリーなどの茹で野菜もあれば、味付きのローストポテト、フライドポテトなど日によっていろいろ。
サラダはレタス、キュウリ、トマト、ベビーリーフ、ニンジンなどが定番で、日によって、あるいはお店によって、火を通していない生のカリフラワーや白菜が出ることも。
カリフラワーや白菜は生で食べたことがなかったので驚いたが、意外に生でも美味しく食べられることが分かった。
味付けはドレッシングも選べるけれど、健康志向の人はオリーブオイルと岩塩だけをかけて食べている。
コーヒーはコーヒーサーバーから各自取っていくスタイル。
一人当たりのコーヒーの消費量が世界一と言われたこともあるフィンランド。
最近は紅茶を飲む人も増えてきているようだが、コーヒーは依然一番人気。
どこのお店でも美味しいコーヒーをいただくことができる。
紅茶は大抵ティーバッグが数種類用意されている。
フィンランドではフレーバーティーが人気のようで、
通常の紅茶以外に各種のフレーバーティーが用意されていることも。
私が好きなフレーバーティーの一つは、リプトンのアールグレーグリーンティー。
海外の緑茶は薄いので、日本茶を飲みなれているとあまり美味しく感じられないけれど、
これにアールグレーの風味が加わるとめちゃめちゃ美味。
紅茶によくある苦みが緑茶にはあまりなくて、まろやかなアールグレーを飲んでいる感じ。
仕事はだいたいいつも4時頃終了。5時前には家に着く。
今日は天気も良いので、近くに住むベトナム人の友人と近所の屋外アイススケートリンクへ行くことに。
ここは通常は野球などもできる競技場として使われていて、冬の間だけアイススケートリンクになる。
ナイター用の照明、化粧室や更衣室が備わっていて、氷の整備もきちんとされている。
そんなスケート場が市民は無料で利用できる。
フィンランドに来て初めての冬、スポーツ用品店でスケート靴が40ユーロくらいで売られているのを見て衝動的に購入してしまった。
スケートは子供の頃に一度か二度滑ったことがあるくらい。
始めた当時は完全に初心者で、立っているのもままならなかったのが、1ヶ月もするとだいぶ滑れるようになった。
ここのスケートリンクではアイスホッケーをしている人もいるので、いつどこからパックが飛んでくるかわからない。
パックを避けるために、必然的に足元じゃなくて周りを見ながら滑らなければならない状況が上達を速めたのかもしれない。
30分くらい滑って足も疲れて来たので友人の家へ寄ってお茶をいただく。
友人は私の家にテレビがないのを知っているので、友人宅へ行くと必ずテレビをつけてくれる。
大抵はフィンランドのドラマか、洋画を見ることが多いが、アイスホッケーの中継があればそれを見たりもする。
フィンランドではアイスホッケーが大人気。
子供も大人も、自分でプレーするのも試合を見るのも好きな人が多い。
国際試合では、特に永遠のライバル、スウェーデンとの対戦の時、異様な盛り上がりを見せる。
私が住んでいる街にもプロのアイスホッケーチームがあり、ホームゲームには毎回地元の熱狂的なファンが詰めかける。
生で見るアイスホッケーの試合はやっぱり迫力が違う。
張り詰めた緊張感と、ゴールした時の高揚感。場内に響き渡るホッケースティックがぶつかる音、パックが凄い勢いで壁に当たる音が、いやでも臨場感を沸き立たせる。
テレビを見てまったりした後は、友人と一緒に夕食を作って食べることもあるが、今日は作り置きのごはんが家にあったので帰宅することに。
帰宅途中、オーロラが出ていたりしないかと空を見上げるが、そんなタイミングよく見られることは滅多にない。
でも一度だけ、何の事前情報もなく偶然オーロラに遭遇したことがあった。
当時私は上司の送別会で、とあるレストランにいた。
レストランは地下にあり、全く外の様子を伺うことはできなかった。
22時に、予約していたタクシーから到着の電話を受けたがみんな全く帰る気配がなく、
仕方なくタクシーのドライバーさんにもう少しだけ待ってほしいと伝言するために外に出た。
その時、頭上にものすごいオーロラが出現していたのだ。
足早にドライバーさんに伝言を伝え、その後しばらくレストランへは戻らずに、氷点下20度前後の中ただただ立ち尽くして、空に揺らめく巨大な緑のカーテンを見続けていた。
この時の情景は今も瞼に焼き付いている。
つづく・・
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
島猫たちのエピソード2025
BIRD
エッセイ・ノンフィクション
「Cat nursery Larimar 」は、ひとりでは生きられない仔猫を預かり、保護者&お世話ボランティア達が協力して育てて里親の元へ送り出す「仔猫の保育所」です。
石垣島は野良猫がとても多い島。
2021年2月22日に設立した保護団体【Cat nursery Larimar(通称ラリマー)】は、自宅では出来ない保護活動を、施設にスペースを借りて頑張るボランティアの集まりです。
「保護して下さい」と言うだけなら、誰にでも出来ます。
でもそれは丸投げで、猫のために何かした内には入りません。
もっと踏み込んで、その猫の医療費やゴハン代などを負担出来る人、譲渡会を手伝える人からの依頼のみ受け付けています。
本作は、ラリマーの保護活動や、石垣島の猫ボランティアについて書いた作品です。
スコア収益は、保護猫たちのゴハンやオヤツの購入に使っています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる