北欧フィンランド オーロラの下で

Peony

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氷点下24度の朝

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2月は一年で一番気温が下がる。
今朝の気温はマイナス24度。
さすがにこの気温になると普通の冬服では太刀打ちできないので、外出する際はその上に防水防寒機能を備えたウィンタージャケットとスボンを着る。
日本では一年に一回出番があるかないかだったスノーボードウエアが、ここフィンランドでは大活躍。

この時期、朝は大抵、除雪車の音で目が覚める。
雪の日は毎朝早くから、狭い住宅地の道さえも除雪車がせっせと雪かきしてくれるので、どんなに大雪の日でも交通機関が麻痺することはなく、当然、雪というだけで学校や仕事が休みになることもない。
高い税金も、こうした除雪作業のような身近なところで使われていると思うと納得して払うことができている。


冬の間は日照時間がとても短いフィンランド。
朝家を出る時も真っ暗、夕方帰宅する時も真っ暗。
唯一日の光を浴びられるお昼の時間は貴重。
普段は会社の中に入っているレストランで昼食をとることが多いのだけど、晴れた日は日光を浴びるために外へ出て、500m先のレストランまで歩く。
こういう時、気温はあまり問題とされなくて、フィンランド人は氷点下24度だろうが、晴れていればOK!という感覚で颯爽と外へ出ていく。

今日のランチは近くのカフェレストランMOCOのチキンキエフ。
フィンランドで典型的なランチは、メインの料理があって、その他付け合わせの温野菜、サラダ、パン、コーヒー・紅茶はセルフサービス(取り放題)のパターン。
値段はだいたい12ユーロから15ユーロ。今のレートで言うと1500円から1900円くらい。
ちなみに会社の中に入っているレストランだと、会社から補助が出るので、その半分くらいの値段で食べることができる。

チキンキエフは、ガーリックバターが入った鶏肉に衣をつけて揚げたもので、クリーミーなカレー風味のソースが添えられることが多い。
ナイフを入れると中から溶けたガーリックバターが香りと共にあふれ出す。
サクサクの衣に覆われたチキンをガーリックバターと絡めて、ソースをちょっとつけて食べると絶妙。
きっとみんな間違いなく好きな味。

食べ放題のパンはたいていレストランの厨房や近所のパン屋さんで焼かれた焼きたてのパンで、通常3種類くらいが用意されている。
MOCOでは毎日手作りのフォカッチャが用意されていて、これがまたふわっふわで美味しい。
それと、北欧で良く食べられているクリスプブレッドが数種類。
ライ麦粉や小麦粉で作られたシンプルなものや、数種類のシード(種)が練りこまれたものがあり、現地の人たちはバターを塗って食べる。
パリパリとした食感で、ちょっと小腹がすいた時のおやつにもぴったり。
日本でもカルディなどで買えるので、ぜひお試しを。

温野菜は、ただ茹でただけの味のついていないブロッコリーなどの茹で野菜もあれば、味付きのローストポテト、フライドポテトなど日によっていろいろ。
サラダはレタス、キュウリ、トマト、ベビーリーフ、ニンジンなどが定番で、日によって、あるいはお店によって、火を通していない生のカリフラワーや白菜が出ることも。
カリフラワーや白菜は生で食べたことがなかったので驚いたが、意外に生でも美味しく食べられることが分かった。
味付けはドレッシングも選べるけれど、健康志向の人はオリーブオイルと岩塩だけをかけて食べている。

コーヒーはコーヒーサーバーから各自取っていくスタイル。
一人当たりのコーヒーの消費量が世界一と言われたこともあるフィンランド。
最近は紅茶を飲む人も増えてきているようだが、コーヒーは依然一番人気。
どこのお店でも美味しいコーヒーをいただくことができる。

紅茶は大抵ティーバッグが数種類用意されている。
フィンランドではフレーバーティーが人気のようで、
通常の紅茶以外に各種のフレーバーティーが用意されていることも。
私が好きなフレーバーティーの一つは、リプトンのアールグレーグリーンティー。
海外の緑茶は薄いので、日本茶を飲みなれているとあまり美味しく感じられないけれど、
これにアールグレーの風味が加わるとめちゃめちゃ美味。
紅茶によくある苦みが緑茶にはあまりなくて、まろやかなアールグレーを飲んでいる感じ。


仕事はだいたいいつも4時頃終了。5時前には家に着く。
今日は天気も良いので、近くに住むベトナム人の友人と近所の屋外アイススケートリンクへ行くことに。
ここは通常は野球などもできる競技場として使われていて、冬の間だけアイススケートリンクになる。
ナイター用の照明、化粧室や更衣室が備わっていて、氷の整備もきちんとされている。
そんなスケート場が市民は無料で利用できる。

フィンランドに来て初めての冬、スポーツ用品店でスケート靴が40ユーロくらいで売られているのを見て衝動的に購入してしまった。
スケートは子供の頃に一度か二度滑ったことがあるくらい。
始めた当時は完全に初心者で、立っているのもままならなかったのが、1ヶ月もするとだいぶ滑れるようになった。
ここのスケートリンクではアイスホッケーをしている人もいるので、いつどこからパックが飛んでくるかわからない。
パックを避けるために、必然的に足元じゃなくて周りを見ながら滑らなければならない状況が上達を速めたのかもしれない。

30分くらい滑って足も疲れて来たので友人の家へ寄ってお茶をいただく。
友人は私の家にテレビがないのを知っているので、友人宅へ行くと必ずテレビをつけてくれる。
大抵はフィンランドのドラマか、洋画を見ることが多いが、アイスホッケーの中継があればそれを見たりもする。

フィンランドではアイスホッケーが大人気。
子供も大人も、自分でプレーするのも試合を見るのも好きな人が多い。
国際試合では、特に永遠のライバル、スウェーデンとの対戦の時、異様な盛り上がりを見せる。
私が住んでいる街にもプロのアイスホッケーチームがあり、ホームゲームには毎回地元の熱狂的なファンが詰めかける。
生で見るアイスホッケーの試合はやっぱり迫力が違う。
張り詰めた緊張感と、ゴールした時の高揚感。場内に響き渡るホッケースティックがぶつかる音、パックが凄い勢いで壁に当たる音が、いやでも臨場感を沸き立たせる。


テレビを見てまったりした後は、友人と一緒に夕食を作って食べることもあるが、今日は作り置きのごはんが家にあったので帰宅することに。
帰宅途中、オーロラが出ていたりしないかと空を見上げるが、そんなタイミングよく見られることは滅多にない。
でも一度だけ、何の事前情報もなく偶然オーロラに遭遇したことがあった。


当時私は上司の送別会で、とあるレストランにいた。
レストランは地下にあり、全く外の様子を伺うことはできなかった。
22時に、予約していたタクシーから到着の電話を受けたがみんな全く帰る気配がなく、
仕方なくタクシーのドライバーさんにもう少しだけ待ってほしいと伝言するために外に出た。
その時、頭上にものすごいオーロラが出現していたのだ。
足早にドライバーさんに伝言を伝え、その後しばらくレストランへは戻らずに、氷点下20度前後の中ただただ立ち尽くして、空に揺らめく巨大な緑のカーテンを見続けていた。
この時の情景は今も瞼に焼き付いている。


つづく・・
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