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第3章 悪魔契約
契約と代償。
しおりを挟む体中が痛みを恐怖を訴えている。
「助けて。」
自分で言っておきながら、消えそうな声だった。
しんどい、こんなにもしんどいものなの。
だ、れ?
今、頭を撫でてくれたのは誰?
そっちを見ようとするが身体が動かない。
「あまり動くな。」
動いてないのに。
動こうとしただけで。
何回も何回も頭を撫でてくれる。
その度、少し息がしやすくなった気がする。
いつの間にか胸の苦しさは消えていた。
「ありがとう。」
ふわふわする。
私、眠いのかな?
「おい、起きろ。
いつまで寝てるんだ?」
誰?私のことを呼ぶのは?
「契約ならもう終わった。
だから、さっさと起きろよ。」
もう少し寝かせてくれたって…
うん?契約?
飛び起きる。
だが、また元通りの天井が視界に映る。
あれ?何で?
私は起きようとしたはずなのに…?
「少し待ってろ。」
ガチャ。
「ほら、これで起きれるはずだ。」
起きれた。
そっか、手錠まだついてたんだ。
「起きたか。」
「私、いつの間にか寝てしまったんですね。」
「あぁ。気絶したって方が正しいかもな。
最後の方は単に寝てただけな気もするがな。」
「……。」
なんて返したらいいのか分からなくて
黙ってしまった。
「まぁ、いい。
これで契約は完了だ。
さぁ、代償を払って貰おうか?」
「そんな、一方的に…。
そもそも契約に同意だってしてないのに……。」
っていうかこれなら選択肢の1つ目選んだ時と
大差ないんじゃ…?
「同意なんていらないだろ。
せっかく用意してやった選択肢を
全部断ったんだからな。
普段なら選択肢なんてやらないところを。」
そんなの知るか。
こっちの都合なんて知らないって。
それなら私にも考えがあるから。
パシッ。
ナイフを奪う。
「代償なんて払わないから。
同意も説明もない契約なんて無効なんだから。」
「………クククッ。」
「何、何が可笑しいわけ?」
ナイフを持つ手が震える。怖い。
「そんな震えた手で何が出来る?
俺たちを殺せるとでも思っているのか?
そんなナイフ1つで。」
そんなの分かってる。
何も出来ないかもしれない。
でも何もしないでこの人の言いなりになるのは嫌!
「あなた達は殺せないかもしれない。でも!」
自分の首にナイフを充てがう。
ナイフの刃が首に当たったのだろう。
ピリッと鋭い痛みが首筋に走る。
「チッ。馬鹿な真似はよせ。」
「嫌っ。絶対嫌。
死んでもあなた達の言いなりになんかならないから。」
言いなりになってたまるもんですか。
ギッと相手を睨みつける。
本当は怖い。嫌だ。
死にたくない。
でも、相手の思い通りになるのも嫌。
ナイフを持つ手に力を込める。
ポタッ。
首から滴り落ちた血が真っ白なベッドを
赤く赤く染めていく。
赤いシミがまるで花のように咲く。
真っ白なキャンバスに赤い花を咲かせるように…
血は嫌い。赤は嫌い。
そう、あのときも……。
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