私、美味しくありません!!

卯月終

文字の大きさ
18 / 20
第3章 悪魔契約

休息と夢。

しおりを挟む

何か大切なことを忘れてしまったような…
胸にぽっかり穴が空いたわけではない。
ただ、少しだけ違和感を感じる。
いや、今に始まった事ではない。
昔からそうだった。
何か大切なことを忘れているような、
自分の居場所がここではないような…
両親は優しいし周りの人も優しい。
なのにそれが怖かった。
怖くて怖くて仕方なかった。
いつか壊れてしまう気がして、
全て夢な気がして。
もし夢なら終わらないで、壊さないで
何度そう願っただろうか。

羨ましかった。憧れた。
何の不安もなく生きていける日々に。
もしかしたら、そんなものは理想論でしかない、
存在するはずがない。
存在したとしても良いとは思わない。
そう言う人もいるかもしれない。

それでも私は望んだ。
例え理想でも存在しなくても望むことは出来るから。

その願いは多分叶っていない。
叶っていたらこんなに不安になるはずが
ないのだから。

これは私の理想?私の夢?私の願い?
それとも私の創り出した幻覚?

段々、景色が歪む。
先程見た親子の姿も何もかもが歪む。
ドロドロに混ざっていく。
そして視界が真っ暗になった。

❖❖❖❖❖

「う、うーん…」

「魘されてる?」

「多分そうだな。」

「やっぱりそうだよね、
ほんと、フィオリアちゃんに何したわけ?」

「監禁?」

「今じゃないよ。
攫ってくるより前の話。」

「あぁ、俺は特に何も。
邪魔な奴等を切っただけだ。」

「うっわー、何やってるんだよ。」

「まぁ、娘がいるなんて知らなかったんだよ。
というか彼奴らあいつらに娘なんていないはずだ。」

「なら。養子とか?」

「いや、それもない。
少なくとも記録にはないから
本当の娘ではないのだろう。
大方、孤児を引き取っただの、拾っただの。
そんなんだろうな。
まぁ、フィオリアにその記憶はないんだろうが。」

「あぁー、なるほどね。
魔族に親を殺されたとかそういうのか。」

「多分な。」

「それなら納得。フィオリアちゃんの必要以上に
怯えていたのも精神的なもの、つまりは癒えない
心の傷って訳か。」

「そうだろうな。」
 


「あっ。
一個気になってたんだけどさ、
見た目とか違うなら気付かない?」

「あー、全然。
というかこっち来てから気づいた。」

「レヴィーにしては……珍しいね。
血の匂いとか、魂の感じとか勘とか
感覚的に分かりそうなのに。」

「いや、情けないんだが一切。」

「ふーん。
それだけ凄いのかな、あの精霊くん。
レヴィーで遊ぶくらいだし。きっと……」

ちっ。

「うわー、こわいこわい。」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

処理中です...