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8話「募集文を書こう!」
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できた……! 会心の出来だ!
「おい二人とも、自分の案はできたか? できたら見せ合おうぜ!」
俺は自分が考えた募集文を早く見せたくてふたりのことを急かした。
「ちょっと待ってください……もうすぐ……できました!」
「あたしもできたわよ! じゃあまずは言い出しっぺのソウタから見せてもらいましょうか!」
「よっしゃ! 俺の会心の募集文、見てみやがれ!」
俺はドヤ顔をしながら募集文を書いた紙をふたりの前へ掲げた。
『パーティメンバー募集中! 前衛職として戦える方。または防御役に徹することができる方を募集します! こちらのパーティメンバーは絶世の美女、この世の天使、頭脳明晰、スポーツ万能のパーフェクトプリティーウーマンのハイウィザードと、ハイプリースト、冒険者のパーティです! 』
…………
「却下よ」
「却下です」
「何故ッ!?」
俺は信じられない言葉を聞いたとばかりに驚いた。
なんでだよ、完璧な出来だろ!?
「あんたどれだけサキのことを褒め讃えれば気がすむのよ。あんたの私情が入りすぎ。あたしを絶賛しなさいよ。あんた女神であるあたしのこと忘れてんじゃないの? 0点」
「ここまで書かれるとさすがにハードルが高いというか、恥ずかしいです……に、兄さんに褒めて頂けるのはとっても嬉しいのですが……」
「そうか……」
俺はガックリと肩を落とし、却下を受け入れた。
よく考えたら早希目当てのクソ野郎が来るかもしれないし、やっぱやめといてよかったかもしれないな。よし。
つーか顔を赤らめてはずかしがる早希たん天使じゃね? やっぱりハイウィザードやめて天使に転職しない? だめ?
「じゃあ次はエア、お前の募集文を見せろよ」
俺は自分の募集文をしまうと、エアに促した。
「しょうがないわね、あたしの書いたかんっぺきな文を見なさい!」
エアは先程の俺がしたドヤ顔よりもよらいっそう「ドヤァ」と聞こえてきそうなドヤ顔をしながら募集文を書いた紙を俺たちの前に掲げた。
『パーティメンバー募集中! 美人な女神様と一緒に冒険しませんか? エアライド教の御神体である女神エアと、その従者であるハイウィザード、下僕の冒険者で構成されたパーティです! 今ならエアライド教徒にまでなれる特典付き! 前衛職のメンバーよ、来たれ!』
バシンッ
「いたぁっ!?」
ビリビリビリッ
エアの書いた募集文を見た俺は、まずエアの頭を思い切りはたき、紙をひったくって目の前でビリビリに破いた。
「ああっ!? なにすんのよクソニート!! あたしの会心の出来が理解出来なかったわけ!? だからあんたはニートなのよ! あ、もしかして嫉妬したの? あたしの完璧な文に嫉妬したんでしょ! わかったらあたしを崇めなさい! 奉りなさい! ひだだだだだだだだ!!」
「こんのクソ女神が!! 誰が下僕だ誰が!! あとどさくさにまぎれて宗教勧誘してんじゃねえ! このアマ調子に乗りやがって、お前なんかクビだクビだ!」
俺はわめき始めたエアの頬をつかんで左右にひっぱり、エアの募集分への文句を直接ぶちまけた。
「あんたがあたしをスカウトしたんじゃない! いいの!? 貴重な回復役が居なくなってもいいのね!?」
「てめえの回復魔法なんてまだ一度も見たことねえよ! くやしかったら俺を回復してみやがれ!! まあもうクビだから回復魔法を見せる機会なんてねえがな!!」
「うわああああん!! ごめんなさい!! もう調子にのらないから! 戦闘でもちゃんとがんばるから! だから見捨てないでええ!!」
勝った。
泣き出したエアを見た俺は少し優越感を得ながら、ふと早希の方を見た。
早希は俺のことを蜘蛛の巣にかかった虫を見るような冷たい目で睨んでいた。
「兄さん」
「はい」
「女の子を泣かせるのはよくないことです。反省しなさい」
「すみませんでした」
早希に怒られた俺は、素直に土下座して謝った。
……あれ、クソ女神の泣き声が聞こえないぞ?
そう思ってエアの方を見ると、こちらを見て悪い笑みを浮かべていた。
しまった……! 弱みを握らせてしまった……!
「はあ……仕方ないですね、最後は私ですね?」
「ああ、早希のことを見せてくれ……俺は早希のことが見たい」
「たまに兄さんは何を言っているのかわからなくなる時がありますね……はい、どうぞ」
早希は俺にあきれながら、自分が書いた募集文を俺とエアの前に提示した。
『パーティーメンバーの募集です。現在、前衛職の方を募集しています。前に出て戦える方、もしくはモンスターから守って頂ける方を希望です。こちらのパーティーメンバーは自分に優しく人にも優しい冒険者の男性(ちょっとダメ人間ですが守ってあげたくなる人です)、美人でスレンダーなハイプリーストの女性
、ハイウィザードの私の三人です。よろしくお願いいたします。』
……
「やっぱサキ、あんたやっぱりソウタに関する事になると変になるわよね……ソウタの人にも優しいってのは間違いじゃないかしら」
「そうですか? うーん……私には優しいんですが……」
「それはサキにだからでしょ? コイツシスコンだから。あと、かっこの中身もちょっといじった方が良いわね。ほい、ほいと。これでどう?」」
『自分に優しく人には厳しい冒険者の男性(ダメ人間です)』
「オラァ!」
スパァン!!
「あいたっ!」
「これだとただのダメ人間だろうが! せっかく早希たんが書いてくれた文章をいじるんじゃねえ!」
「間違って無いじゃない! ダメ人間でしょうが!」
こんのクソアマがぁ……!
この後、結局早紀の書いた募集文が一番マシだったため、俺のことが書かれてる部分に少しだけ修正をかけてギルドのお姉さんに提出、許可を貰ったのちパーティーメンバー募集掲示板に掲示して終わった。
「おい二人とも、自分の案はできたか? できたら見せ合おうぜ!」
俺は自分が考えた募集文を早く見せたくてふたりのことを急かした。
「ちょっと待ってください……もうすぐ……できました!」
「あたしもできたわよ! じゃあまずは言い出しっぺのソウタから見せてもらいましょうか!」
「よっしゃ! 俺の会心の募集文、見てみやがれ!」
俺はドヤ顔をしながら募集文を書いた紙をふたりの前へ掲げた。
『パーティメンバー募集中! 前衛職として戦える方。または防御役に徹することができる方を募集します! こちらのパーティメンバーは絶世の美女、この世の天使、頭脳明晰、スポーツ万能のパーフェクトプリティーウーマンのハイウィザードと、ハイプリースト、冒険者のパーティです! 』
…………
「却下よ」
「却下です」
「何故ッ!?」
俺は信じられない言葉を聞いたとばかりに驚いた。
なんでだよ、完璧な出来だろ!?
「あんたどれだけサキのことを褒め讃えれば気がすむのよ。あんたの私情が入りすぎ。あたしを絶賛しなさいよ。あんた女神であるあたしのこと忘れてんじゃないの? 0点」
「ここまで書かれるとさすがにハードルが高いというか、恥ずかしいです……に、兄さんに褒めて頂けるのはとっても嬉しいのですが……」
「そうか……」
俺はガックリと肩を落とし、却下を受け入れた。
よく考えたら早希目当てのクソ野郎が来るかもしれないし、やっぱやめといてよかったかもしれないな。よし。
つーか顔を赤らめてはずかしがる早希たん天使じゃね? やっぱりハイウィザードやめて天使に転職しない? だめ?
「じゃあ次はエア、お前の募集文を見せろよ」
俺は自分の募集文をしまうと、エアに促した。
「しょうがないわね、あたしの書いたかんっぺきな文を見なさい!」
エアは先程の俺がしたドヤ顔よりもよらいっそう「ドヤァ」と聞こえてきそうなドヤ顔をしながら募集文を書いた紙を俺たちの前に掲げた。
『パーティメンバー募集中! 美人な女神様と一緒に冒険しませんか? エアライド教の御神体である女神エアと、その従者であるハイウィザード、下僕の冒険者で構成されたパーティです! 今ならエアライド教徒にまでなれる特典付き! 前衛職のメンバーよ、来たれ!』
バシンッ
「いたぁっ!?」
ビリビリビリッ
エアの書いた募集文を見た俺は、まずエアの頭を思い切りはたき、紙をひったくって目の前でビリビリに破いた。
「ああっ!? なにすんのよクソニート!! あたしの会心の出来が理解出来なかったわけ!? だからあんたはニートなのよ! あ、もしかして嫉妬したの? あたしの完璧な文に嫉妬したんでしょ! わかったらあたしを崇めなさい! 奉りなさい! ひだだだだだだだだ!!」
「こんのクソ女神が!! 誰が下僕だ誰が!! あとどさくさにまぎれて宗教勧誘してんじゃねえ! このアマ調子に乗りやがって、お前なんかクビだクビだ!」
俺はわめき始めたエアの頬をつかんで左右にひっぱり、エアの募集分への文句を直接ぶちまけた。
「あんたがあたしをスカウトしたんじゃない! いいの!? 貴重な回復役が居なくなってもいいのね!?」
「てめえの回復魔法なんてまだ一度も見たことねえよ! くやしかったら俺を回復してみやがれ!! まあもうクビだから回復魔法を見せる機会なんてねえがな!!」
「うわああああん!! ごめんなさい!! もう調子にのらないから! 戦闘でもちゃんとがんばるから! だから見捨てないでええ!!」
勝った。
泣き出したエアを見た俺は少し優越感を得ながら、ふと早希の方を見た。
早希は俺のことを蜘蛛の巣にかかった虫を見るような冷たい目で睨んでいた。
「兄さん」
「はい」
「女の子を泣かせるのはよくないことです。反省しなさい」
「すみませんでした」
早希に怒られた俺は、素直に土下座して謝った。
……あれ、クソ女神の泣き声が聞こえないぞ?
そう思ってエアの方を見ると、こちらを見て悪い笑みを浮かべていた。
しまった……! 弱みを握らせてしまった……!
「はあ……仕方ないですね、最後は私ですね?」
「ああ、早希のことを見せてくれ……俺は早希のことが見たい」
「たまに兄さんは何を言っているのかわからなくなる時がありますね……はい、どうぞ」
早希は俺にあきれながら、自分が書いた募集文を俺とエアの前に提示した。
『パーティーメンバーの募集です。現在、前衛職の方を募集しています。前に出て戦える方、もしくはモンスターから守って頂ける方を希望です。こちらのパーティーメンバーは自分に優しく人にも優しい冒険者の男性(ちょっとダメ人間ですが守ってあげたくなる人です)、美人でスレンダーなハイプリーストの女性
、ハイウィザードの私の三人です。よろしくお願いいたします。』
……
「やっぱサキ、あんたやっぱりソウタに関する事になると変になるわよね……ソウタの人にも優しいってのは間違いじゃないかしら」
「そうですか? うーん……私には優しいんですが……」
「それはサキにだからでしょ? コイツシスコンだから。あと、かっこの中身もちょっといじった方が良いわね。ほい、ほいと。これでどう?」」
『自分に優しく人には厳しい冒険者の男性(ダメ人間です)』
「オラァ!」
スパァン!!
「あいたっ!」
「これだとただのダメ人間だろうが! せっかく早希たんが書いてくれた文章をいじるんじゃねえ!」
「間違って無いじゃない! ダメ人間でしょうが!」
こんのクソアマがぁ……!
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