40 / 83
本編 19.04 - 20.03
窓/383/ホラー
しおりを挟む
ひとりでタンデム車に乗った。二人で乗るより重い自転車で坂を駆け上がった。買った部屋から、カーテン越しに灯りが漏れていた。
自転車を停め、部屋に向かった。鍵がかかっているはずのドアは、なぜか開いていた。靴や置物が散乱し、一部は割れている。スリッパは脱ぎ捨てられ、扉は開け放たれていて、何か不穏な空気が僕を圧迫した。
名前を呼んでも返事はなかった。いないのだろうか。寝ているだけならいいのだけれど。
リビングにも、寝室にも、彼女はいなかった。残っているのは知らない気配だけだ。ものが散乱する室内で、必死に次の手を考えた。彼女はどこに行ったのか。スマホも財布も持たずに、どこに行くというのだろう。
外に出ようと扉を開けたとき、何かが風と一緒に通り抜けた。本のページが捲られ、紙束から数枚が飛ぶ。はためいたカーテンの隙間から僕が見たのは、風に煽られ揺れる、吊るされた「彼女」だった。
自転車を停め、部屋に向かった。鍵がかかっているはずのドアは、なぜか開いていた。靴や置物が散乱し、一部は割れている。スリッパは脱ぎ捨てられ、扉は開け放たれていて、何か不穏な空気が僕を圧迫した。
名前を呼んでも返事はなかった。いないのだろうか。寝ているだけならいいのだけれど。
リビングにも、寝室にも、彼女はいなかった。残っているのは知らない気配だけだ。ものが散乱する室内で、必死に次の手を考えた。彼女はどこに行ったのか。スマホも財布も持たずに、どこに行くというのだろう。
外に出ようと扉を開けたとき、何かが風と一緒に通り抜けた。本のページが捲られ、紙束から数枚が飛ぶ。はためいたカーテンの隙間から僕が見たのは、風に煽られ揺れる、吊るされた「彼女」だった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
5
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる