ヒキアズ創作BL短編集

ヒキアズ

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41~50

(48)生徒会長×先生

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足を怪我した生徒会長、咲倉の代わりに黒羽は棚の上の資料を取ることに。しかし、何故か尻を揉まれる。しかし、優秀で純粋な瞳の咲倉がそんなことをするはず……。事故(ラッキースケベ)に悩まされる先生の話。

咲倉 明瑠(さくら あくる):皆から信頼される生徒会長。ラッキースケベボーイ(確信犯)。策士悪魔。
黒羽 四葉(くろは よつば):お堅い先生。眼鏡。だがしかし鈍感流され苦労性。

眼鏡が汚れてんの、絶対炭酸だけじゃなく、先生が逃げた後、咲倉くんが一人でなんかやった痕でしょ(雑な伏線回収)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「あっ。黒羽先生お疲れ様です!」
「ああ。お疲れ」
 生徒会室に入った途端、資料に目を通していた生徒が顔を上げて人懐っこい微笑みを浮かべる。
 彼の名は、咲倉 明瑠。昨年度の生徒会選挙では学校始まって以来初のずば抜けた支持率を誇り、見事生徒会長の座を手にした私の可愛い教え子だ。
「何か困ったことはなかったか?」
 彼が会長になってからというもの、生徒たちはかつてないほどに校則を守るようになった。指導力もさることながら、仕事の速さも言うことなし。まだ高校生だというのに、人間の鑑のように完璧な彼は、何かと私を慕ってくれた。だから、私もなるべく彼のサポートをするつもりだ。まぁ、彼に限っては私がわざわざ助けるほど困ることなどないのだろうが……。
「それじゃあ、少しお願いを。あの棚の資料が取れないんです」
 少し寂しい気持ちでそんなことを考えていると、彼は申し訳なさそうに棚を指しながら言葉を紡いだ。
「え、でも。お前の方が身長高いだろう?」
 悲しいかな、私は咲倉を見上げながら自虐する。ほんの数センチ程度だが、目の前のイケメンは確かに私より背が高い。それがなぜ……。
「すみません、実は足を怪我してまして」
「え、すまん。気が付かなかった。大丈夫か?」
「えぇ。でも少し不便で」
 視線を彼の足に落としてみるが、ズボンのせいで全くわからない。だが、そうか。彼が怪我をしていたとは。もう少し注意を払っていればよかった。
「待ってろ。今取ってやる」
 そう言って、お目当ての資料に手を伸ばす。う……。あと少し、届かん……。
「届きます?」
「ん、もう少し……」
「無理しないでください。届かなかったら、椅子持ってきますし」
 そう言われては逆に無理しない訳にはいかなかった。
「んん……。あ、取れそ……。んっ?!」
 もう少しのところで、尻に違和感を覚えて動きを止める。
 今、尻を撫でられなかったか……?
「やっぱり駄目みたいですね……」
 恐る恐る振り返ってみると、真面目な顔をした咲倉と目が合う。
 いや、私は何を疑っているんだ! そもそも、彼が私にそんなことをするわけがないというのに……!
「椅子持ってきたらなんとかなりますかね?」
 自己嫌悪に陥り黙り込んでいる私を見て、彼は足を引き摺りながらテーブルから椅子を引き出す。
「あ、いや。私がやるから、咲倉は押さえていてくれ」
 慌てて咲倉から椅子を奪い、配置してから上に乗る。
「気をつけてくださいね」
「えっ、あ、ああ……」
 待て、咲倉。普通、椅子の方を支えないか……?
 太ももに触れる感触に戸惑いつつも、心の中で彼に問いかける。
 純朴な瞳で見つめ返してくる彼の腕は、なぜか私の両足の太ももを包み込むように支えている。
「先生? あ、もしかして高いの苦手ですか?」
「い、いや。取るから、少し待て」
 変に指摘する訳にもいかず、目の前の資料を棚から引き抜く。
「その、取れたから、手を放してくれ……」
「はい。気を付けて下りてくださいね?」
 咲倉の手がようやく離れ、安堵したのも束の間。まるで紳士が淑女に対してするように手を差し出される。
「いや、自分で下りられるから……」
 たかが椅子を下りるくらいで、成人男性がエスコートされてたまるか。
 丁重にお断りするべく、咲倉の手をやんわり遠ざけようとするが、逆に手を取られて引っ張られる。
「わっ」
 いきなり引っ張られ、バランスを崩した体は、転ぶ前に咲倉の胸にダイブする。
「大丈夫ですか?」
「……っ」
 ばっちり抱き留められたせいでズレてしまった眼鏡を、押し上げながら咲倉を見つめる。
「黒羽先生?」
 心配そうに見つめてくる彼は、まるで青春恋愛映画に出てくる俳優のように完璧だった。少女漫画なら、きらきらとしたエフェクトが散りばめられていることだろう。
 天然たらし。そんな言葉が頭に過る。確かにこれは、女子が黙っていないだろう。
 だが残念なことに、男、しかも教師である私にしてみれば、虚しさが込み上げてくるだけだった。
「悪い。足は大丈夫か?」
 そもそもは咲倉が腕を引っ張ったのが悪いのだが、大人としてここは謝っておく。
「ええ。先生も……どうやら大丈夫そうですね。あ、資料、ありがとうございます」
「……ああ」
 ぺたぺたと一通り私の体を触って怪我の有無を確かめた咲倉が、ようやく手を離して資料を掴む。
 今の子どもはスキンシップが激しいな。いや、咲倉が特別馴れ馴れしいだけか。そう合点してから、首を傾げる。
 いや、でも彼が人にべたべたしているのは見たことない気がするが……。
 資料に目を通している彼を見て、首を振る。
 きっと私が見ていないだけだろう。それに、彼ほど人気があれば、人目につく場でべたべたすると必ず妬みが生まれてしまうだろうからな。彼なりに、自分を抑えて友人づきあいをしているのかもしれない。
 あくまで推測でしかないが、もしそうだとしたら、彼を諫めることはできない。
「あと、先生。ここの書き方がよくわからなくて……」
「ん、どこだ?」
 顔を上げた咲倉と目が合った瞬間、彼は遠慮がちに質問をする。
「どうぞ座ってください」
「ああ。すまない」
 立ち上がり、わざわざ隣の椅子を引いてくれた咲倉に礼を言いつつプリントを覗く。
 全く。足を怪我しているんだから、無理して親切にしなくてもいいのに。まぁ、彼にとってそれが染みついてしまっていることであり、無意識の内にやっているんだろうな。
「ええと。ここはまず、申請者の名前を書いてだな――」
「なるほど、さすが先生!」
 一通り説明を終えると、咲倉が嬉しそうに笑顔を浮かべる。その眩しさに、思わず眼鏡を押し上げて照れを隠す。
 本当に咲倉はイマドキの高校生にしては素直な奴だ。特定の生徒を依怙贔屓するのは良くないが、咲倉に関しては、他の先生方の間でもずば抜けて評価が高い。それに私の場合は、目つきと指導の鋭さから、咲倉以外の生徒からは距離を置かれている。逆になぜ咲倉がこんなに懐いてくれているのか分からないが、そんな理由から、どうしても咲倉は私の中で一番可愛い生徒といえる。
「さて。もう聞きたいことはないな?」
「はい。助かっちゃいました。……ありがとうございました。黒羽せんせ」
 立ち上がった咲倉が屈んだかと思うと、私の肩に手を置きながら耳元で息を吐く。
「っ……!」
 その低くねっとりとした囁きに、息を詰まらせながら立ち上がって距離を取る。
 なんか、その。耳元でそんな風に名前を呼ばれると、変に意識してしまうというか……。いや、だから、変な意味じゃなくて……。
「先生」
 誰に向けてかわからない言い訳を心の中で叫んでいるうちに、何も気に留めていない様子の彼が再び距離を詰める。その視線は胸ポケットに注がれていて。
「?」
「丁度良かった。インク切れちゃって。そのペン、貸してください」
「ん、ああ。これか。わかっ……、ひっ!」
 私の手が胸ポケットのペンに触れるより先に、咲倉の指がそれに触れる。しかし、その触り方がまずかった。だって、いきなり胸を鷲掴みするなんて、思いもしないから……!
「あ。すみません。痛かったですよね。ちょっと僕も転びそうになっちゃって」
「いや……。大丈夫だ」
 変な声を出してしまったことに、羞恥を覚え、俯きながらなんとか答える。俯いた目線の先、片足を浮かして立っている彼を捉えて納得する。
 そうか。怪我してるから、躓くのも無理はない。本当に、大したことない怪我なのだろうか……。
「っ!?」
 そんなことを考えていると、再び咲倉の指が胸に触れる。
「あれ。これ取れないな……」
「ん、ちょ、ま……。さ、くら……ッ!」
 ポケットに挿した部分が、布に食い込んでいるらしく、それを外そうと咲倉の指があちこち動く。布を撫でて整えたり、無理やり力で引く抜こうとしたり。やってる本人は、至って真面目で、恐らくこちらのことなど考えていないんだろう。だが、それをされる身としては……。
「ん……ッ」
 咲倉の指の腹や爪、そして硬質なペンが胸の突起を刺激する度、意識してしまう。
 なんか、変な感じだ……。男の私が、意識することはないというのに……。意識してしまうせいか……、うう……。擦られる度に痺れが強くなってゆく……。
「ん~。それじゃあ、こっちを押さえて……」
「は……!」
 突然、反対側の胸に手を当てられて体が震える。が、咲倉はそれに気づかず、シャツを思いきり引っ張りだす。そして、ポケット側のペンを思い切り引き抜き……。
「あ、取れました!」
「ッ……!」
「ってあれ、先生? 痛かったですか?」
 純粋な瞳が心に刺さり、思わず目を逸らす。
「い、いや……。なんでも、ない」
「でもなんか、顔が赤いような……」
「っ……。ちょっと、暑くて……。ええと。そうだ、咲倉は頑張ってるみたいだから、飲み物買ってきてやるから!」
「え、でもそんな」
「いいから!」
 私は強引に会話を打ち切り、速足でその場を立ち去った。

「最悪だ!」
 だん、と自動販売機を叩きつけるようにして拳でボタンを押す。
 出てきた清涼飲料水を素早く口に含む。
 幾分か熱は下がった気がするが、未だ胸が服で擦れる度にさっきの感覚が蘇る。
 自分がこんなにも不健全だとは思わなかった。あっちには全くその気がないというのに、自分の体が自分の意志とは関係なしに反応してしまうことが情けなかった。
「咲倉、待ってるよな……」
 本音を言えば、このまま帰ってさっさとふて寝して、全てを忘れ去りたかった。でも、現実的にそんなことは許されない。
 小銭を一枚ずつ自販機に投入する。その軽快な音さえもが地獄へのカウントダウンに聞こえた。


「あ。先生! 自販機、混んでました?」
「いや……。まぁ……」
 嫌味とも取れるその言葉だが、無垢な瞳で見つめられては居心地が悪い。曖昧な言葉で濁した後、ペットボトルを机に置く。
「あ。サイダー」
「これで良かったか?」
「ちょうど飲みたいと思ってたんです。さすが先生! ありがとうございます!」
 まるでCMに出てきそうなほどに爽やかな笑みを浮かべた咲倉が、ペットボトルに手を伸ばす。が。
「あっ」
 取り損ねたそれは、ごとり、と音を立てて床にぶつかり、転がってゆく。
「手が滑っちゃって。すみません」
 慌てて咲倉が拾ったペットボトルは、中でしゅわしゅわと炭酸が躍っている。
「あ、待て」
 咲倉の手の中で、蓋が回る音がする。そして、間髪入れず空気の漏れる音がして……。
「わ!」
「ばっ……!」
 しゅわしゅわと勢いよくペットボトルの口から液体が漏れ出す。それは、正面に居た私の服に思い切り掛かって……。
「ごめんなさい! どうしよう、濡れちゃいましたよね?!」
 咲倉の手が確かめるように濡れた箇所を撫でる。
「だ、大丈夫だから……!」
 その手から逃れるように一歩後ろに下がって、咲倉を制する。
「でも……」
「大丈夫だ。これくらいすぐ乾く」
 眼鏡に掛かった液体を裾で拭いてから、咲倉を見る。その表情はまるで飼い主に怒られた犬のようにしょんぼりとしていて。
 そういえば、昔はすごく犬が欲しかったな……。
 じゃなくて。
「とにかく、私はもう帰るから。後は適当に済ませて、お前も早く帰るんだぞ?」
 どうでもよい思考を振り払って踵を返す。
 これ以上ここに居たら、どんどんペースが乱されてゆく気がする。これから咲倉に関わるのもよした方がいい気が……。
 どさり。
「?」
 ドアに手を掛けた瞬間、後ろで何かが倒れる音がして振り返る。
「う……」
「咲倉……!」
 見ると、さっきまでピンピンしていた彼が、苦しそうな顔をして倒れていた。
「大丈夫、ちょっと、眩暈がしただけで……。先生は、気にしないで、早く帰って……」
「馬鹿、帰れるわけないだろ。他にどうあるんだ?」
「ほんとに、大丈夫なんで……。昨日、遅くまで勉強してたから、多分そのせいで……」
 息絶え絶えに語る原因は、あまりに真面目な理由で。これを放っておけるはずもなく。
「送ってやるから。ちょっと待ってろ」
「すみません……」


「ほら、着いたぞ」
「ん……」
 車を降り、咲倉の家の前まで肩を貸してやる。その間、首筋に掛かる吐息がこそばゆくて仕方がなかったが、そんなことはとても言えない。
 もぞもぞと鞄から鍵を出した咲倉が、ドアを開ける。
 彼の両親は単身赴任のため、ここに住んでいるのは彼一人。だから尚更、彼を一人で帰らせてはいけないと思ったのだ。
「ちょっと上がらせてもらうからな」
「はい……」
 よたよたと靴を脱いで、咲倉を支えながら彼の家の床を踏む。綺麗に磨かれたフローリング。玄関に飾られた消臭剤の花の匂い。ほどよく明るい照明。家族で暮らすのに理想的なこの家で、一人寂しく暮らしている彼のことを思うと、なんだか妙にしんみりしてしまう。
「せんせ……」
 ぼんやりしていると、荒い息と共に彼の唇が首に触れる。
「っ!」
 その熱に、思わず肘で彼の体を遠ざけようとするが、腕を取られて……。
「黒羽せんせ……」
「!」
 熱っぽく耳元で響く彼の声に、動揺して躓く。
「痛……」
 しかし、追うようにして倒れ込んだ咲倉の体が、伸し掛かってくる。慌てて受け止めようとしたが間に合わず、そのまま下にずり落ちて、座り込んだ私の足の間に咲倉の頭が埋められる。
「せんせ……」
「あっ」
 熱い唇がそこに触れたとき、焦れていた欲が再び込み上げる。
「せんせ、すみません、体が、上手く動かなくて……」
「んっ……」
 咲倉の口が動く度、熱い息が掛かって嫌でも反応してしまう。
「せんせ、今、退きますから、ね……?」
「あ、ああ。早く……」
 あれ……?
 一瞬こちらに向けられた咲倉の顔が、笑っているように見えて……。
 確認する間もなく、咲倉の手がシャツを思い切り掴む。
「っ!」
 シャツ越しに、胸が、引っ掻かれて……、痛いのに、なんか……。
「せんせ?」
 起き上がった咲倉が顔を近付ける。
 駄目だ、今、きっと顔赤いし、涙目になってるから……。
「は……。み、るな……」
「まさか、先生も熱があるんですか?」
「わ、私は……」
 言い訳をするより早く、咲倉の手が眼鏡に触れる。
「おい、勝手に……!」
「いいから」
 眼鏡を攫う咲倉の手を掴もうとするが、逆に掴まれ、至近距離で瞳を覗かれる。
 それに怯んでいる隙に、眼鏡を捨てた咲倉の手が撫でるように、乱れた私の前髪をゆっくり押し上げてゆく。
「んっ」
 思っていたよりごつごつとした大きな手の平が、慈しむように肌を滑るむず痒さ。身じろがずにいられない。
「おかしいですね、そこまで熱くない」
 額をくっつけた咲倉が、息が掛かるその距離で楽しそうに呟く。
「でも」
 ゆったりと笑った咲倉の指が、頬をねっとりと撫で上げる。
「頬はこんなに熱い」
「こ、れは……」
 咲倉から顔を逸らすが、首筋に掛かる咲倉の息のこそばゆさに耐え切れなくなって咲倉を睨みつける。
「せんせ?」
「っ。わ、私は大丈夫だから! だから、お前は早く寝……」
 ふいに伸びてきた咲倉の手が、シャツを撫でる。
「ジュース零したの、乾きましたね」
「……ッ!」
 これ以上は無理だった。
 耐え切れなくなった私は、咲倉を突き飛ばして。逃げるように咲倉の家を後にした。


 それから、私は学校で咲倉を避けた。それが、教師として間違っていることは明らかだ。いや、人間としてもどうだろうか。あっちはただ具合が悪くて、事故が重なっただけ。それなのに、勝手に欲情した挙句、具合の悪い生徒を突き飛ばして逃げ帰るなんて……。
「最悪だ」
 浅ましい。そんな風に受け取ってしまった自分が情けない。
「謝らなくちゃ、だよなぁ……」
 ため息を吐きながら、眼鏡を押し上げる。予備の眼鏡は度が低く、いささか不便でもある。……置いてきてしまった眼鏡も取り戻さねば。
 でも……。一度意識してしまったら……。
「いや。きっと大丈夫だ」
 首を振って準備室のドアに手をかける。が。
「黒羽先生!」
「っ!」
 突然背後から肩を叩かれ、息を詰まらせる。
「さ、咲倉……。どう、した……?」
 振り返った先にいた彼は、真っすぐにこちらを見つめてくる。目を泳がせたいのを堪えながら、なんとかそれだけ言って、曖昧に微笑む。
「あの、この前はありがとうございました。送ってもらって、すっかり良くなりました」
 そう言って爽やかに微笑む彼は、まるで悪意などない。やはり、咲倉は正常じゃないか。
「あ、あぁ。私こそ、その……。ろくに看病できず、すまなかった」
「いえ、とんでもない! 先生はお忙しいんですから」
 素直に頭を下げると、咲倉が困ったように取り繕う。
 あぁ。なんだ。やっぱり良い生徒じゃないか。それなのに、私は……。
「あ、そうだ。これ。先生忘れていましたよ」
 自己嫌悪に陥っていた私に、咲倉が鞄から取り出した眼鏡を差し出す。
「あ、すまない。ついうっかりしていて……」
「いえ。僕こそ気づかなくて。あ、そういえば先生も体調悪そうでしたけど、大丈夫でした?」
「ああ。私はもう大丈夫。その、一時的なものだったから……」
 眼鏡に着いた汚れをハンカチで拭きながら、もごもごと答える。
「あ。中に入って少し待っていてください」

 言われた通り、生徒会室の椅子に座りながら予備じゃない方の眼鏡をかける。
 やはりこっちが落ち着くな。少し汚れが目立つが……。この前、飲み物を零されたからなぁ。後で濡らして拭かなければ。
「先生~!」
 懐っこい声を上げて現れた咲倉の手には、自販機の紙コップ。
「お礼と言ってはなんですが、これ」
 受け取ると、真っ黒い液体が私の顔を映して揺れていた。
「そこの自販機で買ってきただけなんですけど、良かったら」
「ありがとう。ちょうどコーヒーが飲みたい気分だったんだ」
 本当に出来た子だ。お礼まで受け取ってしまっては、いよいよ私が恥ずかしい。
 でも、昨日はあまり眠れなかったからな……。
 ごくり。
 程よく冷えたそれを飲み干す。これで幾分かは眠気が飛んだはず。
「あと、さっき作った今度の総会の資料を見て欲しくて」
 コップを置いて、渡された資料に目を通す。
「これは。良くできている」
「良かった。じゃあ、さっそく人数分刷ってきますね。ありがとうございました!」
「待て。まさか、お前一人で今から全校生徒分の資料を作るつもりか?」
「はい、仕事ですから!」
「お前、仕事ができるのはいいが、もう少し他のメンバーも頼った方が……」
「でも、他はみんな部活に入ってますから。……そっちに専念してほしいっていうのは僕のわがままでしょうか?」
「……わかった。私も手伝うから」
「えっ。いいんですか? 僕、すっごく嬉しいです」
 屈託なく笑う咲倉に、すっかり緊張が解けてゆく。
「でも、無理はしないでくださいね。先生、さっきまで顔色悪かったし」
「いや。多分もう大丈夫だ」
 もう大丈夫。自分に言い聞かせるように、そっと呟いてみる。これ以上はそうそう事故も起こらないだろう。だったら、後はもういつも通り。変に意識することもないはずで……。


 ぱちん。ぱちん。
 静まり返った生徒会室にホチキスの音だけが響く。コピーした資料を綴じる作業を延々とこなすこと数分。
「でもまぁ、これだけの量はさすがに辛いですね」
 ようやく咲倉がその手を止めて、声を発した。
「ん……。そう、だな」
 隣に座る私は、何とかそれだけ答えて、ホチキスを握る手に力を込める。
 熱い。さっきから頭がぐらぐらする。何か、変な感じだ……。どうして……。
「先生?」
 返事の鈍い私を訝しがるように、咲倉が覗き込んでくる。
 その距離の近さに、この前のことが鮮明に思い出されて。
「っ……!」
 何を考えて……。最悪だ……。
「やっぱり、気分が悪いんじゃ……?」
「いや、大丈夫だ……けど……」
 込み上げてくる熱を気のせいだと押し込めて、逃げ道を探す。やはり、ここは気分が悪いと言って切り上げてしまった方が……。
「体調が悪いんでしたら、僕一人で後はやっておきますから。先生もお忙しいでしょうし……。ほんと、僕は一人でも大丈夫ですから……」
 言葉とは裏腹に、明らかに咲倉の表情が心細そうにしゅんとする。
「い、いや。私は何ともないから……。早く、片付けよう……」
 捨てられた子犬のような目をされては、罪悪感が増して逃げられない。
 とにかく、早く終わらせて、咲倉から離れれば、こんなのは……。
「っは……」
 手を動かすごとに、どんどん鼓動が激しくなり、額に汗が伝う。
 早く、早く終わらせなければ……。
 そう思うのに、ホチキスを握る手が震えて、上手く力が入らない。もう片方の手に持った資料は無意識の内にくしゃくしゃに曲がって、汗で湿る。
「は……、はぁ……」
 駄目だ……。もう……。
「先生、大丈夫ですかっ?」
 机に両手をついて俯く私の背中を、咲倉が優しく撫でる。
 咲倉……。
「先生……?」
 真っすぐに見つめる咲倉の瞳が、心配そうにしてくれる顔が。
「は、ぁ……。さ……くら……」
 ぐらぐらと煮える視界で、縋るように咲倉の腕を取る。
「先生? どうしたんですか?」
 ゆったりと問いかける咲倉に、どうしようもないぐらい心が焦れる。
「たす、けて……」
「助けて? はは。先生ってば、僕に頼っちゃうんですか?」
 咲倉の手が頬に触れる。その冷たい手のひらが気持ち良くて。
「んっ」
「熱いですね」
 熱い……。どうして、どうしてこんな……。
「今日はもう、帰りましょうか。ね? 先生」
「ん……。すまない。また今度、手伝う、から……」
 ぎりぎり残った理性でそれだけ言い、のろのろと進んでドアノブに手を伸ばす。が。
「っ」
「やだなぁ、送っていきますよ?」
 背後に立った咲倉の手が、私の手と重なってゆっくりとドアを開ける。
「いや、本当に、大丈夫だか……」
「本当に?」
 咲倉が耳元で低く囁く。
「っ、咲倉、や……」
 たったそれだけのことなのに、あっという間に全身の力が抜けて、しゃがみ込みそうになるのを咲倉に支えられる。
「汗がすごい。熱中症かもしれません」
「ん、ぅ……」
 咲倉に触れられたところが熱い。でも、そこじゃなく、もっと……。
「帰るのはもう少し休んでからの方がいいかも。先生はソファで横になっててください。今、飲み物買ってきますから」
「あ、ああ……」
 体を離されて正気に戻る。
 今、私は、何をしようと……。
 ソファに座り、疼く欲を抑え込むように、手の甲を噛む。
 これは、熱中症なんかじゃない。でも、いきなりこんな、欲情するなんて、何か、おかしい……。
「買ってきました。先生、ほら飲んでください」
 あ、そういえば、咲倉が買ってきたコーヒーを飲んでから、変な気分になったような……。
 考えている隙に、咲倉がペットボトルの蓋を開け、私の口に流し込む。
「んん……! げほっ!」
 勢いよく流し込まれたそれは、飲み切れるはずもなく服を濡らす。
「あっ、ごめんなさい。拭きますから!」
「ちょっと待て、だ、大丈夫だか……」
「いいから。じっとしといてください」
「っは」
 囁かれた途端、体がぞくりと震えて力を失う。
 その隙に、咲倉の手が濡れた服を丁寧に撫で上げてゆく。
「さ、くらッ……」
「びしょびしょですね。しょうがない。ね、先生、脱いでください」
「えっ。い、いや、着替えくらい自分でやるから大丈……」
「ああもう。脱がせますよ?」
「ちょ……!」
 咲倉の手がしなやかに動いて素早く服を取り攫ってゆく。
「あれ。先生これ……」
 ズボンを脱がせようとする咲倉の手が止まる。熱を帯びたそれは、服の上からもわかるぐらい反応していて……。
「違う……」
「もしかして……」
「違うッ……!」
 咲倉の視線から隠すように、落ちたシャツを抱きしめる。
 羞恥で体が震える。それなのに、欲はますます高まってゆくものだから、ぐちゃぐちゃになった感情が一気に込み上げ、涙が溢れてくる。
「先生……」
 咲倉の言葉を受け入れたくなくて、ぎゅっと目を閉じる。
 もう駄目だ。もう全部終わりなんだ。教師生活どころか、人間としても終わってる。男相手に、こんな風になって。情けない。
「き、気持ち悪いだろ……? 私も、なんでこんななったのか、わかんないんだ……。ほんとに……。うう……」
「先生、本当にわかんないの?」
 優しく囁く咲倉の手が、太ももを這う。
「は……。だ、めだ……、触られたら、耐えられなく……」
「助けてほしい?」
「んむ……」
 唇をむにむにと弄る咲倉の指をそっと食む。そのままその指を舐めてしまいそうになったところで、咲倉の指が離れてゆく。
「どうなの?」
「あ……。う、助けて、ほし……」
 縋るようにその手を掴んだ途端、咲倉の口が楽しそうに歪む。
「馬鹿だなぁ。先生はもう少し賢いと思ったのに」
「咲倉……?」
「そんでもって、こんなに可愛いとは思ってもみなかった」
「んっ……」
 腰を掴まれ引き寄せられると、唇が重なり合う。唾液で潤った唇は、自ら吸い付いて咲倉を放さない。甘い。痺れて溶けてあって。苦しいのに、もっと溺れるほど貪りたい。
「先生。俺ね、別にいい子じゃないんだ。表向きをいい子にしてれば生きやすいからそうしてるだけ。本当は人間としては失敗作。何の感情も湧いてこない冷めた人間なんだよね」
「は……」
 口づけから解放されて、そのまま咲倉に抱き留められる。ぐちゃぐちゃになった感情が、荒い呼吸と共に自分を責め立てる。
「でもさ、先生もそういうとこあるじゃん? だからさ、試したくなったんだよね。先生も欲情することがあんのかなって」
「なに、言って……」
「わざとだよ。今までちょっかいかけたの全部。怪我したってのも嘘だし、コーヒーには催淫剤混ぜたんです」
「お前は、何を……」
「結果は御覧の通り。先生も人間らしいとこあるじゃん」
「ッ……!」
 咲倉の手が、抱きしめたシャツに隠れた欲を包み込む。
「ほんと。先生がこんなになるなんて、想像もしてなくてさ。……やられたよ」
「ん……、だめだって……」
 そう言いながらも、押し寄せる快感に抗えるだけの気力は残っていなかった。
「まさか僕にまでこんな感情があるなんて。知らなかった」
「は、あ……。や、擦る、なって……」
「先生が好き。愛してる。先生の感じてる顔、もっと見たい。ぜ~んぶ知りたい。全部ぐちゃぐちゃに愛してやりたい」
「さ」
「やっぱり先生はすごい。こんな感情教えてくれてありがとう」
 背徳的な笑みを浮かべた咲倉が、艶めかしい手つきで眼鏡を攫う。そして、再び唇が重なった時にはもう、私の理性は溶け切って、熱に浮かされるまま溺れていった――。
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完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

BL 男達の性事情

蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。 漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。 漁師の仕事は多岐にわたる。 例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。 陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、 多彩だ。 漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。 漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。 養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。 陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。 漁業の種類と言われる仕事がある。 漁師の仕事だ。 仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。 沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。 日本の漁師の多くがこの形態なのだ。 沖合(近海)漁業という仕事もある。 沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。 遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。 内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。 漁師の働き方は、さまざま。 漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。 出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。 休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。 個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。 漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。 専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。 資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。 漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。 食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。 地域との連携も必要である。 沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。 この物語の主人公は極楽翔太。18歳。 翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。 もう一人の主人公は木下英二。28歳。 地元で料理旅館を経営するオーナー。 翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。 この物語の始まりである。 この物語はフィクションです。 この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。

タトゥーの甘い檻

マリ・シンジュ
BL
執着系わんこ攻(大学生)× 高潔な美形教授受(30代) どのお話も単体でお楽しみいただけます。 ​「先生、ここ……僕の瞳を入れるから。ずっと、僕だけを見てて」 ​真面目な大学教授・新城が、大学生の・羽生にだけ許した、あまりにも淫らな「わがまま」。 ​それは、誰にも見えない内腿の奥深くに、消えないタトゥーを刻むこと。 「下書き」と称して肌を赤く染めるペン先の冷たさ。 アトリエの無機質なライトの下、四つん這いで晒される大人の矜持。 ​ずっと年下の青年の、必死で、残酷で、純粋な独占欲。 愚かだと知りながら、新城はその熱に絆され、ゆっくりと「聖域」を明け渡していく――。 ​「……お前のわがままには、最後まで付き合う」 ​針が通るその時、二人の関係は一生消えない「共犯」へと変わる。 執着攻め×年上受け、密やかに刻まれる秘め事のお話。

鬼上司と秘密の同居

なの
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恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

イケメンモデルと新人マネージャーが結ばれるまでの話

タタミ
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新坂真澄…27歳。トップモデル。端正な顔立ちと抜群のスタイルでブレイク中。瀬戸のことが好きだが、隠している。 瀬戸幸人…24歳。マネージャー。最近新坂の担当になった社会人2年目。新坂に仲良くしてもらって懐いているが、好意には気付いていない。 笹川尚也…27歳。チーフマネージャー。新坂とは学生時代からの友人関係。新坂のことは大抵なんでも分かる。

おすすめのマッサージ屋を紹介したら後輩の様子がおかしい件

ひきこ
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名ばかり管理職で疲労困憊の山口は、偶然見つけたマッサージ店で、長年諦めていたどうやっても改善しない体調不良が改善した。 せっかくなので後輩を連れて行ったらどうやら様子がおかしくて、もう行くなって言ってくる。 クールだったはずがいつのまにか世話焼いてしまう年下敬語後輩Dom × (自分が世話を焼いてるつもりの)脳筋系天然先輩Sub がわちゃわちゃする話。 『加減を知らない初心者Domがグイグイ懐いてくる』と同じ世界で地続きのお話です。 (全く別の話なのでどちらも単体で読んでいただけます) https://www.alphapolis.co.jp/novel/21582922/922916390 サブタイトルに◆がついているものは後輩視点です。 同人誌版と同じ表紙に差し替えました。 表紙イラスト:浴槽つぼカルビ様(X@shabuuma11 )ありがとうございます!

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