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Hero of the Shadowルート (如月楓夜 編)
最終話「その日々は夢のように」
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「――鮭食べたい」
「はいはい、あーん」
「あーむ♪」
箸で鮭をつまみ、桃の口の前に運ぶ。桃が幸せそうに、その鮭をほおばった。美味しいようだな。
あの後、俺と桃は陸軍基地で治療をした後、入院することになった。最初に医者が俺の体を見た時は「コイツは本当に人間か?」と言ったらしい。俺は寝てたから知らんけど。
桃の手もいつかは治るらしい。さすがに切れた腕は治らないが、義手をいずれか作ってもらえることになった。初めて見た時は思わず「かっこよ」って言ってしまった。桃も興奮していた。
そんなことがあり、今はと言うと……。
「――次はごぼう食べたい」
「……ねぇ。俺も一応怪我人なんですけどだ」
桃と同じベッドに入り、桃にご飯を食べさせていた。まぁねだられたんだけどな。仕方ないだろ。上目遣いでおねだりされたら誰でもしたくなるもん。
「私は今、両手使えないしー。楓夜に食べさせてもらえる方がいいもーん」
「むむ……看護婦さんも何か言ってくださいよ~」
「絵面が可愛いからもう少し見させてもらうわね」
「えぇ~」
「ほら、早く食べさせてよー」
桃がその小さい口を開けている。……くそっ、可愛い。ヒナに餌をやっている親鳥みたいだ。
「あーん♪ん~。やっぱり楓夜に食べさせてもらった方が美味しいね♪」
……なかなか恥ずかしいなコレ。周りの人達も俺らのことを見てるし。
「……イチャイチャするんなら、他の人のことも考えてよー」
隣のベッドでチビがジト目でこちらを見つめていた。どこにでもいるなこのチビ。
「お前も彼氏にやってもらったらどうだ?いるんならな♪」
「ぬぅぅ……別にいいし!彼氏くらいすぐできるもん!」
「まぁすぐではないかもだけどできるかもな。ゴリラが好きな男の人って結構多いしね」
「むきー!!もう怒ったよ!!あの時のリベンジをここで晴らしてやる!!」
「いーよー別に。今度は1発で終わらせてあげようかー?やっぱり2発の方が好み?」
「その話言わないでよ!あの後パパからむっちゃ怒られたんだからね!」
「嘘つく方が悪いんだろバーカ。誰が互角だよ」
「与えたダメージはだいたい一緒くらいでしょ!?ちょっと手数が違うかっただけで!!」
「僕は1回も気絶してませんでしたけど~?」
「あーーもう怒った!!謝っても遅いよ!!今度はけっちょんけっちょんに――」
パン!!
チビが後ろから頭を殴られたようだ。なんかベッドに倒れてピクピクしている。チビの後ろには新聞紙を持った、さっきの看護婦さんがいた。なんか黒いオーラを放っている。
「ここでは騒がないでね、花音ちゃん」
「ご、ごめんなさい」
「別にいいのよ?昔みたいにおしりペンペンしても」
「それは勘弁してください~」
チビが涙目で誤っている。……面白い光景だな――。
「痛い!」
「楓夜もだよ。ここには病人がいるんだから騒いじゃダメ!」
「ごめんなさい」
「それじゃあまた食べさせて♪今度はリンゴ食べたいな~♡」
「……ふっ、はいはい」
ここでの生活も案外悪くないもんだ。毎日が楽しい。安全なところっていいもんだな。ゾンビがいた時はここまでリラックスができなかったしね。
俺は桃にリンゴを食べさせながらそんなことを考えていた。
5ヶ月後……。
あれから色々あった。
ワクチンの複製に成功した政府は、衛星から地球全体にワクチンを発射した。ゾンビ化していた人達は元に戻り、体が腐っている者もかなり多かったが普通の人間に戻れたという。
全ての国の政府もすぐに回復し、建物の修復や人々のメンタルケアを率先して行ってるそうだ。もちろん日本でもここ最近メンタルケアを受けに来ている人をよく見かける。
残念ながら死んでしまった人もいる。そんな人のために、各地にでかいお墓を設置したらしい。なぜか少し叩かれていた気がするが、普通にいい判断だと俺は思う。
今は日本の政府も回復して、建物の修復をメインに活動している。政府の人には早急に家を作って欲しいが、まぁ文句は言えないだろう。
失ったものは多い。だけど失ったものばかり数えていたら卑屈になってしまうからな。前を向いて歩いていかないと。そうすれば希望も見えてくるはずだ。もちろん時には下も向いておかないとな。死んだ人達には敬意を払わないと。
「……それじゃあ」
「おう」
「また会おうね……」
退院の日になった。
チビはここに残って手伝いをするらしい。やはり将来は陸上自衛隊になりたいそうだ。俺は向いていると思うな。どこに入ってるのか分からない馬鹿力も役に立つだろう。
桃とチビは仲良く義手での特訓をして、もうほとんど自分の手と変わらないくらいの精度で動かすことができるようになっている。
俺は別にこれといった欠損もしてなかったので、耳に機械を取り付けただけだった。義眼を入れるか悩んだが、めんどくさいのでやめておいた。桃も「楓夜がやらないなら私もやらない」と言って義眼にしなかった。ほんとに可愛いやつだわ。
「今度会った時は絶対殴り倒してやるからね」
「期待して待ってるよ」
少し馬鹿にするような声で挑発した。
「何を!……その……ありがとうね」
「何がだ?」
「ホープを倒してくれて……できれば私が倒してやりたかったけど……」
「別にお前のためだけに殺したわけじゃないさ。俺は死んでいった人たちと桃のためにホープを殺したんだ」
桃の頭を撫でる。桃は気持ちよさそうにしていた。
「……そうだとしても……ありがとう。感謝するよ」
「そうか。なら、素直に感謝を受け取ってやるよ」
チビが前に手を出してきた。俺はその手を握りしめた。
「じゃあね楓夜。またいつか」
「今度会った時は敵じゃなかったらいいんだけどな、花音」
こうして、花音と俺らは別れた。またいつか会いたい……まぁうん。そうだな。会いたい会いたい。
「わぁ~!すごいね!!」
自衛隊の人の車に乗せてもらって、俺らが貰った土地に来た。周りは畑だらけで、近くには山がある。典型的な田舎の土地だ。
どうやらこういう田舎のところしか、取れるところがなかったらしい。こんな状況だからな。
家は木造建築で、新しいが古い感じだ。矛盾しているがこれが1番合っている。
「それじゃあ。食料とか家具も家の中に置いてるからね。ヒルくんはもう少ししたら来ると思うぞ」
「あぁ、本当にありがとう」
「いいってことよ。それと、例のアレは家の裏にあるからな」
「分かった」
そうして車は走り去っていった。自衛隊の人たちには本当にお世話になったな。
「それじゃあまずは、中身を見ていこうか」
「そうだね!早く見に行こ!」
「あ!こら、走ったら転けるぞー」
「わぁ~……なんかいいね。風流な感じがして」
玄関を開けて中に入った。玄関はまさにおじいちゃんの家のようだった。
中は新築なので綺麗だ。焦げ茶色の木の支えがその古き良き感じを体現している。床もかなりいい。踏むだけでギシギシ鳴るという訳では無いのが少し残念だが。
「見てみて!」
桃が隣の部屋の襖を開けていた。隣の部屋は寝室のようだった。下は畳のようだ。
「これだったら夜は激しくても大丈夫だね……♡」
「……それはまだ俺らには早いよ」
桃の頭を撫でながらそう言った。これ以上話させると、R18になっちゃうからな。
外に出て、庭を見てみる。庭には大きい畑があった。ここで何かを育てるのもいいかもしれないな。
「んー、私畑仕事はやったことないよ?」
「俺もだよ……ご近所さんにでも教えてもらいながらやるか」
「そうだね」
育てるなら何がいいかな。トマトは嫌いだからな~。やっぱりじゃがいもとか人参とかかな。
「私はトマト育てたいな~♡」
「よし。トマト育てよう」
ちくしょう。我ながら意志が弱い。甘々のあまちゃんすぎるだろ俺!
家の裏まで足を運んだ。家の裏には崖があり、綺麗な海を見渡すことができる。少し、夕日が出ている今の時間帯がすごく綺麗だ。
そして、その崖の先端あたりには墓が置いてある。墓にはそれぞれ皆の名前を彫っておいた。
自衛隊の人に頼んで死体を回収させてもらい、ここに埋めてもらった。ちゃんとわかるように毛布を被せたりしてたからな。
できれば皆を家族と同じところに置いてあげたいが、俺は皆の家族のところは知らないからな。
身勝手なのはわかってる。でも……近くにいて欲しいんだ。ちゃんと毎日ここには来る。むっちゃ近いし。
「……ここなら景色もいいだろ。皆ずっとこの景色を見ててくれ」
せめてここで安らかに眠れるように。俺と桃は手を合わせて黙祷した。
2人で縁側に座ってゆっくりと景色を眺める。いつの間にか、もう肌寒い季節になっていたな。
桃と肩を合わせる。ちょうどいい暖かさだ。やはり人肌の体温が1番いいな。
「……」
「……」
何も言葉は交わさない。だけどそれでもいい。ここに桃と2人でいることが幸せなんだ。
今まで辛いことはあった。苦しいことは何度もあった。もう死にたいと思ったことも何度もあった。
だけど俺は今、生きている。桃の隣でしっかりと生きている。まだ傷は完治していない。というか、古傷として残るだろうとは言われている。
だけどそれでいい。これがあれば、俺があの地獄を生き抜いた証明になるから。この傷がある意味で俺が俺である証だ。
「……なぁ、桃」
「……ん?」
「俺の事……愛してるか?」
「――うん。愛してる」
「はいはい、あーん」
「あーむ♪」
箸で鮭をつまみ、桃の口の前に運ぶ。桃が幸せそうに、その鮭をほおばった。美味しいようだな。
あの後、俺と桃は陸軍基地で治療をした後、入院することになった。最初に医者が俺の体を見た時は「コイツは本当に人間か?」と言ったらしい。俺は寝てたから知らんけど。
桃の手もいつかは治るらしい。さすがに切れた腕は治らないが、義手をいずれか作ってもらえることになった。初めて見た時は思わず「かっこよ」って言ってしまった。桃も興奮していた。
そんなことがあり、今はと言うと……。
「――次はごぼう食べたい」
「……ねぇ。俺も一応怪我人なんですけどだ」
桃と同じベッドに入り、桃にご飯を食べさせていた。まぁねだられたんだけどな。仕方ないだろ。上目遣いでおねだりされたら誰でもしたくなるもん。
「私は今、両手使えないしー。楓夜に食べさせてもらえる方がいいもーん」
「むむ……看護婦さんも何か言ってくださいよ~」
「絵面が可愛いからもう少し見させてもらうわね」
「えぇ~」
「ほら、早く食べさせてよー」
桃がその小さい口を開けている。……くそっ、可愛い。ヒナに餌をやっている親鳥みたいだ。
「あーん♪ん~。やっぱり楓夜に食べさせてもらった方が美味しいね♪」
……なかなか恥ずかしいなコレ。周りの人達も俺らのことを見てるし。
「……イチャイチャするんなら、他の人のことも考えてよー」
隣のベッドでチビがジト目でこちらを見つめていた。どこにでもいるなこのチビ。
「お前も彼氏にやってもらったらどうだ?いるんならな♪」
「ぬぅぅ……別にいいし!彼氏くらいすぐできるもん!」
「まぁすぐではないかもだけどできるかもな。ゴリラが好きな男の人って結構多いしね」
「むきー!!もう怒ったよ!!あの時のリベンジをここで晴らしてやる!!」
「いーよー別に。今度は1発で終わらせてあげようかー?やっぱり2発の方が好み?」
「その話言わないでよ!あの後パパからむっちゃ怒られたんだからね!」
「嘘つく方が悪いんだろバーカ。誰が互角だよ」
「与えたダメージはだいたい一緒くらいでしょ!?ちょっと手数が違うかっただけで!!」
「僕は1回も気絶してませんでしたけど~?」
「あーーもう怒った!!謝っても遅いよ!!今度はけっちょんけっちょんに――」
パン!!
チビが後ろから頭を殴られたようだ。なんかベッドに倒れてピクピクしている。チビの後ろには新聞紙を持った、さっきの看護婦さんがいた。なんか黒いオーラを放っている。
「ここでは騒がないでね、花音ちゃん」
「ご、ごめんなさい」
「別にいいのよ?昔みたいにおしりペンペンしても」
「それは勘弁してください~」
チビが涙目で誤っている。……面白い光景だな――。
「痛い!」
「楓夜もだよ。ここには病人がいるんだから騒いじゃダメ!」
「ごめんなさい」
「それじゃあまた食べさせて♪今度はリンゴ食べたいな~♡」
「……ふっ、はいはい」
ここでの生活も案外悪くないもんだ。毎日が楽しい。安全なところっていいもんだな。ゾンビがいた時はここまでリラックスができなかったしね。
俺は桃にリンゴを食べさせながらそんなことを考えていた。
5ヶ月後……。
あれから色々あった。
ワクチンの複製に成功した政府は、衛星から地球全体にワクチンを発射した。ゾンビ化していた人達は元に戻り、体が腐っている者もかなり多かったが普通の人間に戻れたという。
全ての国の政府もすぐに回復し、建物の修復や人々のメンタルケアを率先して行ってるそうだ。もちろん日本でもここ最近メンタルケアを受けに来ている人をよく見かける。
残念ながら死んでしまった人もいる。そんな人のために、各地にでかいお墓を設置したらしい。なぜか少し叩かれていた気がするが、普通にいい判断だと俺は思う。
今は日本の政府も回復して、建物の修復をメインに活動している。政府の人には早急に家を作って欲しいが、まぁ文句は言えないだろう。
失ったものは多い。だけど失ったものばかり数えていたら卑屈になってしまうからな。前を向いて歩いていかないと。そうすれば希望も見えてくるはずだ。もちろん時には下も向いておかないとな。死んだ人達には敬意を払わないと。
「……それじゃあ」
「おう」
「また会おうね……」
退院の日になった。
チビはここに残って手伝いをするらしい。やはり将来は陸上自衛隊になりたいそうだ。俺は向いていると思うな。どこに入ってるのか分からない馬鹿力も役に立つだろう。
桃とチビは仲良く義手での特訓をして、もうほとんど自分の手と変わらないくらいの精度で動かすことができるようになっている。
俺は別にこれといった欠損もしてなかったので、耳に機械を取り付けただけだった。義眼を入れるか悩んだが、めんどくさいのでやめておいた。桃も「楓夜がやらないなら私もやらない」と言って義眼にしなかった。ほんとに可愛いやつだわ。
「今度会った時は絶対殴り倒してやるからね」
「期待して待ってるよ」
少し馬鹿にするような声で挑発した。
「何を!……その……ありがとうね」
「何がだ?」
「ホープを倒してくれて……できれば私が倒してやりたかったけど……」
「別にお前のためだけに殺したわけじゃないさ。俺は死んでいった人たちと桃のためにホープを殺したんだ」
桃の頭を撫でる。桃は気持ちよさそうにしていた。
「……そうだとしても……ありがとう。感謝するよ」
「そうか。なら、素直に感謝を受け取ってやるよ」
チビが前に手を出してきた。俺はその手を握りしめた。
「じゃあね楓夜。またいつか」
「今度会った時は敵じゃなかったらいいんだけどな、花音」
こうして、花音と俺らは別れた。またいつか会いたい……まぁうん。そうだな。会いたい会いたい。
「わぁ~!すごいね!!」
自衛隊の人の車に乗せてもらって、俺らが貰った土地に来た。周りは畑だらけで、近くには山がある。典型的な田舎の土地だ。
どうやらこういう田舎のところしか、取れるところがなかったらしい。こんな状況だからな。
家は木造建築で、新しいが古い感じだ。矛盾しているがこれが1番合っている。
「それじゃあ。食料とか家具も家の中に置いてるからね。ヒルくんはもう少ししたら来ると思うぞ」
「あぁ、本当にありがとう」
「いいってことよ。それと、例のアレは家の裏にあるからな」
「分かった」
そうして車は走り去っていった。自衛隊の人たちには本当にお世話になったな。
「それじゃあまずは、中身を見ていこうか」
「そうだね!早く見に行こ!」
「あ!こら、走ったら転けるぞー」
「わぁ~……なんかいいね。風流な感じがして」
玄関を開けて中に入った。玄関はまさにおじいちゃんの家のようだった。
中は新築なので綺麗だ。焦げ茶色の木の支えがその古き良き感じを体現している。床もかなりいい。踏むだけでギシギシ鳴るという訳では無いのが少し残念だが。
「見てみて!」
桃が隣の部屋の襖を開けていた。隣の部屋は寝室のようだった。下は畳のようだ。
「これだったら夜は激しくても大丈夫だね……♡」
「……それはまだ俺らには早いよ」
桃の頭を撫でながらそう言った。これ以上話させると、R18になっちゃうからな。
外に出て、庭を見てみる。庭には大きい畑があった。ここで何かを育てるのもいいかもしれないな。
「んー、私畑仕事はやったことないよ?」
「俺もだよ……ご近所さんにでも教えてもらいながらやるか」
「そうだね」
育てるなら何がいいかな。トマトは嫌いだからな~。やっぱりじゃがいもとか人参とかかな。
「私はトマト育てたいな~♡」
「よし。トマト育てよう」
ちくしょう。我ながら意志が弱い。甘々のあまちゃんすぎるだろ俺!
家の裏まで足を運んだ。家の裏には崖があり、綺麗な海を見渡すことができる。少し、夕日が出ている今の時間帯がすごく綺麗だ。
そして、その崖の先端あたりには墓が置いてある。墓にはそれぞれ皆の名前を彫っておいた。
自衛隊の人に頼んで死体を回収させてもらい、ここに埋めてもらった。ちゃんとわかるように毛布を被せたりしてたからな。
できれば皆を家族と同じところに置いてあげたいが、俺は皆の家族のところは知らないからな。
身勝手なのはわかってる。でも……近くにいて欲しいんだ。ちゃんと毎日ここには来る。むっちゃ近いし。
「……ここなら景色もいいだろ。皆ずっとこの景色を見ててくれ」
せめてここで安らかに眠れるように。俺と桃は手を合わせて黙祷した。
2人で縁側に座ってゆっくりと景色を眺める。いつの間にか、もう肌寒い季節になっていたな。
桃と肩を合わせる。ちょうどいい暖かさだ。やはり人肌の体温が1番いいな。
「……」
「……」
何も言葉は交わさない。だけどそれでもいい。ここに桃と2人でいることが幸せなんだ。
今まで辛いことはあった。苦しいことは何度もあった。もう死にたいと思ったことも何度もあった。
だけど俺は今、生きている。桃の隣でしっかりと生きている。まだ傷は完治していない。というか、古傷として残るだろうとは言われている。
だけどそれでいい。これがあれば、俺があの地獄を生き抜いた証明になるから。この傷がある意味で俺が俺である証だ。
「……なぁ、桃」
「……ん?」
「俺の事……愛してるか?」
「――うん。愛してる」
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