Catastrophe

アタラクシア

文字の大きさ
82 / 82
Execution of Justiceルート(山ノ井花音編)

24話「負の感情」

しおりを挟む
「……ふぃ~」

私はソファに座り込んだ。緊張が溶けて体も溶けた。なんとかこの場を凌げたが、それでも一時しのぎだ。いつかはバレるだろう。

「どうしたらいいのかなぁ」

……1人で考えても仕方ないね。みんなが起きてから考えるとしようかな。


「――お姉ちゃん大丈夫?」

未来ちゃんが心配そうな目で見てくる。心配かけちゃったな。

「うん。ごめんね。怖かったでしょ?」
「怖くなかったよ。あの人優しかったし」
「……そうなんだ」

人当たりはいいっていうのがいちばん怖いな。何を考えてるかも分からなかったし。私は顔に出やすいタイプだから相性は悪そうだな。

未来ちゃんが私の太ももに座った。なんかいい感じにすっぽりと収まっている。

「どうしたの?」
「暇だからお姉ちゃんの話聞かせてよ」
「私の話?」
「お姉ちゃんがあんなに速くてかっこいい理由とかー、お姉ちゃんの学校の話とか」

速くてかっこいいってなんか照れくさいな。部活とか体育でしか使えないことだしあんまり褒められたこと無かったから嬉しい。

「んーつまんないと思うけど」
「それでいーよ。私は気になることはほっぽり出したくないもん」
「いい心がけだね。将来は研究者さんにでもなりたいの?」
「うんん。警察官になりたいの」
「おーいいじゃん。未来ちゃんなら美人婦警さんかな?」
「えへへ。……私ねいーっぱい事件を解決して、みんなが楽しく暮らせるような世界を作りたいんだー」

まだ小さいのによく考えてるな。私なんかその時は漫画と遊びのことしか頭になかった気がするのに。

「未来ちゃんは優しいね」
「……おじいちゃんが刑事さんだったの。たまにしかいなかったけど、お菓子買ってもらったり、一緒にゲームしてくれたりして優しかったんだー」
「ふーん。私のおじいちゃんも優しかったよ」
「そうなの?私たち似てるね」
「正確には私たちのおじいちゃんだけどね」
「花音ちゃんこまかーい」
「国語はちゃんとしておかないといけないよ。じゃないと中学校で地獄みることになる……」
「お、お姉ちゃんこわーい」

……詳しくは思い出したくないな。一応社会はずっと高かったからね!総合でも150人中20位くらいはあったからね!

「……おじいちゃん1年前くらいに死んじゃったんだー。仕事してる時に犯人にやられたんだって。……私もそんな死に方してみたいなぁ」
「こら。そんな歳で死に方なんて考えちゃダメだよ。今はしっかり生きることを考えないと」
「えー、花音ちゃんも憧れるでしょ。そんなかっこいい死に方」
「私は……とにかくそんなことは考えちゃダメだよ。未来ちゃんのおじいちゃんも未来ちゃんにはちゃんと生きて欲しいって思ってるはずだよ」
「……うん」

かっこいい死に方か……。無惨にも誰かに殺されるって死に方が私には似合ってるのかも。

ドラマみたいな死に方はそうそうできることでもないからね。私は律儀に生きていこうと思う。

「お姉ちゃんは将来なにになりたいの?」
「私?私は――やっぱり……なんだろね。わかんないや」
「えー!なんか変だねー。お姉ちゃんはスーパーヒーローとかが似合ってると思うよ。正義の味方みたいなのとか!」

正義の……味方。スーパーヒーロー……。弱者を助けて悪を倒す。いいなぁ、そんなのになりたかったな。

「……そう?」
「お姉ちゃんは私を助けてくれたんだしね!……でも王子様とかも似合うよ!」
「私女の子だよ?」
「じゃあ王女様!白馬に乗った王女様!」
「特殊だね。そんな王女様見たことないや」

未来ちゃんが脚をプラプラさせている。私はホッコリしながら未来ちゃんの様子をじっと見ていた。

「ねぇねぇ!お姉ちゃんのあのクルクルってどうやってやったの?」
「あのクルクルって、いっぱいクルクルしてたからわかんないなー。どんなクルクル?」
「あの縦にクルクルしてたやつ!」
「縦にって……まぁ前宙かな?あれはね――」












「――それでね、ってあれ?」

いつの間にか未来ちゃんが眠っていた。外は見えないけど、まだ早かったんだろう。私は心臓バクバクしてたから眠気吹っ飛んだけど。

「……動けない」

私の上に座られてるおかげで動けない。こりゃあ荊棘さんとかが起きるまで待つしかないか。

まぁ楽しくお話もできたしいいや。色んなことを一時的にでも忘れさせてもらったし。


「――寝たのか?」

寝ている未来ちゃんの頭を撫でていると、後ろからイコライザーに声をかけられた。体大きいくせに存在感無さすぎてびっくりしちゃった。

「イコライザー。起きてたの?」
「その呼び方はやめろ。プロレスはやめてるんだ」

イコライザーが横の椅子に座る。木の椅子がミシミシとなった。なんか椅子が可哀想になってくる。

「で?どうする気だ?」
「……な、なんのことー?」
「とぼけても迷惑をかけるだけだぞ。せめて俺とノアくらいにはどうするかは言っておけ」

バレてたか……。ていうかどこから聞いてたんだろう。結構前から聞いてたんだよね。どんだけ影薄いのよ。

「……あははー……どうしよう……」
「俺にいい考えがある」
「え!?あるの!?ど、どんなの?」












「――レガシーを殺す」












続く
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

終焉列島:ゾンビに沈む国

ねむたん
ホラー
2025年。ネット上で「死体が動いた」という噂が広まり始めた。 最初はフェイクニュースだと思われていたが、世界各地で「死亡したはずの人間が動き出し、人を襲う」事例が報告され、SNSには異常な映像が拡散されていく。 会社帰り、三浦拓真は同僚の藤木とラーメン屋でその話題になる。冗談めかしていた二人だったが、テレビのニュースで「都内の病院で死亡した患者が看護師を襲った」と報じられ、店内の空気が一変する。

彷徨う屍

半道海豚
ホラー
春休みは、まもなく終わり。関東の桜は散ったが、東北はいまが盛り。気候変動の中で、いろいろな疫病が人々を苦しめている。それでも、日々の生活はいつもと同じだった。その瞬間までは。4人の高校生は旅先で、ゾンビと遭遇してしまう。周囲の人々が逃げ惑う。4人の高校生はホテルから逃げ出し、人気のない山中に向かうことにしたのだが……。

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

1分で読める怖い話短編集

しょくぱん
ホラー
一分で読める怖い話を定期的に投稿しています。 感想などをいただけると嬉しいです。 応援よろしくお願いします。

それなりに怖い話。

只野誠
ホラー
これは創作です。 実際に起きた出来事はございません。創作です。事実ではございません。創作です創作です創作です。 本当に、実際に起きた話ではございません。 なので、安心して読むことができます。 オムニバス形式なので、どの章から読んでも問題ありません。 不定期に章を追加していきます。 2026/1/17:『えれべーたー』の章を追加。2026/1/24の朝8時頃より公開開始予定。 2026/1/16:『せきゆすとーぶ』の章を追加。2026/1/23の朝4時頃より公開開始予定。 2026/1/15:『しばふ』の章を追加。2026/1/22の朝4時頃より公開開始予定。 2026/1/14:『でんしれんじ』の章を追加。2026/1/21の朝4時頃より公開開始予定。 2026/1/13:『こえ』の章を追加。2026/1/20の朝4時頃より公開開始予定。 2026/1/12:『あけてはいけない』の章を追加。2026/1/19の朝4時頃より公開開始予定。 2026/1/11:『みきさー』の章を追加。2026/1/18の朝4時頃より公開開始予定。 ※こちらの作品は、小説家になろう、カクヨム、アルファポリスで同時に掲載しています。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

処理中です...