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3.魔法の森

17.翡翠の迷宮

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「これって風魔なんちゃらか?」



 迷宮に入るとすぐに光を反射している石を指さす。キラキラしていてとても綺麗な石だが、風魔鉄は基本金属なので磨けば光沢が出るが、磨かなければ光沢はない。



「それは水晶です」



「あれか。あんま売れないやつか」



 コストイラは前にアストロから言われたことを思い出し落胆する。



 十字路に差し掛かった時、ヌッと魔物が姿を現した。しかし、あまり素早さがなく、その動きは緩慢としている。普通のロックガゼルと違い、体のところどころに水晶が生えていた。



「あれは寄生なんじゃねェのか?」



「水晶にそんな作用があるなんて聞いたことがないわ」



「新発見じゃん」



 コストイラの反応に苛ついたアストロは彼の膝裏を蹴る。



 ロックガゼルは急に動いたコストイラに顔を向ける。ゆっくりと首を傾げ、姿勢を低くする。ロックガゼルは橙の色した眼光を放つと緩慢さを捨て、近付いてくる。シキは横を通り過ぎながらナイフを入れ斬っていく。しかし、ナイフは体に生えている水晶に阻まれ、致命傷を逃す。ロックガゼルは痛みに嘶き、振り払うように暴れ出す。



『ッぉオオオ!!』



 暴れ狂う魔物に近付くのは至難の業。しかし、近付かなくても遠距離技があればよい。アレンの矢は、まぁどうせ当たらないので無視しておく。アストロの魔術があればいい。炎がロックガゼルを包み、切り傷を炎が嘗めていく。



『—――――ッ!!』



 激痛に叫ぶ。



 そのけたたましい叫び声は仲間を呼んだ。



『ゴオオォ』



 迷宮の奥からこちらもところどころから水晶を生やしたボールダーが出てきた。



「仲間を呼んだのか。面倒だな」



「もう起こったことよ。諦めて対処に専念しなさい」



 コストイラはアストロに言われ、一気にロックガゼルの首を刎ね、ボールダーに向かって疾走する。ボールダーの硬さを知っているアシドは苦い顔をする。



 しかし、そんなアシドの不安とは裏腹にコストイラは牙を剥く。力一杯振り下ろされる刀はボールダーの腕を木っ端微塵にする。



『ゴォアッ!!』



 ボールダーはコストイラを殴り飛ばす。コストイラは殴られた顔を押さえるが鼻血が隙間から零れ落ちる。



「すぐに飛び出すのは悪い癖よ」



 アストロに言われ、コストイラは鼻を押さえながら顔を背けた。アシドがコストイラの跡を継ぎ、コストイラが作った罅を叩き、壊していく。罅が広がっていき、その岩石の鎧が砕けていくがボールダーは倒れない。



『ゴゥン!』



 ボールダーの鉄槌が襲い掛かり、アシドは地面にめり込んでしまう。アシドの口からは血が噴き出る。カラカラと破片が落ちていくボールダーが体を動かすが、動きがかなり緩慢となっている。そこで、レイドが大剣を抜いていた。大剣が傷口へと入っていきボールダーの体を完全に砕く。



「まさか一撃でいけないとは思わなかった。ビビったぜ」



「真っ先に突っ込むからよ」



 殴られた鼻を撫でているコストイラにアストロは後頭部を叩く。



「この先におそらく迷宮の主がいますね」



「よし、行くか」



 コストイラは腕をぐるりと回し、立ち上がる。
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