76 / 684
5.無縁塚
9.荒くれ者の賭博場
しおりを挟む
いつも戦ってばかりだったので今日は宣言通りお休みとすることにした。アレンの提案は全員に受け入れられ、今日一日がフリーになった。アレンにはやる事がないが。
『休むこともまた戦う者の義務である。』とは、最優の騎士王アスタットの言葉だ。
「よぉ、アレン。お前は何かやる事あんのか?」
コストイラがアレンの肩に手を回してくる。傍から見れば完全に弱気な男に絡むチンピラだ。
「え、いえ、何も。はい、何もないですけど」
「じゃあ、今日、ちょっと付き合えよ」
コストイラは親指を立てアシドとアストロを指す。本来、コストイラを元気にするための休日だ。付き合うのは吝かではないが、何をするのか分からないのは恐さがある。せめて教えてほしいが、聞いてもぜんぜん答えてくれなかった。
コストイラ達についていくと、辿り着いたのは大通りの喧騒も届かない路地裏の奥深くに存在する酒場だった。いくつか並んでいる酒場のうち一番ボロボロな店に入る。
「昼間からお酒ですか?」
「ん?まぁ、確かにそうだが、それだけじゃねェぞ」
コストイラは勝手知ったるように酒場の扉を開け放つ。中は意匠がなく下の続く階段しかない。その階段を下り、傷んでいる木の扉を開ける。
視界に広がるのは場末の酒場特有の光景だった。ゲラゲラと騒ぐ痩せ細ったシーフ。周囲からのちょっかいを笑って払いのける太った魔術師。ウエイトレスの尻を撫でる淫らな剣士。バラバラの武器を所持している冒険者が木卓に腰掛け、肩を寄せ合い胴間声を轟かせている。何人ものヒトがタバコを吸っており、中は煙臭く、鼻が曲がりそうだ。
「あぁん?」
酒場にいる者達が一斉に見やってくる中、コストイラ達は堂々と店内を突っ切る。アレンだけは不慣れでありビクビクキョロキョロしているため、嘲笑の的になっていた。
胡乱な視線を集めながら、店の奥、金貨の山と何枚ものカードを広げたテーブル席――賭博を行っている男たちの前で立ち止まった。
「見ねェ顔だが、何の用だい、兄ちゃん」
口を開いたのは腰に剣を佩いた大柄な冒険者の男だ。
「何って、ここは博打を打つ場だろ?」
「あ~?確かにそうだな。聞いたこっちが馬鹿だな」
コストイラが用件を言うと、自分のした質問が愚問だったことを恥じ、男は頭を掻く。
「じゃあ、するのは何だ?カードか?ルーレットか?」
「カードで」
コストイラは男の質問に答えながら対面の椅子に座る。男は体を預けていた椅子の背凭れから身を乗り出し、卓上の山札からカードを1枚めくり、絵柄を見せて告げる。
「こちらが賭けるのは金か情報だ。どっちを所望する?どっちでもこっちは構わんぞ。何だったら、自分を賭け金にしてもいい」
男はアストロを見て下卑た笑みを浮かべる。アストロは露出が多く、格好の的だ。当の本人は何も感じていないようだが。
コストイラは金貨の詰まった袋を卓上に置き、返答とする。次の瞬間、どっと喧騒が膨れ上がる。見ものだとばかりに冒険者達が囃し立てる
「行うゲームは?」
「ポーカーでどうだ」
「良いね。但し、途中でこいつらの誰かと交代したい。てか、全員がやりたがってんだ」
「点数が共有ならいいぞ」
「決まりだな」
男は、コストイラと同じように武器を持っていないラフな格好をしたアシド、肩と背中を剥き出しにし胸元もしっかりと開いている長いイヴニングドレスを着たアストロ、キョロキョロと辺りを見渡し明らかに弱そうなアレンを見て承諾する。アストロを見る時だけ少しだけ目の色が変わった。
行われるゲームに使われるカードは都合49枚。剣、果物、貨幣、王冠の4種類の絵柄があり、それぞれ1~12までの数字の書かれたカードとジョーカーのカードを加えたものが全容となる。
ポーカーは代表的なカードゲームの一つだ。
山札からカードを受け取り、手札の役の強さで競い合うゲームだ。
「袋の中は?」
「10万リル」
カードをシャッフルされるのを待ちながら質問すると、コストイラは即答する。その値段の高さから男だけでなく周囲の者も口笛を吹く。
「フルハウス」
「……ナッ!?」
卓上に開かれるコストイラの役は男のそれより強く、男は自身の手札を握りつぶした。これでコストイラの4連勝。最初が互いに一進一退の攻防をしていたが、いつの間にか一方的な試合になっていた。
「そろそろ交代しようか」
その言葉に男が食らいつく。人が変われば勝てるかもしれない。
「まだやりたがったが、そういう約束だもんな仕方ないな」
負け惜しみをたっぷりと込めながら交代を促す。しかし、それは地獄の選択だった。
生まれたときからの幼馴染たちはいつも三人で遊んでいた。その遊びの中にはポーカーも含まれており、よく競い合っていた。そして、三人の中で一番弱かったのはコストイラだったのだ。コストイラは負けず嫌いで様々なことに関してリベンジを申し込み、逆襲してきたが、勝てるビジョンの見えないポーカーだけは挑まなかった。
コストイラ:8戦6勝2敗。
アシド:8戦7勝1敗。
アストロ:10戦10勝。
男のプライドはボロボロだった。合計で3勝しかできていない。この酒場の賭博場のボスである男はいかさまをしているにもかかわらず勝てていない。
「じゃあ、最後はあなたね」
アストロはアレンにパスをする。ちなみにいかさまをしているのに勝てないのはボスよりも高度ないかさまをしているからだ。ポーカーどころかカードゲーム初心者のアレンには全く気付けない。
「さぁ勝負といこうか」
負け続き、実質、現在17連敗でブチ切れている男が、眼を爛々と輝かせカードを受け取った。
まさかこんな使い方があったとは。
アレンは素直に感心していた。
現在、アレンと男の勝負は、アレンが負け越している。まだ、黒字の範囲だが負け続けているのも嫌なので瞳に魔力を込めてみると今、この場にいる者たちのステータスの他に、相手がしているいかさまや、その手段、積まれているカード等すべてが見えてしまった。
しかし、問題はどう活用するかだ。『強大な力も技が伴わなければ使いこなせているとは言えない。』。これもアスタットの言葉だ。
集中し、全てを観察する。
男の恰好。
卓上のカード。
観客。
ディーラー。
山札。
順々に見ていく。勝つ手段が欲しい。ディーラーがカードを配る手を見る。
「ディーラーさん。いかさましてないですか?」
「何をおっしゃっているのですか?しているはずないですよ」
場の空気が固まる。コストイラ達は溜め息を吐いた。
「あ~~あ。言っちゃった」
コストイラがディーラーの手を摑む。見ると、ディーラーの手は山札の上から2枚目を摑んでいる。セカンドディールといういかさまの基本的なテクニックの一つだ。山札の一番上のカードを親指でスライドさせつつ2枚目のカードを配るというもの。1枚だけだが、常にカードをコントロールできる。
「こっちは知ってて言わなかったのに。オイ、アレン。言うなよ」
「くっそ!やっちまえ!!」
やはりこうなったか。コストイラ達は分かりやすくテンションが上がった。
『休むこともまた戦う者の義務である。』とは、最優の騎士王アスタットの言葉だ。
「よぉ、アレン。お前は何かやる事あんのか?」
コストイラがアレンの肩に手を回してくる。傍から見れば完全に弱気な男に絡むチンピラだ。
「え、いえ、何も。はい、何もないですけど」
「じゃあ、今日、ちょっと付き合えよ」
コストイラは親指を立てアシドとアストロを指す。本来、コストイラを元気にするための休日だ。付き合うのは吝かではないが、何をするのか分からないのは恐さがある。せめて教えてほしいが、聞いてもぜんぜん答えてくれなかった。
コストイラ達についていくと、辿り着いたのは大通りの喧騒も届かない路地裏の奥深くに存在する酒場だった。いくつか並んでいる酒場のうち一番ボロボロな店に入る。
「昼間からお酒ですか?」
「ん?まぁ、確かにそうだが、それだけじゃねェぞ」
コストイラは勝手知ったるように酒場の扉を開け放つ。中は意匠がなく下の続く階段しかない。その階段を下り、傷んでいる木の扉を開ける。
視界に広がるのは場末の酒場特有の光景だった。ゲラゲラと騒ぐ痩せ細ったシーフ。周囲からのちょっかいを笑って払いのける太った魔術師。ウエイトレスの尻を撫でる淫らな剣士。バラバラの武器を所持している冒険者が木卓に腰掛け、肩を寄せ合い胴間声を轟かせている。何人ものヒトがタバコを吸っており、中は煙臭く、鼻が曲がりそうだ。
「あぁん?」
酒場にいる者達が一斉に見やってくる中、コストイラ達は堂々と店内を突っ切る。アレンだけは不慣れでありビクビクキョロキョロしているため、嘲笑の的になっていた。
胡乱な視線を集めながら、店の奥、金貨の山と何枚ものカードを広げたテーブル席――賭博を行っている男たちの前で立ち止まった。
「見ねェ顔だが、何の用だい、兄ちゃん」
口を開いたのは腰に剣を佩いた大柄な冒険者の男だ。
「何って、ここは博打を打つ場だろ?」
「あ~?確かにそうだな。聞いたこっちが馬鹿だな」
コストイラが用件を言うと、自分のした質問が愚問だったことを恥じ、男は頭を掻く。
「じゃあ、するのは何だ?カードか?ルーレットか?」
「カードで」
コストイラは男の質問に答えながら対面の椅子に座る。男は体を預けていた椅子の背凭れから身を乗り出し、卓上の山札からカードを1枚めくり、絵柄を見せて告げる。
「こちらが賭けるのは金か情報だ。どっちを所望する?どっちでもこっちは構わんぞ。何だったら、自分を賭け金にしてもいい」
男はアストロを見て下卑た笑みを浮かべる。アストロは露出が多く、格好の的だ。当の本人は何も感じていないようだが。
コストイラは金貨の詰まった袋を卓上に置き、返答とする。次の瞬間、どっと喧騒が膨れ上がる。見ものだとばかりに冒険者達が囃し立てる
「行うゲームは?」
「ポーカーでどうだ」
「良いね。但し、途中でこいつらの誰かと交代したい。てか、全員がやりたがってんだ」
「点数が共有ならいいぞ」
「決まりだな」
男は、コストイラと同じように武器を持っていないラフな格好をしたアシド、肩と背中を剥き出しにし胸元もしっかりと開いている長いイヴニングドレスを着たアストロ、キョロキョロと辺りを見渡し明らかに弱そうなアレンを見て承諾する。アストロを見る時だけ少しだけ目の色が変わった。
行われるゲームに使われるカードは都合49枚。剣、果物、貨幣、王冠の4種類の絵柄があり、それぞれ1~12までの数字の書かれたカードとジョーカーのカードを加えたものが全容となる。
ポーカーは代表的なカードゲームの一つだ。
山札からカードを受け取り、手札の役の強さで競い合うゲームだ。
「袋の中は?」
「10万リル」
カードをシャッフルされるのを待ちながら質問すると、コストイラは即答する。その値段の高さから男だけでなく周囲の者も口笛を吹く。
「フルハウス」
「……ナッ!?」
卓上に開かれるコストイラの役は男のそれより強く、男は自身の手札を握りつぶした。これでコストイラの4連勝。最初が互いに一進一退の攻防をしていたが、いつの間にか一方的な試合になっていた。
「そろそろ交代しようか」
その言葉に男が食らいつく。人が変われば勝てるかもしれない。
「まだやりたがったが、そういう約束だもんな仕方ないな」
負け惜しみをたっぷりと込めながら交代を促す。しかし、それは地獄の選択だった。
生まれたときからの幼馴染たちはいつも三人で遊んでいた。その遊びの中にはポーカーも含まれており、よく競い合っていた。そして、三人の中で一番弱かったのはコストイラだったのだ。コストイラは負けず嫌いで様々なことに関してリベンジを申し込み、逆襲してきたが、勝てるビジョンの見えないポーカーだけは挑まなかった。
コストイラ:8戦6勝2敗。
アシド:8戦7勝1敗。
アストロ:10戦10勝。
男のプライドはボロボロだった。合計で3勝しかできていない。この酒場の賭博場のボスである男はいかさまをしているにもかかわらず勝てていない。
「じゃあ、最後はあなたね」
アストロはアレンにパスをする。ちなみにいかさまをしているのに勝てないのはボスよりも高度ないかさまをしているからだ。ポーカーどころかカードゲーム初心者のアレンには全く気付けない。
「さぁ勝負といこうか」
負け続き、実質、現在17連敗でブチ切れている男が、眼を爛々と輝かせカードを受け取った。
まさかこんな使い方があったとは。
アレンは素直に感心していた。
現在、アレンと男の勝負は、アレンが負け越している。まだ、黒字の範囲だが負け続けているのも嫌なので瞳に魔力を込めてみると今、この場にいる者たちのステータスの他に、相手がしているいかさまや、その手段、積まれているカード等すべてが見えてしまった。
しかし、問題はどう活用するかだ。『強大な力も技が伴わなければ使いこなせているとは言えない。』。これもアスタットの言葉だ。
集中し、全てを観察する。
男の恰好。
卓上のカード。
観客。
ディーラー。
山札。
順々に見ていく。勝つ手段が欲しい。ディーラーがカードを配る手を見る。
「ディーラーさん。いかさましてないですか?」
「何をおっしゃっているのですか?しているはずないですよ」
場の空気が固まる。コストイラ達は溜め息を吐いた。
「あ~~あ。言っちゃった」
コストイラがディーラーの手を摑む。見ると、ディーラーの手は山札の上から2枚目を摑んでいる。セカンドディールといういかさまの基本的なテクニックの一つだ。山札の一番上のカードを親指でスライドさせつつ2枚目のカードを配るというもの。1枚だけだが、常にカードをコントロールできる。
「こっちは知ってて言わなかったのに。オイ、アレン。言うなよ」
「くっそ!やっちまえ!!」
やはりこうなったか。コストイラ達は分かりやすくテンションが上がった。
0
あなたにおすすめの小説
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?
木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。
追放される理由はよく分からなかった。
彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。
結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。
しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。
たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。
ケイトは彼らを失いたくなかった。
勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。
しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。
「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」
これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。
少し冷めた村人少年の冒険記 2
mizuno sei
ファンタジー
地球からの転生者である主人公トーマは、「はずれギフト」と言われた「ナビゲーションシステム」を持って新しい人生を歩み始めた。
不幸だった前世の記憶から、少し冷めた目で世の中を見つめ、誰にも邪魔されない力を身に着けて第二の人生を楽しもうと考えている。
旅の中でいろいろな人と出会い、成長していく少年の物語。
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
異世界で魔法が使えない少女は怪力でゴリ押しします!
ninjin
ファンタジー
病弱だった少女は14歳の若さで命を失ってしまった・・・かに思えたが、実は異世界に転移していた。異世界に転移した少女は病弱だった頃になりたかった元気な体を手に入れた。しかし、異世界に転移して手いれた体は想像以上に頑丈で怪力だった。魔法が全ての異世界で、魔法が使えない少女は頑丈な体と超絶な怪力で無双する。
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。
エレンディア王国記
火燈スズ
ファンタジー
不慮の事故で命を落とした小学校教師・大河は、
「選ばれた魂」として、奇妙な小部屋で目を覚ます。
導かれるように辿り着いたのは、
魔法と貴族が支配する、どこか現実とは異なる世界。
王家の十八男として生まれ、誰からも期待されず辺境送り――
だが、彼は諦めない。かつての教え子たちに向けて語った言葉を胸に。
「なんとかなるさ。生きてればな」
手にしたのは、心を視る目と、なかなか花開かぬ“器”。
教師として、王子として、そして何者かとして。
これは、“教える者”が世界を変えていく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる