メグルユメ

パラサイト豚ねぎそば

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5.無縁塚

18.芸術の領域

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 女――コリンは商家に生まれた。商人として世界中を移動していたコリンは、常に新しいものに囲まれていた。緻密に作られた魔石灯、精密に作られたぬいぐるみ、未来では世紀の大発明と呼ばれる遠くに声を届ける機器。様々なものを目撃してきた。その中で最も心を揺らしたのが音楽。楽器だった。



 当時5,6歳だった少女からの可愛らしいお願いを聞いて、鳴ってくれた楽器は少女の人生を大きく変えていった。ヴァイオリン。オルガン。木笛。その全てを試させてもらった。その中で、ドラムが最もコリンと同調した。そして、コリンはドラムを親から貰い、叩き続けていき、成長していった。















「コストイラ」



 攻めあぐねていると、状況を打開したのはシキだった。コストイラの名を呼んで、ナイフを3本投げた。先程のアシドの光景から着想を得た作戦。コストイラは本能的に動く。作戦自体は分かっていない。ただ、コストイラはナイフの後を追った。アレンはその光景を見て、シキの作戦を理解する。



 ナイフは避雷に使って道を作り出したのだ。アレンは役に立てなかったことを悔い、顔を歪める。



 コストイラは炎を纏い、攻撃の準備をする。コリンとて、何もしないわけがない。6つの打面を全て解放する。左横のドラムを叩き、1つだけ明らかに小さいドラムを叩く。5つ目のドラムは攻撃力を上げる代物。6つの小さなドラム。叩いた瞬間ドラムが光り、そして、―――――。















 コリンは雷にも愛された少女だった。いつからか分からないが、コリンは雷を出せるようになっていた。しかし、当時はただの少女であったコリンにとって、急に光り、急に音を鳴らし、急速に進む雷を好きにはなれなかった。ドラムを叩き慣れてきたある日、コリンはふと考えた。この感じ、雷に合うんじゃないか?コリンはドラムを叩くと雷が出る演出を目指し、日夜頑張った。そして辿り着いたのが6つのドラムだ。叩く箇所によって出る雷が変わる。そう言い聞かせておけば楽に済む。一種、自分へのマインドコントロールだ。雷を出す練習をしていると、雷も共に成長していった。















 先程までとは比べ物にはならないほど、高威力の雷が放たれる。ナイフを薙ぎ払い、炎を貫通し、コストイラに直撃する。前に進んでいたはずの体は後ろへと吹き飛び、床に倒れ伏す。



「遠距離相手はつらいわね」



 腹の痛みを癒してもらったアストロは右手を突き出す。そこから出たのは、コリンの出した雷には明らかに劣る雷。しかし、細かく撃ち出される攻撃に殺されることなく、直進する。まもなくコリンに直撃する。



「かっ、あ…」



 コリンは口を開け、白眼を剥き、倒れていく。雷が脳裏に焼き付いている。自身では生み出せない力強いと美しさを兼ね備えた、精錬された雷。



 あぁ、上には上がいるものなんだな。



 コリンは幸せそうに倒れた。
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