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5.無縁塚
31.風と共に
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サクラは満開になった。その姿はただただ美しく、あの男が話していたように文章や歌にして残したいとさえ思えた。花弁はひらひらといくつも舞い降りていき、視界を遮る。コストイラは刀を振り、花弁を搔き開いていく。
薄紅色の花弁の中に白く楕円の形をした花弁が舞っていた。サクラの花の匂いの中に凛として澄みやかな匂いが混じっていく。
アシド、コストイラそしてシキがサクラの根を躱しながら懐に入っていく。アレンやアストロを狙う根はレイドが防いでいく。楯で防ぎ、大剣で断ち切っていく。アレンも矢で応戦しようとするが、矢が刺さらず弾かれる。アストロの炎は根に火をつけるが、根は火のついた状態の根を切り離し安全策を取る。
シキは軽業師のように跳び、根を躱すとその上を走っていく。そして通過する際にナイフで切りつけていくと、サクラの標的がシキに集中する。走り去るシキを追う根が炎を纏う刀に斬られる。
花弁がどんどん散っていく。
サクラの意識がコストイラに向き、根を伸ばそうとするが、アシドが死角から炎を纏った槍で攻撃する。
「はっ!お前炎なんて纏えたのか?」
「アストロの炎」
コストイラの視線がアストロに向くと、アストロは左の親指に灯した炎を息で消す。何見せつけてきてんだよと思いながら刀で攻めに入る。炎はオレのものじゃないのか?オレの特権だろ?コストイラが寂しそうな顔を向けるが、アストロは得意げな顔を返す。コストイラは哀しみを炎に変え、苛立ちをサクラにぶつけていく。
花が次々と落ちていく。
宙を舞う花がコストイラの炎に触れ、火の粉に変わる。炎と炎に挟まれ、急速に体力が減っていく。花は再び蝶に変わり、龍の姿を擬き、突進してくる。龍はアシドの背を食らおうと狙ってくるが、アシドは対処しようとしない。蝶の龍が今まさに口を開いたその瞬間、出現した炎の柱に呑まれていく。アシドは後衛の、特にアストロを信頼している。だからこそ背を任せられる。
回復の手段を潰されたサクラは根で応戦するが、どれもこれもを対処されてしまう。テクニカルポイントさえ溜まれば逆転の可能性があっただろう。しかし、それさえ許してもらえない。
「静かに眠れよ、サクラ」
最後の一輪が枝から離れた。
サクラが燃える。男と共に。作り出されていく灰は火の粉と共に舞い上がり、煙を軸に螺旋状に天へ上る。
「行こう」
コストイラがサクラから視線を外した。
男はサクラに生きた。
道を外してでもサクラに生きた。そして夢に生きた。しかも死の寸前にはその夢さえも叶えていった。
では、我々の夢は何だ。道は続いているのだろうか。一旦の目標は魔王を倒すことだ。
アレン達は次の街を目指すことにした。
薄紅色の花弁の中に白く楕円の形をした花弁が舞っていた。サクラの花の匂いの中に凛として澄みやかな匂いが混じっていく。
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花弁がどんどん散っていく。
サクラの意識がコストイラに向き、根を伸ばそうとするが、アシドが死角から炎を纏った槍で攻撃する。
「はっ!お前炎なんて纏えたのか?」
「アストロの炎」
コストイラの視線がアストロに向くと、アストロは左の親指に灯した炎を息で消す。何見せつけてきてんだよと思いながら刀で攻めに入る。炎はオレのものじゃないのか?オレの特権だろ?コストイラが寂しそうな顔を向けるが、アストロは得意げな顔を返す。コストイラは哀しみを炎に変え、苛立ちをサクラにぶつけていく。
花が次々と落ちていく。
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「行こう」
コストイラがサクラから視線を外した。
男はサクラに生きた。
道を外してでもサクラに生きた。そして夢に生きた。しかも死の寸前にはその夢さえも叶えていった。
では、我々の夢は何だ。道は続いているのだろうか。一旦の目標は魔王を倒すことだ。
アレン達は次の街を目指すことにした。
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