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6.紅い館
21.地上への道
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姉は鋭い拳打蹴打を繰り出す。
しかし、それは素人目に見た場合。コストイラからすれば止まって見えた。しかし、あえて躱すことなく防御する。躱すのは簡単だが、あえて食らっていく。躱すのはいけないことだ。拳を。脚を。想いを。弟を思う気持ちを。
瞳を怒りに染め、奥歯を噛み締め、拳を振るう。決して姉を傷つけない。往なして転ばせることも防いで、拳を痛めさせることもしない。固められる拳が氷に覆われようと、先の貫くような蹴りもすべて甘んじて受け入れられた。
何でそんなことするのか。きっと本人も半分も説明できないだろう。時間が経つほどに思考が晴れていく。姉の方も気付く。明らかに手加減されている。ギリっと噛む力が増す。
「クッ!」
小さな手がタンとコストイラの胸を叩く。よろめくことさえしない。
『お姉ちゃん!』
カチムと呼ばれた弟が一番の大声を出す。姉は弟の方を向いた。コストイラは両手を腰に当てて、行く末を見守る。姉はゆっくりと弟に寄っていく。そのままちらりとこちらを見て、微妙な表情をすると横道に消えていった。エンドローゼの回復魔法が済み、少したった頃、姉が戻ってきた。
「あの、その、えっと」
眼を泳がせ、頬をポリポリと掻く。
「申し訳ありません。早とちりして」
「きょうだいってのはそういうもんだろ。むしろ、さすがだと褒められるだろう。こちらこそすまない。君の弟を殴る蹴るの暴行を加えてしまった」
あのコストイラが謝った。しかもおとなしい。アシド、アストロさえも少なからず衝撃を受けていた。
「どうぞ通ってください」
アレン達は地下道を抜けた。
白髪の男は食事を止めた。
思い出した。コストイラという男にあった時に何か引っかかりを覚えていたのだ。それが取れた。炎のような紅い髪に燃えるような黄色い目。そうフラメテに同じものを見たのだ。思い出した。
うんうんと頷くが、はてと傾げる。フラメテは今どこにいるのだろうか。
金髪に紫の目をした女がフフッと笑う。
「大きくなったのね。強くなったのね。おめでとう、コストイラ」
どこか儚い声音を出し、後ろを向く。これ以上見ていられない。時間が迫ってきているのだ。やる事がある。大きな欠伸を一つ。
女は布団に潜って、寝息を立て始めた。
金髪に赤い目をした女が大剣を指でいじりながら下を向く。
「あぁ、コストイラ。強くなったね」
見えていないが、感じ取った。悲しげに目を伏せる女の手元から大剣が音を鳴らす。摑む手の力が増したのだ。
「………ここまで来てくれると良いな。いや、来ないか、こんな果ての地なんて」
しかし、それは素人目に見た場合。コストイラからすれば止まって見えた。しかし、あえて躱すことなく防御する。躱すのは簡単だが、あえて食らっていく。躱すのはいけないことだ。拳を。脚を。想いを。弟を思う気持ちを。
瞳を怒りに染め、奥歯を噛み締め、拳を振るう。決して姉を傷つけない。往なして転ばせることも防いで、拳を痛めさせることもしない。固められる拳が氷に覆われようと、先の貫くような蹴りもすべて甘んじて受け入れられた。
何でそんなことするのか。きっと本人も半分も説明できないだろう。時間が経つほどに思考が晴れていく。姉の方も気付く。明らかに手加減されている。ギリっと噛む力が増す。
「クッ!」
小さな手がタンとコストイラの胸を叩く。よろめくことさえしない。
『お姉ちゃん!』
カチムと呼ばれた弟が一番の大声を出す。姉は弟の方を向いた。コストイラは両手を腰に当てて、行く末を見守る。姉はゆっくりと弟に寄っていく。そのままちらりとこちらを見て、微妙な表情をすると横道に消えていった。エンドローゼの回復魔法が済み、少したった頃、姉が戻ってきた。
「あの、その、えっと」
眼を泳がせ、頬をポリポリと掻く。
「申し訳ありません。早とちりして」
「きょうだいってのはそういうもんだろ。むしろ、さすがだと褒められるだろう。こちらこそすまない。君の弟を殴る蹴るの暴行を加えてしまった」
あのコストイラが謝った。しかもおとなしい。アシド、アストロさえも少なからず衝撃を受けていた。
「どうぞ通ってください」
アレン達は地下道を抜けた。
白髪の男は食事を止めた。
思い出した。コストイラという男にあった時に何か引っかかりを覚えていたのだ。それが取れた。炎のような紅い髪に燃えるような黄色い目。そうフラメテに同じものを見たのだ。思い出した。
うんうんと頷くが、はてと傾げる。フラメテは今どこにいるのだろうか。
金髪に紫の目をした女がフフッと笑う。
「大きくなったのね。強くなったのね。おめでとう、コストイラ」
どこか儚い声音を出し、後ろを向く。これ以上見ていられない。時間が迫ってきているのだ。やる事がある。大きな欠伸を一つ。
女は布団に潜って、寝息を立て始めた。
金髪に赤い目をした女が大剣を指でいじりながら下を向く。
「あぁ、コストイラ。強くなったね」
見えていないが、感じ取った。悲しげに目を伏せる女の手元から大剣が音を鳴らす。摑む手の力が増したのだ。
「………ここまで来てくれると良いな。いや、来ないか、こんな果ての地なんて」
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