メグルユメ

パラサイト豚ねぎそば

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8.魔王インサーニアを討て

18.結晶の塔

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 4つ目の塔は、プリズムのように光を反射し、眼を痛める原因となっていた。その光を背に、塀の上に一人の女性らしき影が立っていた。長い髪とスカートから女性と判断したが、もしかして早計だったか。相手はとうっと高い声を上げ、目の前に下りてくる。



 赤毛の存在は女性らしい豊満な体をしている。逆光のせいで分からなかったが、やはり女性だったようだ。いや、魔物だから女性という表現はあっているだろうか。オレンジ色の瞳は真っ直ぐこちらを見つめ、二刀流で剣を持って装備していた。



 二刀流を扱う者に会うのは初めてではないだろうか。二刀流は思っている以上に難しく、圧倒的な技術力を必要とするため、大半の者は失敗に終わる。右と左で違う動きを寸分の狂いなく行うのは至難の業である。昔のレベルであれば苦戦してしまっていただろう。しかし、今はエンドローゼ以外は問題ない。



 エンドローゼは見えない速度で走り出したジネットに目を張り、次の瞬間、ジネットの首が飛んだ。



「え」



 他の人たちはコストイラを見ていた。きっとコストイラが斬ったのだろう。エンドローゼには見えなかったが。



『オオオオオオオオオオオオオッッ!!』



 囲いの中から雄叫びが響いた。声を上げたものがぬるりと塀の上から顔を出した。それは龍だった。くゆりくゆりと身を捻りながら空に昇り、体のすべてを囲いの上に出すと、空中でとぐろを巻き、こちらを窺っている。



 アストロは臆せず撃ち落とそうと魔術を放つ。エンドローゼは驚きの顔を隠せない。龍は祀る宗教が作られるほど上位の存在だ。そんな存在に真っ向から挑む。エンドローゼには信じられない。別にエンドローゼはクロゴロ教ではないが、龍に手を出すなんて恐れ多いと思った。



 炎は龍に近付くにつれ小さくなり、最終的には鱗を一枚焼くにしか至らなかった。しかし、火力はなく白く美しい鱗は傷さえつかなかった。



『オオオオオッッ』



 雄叫びと共に20メートルはあろう体を震わせる。龍はブレスを吐き出した。
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