メグルユメ

パラサイト豚ねぎそば

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8.魔王インサーニアを討て

25.精神を剝ぐもの

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 アレンは一つ思い出したことがある。アストロの魔法だ。あの魔法と同じように体に纏わりついてくる。違いと言えばアストロのは黒色で敵のは紫色ということか。



 アストロに言うと舌打ちされた。



「あれは魔術。私のは魔法。明らかに違うわ」



 違いの分からない男アレンは恐い顔をするアストロにはこれ以上聞けなかった。



「対処法ぐらいは似てたりしねェの?」



「とっとと倒す」



「分かりやすくていいな」



 アストロの力任せな案にコストイラが笑う。



「じゃあとっとと倒すぞ」



 コストイラは炎を纏い距離を詰める。魔物は右手をコストイラに向けて照準を合わせると、魔力を撃ち出す。連射するが、当たらない。紫色の霧は速度に影響しないようだ。



「フッ」



 弾幕を掻い潜り、刀は魔物を斬った。コストイラは異常に気付き固まる。その隙を狙い、再び連射する。コストイラは急いで離脱する。



「どうした?」



「チッ。攻撃力だ。力が落ちてやがる」



 魔物の左腕からオレンジと黒の混じった煙が出ている。コストイラは切り落とす気で刀を振ったにもかかわらず切れなかったと言っている。コストイラが再び疾走するのに合わせ、アシドとシキも向かう。アストロはいつでも援護できるように構える。



 弾幕が一瞬だけ止んだ。魔物は体を丸めるように少しだけ前傾姿勢になっていた。攻撃の前兆かと思ったが、アストロが否定する。



「あれは魔力酔いよ。連射しすぎたのね」



 魔物も魔力酔いを起こすのか。アレンは初めて知ることが多い旅だなと思いつつ、行く末を見つめる。弾幕が止んだ瞬間を逃すほど甘くない3人は一気に畳みかける。一撃で倒せないのならば百撃叩き込めばいい。刀で斬り、槍で刺し、ナイフで刻む。たちまち魔物の煙が出す量が増えていく。



『何をしている』



 止めを刺す直前に横槍が入る。ローブを着こんだ骸骨が立っていた。発声器官がないのにどこから聞き惚れてしまうような声を出しただろう。



『貴様らは信者に手を出していたのか』



 眼窩はゴブリンウィザードを見て、次に魔物を見て、最後にコストイラを見る。見るという表現があっているのかは分からないが。



「そうだぜ」



 骸骨なのでもちろん筋肉はないので表情は分からない。しかし、今、何か驚いたような反応をした。



『その赤い髪に黄色い目。そうか、貴様が退治屋か。女だと聞いていたが男だったのか』



「退治屋じゃねェよ」



『ん?そうか。貴様は違うのか』



 どこかがっかりしたような声音を出す。



『貴様がフラメテとどのような関係なのかは知らないが、私には関係ない。仲間の仇討の方が優先だ』



 骸骨幹部は両手を構え、濁流を生み出す。コストイラは咄嗟のことで反応できず、飲み込まれる。
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