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13.魔界
16.審判
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冥界とは亡くなった者が訪れる地である。ここにいる霊のほとんどが地獄か天国かの審判を待っている。その例に漏れる者は管理する側の霊のみだ。
冥界は待機場であり、審判を行う裁判所の一面を持っている。冥界に裁判所は一箇所しかなく、それがあるのが冥府の塔だ。
行われる裁判には弁護人も検事もいない。ただ、裁く者がいて、一つ一つ罪を確認され、判決が下される。罪の数を大幅に超過する善行を積むと判決が軽くなるという噂を信じた霊達は、冥界で善行を積もうとする。やっていることは間違っていないが、それは現世での話であり、冥界でいくら積んでも判決に影響しない。
そんなこともあってか裁判官は実は暇なのだ。だから裁判所に誰か来ると張り切ってしまうのだ。つまり、これも張り切った結果なのだ。
裁判官であるアンホーリーテラーは暇で溶けていたところにやって来た7人を一瞬にして見通そうとした。その姿はまさしく魔物だった。それを見たアシドやレイドが武器を抜いた。アンホーリーテラーはそれを恐怖による行動ではなく、敵対行動として受け取ってしまった。
半径がアレンの身長ほどもある黒い球に、その周りを覆う禍々しいオーラ。見た目だけなら立派な悪い魔物。冷静な思考を持っていたのなら、そう恐れられていることなど簡単に分かっただろう。
アンホーリーテラーはビームを発射する。先に攻撃してきたアンホーリーテラーに6人も完全に敵対する。アシドがビームを弾くと、シキが走り寄る。バチンとオーラに衝突する。このオーラには質量があるのか。
情報を手に入れたアシドは、トップスピードのまま足の裏をオーラにつけ、一気に駆け上がる。黒い球が地上5mの位置にあり、辿り着く頃にはアシドの勢いも失速していた。黒い球に槍を突き刺そうとするが、オーラに阻まれ弾き飛ばされてしまう。くるくると体を回転させて威力を逃し、静かに着地する。
アストロは魔術を発射し、オーラを破壊しようとする。オーラが揺らめいているが壊れる気配がない。アレンが矢を番えるが、どうにかなるビジョンが見えない。
黒い球の中にペンダントが見えているコストイラは最初から戦う気がない。コストイラは服にペンダントを付けながらレイドに近づく。
「おい、レイド。オレを打ち上げてくれ」
「どこまでだ?」
「とりあえず、あの黒い球のところまで」
「分かった」
何か考えがあるのだろうと考えたレイドは、大剣をバットのようにしてコストイラを打ち出す。黒い球よりも高く跳んだコストイラはレイドを尊敬した。ここまで一気に打ち出せるなんて凄いパワーを持っている。そこだけはどうしても勝てない。
コストイラは手が荒れるのも気にせず、オーラを手で掴む。ヂリッと手の皮が焼けた。顔が少し歪む。
「よォ、暴れ終わったか?」
脂汗を流しながら問う青年に意識が向かう。そして思考が真っ白になる。
え? ペンダントしてるじゃん。もしかして女王様の関係者? もしかして今ヤバいことしでかした?
見えないが大量に汗が噴き出ている。
コストイラは手を放し、7m下にある床に着地する。エンドローゼが走り寄り、掌を回復させていく。
アンホーリーテラーがするりと後ろに下がっていく。
「何があったんだ?」
「へい、コストイラ。何したんだ」
後ろに下がっていくアンホーリーテラーに、レイドの頭の上にはてなを浮かべ、アシドがコストイラに説明を求める。コストイラは掌の皮を剥がしながらペンダントを指す。
「あれもシラスタ教なのね」
アストロは自身の顎を触りながら首を傾げる。コストイラは首を振ってペンダントを見せる。
「シラスタ教じゃなくても、教祖様に関わった者が持っていることもある」
「じゃあ、そっち側の線もあるか」
「教祖様って何者だよ」
アシドがツッコミを入れる。ここにまで関わった者がいるなんて、実は相当偉い人なんじゃないか? シラスタ教だったとしてもそうだな。
「さぁな。けど、どんな正体だったとしても、俺にとっては大事な教祖様だよ」
コストイラは、刀の柄を指で叩きながら答える。どこか嬉しそうな声音だった。
ぴくりとアンホーリーテラーのオーラが揺れた。何かの音を聞いたのか、音の出所を探すように球体をキョロキョロさせる。アレン達は気付いていない。球体が止まると、アレン達のことを眺め出した。それに気付いたコストイラも見つめ返す。アンホーリーテラーは喋れそうにないのでどうしたらいいのか分からない。
「オイ、どうかしたのか」
話しかけてみるが、反応は返ってこない。コストイラは不思議そうな顔をしたまま、後頭部を掻く。反応に困ったコストイラは肩を竦め、アレン達の方を向く。
「駄目だな。反応がねェや」
「どうしたんでしょうね」
「さァな。それよりも今後はどうすんだ?奈落に向かってんだよな」
「そうね。奈落への地図が欲しいわね」
「そうですね。とりあえず出口を探して歩きましょうか」
アレンの言葉に皆も従い、部屋を出ようとする。その時、アンホーリーテラーが鳴いた。鳴いたというより音が鳴ったという表現の方が正しいだろう。オーラが重なり合いギチギチと鳴っていた。何かの前兆かと思い、身構える。結果を知っていると、この対応が悪かった。さっさと部屋から出て行くべきだった。
最初に扉が閉められた。魔術によるものであり、いくらか力を込めても、扉はビクともしない。タックルしても武器で叩いても開かない。
アシドはアンホーリーテラーを倒せば解除されると考え、槍を回転させながら突進する。しかし、オーラで防がれてしまう。アシドは黒い球を睨みつけながら着地する。
その瞬間、アシドが消えた。
「あ?」
コストイラが間抜けな声を発する。
「アシド?」
アストロがアシドの消えた地点に近寄る。その時、オーラが揺らめき、アストロが消えた。
「なっ!? アストロさんまで。どこかに飛ばされたんですか!? それとも消されたんですか!?」
「知るかよ。同じ場所に行きたきゃオレ達も食らうしかねェな」
焦るアレンに、冷静なコストイラは刀から手を放し、アンホーリーテラーに近づいていく。レイドが止めようと手を伸ばすが、掴む前にコストイラの姿が消えた。そのままレイドの姿も消えた。
残ったのはアレンとエンドローゼ、そしてシキの3人。エンドローゼは恐怖に瞳を潤ませ、シキの腕にしがみついている。強くしがみついているのか、シキが鬱陶しそうな顔をしている。
「3人しか残っていません。どうしますか?」
「送ってもらう」
「え?」
アレンが止めようとするのも聞かず、シキはエンドローゼを抱えたまま消えていった。
アレンは覚悟を決めると、アレンも消えてく。
「どうなっても知りませんよ!?」
冥界は待機場であり、審判を行う裁判所の一面を持っている。冥界に裁判所は一箇所しかなく、それがあるのが冥府の塔だ。
行われる裁判には弁護人も検事もいない。ただ、裁く者がいて、一つ一つ罪を確認され、判決が下される。罪の数を大幅に超過する善行を積むと判決が軽くなるという噂を信じた霊達は、冥界で善行を積もうとする。やっていることは間違っていないが、それは現世での話であり、冥界でいくら積んでも判決に影響しない。
そんなこともあってか裁判官は実は暇なのだ。だから裁判所に誰か来ると張り切ってしまうのだ。つまり、これも張り切った結果なのだ。
裁判官であるアンホーリーテラーは暇で溶けていたところにやって来た7人を一瞬にして見通そうとした。その姿はまさしく魔物だった。それを見たアシドやレイドが武器を抜いた。アンホーリーテラーはそれを恐怖による行動ではなく、敵対行動として受け取ってしまった。
半径がアレンの身長ほどもある黒い球に、その周りを覆う禍々しいオーラ。見た目だけなら立派な悪い魔物。冷静な思考を持っていたのなら、そう恐れられていることなど簡単に分かっただろう。
アンホーリーテラーはビームを発射する。先に攻撃してきたアンホーリーテラーに6人も完全に敵対する。アシドがビームを弾くと、シキが走り寄る。バチンとオーラに衝突する。このオーラには質量があるのか。
情報を手に入れたアシドは、トップスピードのまま足の裏をオーラにつけ、一気に駆け上がる。黒い球が地上5mの位置にあり、辿り着く頃にはアシドの勢いも失速していた。黒い球に槍を突き刺そうとするが、オーラに阻まれ弾き飛ばされてしまう。くるくると体を回転させて威力を逃し、静かに着地する。
アストロは魔術を発射し、オーラを破壊しようとする。オーラが揺らめいているが壊れる気配がない。アレンが矢を番えるが、どうにかなるビジョンが見えない。
黒い球の中にペンダントが見えているコストイラは最初から戦う気がない。コストイラは服にペンダントを付けながらレイドに近づく。
「おい、レイド。オレを打ち上げてくれ」
「どこまでだ?」
「とりあえず、あの黒い球のところまで」
「分かった」
何か考えがあるのだろうと考えたレイドは、大剣をバットのようにしてコストイラを打ち出す。黒い球よりも高く跳んだコストイラはレイドを尊敬した。ここまで一気に打ち出せるなんて凄いパワーを持っている。そこだけはどうしても勝てない。
コストイラは手が荒れるのも気にせず、オーラを手で掴む。ヂリッと手の皮が焼けた。顔が少し歪む。
「よォ、暴れ終わったか?」
脂汗を流しながら問う青年に意識が向かう。そして思考が真っ白になる。
え? ペンダントしてるじゃん。もしかして女王様の関係者? もしかして今ヤバいことしでかした?
見えないが大量に汗が噴き出ている。
コストイラは手を放し、7m下にある床に着地する。エンドローゼが走り寄り、掌を回復させていく。
アンホーリーテラーがするりと後ろに下がっていく。
「何があったんだ?」
「へい、コストイラ。何したんだ」
後ろに下がっていくアンホーリーテラーに、レイドの頭の上にはてなを浮かべ、アシドがコストイラに説明を求める。コストイラは掌の皮を剥がしながらペンダントを指す。
「あれもシラスタ教なのね」
アストロは自身の顎を触りながら首を傾げる。コストイラは首を振ってペンダントを見せる。
「シラスタ教じゃなくても、教祖様に関わった者が持っていることもある」
「じゃあ、そっち側の線もあるか」
「教祖様って何者だよ」
アシドがツッコミを入れる。ここにまで関わった者がいるなんて、実は相当偉い人なんじゃないか? シラスタ教だったとしてもそうだな。
「さぁな。けど、どんな正体だったとしても、俺にとっては大事な教祖様だよ」
コストイラは、刀の柄を指で叩きながら答える。どこか嬉しそうな声音だった。
ぴくりとアンホーリーテラーのオーラが揺れた。何かの音を聞いたのか、音の出所を探すように球体をキョロキョロさせる。アレン達は気付いていない。球体が止まると、アレン達のことを眺め出した。それに気付いたコストイラも見つめ返す。アンホーリーテラーは喋れそうにないのでどうしたらいいのか分からない。
「オイ、どうかしたのか」
話しかけてみるが、反応は返ってこない。コストイラは不思議そうな顔をしたまま、後頭部を掻く。反応に困ったコストイラは肩を竦め、アレン達の方を向く。
「駄目だな。反応がねェや」
「どうしたんでしょうね」
「さァな。それよりも今後はどうすんだ?奈落に向かってんだよな」
「そうね。奈落への地図が欲しいわね」
「そうですね。とりあえず出口を探して歩きましょうか」
アレンの言葉に皆も従い、部屋を出ようとする。その時、アンホーリーテラーが鳴いた。鳴いたというより音が鳴ったという表現の方が正しいだろう。オーラが重なり合いギチギチと鳴っていた。何かの前兆かと思い、身構える。結果を知っていると、この対応が悪かった。さっさと部屋から出て行くべきだった。
最初に扉が閉められた。魔術によるものであり、いくらか力を込めても、扉はビクともしない。タックルしても武器で叩いても開かない。
アシドはアンホーリーテラーを倒せば解除されると考え、槍を回転させながら突進する。しかし、オーラで防がれてしまう。アシドは黒い球を睨みつけながら着地する。
その瞬間、アシドが消えた。
「あ?」
コストイラが間抜けな声を発する。
「アシド?」
アストロがアシドの消えた地点に近寄る。その時、オーラが揺らめき、アストロが消えた。
「なっ!? アストロさんまで。どこかに飛ばされたんですか!? それとも消されたんですか!?」
「知るかよ。同じ場所に行きたきゃオレ達も食らうしかねェな」
焦るアレンに、冷静なコストイラは刀から手を放し、アンホーリーテラーに近づいていく。レイドが止めようと手を伸ばすが、掴む前にコストイラの姿が消えた。そのままレイドの姿も消えた。
残ったのはアレンとエンドローゼ、そしてシキの3人。エンドローゼは恐怖に瞳を潤ませ、シキの腕にしがみついている。強くしがみついているのか、シキが鬱陶しそうな顔をしている。
「3人しか残っていません。どうしますか?」
「送ってもらう」
「え?」
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