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17.彼岸
2.ごく一般的なドレイニ―帝国皇帝
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ガルバンディは太陽神ソラリスを崇め奉るエリオ教の司祭の家系に生まれた。ガルバンディの祖母はドレイニーの53代皇帝ランガルの妹だった。つまり、ガルバンディは皇帝の血族だった。
ガルバンディが10歳の頃、異常が起きた。自分と同年代の血族が不審死を遂げていった。ガルバンディは信心深く、宗教に集中しており、その異常性に気付けなかった。血族がいなくなっているのに気付けた時、同年代の者はいなくなっており、父の代が数を減らしていた。
ガルバンディが11歳の時、ランガルが崩御した。ランガルが皇帝となった時の年齢が52であったため、不思議ではなかった。当時の平均寿命が40歳程度であったことを考えれば、むしろ長生きしたのかもしれない。
54代皇帝は叔父のバッティエラが務めることになった。オドオドとしているバッティエラは頼りなかったが、皇帝になった時、急に男らしさを求めるようになった。
筋肉が3倍以上に膨れ上がり、ガルバンディは恐怖を覚えた。だって、2か月だよ?ガルバンディはこの時に男らしさを自分に蓄えることを諦めた。それどころか、女になることを目指し始めた。
司祭の家系の時のガルバンディであれば、周りの大人が止めただろう。しかし、今のガルバンディは皇帝の家系に変化していた。誰も直接言うことができなくなってしまった。
婉曲な物言いはガルバンディには通じず、女のようになろうと続けた。ガルバンディに物言いができたのは、皇帝の家系の者か宰相か大臣くらいだろう。しかし、母以外の者はガルバンディに興味を持たなかった。
母は自分の息子が初めてやりたいことを見つけたので、何も言わず温かく見守っていた。
ガルバンディは剣の鍛錬をサボるようになり、上流階級の女の受けていた礼儀・作法のレッスンを受けるようになっていた。
ガルバンディが12歳の時、バッティエラが崩御した。ベッドに眠るようになくなっていたらしい。ガルバンディは毒殺であることを知っていたが、黙っていることにした。次に殺されてしまいそうだからだ。
3日後に誕生日を迎えたガルバンディはその次の日に皇帝になった。
国民はとても驚いた。53代、54代の皇帝は質実剛健そのものだったが、55代皇帝ガルバンディは幼くそして女装していた。
男らしさが求められる皇帝を、こんな女々しいものが務まるのかと不安視されたが、驚くほどの善政を敷いた。国民の生活はとても豊かになった。今後のドレイニーの発展は、この時に基礎がつくられたといわれている。
ガルバンディの私生活は破綻していた。1年の内に3回も結婚しており、そのすべての政略結婚は2か月もしないうちに離婚に至っていた。
女であることを望んだガルバンディは夜な夜な女装をしては男を漁った。そして、不特定多数の男と関係を結んだ。
ある日、ガルバンディは奴隷の男を夫として迎え入れた。それでも色情狂であったガルバンディは頻繁に男漁りを続けた。
宮廷内に売春宿を建設させ、そこに売春婦として入った。科を作り、男を誘惑するふしだらな女であることを望み、そのふしだらを咎められるのも望んだ。夫は浮気を理由に暴力を振るい、ガルバンディはそれを喜んで受け入れた。中でもガルバンディが最も喜んだのは平手打ちだった。
ヘルソーディアンの仮面がカランと音を立てて地面に落ちた。ヘルソーディアンの素顔が晒される。その顔に反応を示したのはアストロとレイドの二人だ。
「あの顔どこかで」
「あの御顔は第55代ドレイニー帝国皇帝のバルガンディ様か?」
アストロはかつて学舎で読んだ歴史の教科書の内容を思い出そうとし、レイドは家にあったプロフィールの描かれたドレイニー硬貨を思い出す。
歴史に疎すぎるコストイラはガルバンディが誰なのかさっぱりなので、とりあえず刀を握っておく。ガルバンディは死ぬのが嫌なので後ろに跳ぼうとするが、膝を着いた状態だったままなので跳べない。
ガルバンディの首が軽々と飛んだ。
「そのガルバンディって何者なんだ?」
「さぁ? 歴史の資料集みたいなのに名前と絵でしか見た事ないわ」
「私はごく一般的なドレイニー帝国の皇帝だったと聞いている。まぁ、その中でも善政を敷いていた方だとも聞いているぞ」
「フゥン。まぁ、よく分かんねェけど」
ガルバンディが10歳の頃、異常が起きた。自分と同年代の血族が不審死を遂げていった。ガルバンディは信心深く、宗教に集中しており、その異常性に気付けなかった。血族がいなくなっているのに気付けた時、同年代の者はいなくなっており、父の代が数を減らしていた。
ガルバンディが11歳の時、ランガルが崩御した。ランガルが皇帝となった時の年齢が52であったため、不思議ではなかった。当時の平均寿命が40歳程度であったことを考えれば、むしろ長生きしたのかもしれない。
54代皇帝は叔父のバッティエラが務めることになった。オドオドとしているバッティエラは頼りなかったが、皇帝になった時、急に男らしさを求めるようになった。
筋肉が3倍以上に膨れ上がり、ガルバンディは恐怖を覚えた。だって、2か月だよ?ガルバンディはこの時に男らしさを自分に蓄えることを諦めた。それどころか、女になることを目指し始めた。
司祭の家系の時のガルバンディであれば、周りの大人が止めただろう。しかし、今のガルバンディは皇帝の家系に変化していた。誰も直接言うことができなくなってしまった。
婉曲な物言いはガルバンディには通じず、女のようになろうと続けた。ガルバンディに物言いができたのは、皇帝の家系の者か宰相か大臣くらいだろう。しかし、母以外の者はガルバンディに興味を持たなかった。
母は自分の息子が初めてやりたいことを見つけたので、何も言わず温かく見守っていた。
ガルバンディは剣の鍛錬をサボるようになり、上流階級の女の受けていた礼儀・作法のレッスンを受けるようになっていた。
ガルバンディが12歳の時、バッティエラが崩御した。ベッドに眠るようになくなっていたらしい。ガルバンディは毒殺であることを知っていたが、黙っていることにした。次に殺されてしまいそうだからだ。
3日後に誕生日を迎えたガルバンディはその次の日に皇帝になった。
国民はとても驚いた。53代、54代の皇帝は質実剛健そのものだったが、55代皇帝ガルバンディは幼くそして女装していた。
男らしさが求められる皇帝を、こんな女々しいものが務まるのかと不安視されたが、驚くほどの善政を敷いた。国民の生活はとても豊かになった。今後のドレイニーの発展は、この時に基礎がつくられたといわれている。
ガルバンディの私生活は破綻していた。1年の内に3回も結婚しており、そのすべての政略結婚は2か月もしないうちに離婚に至っていた。
女であることを望んだガルバンディは夜な夜な女装をしては男を漁った。そして、不特定多数の男と関係を結んだ。
ある日、ガルバンディは奴隷の男を夫として迎え入れた。それでも色情狂であったガルバンディは頻繁に男漁りを続けた。
宮廷内に売春宿を建設させ、そこに売春婦として入った。科を作り、男を誘惑するふしだらな女であることを望み、そのふしだらを咎められるのも望んだ。夫は浮気を理由に暴力を振るい、ガルバンディはそれを喜んで受け入れた。中でもガルバンディが最も喜んだのは平手打ちだった。
ヘルソーディアンの仮面がカランと音を立てて地面に落ちた。ヘルソーディアンの素顔が晒される。その顔に反応を示したのはアストロとレイドの二人だ。
「あの顔どこかで」
「あの御顔は第55代ドレイニー帝国皇帝のバルガンディ様か?」
アストロはかつて学舎で読んだ歴史の教科書の内容を思い出そうとし、レイドは家にあったプロフィールの描かれたドレイニー硬貨を思い出す。
歴史に疎すぎるコストイラはガルバンディが誰なのかさっぱりなので、とりあえず刀を握っておく。ガルバンディは死ぬのが嫌なので後ろに跳ぼうとするが、膝を着いた状態だったままなので跳べない。
ガルバンディの首が軽々と飛んだ。
「そのガルバンディって何者なんだ?」
「さぁ? 歴史の資料集みたいなのに名前と絵でしか見た事ないわ」
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「フゥン。まぁ、よく分かんねェけど」
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