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19.異想への海溝
1.朽ちている橋
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テスロメルの話が終わった頃、ジョンのところへと案内された。家の裏ではコストイラ達が各々の格好で倒れていた。
「ハッハッハッ。こいつらいい筋をしているよ。すぐに私を追い越してしまうだろう。いや、すでにもう危ないか。奥義を教えてくださった師はこのような気持であったのかもしれないな」
妙にすっきりしていたジョンはコストイラ達を雑に担いだ。
「さて、飯にしよう」
その後、アレン達はテスロメルの家に泊めてもらった。
「さて、未来のある若者よ、これからどこへ行くのかね」
別れ際にテスロメルが尋ねてきた。そういえば何も決めていない。互いに顔を見つめ合う。テスロメルは事情を察して目を丸くして、すぐに弓なりに曲げた。
「ならばこの崖路を沿って進むと良い。景色が変わらんから退屈だと思うが、魔物がそれなりに強くて良い修行になるぞ」
コストイラ達が崖の道の方を見る。
「分かりました。そちらに行ってみます。ありがとうございました。テスロメルさん、ジョンさん」
アレン達はまだまだ先へと進む。
テスロメルの言っていた通り、とても単調な景色が続く。左側には高い崖。登れそうな雰囲気はしているが、丸1日かかるかもしれない。右側にも高い崖。ただし、こちらは下に向かっている。海が広がっており、波が当たるたびに水飛沫が上がってきていた。
そして、件のそれなりに強い魔物に出会えず、本当に退屈していた。
「ところで、アストロ達は何を話してたんだ、昨日」
退屈に耐えられなくなったコストイラが話を振る。
「私達は勇者とは何かを話していたわ。あと魔物について」
「フゥン。結局どんな結論になったん?」
「今の生活は長くは続かないってことかな?」
「は? それどういう」
「しっ」
アストロの結論に、コストイラが食って掛かろうとして止められた。魔物かと思ったが違った。
目の前で崖路が途切れている。とはいえ、橋が架けられていて、向こうに渡るのは容易い。しかし、問題は橋の方にあった。
ボロボロだ。積載量何gか問いたくなるほどに朽ちていた。手摺はなく、橋のいたるところに穴がある。
コストイラでさえ渡るのを躊躇している。高所恐怖症の2人はそれぞれ隣にいたシキとレイドに抱き着いている。レイドはエンドローゼを護るように腕を回しているが、シキはアレンに何もしない。
「よし、まずはオレが渡って安全性を確かめる」
こんな時でも先頭に出る漢コストイラを全員が見守る。コストイラは深く1回呼吸すると、もう一度橋を見た。
コストイラは少し近づき、右の爪先を乗っけた。徐々に力を入れていく。橋の閾値を調べようとしたのだ。
しかし、ここで予想外のことが起きた。全体重を乗っけても壊れなかったのだ。
あれ? これ案外行けんじゃね?
コストイラが次の足を出す。現在のコストイラは両足ともに朽ちかけた橋の上だ。コストイラが中腰の状態でアストロ達に上体を向け、力こぶをつくる。アストロはとっとと行け、とハンドジェスチャーした。
落ちないと分かったコストイラは意気揚々と次の1歩を踏み出した。そしてバキッという音とともにコストイラの姿が崩れた。
足が木の板を踏み抜いていた。下に足場にできるものがない(ないとは言っていない)ので、そのまま下に落ちていく前にコストイラは動いていた。下に落ちる左足とは逆の足に咄嗟に力を入れた。すると、右足側もバキと木の板が壊れた。エンドローゼがびっくりして思わず口元を手で覆い、目線を逸らした。
両足落ちたコストイラは、間にあった一枚の木の板に股間を強かに打ち付けた。
アストロとアシドが額を手で覆った。
「この橋は危険そうだな。よし、別の橋を探そう」
「オイ! 助けろよ!」
悶絶しているコストイラの悲痛な叫びが響き渡った。
「ハッハッハッ。こいつらいい筋をしているよ。すぐに私を追い越してしまうだろう。いや、すでにもう危ないか。奥義を教えてくださった師はこのような気持であったのかもしれないな」
妙にすっきりしていたジョンはコストイラ達を雑に担いだ。
「さて、飯にしよう」
その後、アレン達はテスロメルの家に泊めてもらった。
「さて、未来のある若者よ、これからどこへ行くのかね」
別れ際にテスロメルが尋ねてきた。そういえば何も決めていない。互いに顔を見つめ合う。テスロメルは事情を察して目を丸くして、すぐに弓なりに曲げた。
「ならばこの崖路を沿って進むと良い。景色が変わらんから退屈だと思うが、魔物がそれなりに強くて良い修行になるぞ」
コストイラ達が崖の道の方を見る。
「分かりました。そちらに行ってみます。ありがとうございました。テスロメルさん、ジョンさん」
アレン達はまだまだ先へと進む。
テスロメルの言っていた通り、とても単調な景色が続く。左側には高い崖。登れそうな雰囲気はしているが、丸1日かかるかもしれない。右側にも高い崖。ただし、こちらは下に向かっている。海が広がっており、波が当たるたびに水飛沫が上がってきていた。
そして、件のそれなりに強い魔物に出会えず、本当に退屈していた。
「ところで、アストロ達は何を話してたんだ、昨日」
退屈に耐えられなくなったコストイラが話を振る。
「私達は勇者とは何かを話していたわ。あと魔物について」
「フゥン。結局どんな結論になったん?」
「今の生活は長くは続かないってことかな?」
「は? それどういう」
「しっ」
アストロの結論に、コストイラが食って掛かろうとして止められた。魔物かと思ったが違った。
目の前で崖路が途切れている。とはいえ、橋が架けられていて、向こうに渡るのは容易い。しかし、問題は橋の方にあった。
ボロボロだ。積載量何gか問いたくなるほどに朽ちていた。手摺はなく、橋のいたるところに穴がある。
コストイラでさえ渡るのを躊躇している。高所恐怖症の2人はそれぞれ隣にいたシキとレイドに抱き着いている。レイドはエンドローゼを護るように腕を回しているが、シキはアレンに何もしない。
「よし、まずはオレが渡って安全性を確かめる」
こんな時でも先頭に出る漢コストイラを全員が見守る。コストイラは深く1回呼吸すると、もう一度橋を見た。
コストイラは少し近づき、右の爪先を乗っけた。徐々に力を入れていく。橋の閾値を調べようとしたのだ。
しかし、ここで予想外のことが起きた。全体重を乗っけても壊れなかったのだ。
あれ? これ案外行けんじゃね?
コストイラが次の足を出す。現在のコストイラは両足ともに朽ちかけた橋の上だ。コストイラが中腰の状態でアストロ達に上体を向け、力こぶをつくる。アストロはとっとと行け、とハンドジェスチャーした。
落ちないと分かったコストイラは意気揚々と次の1歩を踏み出した。そしてバキッという音とともにコストイラの姿が崩れた。
足が木の板を踏み抜いていた。下に足場にできるものがない(ないとは言っていない)ので、そのまま下に落ちていく前にコストイラは動いていた。下に落ちる左足とは逆の足に咄嗟に力を入れた。すると、右足側もバキと木の板が壊れた。エンドローゼがびっくりして思わず口元を手で覆い、目線を逸らした。
両足落ちたコストイラは、間にあった一枚の木の板に股間を強かに打ち付けた。
アストロとアシドが額を手で覆った。
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「オイ! 助けろよ!」
悶絶しているコストイラの悲痛な叫びが響き渡った。
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