メグルユメ

パラサイト豚ねぎそば

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27.川の流れ着く先

6.シキの気持ち

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 アレンを安心させるためにラミアの頭を持って森を駆ける。
 残り半分ほど。珍しくワクワクしている。その時、足に蔦が巻きついた。

「ン?」

 ギュンとシキが引っ張られる。シキがナイフで蔦を切ったが、慣性の力が止まらない。
 ガサガサパキパキと叢に突っ込み、首だけが外に出る。何か手の中の首が軽くなった気がする。

 目の前には魔物がいる。クイーンアルラウネだ。何か起こっているように見えるが関係ない。大丈夫、倒せる。
 もぞもぞと体を動かし、叢から這い出る。透き通るような玉肌にいくつかの傷がついたが、まぁ、いいだろう。ラミアの頭も傷ができている。まぁ、いいだろう。

 クイーンアルラウネが蔦を何本も振るう。シキがラミアの頭を放り、二振り目のナイフを抜いた。

 地面が爆発した。クイーンアルラウネが目を張る。シキの姿が見えない。直後、視界がブレた。

 蹴られた? 速すぎる。蔦で結界を張らないと。
 ぐらぐらとする視界が戻らないまま、蔦を動かす。しかし、もうすでにその内側に白銀の悪魔が存在していた。

 シキがナイフを振るう。

 ゴロリとクイーンアルラウネの首が落ちた。

「うーん?」

 つまらない。別にいつも楽しく戦っているわけではないが、いつにも増してつまらない。ワクワクしない。

 シキは一応クイーンアルラウネの頭も持っていくことにした。

 帰り道はワクワクする。皆がいるからだろう。

 最近はアレンが気になっている。父を超えた時からアレンが気になってしょうがない。アストロやエンドローゼは何かニヤニヤしながら見守ったりアドバイスをくれたりする。頼りになる親友。早く会いたい。
 感情の発露が苦手で、自身の感情もうまく理解できていない。それでも今、理解できる感情が発露している。
 私は今、ワクワクしている。皆といることがワクワクしている。もっとみんなといたい。
 私の根幹には暗殺者のマインドがある。群れず、独りで、淡々と。
 私もそういう人種だと思っていた。
 半分はそうだ。しかし、半分は違う。その半分には母のフウがいる。私の中にいるのは父のレンだけではない
 この気持ちも大事にしていきたい。私は戦いだけではない。命令に従いたいだけじゃない。
 私は。私は。私は!

「私は皆と闘いたい」

 戻った直後にそんなことを言うものだから、アストロもコストイラも目を丸くしている。

「お、おう」
「そ、そうなの?」

 アストロもコストイラも反応に困っている。

「えっと、一人で行かせてごめんなさい?」

 とりあえず、どうすればいいのか分からず、一人でやらせてしまったことに対して謝罪した。しかし、シキはなぜ謝罪を受けたのか分からず、小首を傾げた。

 考えを外してしまい、いよいよどうすればいいのか分からない。

「とりあえず全員を起こすか。安全なところに移動させよう」
「ん」

 シキが動き出し、アレンに馬乗りになった。首を傷つけないようにペチペチと叩いた。ウーンと声に出すが、起きない。


「く、う」

 レイドが頭を押さえながら立ち上がった。

「なんだ? 私は眠っていたのか?」
「催眠導入歌を受けて堕ちてたな」
「……そうか」

 レイドが悲しげな声を出した。また護れなかった。自分が解決すべきことなので放置しておこう。

 エンドローゼはまだ寝惚けているのか、起こそうとしたシキに抱き着いた。シキは助けてほしそうにアストロを見たが、アストロはアシドを起こすのに集中しているふりをして押し付けた。
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